GIS活用人材育成プログラムの狙いと進め方

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オリエンテーション 【地方公共団体向け】 開発担当者 :東京大学空間情報科学研究センター 特任教授 今井修 2017/3/21 開発担当者 :東京大学空間情報科学研究センター 特任教授 今井修 Copyright © 2008 ********University ********  Prof.*******

GIS活用人材育成プログラムの狙いと進め方 想定する人材像 職場で,パソコンを用いて事務作業を担当 GISを担当することになり、GISの理解を深めたい 地理空間情報の重要性 言葉による仕事の限界 身近な地理空間情報 地理空間情報の活用方法 進め方 政府の取り組み プロジェクトマネジメントと地理空間情報 問題解決に向けた地理空間情報のデータ設計 地理空間情報の調達と利用 演習,グループディスカッションによる体験

1.想定する人材像(専門職の利用から一般職の利用へ) GISの見方? 文章だけではなく,地理空間情報を用いて考えることができる 職場では、パソコンを用いて文書を作成 講        義 演        習 職場では,情報担当部署に配属され、これからGISを勉強する 地域の課題に地理空間情報をどのように活用するかがわかる 既に、職場でGISに触れたことがある 職場で、地理空間情報を活用して業務を行うことができる 普段、インターネットを用いて地図検索している

2.地理空間情報の重要性 言葉による仕事の限界 身近な地理空間情報 時代の背景 推論 自治体内のコミュニケーション例 見えない地域の資源 地理空間情報の活用方法 数値と地図、統計処理と空間分析 時代の背景 課題の複雑化→全体の把握の重要性 人口減少社会におけるインフラの見直し,利活用 地方分権,国土形成計画による地域のことは地域で

言葉による仕事の限界 推論 三段階論法:AはB、BはC、従ってAはC 前提が隠されている 全体がわからない 例:駅前に自転車が放置されている。歩行者に危険なので、放置自転車を規制する施策が必要 例:交差点の出会いがしらの事故が多い。交差点には信号を付けるべきだ 例:坂路で2人の親子が重い荷物を運んでいる。一人に「もう一人は息子さんですか」と質問すると「はい」と答えた。他の一人に「もう一人はお父さんですか」と質問すると「いいえ」と答えた。どうしてか?(出典:頭の体操) 全体がわからない 例:1月17日7時のニュース「関西でM7クラスの地震があり死者7名」

国は,死者1名という情報しか必要としていない 現場の情報が不十分では,トップに現場の対応の必要性が届かない 自治体内のコミュニケ―ション例 現場 事務方 数量だけしか報告しない 地図 とりまとめの 文書作成 第1報 確認 国へ報告 (○○村でがけ崩れ) 国は,死者1名という情報しか必要としていない 対策 電話とFAXでは,正確な場所を伝えられない 現場の情報が不十分では,トップに現場の対応の必要性が届かない

Copyright © 2008 ********University ******** Prof.******* 2017/3/21 これだけ? 身近な地理空間情報 意識しない時 通学、通勤 ショッピング 近くの散歩 帰巣本能がないと生きてゆけない? 意識するとき 飲み会の場所 会社訪問 旅行 転勤 災害時の避難 近道を探す Copyright © 2008 ********University ********  Prof.*******

Copyright © 2008 ********University ******** Prof.******* 2017/3/21 身近な地理空間情報2 現在 過去 我々の生活=森羅万象の中 将来 自然 環境 問題解決に向けて 情報を生かす 社会 環境 森羅万象は、地理空間情報 森羅万象は、記録しなければ消えてしまう 地理空間情報を活用して問題解決を図る 事故 災害 文化 芸能 Copyright © 2008 ********University ********  Prof.*******

地理空間情報の活用方法 発見や気づく 複雑な現象を推論する 対策を考え、計画する 記録する→管理する 伝える 探す 便利な道具→「見える化」 分析ツール→考える道具 記録する→管理する イベントの記録 旅行の記録 施設台帳などの記録 伝える 観光案内 地域SNSの情報 探す 近くの飲食店を探す カーナビで行き方を探す 発見や気づく 地域の資源発見 危険な場所を気づく 複雑な現象を推論する 原因を推論する 将来を推論する 対策を考え、計画する 防災・防犯対策 不法投棄を防ぐ インフルエンザ拡大防止

「見える化」(民間企業):問題を「見える」ようにする! 異常 ギャップ シグナル 社長 影響 首長 自治体に応用 課長 担当者 課長 担当者 商品 商品 商品 商品 商品 快適 安全 環境 文化 産業 工場,或いは市場 地域 消費者 住民

