宮崎県における流行の危機管理 中国では2005~6年にAsia1型が流行し、OIEとFAOは近隣諸国に警戒を呼び掛けたが、日本は幸い難を逃れた。中国では2009年5月末からA型に、2010年2月にはさらにO型へと変わり、農水省は警戒を呼び掛けていた。韓国では2010年1月初旬に8年ぶりでA型が発生しており、中国の流行株と近似していることから、

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個人情報保護講座 目 次 第1章 はじめに 第2章 個人情報と保有個人情報 第3章 個人情報保護条例に規定されている県の義務 第4章 個人情報の漏えい 第5章 個人情報取扱事務の登録 第6章 保有の制限 第7章 個人情報の取得制限 第8章 利用及び提供の制限 第9章 安全性及び正確性の確保 第 10.
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事例研究の進め方. 事例研究の目的  研究会本来の目的であるテーマ研 究を行うための予備研究(演習)  テーマ研究をまとめるために必要 なデータやツールが何かを検討す る  検討したツールやデータの有用性 を検証する  視覚化.
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宮崎県における流行の危機管理 中国では2005~6年にAsia1型が流行し、OIEとFAOは近隣諸国に警戒を呼び掛けたが、日本は幸い難を逃れた。中国では2009年5月末からA型に、2010年2月にはさらにO型へと変わり、農水省は警戒を呼び掛けていた。韓国では2010年1月初旬に8年ぶりでA型が発生しており、中国の流行株と近似していることから、 O型の侵入もあり得るとみられていた。そして、4月に入ると・・・ 2009年1~6月 2009年7~12月 :情報なし :過去にも発生なし :この期間発生なし :発生疑い :感染/侵入 :臨床例あり :限局的発生 :流行中 :別の血清型の流行

国内侵入時の危機管理 初発農場 周辺農場・遠隔地 積極的発生動向調査 Active Surveillance 遡及調査 追跡調査 封じ込め失敗 初発農場 周辺農場・遠隔地 積極的発生動向調査 Active Surveillance A 1 B 2 殺処分 C 3 殺処分 殺処分 4 D E 5 遡及調査 追跡調査 肉眼病変の経過日数から推定される感染日前後に関係があった施設の獣医師による立入調査 肉眼病変の経過日数から推定されるウイルス排出期間に関係があった施設の獣医師による立入調査

宮崎県は初動調査状況を公表すべきである! 第一発見農場が国内初発農場とは限らない ● 4月9日に第1報があった都農町の繁殖牛農家 ● 4月23日 都農町の水牛農家(第6件目、3/31陽性) ● 4月28日 えびの市の肉用牛農場( 9件目) A牧場系列 当時の調査結果が公表されていない(または、調査が行われていない)ため、国内初発農場は特定されていない。 口蹄疫疫学調査チーム第4回検討会の概要 これまでの現地調査、抗体検査等の結果から、ウイルスの侵入が最も早かった農場は3月31日の検査材料でPCR検査で陽性であった6例目の農場であり、ウイルスの侵入時期は3月中旬頃と推察。 1例目の発生が確認された4月20日時点では、少なくとも10農場以上にウイルスが侵入していたと推察される。・・・・・ えびの市での発生事例については、川南町の関連農場から出発した家畜運搬車両等が関連していた可能性があり、・・・ 宮崎県は初動調査状況を公表すべきである!  法律で定められた調査が行われたのか?

口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針 1 異常家畜の発見の通報から病性決定までの措置 (2)家畜防疫員及び家畜保健衛生所の措置 1 異常家畜の発見の通報から病性決定までの措置 4月9日の時点で口蹄疫を疑うのは無理だったが、4月16日に検体を動物衛生研究所に送付した時点ではこの項目が適用される。 (2)家畜防疫員及び家畜保健衛生所の措置 ア 家畜防疫員は、通報があったときは、・・・緊急的な措置について次に掲げる指導等を行う。 (ア)異常畜の所有者に対する指導事項  e 急病等の緊急かつやむを得ない場合以外は外出をせず、農場及びその関連施設の外に物を搬出しないこと。また、外出する場合は消毒等を行うこと。 農家の行き来があったとされている。 オ 家畜防疫員は、一般臨床所見を中心に検査を実施するとともに、疫学的調査も併せて行う。 キ 本病が否定できない場合には、家畜防疫員は次に掲げる対応を行う。 その後の推移からして、検討しなかったと判断されても仕方ない。 (エ)病性決定までの間、殺処分の場所、焼却又は埋却の別等その後の防疫の段取りを検討する。

