キャッチオール規制の強化と国際連携等について

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キャッチオール規制の強化と国際連携等について 資料1 キャッチオール規制の強化と国際連携等について 平成17年4月25日 経済産業省 貿易経済協力局 安全保障貿易管理課

目次 1.安全保障貿易管理に係る国際情勢 2.キャッチオール規制の強化と国際連携 3.武器輸出三原則等 4.今後の課題

ポイント 1.パキスタンのカーン博士を中心とした核関連資機材の調達ネットワークの存在が明らかになるなど、大量破壊兵器関連貨物の拡散懸念が依然として強い中、引き続き、国際的に不拡散体制の強化を進めるべしとの情勢。 2.このような情勢の中、政策面では、一昨年来、アジア地域に対するアウトリーチ活動の充実の方針を掲げており、昨年は、同活動における裾野の拡大と質的な深化を図っている。 3.他方、国内においても、引き続き輸出管理制度の厳格な運用に努めるとともに、規制の実効性の向上のための様々な施策を実施している。

1.安全保障貿易管理に係る国際情勢

米国の動向 1.ブッシュ政権の不拡散政策 -NonproliferationからCounterproliferationへ (1)WMD・ミサイル関連物資の違法な調達を積極的に阻止するための各国との協調体制の構築    ・PSI (Proliferation Security Initiative) (2)WMD・ミサイル不拡散のための各国の輸出管理強化を支援    ・国連安保理決議1540    ・各国の輸出管理強化に対する支援強化 (3)テロリストによる調達阻止    ・G8グローバル・パートナーシップ(2002年 カナナキスサミット)      (化学兵器の廃棄、退役原子力潜水艦の解体、核分裂性物質の処分、および        兵器の研究に従事していた科学者の雇用等を推進するプログラム等への出資)

(4)残された課題     -従来の核不拡散の抜け穴をふさぐこと    ◆2004年2月11日の国防大学におけるブッシュ大統領のスピーチ関連部分     ・NPT等、従来の制度には拡散の当事者にとっての抜け穴があり、このことが      北朝鮮やイランの核開発を招いた。      ・濃縮と再処理は、原子力を平和利用しようとする国々にとっては不要。世界の       主要核輸出国は、他の国が、民生用原子炉の燃料を信頼できる方法および適      正な価格で入手できるよう保証すべきである。その国が濃縮や再処理を放棄す      ることが条件である。     ・NSG参加国は、濃縮および再処理関連機器・技術を、完全な、かつ既に稼働し ている濃縮・再処理プラントを持っていない国には輸出するべきでない。 ・IAEA追加議定書署名国のみが、民生用の原子力プログラムに用いる機器を輸      入で きる体制づくりをすべき。     ・IAEAにセーフガードと検証に特化した特別委員会を設置すべき。     ・核不拡散に違反しているとして調査対象になっている国をIAEA理事会のメン      バーから除外すべき。

2.ブッシュ政権二期目の安全保障・対外政策の指針 (1)自由と民主主義の確立     世界における自由と民主主義の確立が、米国の安全保障にとって喫緊の      課題。諸外国における民主化を支援し、圧制の終焉を目指す。 (2)テロとの戦い     9.11以後、進めてきたテロとの戦いに引き続き邁進(インテリジェンス機能     の強化、テロ対策にかかる政府部局の新設・増強や予算の拡充等)。 (3)諸外国との協調     アフガニスタンやイラクの復興において諸外国の協力が得られている。     イランや北朝鮮の核開発問題についても、同盟国との協調や多国間の枠組 を通じて事態の打開を図る。

EUの対中武器禁輸措置解除問題 1.経緯 (1)EUは、89年の天安門事件を機に対中国武器禁輸措置を執っているが、2003年12月の欧州理事会(EU首脳会議)で、同措置の再検討が決定されたため、現在EU内部で検討作業が進んでいる。 (2)米国は同禁輸措置の解除に反対し、これまであらゆるレベルでEUに対し禁輸措置の継続を働きかけている。また、我が国からも小泉総理からシラク仏大統領(昨年10月、本年3月)やシュレーダー独首相(昨年12月)に対し我が国の立場を申し入れている他、経済産業大臣、外務大臣、大使館等の様々なレベルでの働きかけを行っている。 2.EUの最近の動向 (1)4月14日、欧州議会は、「「EU共通安全保障政策に関する閣僚理事会から欧州議会への年次報告書」に関する報告」を可決(賛成431,反対85、棄権31)。同報告は、中国に関し、人権や民主化の問題に関して何ら実質的な進展がないとして、したがって武器禁輸の解除をすべきではないとの内容(なお、決議には、法的な拘束力はないものと考えられる。)。 (2)4月15日の非公式外相会合終了後の記者会見において、議長国のルクセンブルグより「中国とEUの関係強化を全ての面で進めていくとの基本的立場は変わらないものの、中国は国連人権B規約を批准していないこともあり、現段階での武器禁輸解除は難しい」との発言あり。EUとしての正式な意志決定はEU理事会でなされるが、今年6月の武器禁輸解除の実現は困難との報道がなされている。