地域の資源を記録し、「見える化」する 個人の知識の集積 「地域資源の発見」ワークショップ

さまざまな密度指標を作成し、地域を評価する 地理空間情報を活用する方法 重ね合わせ図(オーバーレイ) 密度図(コロプレスマップ) 数値情報の保有する位置情報を利用して配置する 統計値を密度値に変換し,地図上に配置する さまざまな条件を設定した配置検討 さまざまな密度指標を作成し、地域を評価する

密度図の例 都市計画では、居住環境をさまざまな密度指標を用いて表現し、良好な環境を実現するための手法として研究されてきた 不動産価格 容積率、建蔽率、木造率、道路率、・・・・・ 逆に、同じ密度指標で表される地区は同じような環境であることが推測され、密度指標によるコントロールが行われてきた。 不動産価格 犯罪多発地区 火災多発地区 どこに住めば良いか

地域の課題解決に向けた社会技術 状況の変化 問題解決策 問題の認識 評価 予測 立案 出典:堀井(2004)問題解決のための「社会技術」(中公新書)

問題の認識:「気づき」 「交通安全ハザードマップ」(世田谷区山野小おやじの会) 今までの交通安全 交通安全教育と交通安全パトロールの課題 実際に発生した事故のデータを反映していない 感覚的な資料 作るだけで満足 →誰もがそのように思っている結果の反映 警視庁による交通事故マップ情報 過去1年間の交通事故の反映 知られていないし、使い方がわからない http://www009.upp.so-net.ne.jp/jj1vkl/kinuta_wanpat/ 出典:原岡(2005)重ね合わせ手法による新たな地理情報の創出について

山野小学校地域の交通事故 赤:自転車事故 黄:高齢者の事故 (自動車の運転も入っている?) 青:歩行者の事故 緑:子どもの事故 (中学生以下) データは、H16年警視庁より

原岡さん:交通事故の分析 砧地区の実情 交通事故の3要素 地理的要素 監視の欠如 当事者の意識の欠如 ① ② ③ 事故が起こっている所 危ない認識が無く,事故が多発している箇所 ② 気を付けていても事故が多発している箇所 ③ 気を付けていたので事故が少ない箇所 ① ② ③ 事故が起こっている所 危ないと思っている所 (PTAやドライバーから聞き取り) 20% 80% ① 住民の意識の欠如,行政の監視の欠如,地理的不安要素の存在 ② 監視の欠如と地理的不安要素の存在 ③ 3つの要素がバランスしているが油断禁物

赤で示した 場所が危ない

自転車事故:2年で半減 2005年127件→2007年62件

Copyright © 2008 ********University ******** Prof.******* 2017/3/21 3.進め方 政府の取り組み、自治体の取り組み 地理空間情報活用推進基本法 プロジェクトマネジメントと空間情報 具体化の検討 問題解決に向けた地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計 解決に向けた手順 地理空間情報の調達と利用 地理空間情報流通に配慮すること 演習,グループディスカッションによる体験 GIS、GPSを使ってみる 空間情報の表現と理解 Copyright © 2008 ********University ********  Prof.*******

最後に参加者にどのようなことを期待するか 地理空間情報を用いたコミュニケ―ション能力 一般の人 自治体 GIS担当者 地域の課題を表現する方法の習得 GISマネージャ 組織全体の情報共有方法の習得 組織のトップ GISで扱うテーマの理解

自治体の中での情報の蓄積と活用のヒント 直接(現場)部門 間接(企画調整)部門 首長 市民 昼間、現場に行って対応し、戻って から事務業務をこなす⇒効率化が切実!! 課題解決に向けた資料を作る 首長 課題 見える化 土木部門 課税部門 保健・福祉部門 産業振興・観光部門 農林部門 都市・建築部門 受付・相談 苦情処理 巡回 とりまとめ 業務連携 場所情報を使う場面 企画・政策部門 エクセル表 現場(直接)部門 市民

間接(企画調整)部門での利用 待機児童問題の例(浦安市) 待機児童はどこに多いのか 保育所はどこにあるか 保育所はどこを希望しているか(利便性) 設置可能な場所の検討

必要な情報を作る(鳥インフルエンザ問題) 1)「賢早くん」(フリーソフト)の利用 例)三重県内の養鶏業の住所 2)「AG2KML」(フリーソフト)住所データから緯度経度情報を作る

Copyright © 2008 ********University ******** Prof.******* 2017/3/21 Copyright © 2008 ********University ********  Prof.*******