2 病性決定時の措置 (2)防疫対策本部の設置 3 発生地における防疫措置 4 接触したおそれのある感受性動物の追跡 (1)追跡調査 4月20日の口蹄疫確定した時点から緊急事態が始まるが、知事が非常事態宣言を出したのは1ヶ月遅れであり、その間は平時の対応が採られた。 2 病性決定時の措置 (2)防疫対策本部の設置 ア 家畜保健衛生所等に口蹄疫現地防疫対策本部、都道府県に口蹄疫都道府県防疫対策本部及び農林水産省に口蹄疫中央防疫対策本部をそれぞれ設置する。 対策本部会議初日 農水省:4月20日 宮崎県:4月21日 国:5月17日 その連携は? 3 発生地における防疫措置 (1)一般緊急措置 イ 家畜防疫員は、家畜の所有者に対し、・・・所有者の義務、都道府県等の協力方針、行政不服審査法に基づく不服申立てに制限がある旨等について説明する。 (2)と殺の指示及び評価 ウ 殺処分に先立って、評価人の評価を基に、家畜防疫員はへい殺畜等手当金交付規程による・・・評価書を作成し、殺処分を進める。 殺処分は罰則を含む強制力のある規定であるが、評価額を巡る補償問題で暗礁に乗り上げた。補償交渉は流行が終わってからでも可能では? 4 接触したおそれのある感受性動物の追跡 (1)追跡調査 ア 家畜防疫員が現地調査を行った結果、本病が否定できない場合には、家畜防疫員は過去21日間の家畜の移動及び過去7日間の人の出入りその他の接触を調べ、・・・都道府県畜産主務課に通報する。

5 移動の規制及び家畜集合施設における催物の開催等の制限  都道府県は、・・・移動の規制及び家畜集合施設における催物の開催等の制限を、移動制限区域と搬出制限区域に区分して行うほか、発生地については、・・・通行の制限又は遮断を行う。 (1)通行の制限又は遮断 ア 範囲  発生地及びその周辺に限定する。 イ 規制の期間  72時間以内(応急的な防疫措置、すなわち、予備的消毒、家畜の殺処分、その他病原体の拡散防止のための当面の措置が完了するまでの期間とする)に限定する。 移動および搬出の制限区域は、畜産業を対象としたものであり、一般車両の通行規制は限定されている。都城市における発生時の通行制限は地域の協力によって実施された。 2000年の発生時には、半径20kmの移動制限、50kmの搬出制限が行われたが、今回は最小限に留められた。 (2)移動制限区域 ア 区域の範囲 (ア) 原則として、発生地を中心とした半径10㎞以内の区域を定める。ただし、発生状況、疫学的背景等を考慮して、動物衛生課と協議の上、半径5~30㎞の範囲まで拡大し、又は縮小することができる。 イ 制限期間 発生の確認後速やかに規制し、その制限期間は、原則として、最終発生例の 殺処分完了後21日間とする。この期間は、発生の推移に応じて増減する。 ウ 制限内容 (ウ) と畜場及び家畜市場は閉鎖する。 ウイルスが家畜、飼料、作業者、車両に付着して拡散する可能性が最も大きい。

6 立入検査、血清疫学調査等 8 感染源及び感染経路の究明 第3 防疫対応の強化 関係都道府県は、・・・・移動制限区域及び搬出制限区域から発生前21日以内に偶蹄類の家畜を導入した場所のほか、必要に応じ動物衛生課が指示した場所について、速やかに立入検査を行い、又は診療獣医師の協力を得て、臨床上の異常の有無の確認、家畜の移動の有無等の疫学的調査を行う。また、・・・・必要に応じ動物衛生課が指示する方法により血清疫学調査を実施する。 8 感染源及び感染経路の究明 調査方法等は、通知に詳述されている。 本病の感染源及び感染経路を究明し、発生予防に資するため、都道府県畜産主務課は、動物衛生課と連携し、動物衛生研究所等の協力を得て、4及び6の調査及び検査結果を基礎とし、家畜、人及び車両の移動、飼料の利用、物品の移動、渡り鳥等の野生動物との接触の可能性、気象条件等を網羅的に調査する。 口蹄疫が確定した後、県内農家の多くは報道によって知った(早朝作業時の町内放送・・・)。 第3 防疫対応の強化 本病は、発生予防からまん延防止に至るまで、様々な関係機関が連携して対応することが必要となる。このため、日頃より本病発生時の通報・連絡体制を確認するなど、農林水産省、都道府県及び市町村の各段階で、危機管理体制の構築に努める。また、都道府県は、万一の発生の際に、円滑な防疫措置を講じることができるよう、隣接都道府県及び都道府県内関係者の参加を幅広く求め、防疫措置についての打合わせ及び発生時を想定した防疫演習を実施し、まん延防止体制の調整、周知、点検及び改善に努める。 隣県への連絡はなかった。

指針に基づく発生予防及びまん延防止措置の実施の留意事項 平成16年12月 農水省消費・安全局長通知(平成17年最終改正) 6 防疫対策本部 次に掲げる組織により防疫に当たることとする。  本部長の下に次の各班を置くとともに、管内の市町村、関係機関及び団体による管内連絡会議を逐次開催し、防疫の円滑な推連を図る。 総 務 班: 関係機関との連絡調整、管内連絡会議の開催、管内の防疫活動の計画・調整、現地で必要な人員・資材の確保、文書管理、経理及び防疫資材の出納事務を行う。 病性鑑定班: 届出、調査等により入手された情報により現地に急行し、検診する。また、病性鑑定のための採材、搬送等を行う。 発生地班: 発生農場に常駐し、当面の防疫が一段落するまでの防疫措置(立入禁止、殺処分、消毒等)を指揮する。 評 価 班: 殺処分家畜等の評価を行う。 検 診 班: 発生地周辺地域の緊急検診及び摘発検査を実施する。 追 跡 班: 発生家畜と関係のある家畜の疫学調査及び防疫上の指示を行う。 移動規制班: 移動の規制、と畜場、家畜市場等の監視、移動許可書の発行等制限地域内の防疫措置に係る指導を行う。 宮崎でこれらの組織が初動調査においてどのように活動したのか? そもそも、班分けするほどの人数がいたのか?