国際輸出管理レジームの動き 1.NSG (1)総会:2004年5月 イェーテボリ (2)主な議論・合意事項 ・中国等の新規加盟 (1)総会:2004年5月 イェーテボリ (2)主な議論・合意事項 ・中国等の新規加盟 ・キャッチオール制度の国際ルール化 ・大量破壊兵器不拡散に関するブッシュ提案   -IAEA追加議定書の供給条件化   -濃縮再処理技術の移転制限 等 3.MTCR (1)総会:2004年10月 ソウル (2)主な議論・合意事項 ・ブルガリアの新規加盟 ・不拡散に関する国連安保理決議1540        の採択の重要性の確認 ・品目リストの見直し   -ヒドラジン誘導体の定義明確化 等 2.AG (1)総会:2004年4月 パリ (2)主な議論・合意事項 ・エストニア等の新規加盟 ・不拡散に関する国連安保理決議1540        の採択の重要性の確認 ・品目リストの見直し   -対植物病原菌の品目追加 等 4.WA (1)総会:2004年12月 ウィーン (2)主な議論・合意事項 ・スロベニアの新規加盟 ・国連との協調の確認 ・品目リストの見直し   -無線測位装置の規制追加 等

核不拡散に関する国際的な議論 1.G8首脳会合(シーアイランド)(2004年6月8日~10日) 「不拡散に関するG8行動計画」 ・追加議定書の普遍的な遵守の追求 ・大量破壊兵器及び物資に対するグローバル・パートナーシップ ・北朝鮮及びイランにおける核不拡散の課題への対処 ・放射線源のセキュリティ(放射線源の不正使用が行われないことを各国が保証) 等 2.IAEAの国際核管理構想を巡る議論 IAEAのエルバラダイ事務局長は、核不拡散体制を強化する観点から、プルトニウム製造やウラン濃縮、使用済燃料の処分を多国間管理下に置く国際核管理構想を提唱。これを具体化するため、昨年8月、我が国を含む各国の専門家からなる専門家グループを指名(今年2月22日に報告書を公表。報告書では、以下の5つのアプローチを提案)。  (1)既存の商業的市場メカニズムの強化  (2)IAEAの参加による国際的な供給保証の発展及び実施  (3)既存の施設の多国間管理への任意の転換の促進  (4)新規施設への多国間及び地域的な管理組織の創設  (5)より強力な多国間取り決め、並びに、IAEA及び国際社会を関与させるより幅広    い協力を伴った核燃料サイクルの開発

2.キャッチオール規制の強化と国際連携

(1)国内における取組み

外国ユーザーリスト及び懸念貨物例リストの公表・改訂 国際情勢や最新の懸念情報等を踏まえ、キャッチオール規制において、輸出者に注意喚起を図ることを目的として公表している外国ユーザーリスト及び懸念貨物例リストを本年4月1日に改訂。 1.外国ユーザーリスト (1)リストの趣旨 輸出者に対し、大量破壊兵器の開発等の懸念が払拭されない企業の情報を提供するもの。輸出者は、輸出する貨物等のユーザーが本リストに掲載されている場合には、当該貨物が大量破壊兵器の開発等に用いられないことが明らかな場合を除き、許可申請が必要となる。平成14年4月のキャッチオール規制導入時より公表。 (2)改訂の概要 最新の情報をもとに検討し、14社を新規に追加するとともに、既存の9社を削除し、合計165社とした。 国名 改訂前 改訂後 増減 北朝鮮 33 39 +6 イスラエル 5 イラン 35 +4 インド -4 シリア 4 6 +2 台湾 1 中国 14 パキスタン 25 24 -1 リビア 2 -2 アフガニスタン 合計 160 165 +5

