代謝経路の有機化学 細胞内で行われている反応→代謝 大きな分子を小さな分子に分解→異化作用 第一段階 消化→加水分解

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活性化エネルギー.
第 五 章 脂 質 代 謝 Metabolism of Lipid.
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1)解糖系はほとんどすべての生物に共通に存在する糖の代謝経路である。 2)反応は細胞質で行われる。
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福井工業大学 工学部 環境生命化学科 原 道寛 名列____ 氏名________
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8章 食と健康 今日のポイント 1.食べるとは 何のために食べるのか? 食べたものはどうなるのか? 2.消化と吸収 3.代謝の基本経路
配糖体生成 + ROH ヘミアセタール アセタール メチルβ-D-グルコピラノシド (アセタール)-oside グリコシド
サフラニンとメチレンブルーの 酸化還元反応を利用
3)たんぱく質中に存在するアミノ酸のほとんどが(L-α-アミノ酸)である。
生体構成物質化学 早稲田大学理工学部化学科 担当 林 利彦.
中性シイステインプロテアーゼブレオマイシン水解酵素は、脱イミノ化されたフィラグリンをアミノ酸へと分解するのに不可欠である
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第15章 表面にエネルギーを与える 生命と惑星の共進化による惑星燃料電池の形成
セントラルドグマ 遺伝情報の流れ DNA→RNA→蛋白質→代謝などの生命活動 DNA→遺伝情報を記録した「設計図」 全部の「設計図」→ゲノム
F)無節操的飛躍と基礎科学(20世紀~) 1.原子の成り立ち:レントゲン、ベックレル、キューリ(1911) 、ラザォード、モーズリー、ユーリー(重水素、 1934)、キューリ(1935)、チャドウィック(中性子1935)、ハーン、シーボーグ 2.量子力学 :プランク(1918), アインシュタイン(1921)、ボーア(1922)、ドブローイ(1929)、ハイゼンベルグ(1932)、ゾンマーフェルト、シュレーディンガー(1933)、ディラック(1933)、ハイトラー、ロンドン、パウリ(1945)、ボルン(1
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生物学 第7回 エネルギー代謝 和田 勝.
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福井工業大学 原 道寛 学籍番号____ 氏名________
物質とエネルギーの変換 代謝 生物体を中心とした物質の変化      物質の合成、物質の分解 同化  複雑な物質を合成する反応 異化  物質を分解する反応 
好気呼吸 解糖系 クエン酸回路 電子伝達系.
特論B 細胞の生物学 第6回 エネルギーはどこから 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
好気呼吸 解糖系 クエン酸回路 電子伝達系.
有機バイオ材料化学 3. アルコールの反応.
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代謝経路の有機化学 細胞内で行われている反応→代謝 大きな分子を小さな分子に分解→異化作用 第一段階 消化→加水分解  第一段階 消化→加水分解     脂肪のエステル結合→脂肪酸+グリセロール     糖のグリコシド結合→単糖     タンパク質のペプチド結合→アミノ酸  第二段階 消化による分解産物をさらに分解     脂肪酸→アセチルCoA(β酸化)     糖→アセチルCoA(解糖)     アミノ酸→アセチルCoA,αーケト酸  第三段階 アセチルCoA→CO2+エネルギー(クエン酸回路)                (還元力)  第四段階 還元力+O2→ATP+H2O(電子伝達系) 小さな分子から大きな分子を合成→同化作用  光合成→炭酸同化作用 5版 p.528 4版 p.537

エネルギー運搬分子 アセチルCoA チオールエステル HPO42- + エネルギー H+ アデノシン二リン酸 (adenosine diphosphate, ADP) 負電荷の反発 →高エネルギーリン酸結合 アデノシン三リン酸 (adenosine triphosphate, ATP) 5版 p.529 4版 p.539

× ATPの反応 グルコース+HPO42-→グルコース6-リン酸+H2O ΔG=+13.8 kJ エネルギー的に不利 ATP+H2O →ADP+ HPO42-     ΔG=-30.5 kJ グルコース+ATP →グルコース6-リン酸+ ADP  ΔG=-16.7 kJ 反応推進 → ATP のエネルギーを使って物質変換を行っている + ATP → ADP + Pi ADP + X → X + ADP → leaving groupとして働く 5版 p.5314版 p.540