口蹄疫疫学調査チーム第4回検討会の概要 遡及調査 肉眼病変の経過日数の推定 理屈では判っても、実際の病変は? 1例目の発生が確認された4月20日時点では、少なくとも10農場以上にウイルスが侵入していたと推察される。・・・・・ 遡及調査 肉眼病変の経過日数から推定される感染日前後に関係があった施設の獣医師による立入調査 肉眼病変の経過日数の推定 感染 発症 潜伏期間 水疱の 融合 剥離・糜爛 鋭利な辺縁 潰瘍 辺縁鈍 小水疱 理屈では判っても、実際の病変は? 治癒 瘢痕化 痂皮:表皮のみ 繊維素析出

口から舌を引出した時に破れた1日目の水泡のある去勢牛の舌 上側歯茎の破れた2日目の水泡、舌上のいくつかの破裂前の水泡がある 英国環境食糧農林省(DEFRA) 別の去勢の2日目の病変。尖った辺縁と露出した真皮の赤色に注意 舌上、下側歯茎、および下唇の2日目の破れた水泡。潰瘍化部分の辺縁が尖っている

水泡が破れた2日目では、剥がれた粘膜上皮辺縁が尖っていたが、3日目には丸みを帯びている。 3日目の病変。病変部への血漿と線維素の滲出によって、初期の赤色と辺縁の鋭利さが失われている 水泡が破れた2日目では、剥がれた粘膜上皮辺縁が尖っていたが、3日目には丸みを帯びている。 4日目には、黄色の繊維素析出が観察され、治癒機転が始まっている。 右: 上と同一牛の4日目の病変。病変部辺縁の鋭利さがさらに失われ、過度の線維素が析出している

病変部における乳頭状突起と中央縦窪みの消失と線維性組織の増殖を特徴とする10日目の病変。 4日目以降の写真はないが、口腔内の傷の治りが速いことは、普段経験していることである。

左: 舌の縁に1個の破れていない1日目の水泡がある豚 左: 舌の縁に1個の破れていない1日目の水泡がある豚 下: 歯茎、および唇における1日目の水泡 水泡の出現は、水胞性口炎、豚水胞病、豚水疱疹などの伝染病でも観察される。いずれも重大疾病であり、たかが「水ぶくれ」と軽視しないで、農家は直ちに家畜保健所へ届け出る。 獣医師は、間違って怒られることを恐れずに、上司に所見を伝える。褒められること間違いなし!

左: 豚の鼻鏡における破れていない1日目の水泡 下: 同一豚の2日目の水泡。病変部位の上皮の壊死に注意 左: 豚の鼻鏡における破れていない1日目の水泡 下: 同一豚の2日目の水泡。病変部位の上皮の壊死に注意 肉眼所見で口蹄疫と判定することは誰もできない。しかし、水泡があれば、口蹄疫を疑うことは獣医師の義務である。 怒られてもいいから、上司に伝えて検査を依頼しよう!

左: 3日目の病変がある同一豚。患部上皮の広範な壊死に注意 左: 3日目の病変がある同一豚。患部上皮の広範な壊死に注意 右: 舌の3日目の病変。辺縁部の病変において、血漿と線維素が満たされ、初期治癒が明らかである

左: 同一の動物の4日目の水泡。痂皮形成と急速な治癒が明らか 左: 同一の動物の4日目の水泡。痂皮形成と急速な治癒が明らか 右: 舌における4日目の病変。繊維素の析出が顕著である

 再度強調するが、口腔内の傷の治りが速いことは、我々も普段経験していることである。だからといって「口蹄疫では死なない」と誤解してはいけない。  哺乳期では全て死亡し、豚の致命率は20%以上である。発育や繫殖の障害は畜産を崩壊させる。 8日目の治癒した病変がある豚の舌

何等かの臨床徴候を示し始める48時間前に特定できる。 口蹄疫ウイルスに感染していない牛の赤外線映像。蹄が赤くないことに注目。 口蹄疫ウイルスに感染している牛の赤外線映像。蹄が赤いことに注目。蹄の赤色は発熱を示す。