2.懸念貨物例リスト (1)リストの趣旨 輸出者に対し、リスト規制の対象ではないものの、大量破壊兵器の開発等に使用されるおそれの強い貨物の情報を提供するもの。輸出者は、本リストに掲載された貨物を輸出する際には、特に慎重な審査が要請される。平成15年4月より公表。 (2)改訂の概要 昨今の大量破壊兵器開発に係る国際情勢や懸念情報、キャッチオール規制の運用実績等を踏まえて、機微度が高まっていると判断される4品目を既存の36品目に追加し、合計40品目とした。 ○追加品目(カッコ内は懸念用途) ・マルエージング鋼 (核兵器・ミサイル) ・クレーン車 (ミサイル) ・噴霧器を搭載するよう設計された無人航空機(UAV)(娯楽若しくはスポーツの用に供する模型航空機を除く) (ミサイル・生物・化学兵器) ・UAVに搭載するよう設計された噴霧器 (ミサイル・生物・化学兵器) ○規定内容の追加(下線部を追加) ・炭素繊維・ガラス繊維・アラミド繊維 (核兵器・ミサイル)

輸出者が利用しやすい環境の整備 輸出管理の実効性を確保しつつ輸出者の負担を可能な限り軽減するための方策として、電子申請システムの整備や情報提供の充実、用語の簡単化等に努めている。 1.JETRASの見直し 輸出入の許可・承認に係る電子申請システムである貿易管理オープンネットワークシステム(JETRAS)について、申請書の作成を支援する機能の提供、審査処理状況や過去の申請案件を参照する機能の提供、電子申請の受付時間の延長等を実現し、利便性の一層の向上を図ることとしている(平成19年秋頃より運用開始予定)。 2.安全保障貿易管理ホームページの整備 安全保障貿易管理に関して当省が提供している情報は全てホームページで入手できるよう、情報の充実化を図るとともに、輸出管理に不慣れな輸出者にも配慮し、情報の配置を工夫するよう努めている。 3.用語の日本語化 安全保障貿易管理において用いられる用語について、誰にでもわかりやすい表現を用いるよう努めている。 (例) ・CP(コンプライアンス・プログラム)→輸出管理社内規程 ・インフォーム→許可を要するとの通知 ・キャッチオール→用語として既に定着しているため、そのまま使用

(2)国際的な取組み

アジア各国・地域の輸出管理の状況 アジアにおいては、輸出管理の意識向上が必要な国・地域から、相互連携体制の構築を進められる国・地域まで、様々な発展段階にある国・地域が混在。 Step1 輸出管理の意識向上 ミヤンマー、ラオス、カンボジア、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、モンゴル、フィリピン、マレイシア Step2 国内法制度・体制整備 タイ Step3 運用の実効性向上 中国、インド、パキスタン Step4 相互連携体制の構築 日本、香港、シンガポール、 韓国

輸出管理政策対話の開催 04年10月18日、日本を含め8つの国・地域の代表が集まり、「第2回アジア輸出管理政策対話」を開催。 1.概要 (1)今後のアジアにおける輸出管理制度の強化策について議論を行い、以下の共通認識を得た。  ①参加国・地域が個別に厳格な輸出管理制度を実施すること  ②迂回輸出防止のために連携を強化すること  ③アジアの他の国・地域に対する輸出管理制度の整備支援や人材育成を通じて、 アジア全体の輸出管理能力の向上を目指すこと (2)輸出管理の強化のための基本原則が合意され、議長声明として取りまとめられた。 2.基本原則 (1)厳格な輸出管理の実施  アジア各国・地域は、国際輸出管理レジームと整合的な規制リストやキャッチオール規制等を内容とする厳格な輸出管理制度を整備し、その効果的な運用を行う。 (2)迂回輸出の効果的防止  各国・地域における輸出管理制度の強化に対し、大量破壊兵器の入手を試みる者は迂回調達等手段を巧妙化させており、これに対応すべく、アジア各国間・地域の間で情報交換を初めとする協調行動を採る。 (3)アジア全体に対する輸出管理制度の構築・運営支援(アウトリーチ)の強化  アジアの全ての国・地域が厳格な輸出管理を実施することが必要との認識を共有し、セミナーの開催や専門家の派遣等により、他のアジア各国・地域へのアウトリーチ活動を強化する。