脂質の異化 NAD+ NADH/H+ ATP ADP 解糖系 グリセロール グリセロール1-リン酸 グリセロアルデヒド3-リン酸 (還元型) ニコチンアミド (還元型) ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+) (酸化型)生体内酸化剤 5版 p.532 4版 p.541

β酸化経路(1) β酸化はミトコンドリアで行われる アシルCoA + CoASH 脂肪酸 補酵素A (コエンザイムA) α β FAD FADH2 アシルCoAデヒドロゲナーゼ FADH2 フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD) 5版 p.533 4版 p.542

β酸化経路(2) :OH2 H2O エノイルCoAヒドラターゼ L-3-ヒドロキシアシルCoA デヒドロゲナーゼ NAD+ NADH/H+ α β-ケトアシルCoA B: NAD+ + - NADH/H+ + BH+ 共役付加反応 5版 p.534 4版 p.544

β酸化経路(3) + CoAS- β-ケトチオラーゼ β-ケトアシルCoA 逆Cleisen反応 Cleisen縮合 マクマリー p.359 アセチルCoA H+ 5版 p.536 4版 p.545

β酸化経路(4) + 1回転目 ミリスチルCoA (C14: C2n, n=7) + 2回転目 : + 6回転目(n-1回転目) アセチルCoA(計7個=n個) 2n個の炭素原子をもつ脂肪酸は,n-1回のβ酸化経路を経てn個のアセチルCoAを生じる 問題17・3 パルミチン酸 CH3(CH2)14COOH アラキジン酸 CH3(CH2)18COOH C16 β酸化7回,アセチルCoA 8個 C20 β酸化9回,アセチルCoA 10個 5版 p.536 4版 p.546

解糖(1) 細胞質で行われる 嫌気条件下において行われる ATP ADP グルコース-6-リン酸 (エノール) フルクトース-6-リン酸 細胞質で行われる   嫌気条件下において行われる ATP ADP グルコース-6-リン酸 (エノール) フルクトース-6-リン酸 グルコース ヘキソキナーゼ ホスホグルコースイソメラーゼ ATPのエネルギーで活性化→スターター 5版 p.537 4版 p.547

解糖(2) ATP ADP ホスホフルクトキナーゼ フルクトース-1,6-ビスリン酸 フルクトース-6-リン酸 5版 p.537 4版 p.547

解糖(3) 逆アルドール反応 マクマリー p.366 + 2分子生成 アルドラーゼ グリセロアルデヒド 3-リン酸 H+ ジヒドロキシアセトン リン酸 :B トリオースリン酸 イソメラーゼ フルクトース-1,6-ビスリン酸 2分子生成 5版 p.540 4版 p.547

解糖(4) 酸化のエネルギーによりリン酸化 (基質レベルのリン酸化) NAD+ , Pi NADH/H+ グリセロアルデヒド 3-リン酸 1,3-ビスホスホグリセリン酸 NAD+ , Pi NADH/H+ グリセロアルデヒド 3-リン酸 デヒドロゲナーゼ グリセロアルデヒド 3-リン酸 3-ホスホグリセリン酸 ADP  ATP ホスホグリセリン酸 キナーゼ 2-ホスホグリセリン酸 ホスホグリセロムターゼ 5版 p.540 4版 p.550

解糖(5) ホスホエノールピルビン酸 E2反応 + H2O エノラーゼ (マクマリー p.232) :B 2-ホスホグリセリン酸 ADP ATP ピルビン酸キナーゼ ピルビン酸 5版 p.541 4版 p.550

解糖(6) C6H12O6 + 2 NAD+ + 2 Pi + 2 ADP → 2 + 2 NADH + 2 ATP + 2 H2O + 2 H+ グルコース ピルビン酸 2 ATP 使用 2×2 ATP合成 → 差し引き2 ATP が生じる ↑ ピルビン酸はC3なので,グルコース1分子あたりでは2分子合成される      NAD+ NADH/H+ アセチルCoA + CO2 HSCoA 酸化的脱炭酸 ピルビン酸 ミトコンドリアに移行 クエン酸回路へ (酸素呼吸) 5版 p.541 4版 p.550-1

解糖(7) (嫌気条件下) (筋肉) (乳酸菌→乳酸発酵) (酵母→アルコール発酵) ピルビン酸 NADH/H+ NAD+ アセトアルデヒド エタノール NADH/H+ NAD+ NADH/H+ NAD+   乳酸 筋肉痛の原因 嫌気条件下ではNADのリサイクル必要→ピルビン酸を還元 →電子受容体として利用