牛における病気の経過 推定感染日 発症前排出期間(1~5日) 平均6.2日 発熱(最高42℃)、重度の沈鬱、食欲不振および泌乳の突然停止 FAO:口蹄疫緊急時対策の準備 推定感染日 発症前排出期間(1~5日) 平均6.2日 発熱(最高42℃)、重度の沈鬱、食欲不振および泌乳の突然停止 1日程度 水泡形成: 好発部位は、舌、唇、歯肉、歯間部、鼻孔、蹄間部の皮膚、蹄冠帯、泌乳動物の乳頭部。 時折、鼻孔内部または鼻鏡部、眼瞼、陰門に出現。 1日以内 潰瘍・糜爛: 水泡の破裂。過度の流涎、舌鼓および採食廃絶、それに伴う体重の激減。重症例では、舌背面粘膜の大部分が脱落。急性の跛行(歩行困難)と運動の忌避。 10日程度 口腔病変は治癒に向かう。乳頭病変部は、二次感染による乳房炎を併発することがある。

豚における病気の経過 推定感染日 豚の潜伏期間は永い。潜伏期間中にウイルスを排出 平均10.6日 発熱、食欲不振および運動忌避 1日程度 水泡形成: 急性の跛行(歩行困難)、激痛および横臥を引起し、とくに硬い床で飼育されている場合には顕著である。水泡は、蹄冠、指間の皮膚、上爪、蹄球面に出現する。 1週間程度 蹄冠を囲む水泡は、蹄冠部からひづめの角質層の脱落を引起すことがある。そうでない場合、古い爪と新しい爪の分離線が1週間当り約1mmの速さで着実に下方に移動する。 推定感染日=病変の経過日数+平均潜伏期(10.6日)  (±2) 発症前排出日=病変の経過日数+発症前排出期間(2~10日) 

積極的発生動向調査( Active Surveillance )の概要 推定感染日前後に接触のあった関連施設の立入検査 発生農家周辺最低 3km を移動制限として積極的発生動向調査の対象とする。 発生農家からの通報を待つ受動的調査(Passive Surveillance)では、早期発見が難しく、病変の経過日数の判断もできない。家畜防疫員による関連施設の立入検査が封じ込めに不可欠である。 発生動向調査地帯 清浄地域 感染源を突き止める「遡及調査」とウイルス拡散先を突き止める「追跡調査」を同時に進める。 感染地区 潜伏 期間 病変の 経過日数 推定 感染日 推定 発症日 発生 確認日 発症前からウイルスを排出する ウイルス排出期間 遡及調査 汚染施設 A 推定感染日前後に接触のあった関連施設の立入検査 追跡調査 汚染施設 B 感染源 接触後2週間に亘る汚染施設の観察・検査 汚染施設 1

撲滅より個人情報保護? 口蹄疫発生農場の凡その位置関係 約10km 数字は発表順番 青:牛 赤:豚 都農町 川南町の飼養状況 戸数 23 153 数字は発表順番 青:牛 赤:豚 都農町 川南町の飼養状況 230 138 72 戸数 23 251 83 380 頭数 1,282 3,472 5,057 145,239 155,050 48 182 ⑥ 203 酪農 和牛繁殖 肥育牛 養豚 合計 ① 212 136 ⑧ 撲滅より個人情報保護? 60 196 220 234 154 53 189 103 108 160 199 156 107 225 215 142 ⑤ ④ ③ 89 ⑪ 155 88 173 151 82 90 40 ⑦ 47 139 43 92 149 37 45 109 75 87 ② 29 80 74 93 26 川南町 106 218 187 32 58 38 54 ⑬ 46 226 34 81 186 70 94 ⑩ 23 30 ⑫ 44 64 ⑱ 高鍋町の飼養状況 210 50 25 91 36 79 76 78 ⑲ 35 39 86 61 71 戸数 3 63 13 8 87 頭数 66 1,191 11,135 14,772 27,166 192 42 55 56 98 59 198 77 51 ⑯ ⑳ 52 40 31 67 約10km 57 104 21 96 24 酪農 和牛繁殖 肥育牛 養豚 合計 114 174 134 33 62 ⑭ 99 137 41 105 28 27 63 畜産試験場 84 95 148 49 65 85 69 207 211 ⑮ 180 201 ⑰ 110 147 162 209 66 97 120 150 194 117 165 116 217 231 127 224 219 176 159 152 214 123 121 181 206 115 100 102 木城町 135 132 190 118 122 232 125 126 179 223 145 193 113 191 161 221 129 185 73 133 167 172 204 128 175 112 111 208 163 140 西都市 尾八重 167 種牛6頭 101 高鍋町 124 144 157 143 171 158 213 130 178 177 164

初動対策もさることながら、蔓延防止対策が手遅れとなった! 蔓延防止の危機管理 牛は感受性が高くほぼ100%感染する(指標動物)。 豚は牛より感受性が低いが、発症すると牛の1000倍以上(呼気中は3000倍以上)のウイルスを排出する(増幅動物)。 4月28日に宮崎県畜産試験場川南支場 の豚の感染が判明。県有施設は民間農場よりも衛生管理が劣っているから(?)、周辺農場への感染はない ⇒ 緊急対策は講じられず ゴールデン・ウイーク突入 ⇒ 発生地帯を縦断する国道10号線等は、口蹄疫ウイルス拡散の絶好の通り道となった 初動対策もさることながら、蔓延防止対策が手遅れとなった! 指標動物 維持動物 増幅動物