アジア輸出管理セミナー等の開催 具体的・実務的なレベルでアジア地域への輸出管理制度の普及啓蒙を図るため、「アジア輸出管理セミナー」及び「JICA輸出管理運用技術向上研修」を開催。 1.第12回アジア輸出管理セミナー(平成16年10月19日~21日)  (1)内容   輸出管理政策担当局長・課長レベルで、各国・地域の輸出管理にかかる経験やノウハウを   共有し、輸出管理制度の整備に向けた方策や課題について理解を深める。    〔主な議題〕・最近の大量破壊兵器の拡散と輸出管理を巡る動向            ・アジアにおける輸出管理政策の進展、輸出管理制度の強化に係る課題     ・官民協力、国際連携    (2)参加者    UAE、ブルネイ、カンボジア、中国、インドネシア、ラオス、マカオ、マレーシア、モンゴル、 パキスタン、フィリピン、台湾、タイ、ベトナム、オーストラリア、ドイツ、香港、韓国、シンガ ポール、アメリカ、日本の21ヵ国から80名。 2.第6回JICA輸出管理運用技術向上研修(平成16年11月17日~12月11日)  (1)内容 輸出管理政策・実務担当者に対し、輸出管理の重要性についての意識を高める。    〔主な講義〕・日本の輸出管理制度、企業の自主輸出管理    ・国際的輸出管理レジーム、輸出管理品目の識別方法  (2)参加者   カンボジア、中国、ラオス、フィリピン、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、タイ、ベトナム、マカオ   の10ヵ国から12名。

APECでの働きかけ 2003年のAPECバンコク首脳宣言において、効果的な輸出管理の導入・実施が合意されたことを踏まえ、2004年には、これをフォローする具体的な方策として、日米が共同で“APEC Key Elements for Effective Export Control”を提案。11月の閣僚会合で合意。 APEC Key Elements for Effective Export Controlとは?  APECの各経済主体が実施すべき輸出管理の諸要素を、 ①法規制の枠組み ②輸出許可審査手続き ③輸出管理制度の執行 ④産業界等への啓蒙普及 といった各分野ごとに網羅的に示した文書。APECの各経済主体が本文書を参考として輸出管理向上の取り組みを促進し、また、輸出管理に関する能力構築(キャパシティ・ビルディング)支援が効果的に行われることが期待される。 ※APEC閣僚会議共同声明(2004年11月18日採択) 閣僚は、効果的な輸出管理制度の鍵となる要素を特定し、大量破壊兵器、その運搬システム及び関連品目の不正取引を防止しつつ、合法的な最終使用者への物品の流れを円滑にするために、APECにおいて、メンバーと民間部門を結束させる作業を継続することを約束した。

アセアン各国で輸出管理セミナー開催 2003年12月の日ASEAN特別首脳会議で採択された「日ASEAN共同行動計画」において、効果的な輸出管理の実施の強化等に合意。これを踏まえ、アセアン各国で輸出管理セミナーを開催。 1.開催実績  (1)インドネシア:04年7月13日(官民合同セミナー)及び14日(官セミナー)  (2)フィリピン:04年7月16日  (3)タイ:04年8月5日  (4)ベトナム:04年8月12日  (5)カンボジア:05年1月12日  (6)ラオス:05年2月7日  (7)ブルネイ:05年3月29日 2.主要議題  (1)近年の懸念調達の動向と輸出管理の必要性  (2)日本の輸出管理制度の概要  (3)輸出管理品目について  (4)審査及び検査制度  (5)産業界へのアウトリーチについて  (6)民間企業における輸出管理の取り組み  (7)現地政府の輸出管理制度及び今後の整備計画 3.講師   経済産業省、本邦民間企業、現地政府機関 4.参加者   現地政府輸出管理当局(商務省、税関、工業省、外務省等)、現地民間企業(インドネシア)

シンガポール及び香港との協力文書の締結 アジア地域の主要港を有するシンガポール及び香港のそれぞれとの間で、迂回輸出防止のための連携を図っていくため、輸出管理分野での協力関係の強化のための共同文書を締結。 1.シンガポール(平成16年4月22日) 経済産業省とシンガポール税関との間において、以下のような協力を行うこととした。 (1)関連情報の交換を通じて、輸出管理の運用や取り締まりを強化すること。 (2)企業に効果的な輸出管理遵守措置を実施するよう奨励するための普及啓蒙活動を行うこと。 (3)他のアジア諸国に対し、輸出管理を実施するための国内法制を導入するよう奨励すること。 (参考) アジアにおけるコンテナ貨物取扱量上位5港(2001) 順位 港名 取扱量(万・TEU) 1 香港 1783 2 シンガポール 1551 3 釜山 807 4 高雄 754 5 上海 635 2.香港(平成16年5月20日) 経済産業省と香港工業貿易署との間において、以下のような協力を行うこととした。 (1)厳格な輸出管理を実施すること、 (2)効果的な輸出管理を実施するため、規制品目・技術情報を含む情報交換を強化すること、 (3)法執行面での協力を強化すること(緊急連絡窓口を設置するとともに、一方が迂回調達等懸念活動の阻止を他方に要請する場合、後者はその阻止に努める) (4)普及啓蒙や教育活動によって、民間部門が輸出管理法制を遵守するよう努めること、 APECやアジア輸出管理政策対話など、両者が参加する輸出管理に関する各種フォーラムやセミナーの場において積極的な協力を行うこと、

