生産環境整備学講座 灌漑排水学研究室 石井沙智子 環境配慮型水路における 魚類の生息状況 生産環境整備学講座 灌漑排水学研究室 石井沙智子
今後の環境配慮型水路の整備へと生かしたい 研究の目的 《水域間ネットワーク》 河川 農業用水路 水田 環境配慮型水路 環境配慮型水路の各施設が 魚類の生息状況に与える影響 様々な水路形態において多種多様な魚類が どういった条件の水域を好み, 産卵・生息・越冬の場にするかを把握 今後の環境配慮型水路の整備へと生かしたい
調査項目 水理調査(物理的特徴) 水質調査(化学的特徴) 魚類の捕獲調査 (魚キラー・サデ網・タモ網を利用する)
調査地の概要 A B C D 岐阜県安八郡輪之内町道下地区に位置する水路 特徴により上流からA・B・C・Dの4区間に分類した D区間は今年度末に県道工事により埋め立てられる B・C区間が環境配慮型水路(D区間の生態系の代替域として期待) A B C D
A区間 約150mの農業排水路部分 上流からコンクリート2面張り水路・土水路・コンクリート2面張り水路と分けられる コンクリート2面張り水路 調査項目 土水路
B区間 浅い 深い 魚の遡上施設(魚道)からBOX部までの約190mの農業排水路部分 環境配慮型水路 整備は平成15年春に完了 調査項目 浅い 深い 魚の遡上施設(魚道)からBOX部までの約190mの農業排水路部分 環境配慮型水路 整備は平成15年春に完了 水路構造は2面張り 多段河床 多段護岸 花いかだ 魚巣ブロック
C区間 C区間はBOX部から下流へ約170mの農業排水路部分 環境配慮型水路 C区間はB区間の整備完了後に着工し,平成16年7月に完了 水路構造は2面張り ソダ ジャカゴ 花いかだ
D区間 周りを全て水田に囲まれた昔ながらの自然河川の形を色濃く残した用排兼用水路 水際にヨシ等の植生が繁茂 多様な生物の生息場所 ワンド部
水理・水質環境 魚類の生息状況 繁殖地 越冬地 結果及び考察 水理・水質環境 魚類の生息状況 繁殖地 越冬地
水理・水質結果 A・B・C区間:青 D区間:赤 水深変動 流速変動 流速がない 止水域に近い状態が保たれている 水位変化が激しい B区間は多段河床により 深みが維持されている
水理・水質結果 A・B・C区間:青 D区間:赤 水温変動 DO変動 溶存酸素量が少ない 水温の上がる夏期にDOを高く保てる環境づくりが重要 停滞水のため変化が激しい
水理・水質結果 A・B・C区間:青 D区間:赤 pH変動 透視度変動 環境基準値を満たす 弱アルカリ性 一般の河川に比べ 低く濁っている
魚類の確認 本調査地区:5目6科20種 (輪之内町:5目9科27種) 全国的または岐阜県内で絶滅の恐れのある4種 が確認されている (輪之内町:5目9科27種) 全国的または岐阜県内で絶滅の恐れのある4種 が確認されている デメモロコ イチモンジタナゴ カワバタモロコ メダカ
繁殖地
繁殖地の定義 本調査における魚類の繁殖期を5~10月とした 稚魚の確認地点を繁殖地として考えた 捕獲された魚類ごとの 発育段階を考慮して,稚魚 と成魚に大別した 図, 成魚の条件となる体長目安
植生の重要性 全区間において植生のある場所で稚魚が確認された 植生の重要性 全区間において植生のある場所で稚魚が確認された 繁殖期の水際植生の重要性は高く,繁殖期を通して保たれるべき環境として,今後保護していく必要がある 表,A区間稚魚確認地点 植生地 9月9日
繁殖地・生息地としての安定が確認された。 環境配慮型施設の有効性 表,B区間稚魚確認地点 花いかだ地点で B区間6種 C区間6種確認 また、多くの魚数確認 表,C区間稚魚確認地点 花いかだの効果あり 環境配慮型施設の有効性とともに 繁殖地・生息地としての安定が確認された。
泥底部の必要性 D区間にて最も多くの魚種の確認 D区間のみで底生魚ツチフキの確認 ツチフキ 表,D区間稚魚確認地点 底生魚にとって移動期間約1・2年では短かったのでは? 今後A・B・C区間での定期的な魚類相の調査が大切
広い繁殖空間 植生による多様な生息空間 D区間工事後の生態系への影響の懸念
越冬地
水深及び水域保護の必要性 水深が維持できないところでは魚類は確認できなかった A区間は橋の下でのみ水深が確保 B区間は多段河床により水深の維持 これらの水域の状態を保護することが重要 A区間 橋の下 水域の分断 B区間 多段河床1段目
今後も続けて調査し見守っていかなくてはならない 今後の展望 各施設が能力を最大限発揮できるように 今後も続けて調査し見守っていかなくてはならない 多段護岸 花いかだ 魚巣ブロック ソダ(水中)