南日本新聞 4月24日: 獣医師には常識

:その他 :豚 :牛 発生戸数 県家畜改良事業団 西都市 16 山 羊 14 県畜産試験場・えびの市 12 都城市 10 日向市 宮崎市 8 6 水 牛 4 2 4/20 4/28 5/1 5/6 5/15 5/20 5/26 5/29 6/3 6/17 6/10

発生頭数 処分頭数 補償交渉 千頭 30 1ヶ月遅れ 25 20 :豚 15 :牛 10 5 25 20 15 10 5 4/20 4/28 非常事態宣言 30 1ヶ月遅れ 5/19決定 5/22-26 ワクチン接種 発生頭数 25 20 :豚 15 :牛 10 5 25 処分頭数 20 補償交渉 15 10 5 4/20 4/28 5/1 5/6 5/15 5/20 5/26 5/29 6/3 6/17 6/27 6/10

未処分頭数の推移 補償交渉から埋却地問題へと難問が続く 10 万頭 未処分頭数の推移 補償交渉から埋却地問題へと難問が続く 8 豚の呼気中 ウイルスは 牛の3000倍 :豚 :牛 6 4 2 4/20 4/28 5/1 5/6 5/15 5/20 5/26 5/29 6/3 6/17 6/27 6/10

処分に要した日数(発生日別) 牛 半月以上もウイルスを排出し続けた 豚 戸数 処分に要した日数(発生日別) 12 :15以上 10 :8~14 :4~7 8 牛 :1~3 6 4 2 半月以上もウイルスを排出し続けた 8 豚 6 4 2 4/20 4/28 5/1 5/6 5/15 5/20 5/26 5/29 6/3 6/17 6/10

10件目までは人と車 A牧場 20件目以降は空気感染 えびの市

危機管理体制の調和 陸生動物衛生規約 8.5.2条 ワクチン接種が行われていない口蹄疫清浄国資格を得るための義務。 日本農業新聞 7月16日 8.5.2条 ワクチン接種が行われていない口蹄疫清浄国資格を得るための義務。 1. 定期的および迅速な動物疾病報告の記録を保持する。 2. 次の事項を明言した宣言書をOIEに送付する。 a. 過去12ヶ月間に口蹄疫の発生がなかった。 b. 過去12ヶ月間にFMDV感染の証拠が全く見つからなかった。 c. 過去12ヶ月間に口蹄疫に対するワクチン接種を行っていない。 d. ワクチン接種を中止して以降、ワクチン接種動物を全く入れていない。 3. 以下の事項について文書化された証拠を提出する。 a. 第8.5.40条から8.5.46条に従った口蹄疫およびFMDV感染についての発生動向調査が実施されている。 b. 口蹄疫の早期の発見、予防および制御のための法的措置が実施されている。

日本から国際獣疫局への報告 7月28日: 宮崎市の3件目の最後の発生地から半径10 kmの地域に おける最後の移動制限は、7月27日に解除された。疾病が存在しない ことは、発生地周辺半径3 km以内の地域および疫学的に関連する農 場で飼育されていた全ての感受性動物を対象とした血清学的発生動 向調査、ならびに、当該地域における全ての感受性動物を対象とした 臨床的発生動向調査によって証明された。 7月22日: 川南町周辺の緊急ワクチン接種地帯の移動制限は7月18 日に解除された。この地帯で飼育されていた全ての感受性家畜は、7 月17日までに殺処分された。全ての症例、擬似患畜およびワクチン 接種動物は6月30日までに殺処分された。 7月14日: 東諸県郡国富町の発生から半径10 kmの区域における移 動制限は7月8日に解除された。疾病が存在しないことは、当該地域 における全ての感受性動物を対象とした臨床的発生動向調査ととも に、発生地周辺半径3 km、ならびに、疫学的に関連する農場に飼育 されていた全ての感受性動物を対象とした血清学的発生動向調査に よって証明された。

OIE陸生動物衛生規約( EU理事会指令)に定義された用語 清浄地帯 3km以上 防御地帯 発生動向調査地帯 封じ込め地帯 制限地帯 感染地帯 搬出制限地帯 移動制限地帯 10km以上 清浄地帯(Free zone): 清浄資格の適合について陸生動物衛生規約に指定された要件によって証明された地帯を意味する。当該地帯とその境界内において、適切な公的獣医学的管理が動物および動物由来製品、ならびにそれらの輸送に効果的に適用されている。 感染地帯(Infected zone): 口蹄疫が確定診断された地帯を意味する。 封じ込め地帯(Containment zone): 疫学的要素と調査結果を考慮して、疑いまたは感染のある施設およびその周辺を含め、感染の拡大を防ぐための制御措置が適用された指定地帯を意味する。制限地帯(Restricted zone) 防御地帯(Protection zone): 清浄国または清浄地帯への口蹄疫ウイルスの広がりを防ぐために疫学に基づく措置によって、清浄国または清浄地帯における動物の衛生状態を保護するために設定された地帯を意味する。それらの措置には、ワクチン接種、移動制限、ならびに、強化された発生動向調査(surveillance)を含み、それだけに限定されない。発生動向調査地帯(Surveillance zone)