その他の取組み その他の取組みとして、個別の国・地域に対して情報提供や意見交換を実施することにより、輸出管理制度の整備を促している。 1.台湾の亞東交流協会との輸出管理にかかる意見交換 (財)交流協会と亞東交流協会との間で、今後の輸出管理協力について意見交換を実施(平成16年4月26日)。輸出管理の意義や輸出管理に係る更なる協力の可能性等の基本的認識を共有した上で、緊急時における日台双方の連絡窓口(コンタクトポイント)の設定等の具体的な協力の内容につき合意した。 2.シンガポールでのCITの実施 日、米、豪政府の共催により、シンガポール税関職員等を対象に、大量破壊兵器に使用されうる規制品目の識別技術の向上による輸出管理の実効性向上を目的としたセミナー(CIT:Commodity Identification Training) を実施(平成17年1月25~27日)。 ※本年5月31~6月1日には、日本の主催により、シンガポール政府の審査能力の向上や効果的な運用を図るためのセミナーを行う予定。 3.現地企業向けの共催セミナーの開催 中国(平成16年3月5日)及び韓国(平成17年2月22日)において、関係団体との共催により、現地企業向けのセミナーを実施。両国における輸出管理の実効性の向上を図るため、自主輸出管理の必要性や具体的方法等について情報を提供。 4.輸出管理調査ミッションの受入れ 輸出管理体制の整備支援の一環として、韓国(平成17年3月24日、25日)とパキスタン(平成17年2月1日~3日)の両国から、我が国の輸出管理体制について調査を行うことを目的とするミッションを受け入れ、意見交換等を実施。

3.武器輸出三原則等

新防衛大綱と武器輸出三原則等の見直し 弾道ミサイル防衛システムに関する日米共同開発・生産に伴う我が国からの輸出について、厳格な管理を行う前提で武器輸出三原則等の例外として扱うことを決定。 内閣官房長官談話[平成17年度以降に係る防衛計画の大綱について](抜粋) 6  武器の輸出管理については、武器輸出三原則等のよって立つ平和国家としての基本理念にかんがみ、今後とも引き続き慎重に対処するとの方針を堅持します。   ただし、弾道ミサイル防衛システムに関する案件については、日米安全保障体制の効果的な運用に寄与し、我が国の安全保障に資するとの観点から、共同で開発・生産を行うこととなった場合には、厳格な管理を行う前提で武器輸出三原則等によらないこととします。   なお、米国との共同開発・生産案件やテロ・海賊対策支援等に資する案件についても新「防衛大綱」の策定の過程で種々問題提起がありました。これらの案件については、今後、国際紛争等の助長を回避するという平和国家としての基本理念に照らし、個別の案件毎に検討の上、結論を得ることとしております。 (平成16年12月10日)

4.今後の課題

今後の課題 大量破壊兵器不拡散をより一層強化すべく、国際会合等において、各国が積替(トランスシップメント)貨物・通過(トランジット)貨物規制や仲介活動(ブローカリング)規制など、従来の輸出管理の枠を超えた手法による規制を行うべきことが合意されている。 1.ワッセナー・アレンジメントにおける合意(03年12月) ・武器に関する仲介活動規制の実施。 ・通常兵器キャッチオール規制の実施。 2.国連安保理決議1540号(04年4月) ・大量破壊兵器及び関連物資について、積替貨物規制や通過貨物規制を含む効果的な輸出管理の実施。 ・大量破壊兵器及び関連物資の仲介活動について、効果的な管理の実施。 3.APEC Key Elements for Effective Export Control(04年11月) ・大量破壊兵器及び関連物資についての積替貨物規制及び通過貨物規制の実施。 ・武器の仲介活動に対する規制の実施。