国内における封じ込め地帯から清浄地帯へ口蹄疫感受性動物の食 用と殺のための直接移送(ワクチン接種の有無に関わらず) 第8.5.11条 国内における封じ込め地帯から清浄地帯へ口蹄疫感受性動物の食 用と殺のための直接移送(ワクチン接種の有無に関わらず) 清浄地帯の資格を損なわないために、口蹄疫感受性動物は、以下の条件の下で、 防御地帯に位置する最も近い指定されたと畜場へ直接的に食用と殺のために機械 的輸送によって移送される場合にのみ封じ込め地帯を離れるようにしなければなら ない。 1. 封じ込め地帯は、第8.5.8の要件に従って公的に設定された。 2. その動物は、獣医当局の監督下で、積載前に清掃・消毒された車両によって、 その他の感受性動物と接触することなく原産施設からと畜場へ直接輸送されなけ ればならない。 3. そのようなと畜場は、封じ込め地帯からの動物の肉を扱っている期間、生肉の 輸出を認可されない。 4. 車両およびと畜場は、使用後直ちに完全に清掃・消毒されなければならない。 それらの動物に由来する全ての製品は、第8.5.25条第2点または第8.5.26条に従っ て処理されなければならない。当該動物から得られたその他の製品ならびにそれら と接触したあらゆる製品は、第8.5.34条から第8.5.41条に従って残存するウイルスを 全て殺滅する方法で処理しなければならない。 口蹄疫ウイルスの拡散を防ぐ蔓延防止措置

牛の系統的ワクチン接種義務を含めて公的な制御計画が存在する 口蹄疫感染国または地帯からの輸入に関する勧告 第8.5.25条 牛の系統的ワクチン接種義務を含めて公的な制御計画が存在する 口蹄疫感染国または地帯からの輸入に関する勧告 牛および水牛の生肉(足首、頭および内臓を除く)に対して、獣医当局は、食肉の全 ての出荷品が以下を立証する国際獣医療証明の提出を求めなければならない。 2. 骨抜きと体に由来する。 a. 主要なリンパ節が取除かれていた。 b. 除骨に先立って、と殺後少なくとも24時間+2℃以上の温度で熟成され、両方の 最長筋の中間点で測ったpHが6.0以下であった。 第8.5.26条 口蹄疫感染国または地帯からの輸入に関する勧告 反芻家畜および豚の肉製品に対して、獣医当局は、以下を立証する国際獣医療証 明の提出を求めなければならない。 1. 当該食肉の全ての出荷品は認可されたと畜場でと殺された動物に由来し、口蹄 疫についての生体検査と解体後検査を行い、陰性であった。 2. 当該食肉は、第8.5.34条に記載された手順の一つに基づいて口蹄疫ウイルスの 殺滅を確保するための処理が行われた。 3. 処理後に食肉が口蹄疫ウイルスの如何なる感染源とも接触しないために必要 な注意が払われた。 死後硬直に伴う pH 低下は筋肉中のウイルスを不活化する。農場で不顕性感染が見逃されても、ウイルス拡散を防げる。 陸生動物衛生規約 は発展途上国を含めたものであるから、規制が緩い?

口蹄疫の制御のための欧州共同体の措置に関する規定 欧州連合: 2003年9月29日の理事会指令2003/85/EC 口蹄疫の制御のための欧州共同体の措置に関する規定 第1節 通知 第2節 口蹄疫発生の疑い事例における措置 第3節 確定事例における措置 第4節 特別の事例に適用すべき措置 第5節 異なった疫学的生産単位から構成される施設および関連施設 第6節 制限地帯と発生動向調査地帯 第7節 地区割り、移動制限、ならびに、識別 第8節 ワクチン接種 第9節 口蹄疫とその感染に係る清浄資格の回復 第12節 緊急時対策計画と即時的警戒訓練 20世紀初頭に戦争のないヨーロッパ統合の構想が持ち上がってから、経済・産業分野での共同体設立を経て1992年にようやく欧州連合条約が署名され、1999年に単一通貨としてユーロが導入された。この過程で人の往来や物資の移動における国境の役割は少しずつ軽くなってきた。中世の暗黒時代にペストで人口の半分を失った欧州は検疫制度を創設し、伝染病の侵入を国境で防いできたのだが、統合によって国境の意義が薄れる中で伝染病の侵入をどのように防いでいるのか。 その解決策として、各国の衛生水準の格差をなくし、同等性を確保することが有力視され、そのために医療や獣医療などの品質の最小限の基準を設けてきた。医師や獣医師を養成する大学、医療体制や獣医療体制の整備が行われてきた結果として、欧州連合圏内の自由な往来や物流が確保されてきたのであり、この努力は通貨統合にも匹敵する難事業だったのではなかろうか。また、欧州連合内の自由化は、同時に、それ以外の地域からの伝染病の侵入を防ぐための統一政策の必要性を高めている。この内容は日本における今後の対策を考える上でも参考になるだろう。東北アジア経済圏を進める上で避けて通れない問題である。

口蹄疫発生時の保護を目的とする「種畜の登録制度」が必要! 第4節 特別の事例に適用すべき措置 第15条 感受性動物種を一時的または定期的に飼育する特別の施設の周辺 または内部における口蹄疫発生事例に適用すべき措置 1. 口蹄疫の発生が、研究所、動物園、野生動物公園、ならびに、指令 92/65/EECの第13条2項に従って認可された団体、機関およびセンターの柵で囲ま れた区域の感受性動物に感染する脅威があり、科学的目的または動物種や家畜 の遺伝資源の保護に関連する目的で飼育されている場合、関連する加盟国は、 それらの動物を感染から保護するために全ての適切な生物学的安全措置が採ら れることを保証しなければならない。それらの措置には、公的機関への立入制限 や立入に特別な条件を設けるなどが含まれる。 半径?kmへの立入制限 2. 第1項に記載された施設の一つに口蹄疫の発生が確認された場合、関連す る加盟国は、本共同体の基本的な利益、とくにその他の加盟国の動物衛生状態 が損なわれず、口蹄疫ウイルスが拡散するあらゆるリスクを防ぐために全ての必 要な措置が実施される条件で、第10条1項(a)からの除外を決定することができる。 3. 第2項に記載された決定は、直ちに本委員会に通知しなければならない。家 畜遺伝資源の場合、その通知には、品種の維持に不可欠な感受性動物種の繁殖 の核として所轄官庁が事前にそれらの施設を特定することによって、第77条2項(f) に従って設置された施設のリストの証明書を含まなければならない。 口蹄疫発生時の保護を目的とする「種畜の登録制度」が必要!

第54条 緊急ワクチンの接種開始からそのワクチン接種の完了以降少なくとも30 日経過するまでの期間にワクチン接種地帯において適用可能な措置 1. 加盟国は、第2項から6項に規定された措置が緊急ワクチンの接種開始からそ のワクチン接種の完了以降少なくとも30日経過するまでの期間を通してワクチン 接種地帯において適用されることを保証しなければならない。 2. ワクチン接種地帯内外の施設間における生きている感受性動物の移動は、禁 止しなければならない。前文に規定された禁止の適用除外によって、生きている動 物、ならびに、原産施設またはその動物の出荷施設の群の臨床検査後に、所轄 官庁は、ワクチン接種地帯内または例外的にその地帯に隣接したと畜場に向けた 即時と殺のための直接輸送を許可することができる。 3. 第1項に記載された期間にと殺されたワクチン接種動物から生産された生肉は、 以下の事項を満たさなければならない。 (a) 指令2002/99/ECに規定された刻印を押す (b) (a)点に記載された刻印のない肉とは別個に保管・輸送し、付属文書VII のPart A第1点に従った処理のために所轄官庁によって指定された施設に密閉容器に納 めて輸送しなければならない。 4. ワクチン接種動物から生産された乳および乳製品は、人の消費のまたは人の 消費以外のいずれかの最終的用途に応じて、付属文書IXのParts AおよびParts B に記載された処理の少なくとも一つを施されたことを前提に、ワクチン接種地帯内 外の市場に出荷することができる。

予防的ワクチン接種は1992年にEU全域で禁止され、加盟国はこの指令に従う義務がある 第8節 ワクチン接種 第49条 口蹄疫ワクチンの使用、製造、販売および管理 加盟国は、以下のことを保証しなければならない。 口蹄疫ワクチンの使用および口蹄疫に対する高度免疫血清の投 与は、本指令で規定された場合を除き、領土内で禁止されている。 予防的ワクチン接種は1992年にEU全域で禁止され、加盟国はこの指令に従う義務がある 第50条 緊急ワクチン接種の決定 1. 以下の条件の少なくとも一つが適用される場合に、緊急ワクチン 接種を決定することができる。 (a) 口蹄疫の発生が確認されており、その発生が確認された加盟国 内に広範に広がる恐れがある。 (b) 加盟国における報告された口蹄疫発生に関連して、別の加盟国 が地理的状況または季節的気象条件のためリスクに曝されている。 英国の2001年大流行を経て、殺処分を前提とする緊急ワクチン接種に疑問が上がり、マーカーワクチン開発もあって、「緊急ワクチン接種動物に由来する乳製品と肉製品は、関連するEUの法律とこの指令に従って市場に出すことができる」ようになった。

PART B 発生動向調査地帯に由来する感受性動物からの生産に適用可能な追加的措置 発症していなくても、感染した個体は農場段階で排除 付属文書 VIII  PART A 生肉の処理 1. 骨抜き生肉 指令64/433/EECの第2条(a)に記載された肉は、内臓を除き、骨および主要なリンパ節が除去されたものを言う。 3. 熟成   ● と体は、+ 2 ℃以上の温度で少なくとも24時間熟成   ● 背最長筋の中心におけるpH値は、6.0未満を記録 4. 交差汚染を避けるために効果的な措置を適用しなければならない 陸生動物衛生規約と同じ内容が2003年に定められた。 OIE は1924年にフランスで発足した国家間協定機関である PART B 発生動向調査地帯に由来する感受性動物からの生産に適用可能な追加的措置 1. 制限地帯および発生動向調査地帯の外側の市場への出荷を意図した頭部、腸管および内臓以外の生肉は、以下の追加的条件の少なくとも一つに従って生産されなければならない。 (a) 反芻動物の場合   (i) 動物は、第24条2項に規定された管理の対象とされ、かつ、   (ii) 肉は、Part Aの第1、3 および 4点に規定された処理の対象とされる 発症していなくても、感染した個体は農場段階で排除 第51条 緊急ワクチン接種の必要条件  3. 加盟国は、ワクチン接種された動物の肉、乳および乳製品の人の消費のための安全性について国民に知らせるため、広報計画を実施しなければならない。

発展途上国を含むOIEの陸生動物衛生規約だけでなく、欧州連 合においても、口蹄疫流行時に、ワクチン接種で発症を防いだ家畜 を、殺処分ではなく、食用と殺することが定められている。 日本においては、「人が感染することはなく、仮に口蹄疫にか かった家畜の肉を食べたり牛乳を飲んだりしても人体に影響はあり ません」と広報されているが、未発症の動物に由来する畜産物の流 通は行われていない。それは、清浄地帯への蔓延を防ぐ体制ができ ていないからである。多数の家畜を無駄にしないことは、動物福祉に 叶うだけでなく、飼育農家の気持ちを和らげ、廃棄処分の軽減にも 繋がる。 農場: 発生動向調査の強化による感染の特定と排除  マーカー・ワクチンの活用、県段階での検査体制の充実 食肉センター: 食肉検査体制の拡充、カット工程の骨・リンパ節除 去工程における交差汚染の制御、廃棄内臓および腸内容物の処理 腸内容物など液状物の処理は、活性汚泥法によって行われてい るが、口蹄疫ウイルスが存在した場合の不活化条件は?

宮崎県における流行の特徴 県による疫学調査が行われていない(または、発表されていない) 科学的根拠がない対処 国内初発と思われる6件目の水牛農家が、何時頃から、どのような状況にあったのか? えびの市への飛び火はどのようにして起きたのか? 県畜産試験場での発生確認までの状況はどうだったのか? 科学的根拠がない対処 発生農家からの通報待ち 10km圏内のワクチン接種 把握の遅れ 爆発的発生 水泡病変の特徴から凡その感染日が推定でき、感染源となった施設を特定できれば、そこからの広がりを調査することが可能となる。獣医師を殺処分に専念させたツケ。 補償交渉を優先させた結果、殺処分、ワクチン接種が遅れた 法律に基く殺処分には補償規定がある。それが実体に合わないものであっても、流行拡大を防ぐことを優先し、補償金額等の交渉は収まった段階でも十分可能である。「埋却地がない」という問題も、結局は補償問題だったのではないか? これらのことは、伝染病流行時における前例としてはならない。 ワクチン接種地帯外周についての血清学的調査が終わっていない 農水省「宮崎市の清浄性確認検査の結果について」にあるように、「清浄性確認のための検査(抗体検査及び臨床検査)」がその他の市部の発生では行われてきたのであり、移動制限解除の要件を満たしている。ワクチン接種地帯の外周が例外とするのは何故か?

各国における流行 米国: 1914年にミシガン州で始まった流行は3500農場の17万頭が感染し、カリフォルニア州での1924年の発生では約11万頭が殺処分され、同じくカリフォルニア州で1929年にはアルゼンチンからの旅客船の残飯を給餌された豚で発生したが、その後の発生はない。 英国: 1967年に雌豚の跛行から始まった流行は、44万頭の殺処分にまで広がったが、その感染源はアルゼンチンとチリから輸入された子羊の肉と信じられている。2001年には2000件を超える農場で発生し、700万頭の牛と羊が殺処分される大流行となった。その原因として不法に持込まれた感染肉を含む残飯の給餌が疑われており、移動禁止の遅れが拡大につながったとされている。2007年の発生に際しては即日の殺処分が功を奏し、散発的発生に封じ込めた。 台湾: 1997年に3月中旬に豚の感染が発見され、わずか2ヶ月余でほぼ全土に広がり、6,147農場で101万頭が発症し、18万頭が死亡した。殺処分は総飼育頭数(10,681,542頭)の36%に相当する385頭に達し、緊急ワクチン接種によってようやく終息した。2003年5月にワクチン接種清浄国に認定され2008年8月以降段階的にワクチン接種を中止したが、2009年にワクチン接種していない豚からウイルスが検出され、ワクチン接種を再開した。2010年2月に馬公市、6月に雲林県で発生したが、速やかに清浄化(ワクチン接種国)した。 韓国: 2002年FIFAワールドカップを控えた5月から6月に16件の発生が確認され、約16万頭の牛が殺処分された。米国の農業テロ対策に準じて事前対策を訓練してきた成果により、2010年1月の発生以降、A型が5件、O型が12件発生したがいずれも単発的発生に封じ込め、6月19日に清浄化宣言した。 中国: 日本での2000年の発生は中国から輸入された稲藁とされているように、口蹄疫常在国みなされてきたが、OIEへの発生報告は行われてこなかった。2005年のOIE報告以降、現在まで断続的に感染が続いており、2009年末のA型発生から2010年2月以降O型へと変化し、各地での流行が報告されている。