熱的赤外線で高感度のGLAOを用いた合体銀河中のmultiple AGNの探査

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熱的赤外線で高感度のGLAOを用いた合体銀河中のmultiple AGNの探査 今西昌俊 NAOJ/Subaru Telescope

Simulation (Kazantzidis) ガスに富む銀河同士の合体は 宇宙では普遍的に生じている HST image

銀河の中心には超巨大ブラックホール (SMBH)がほぼ普遍的に存在 AGN feedback AGN あり gas poor AGN なし Di Matteo+05 Nature 433 604 AGN あり gas poor AGN なし

ULIRG = 近傍のガスに富む合体銀河 CDMに基付く銀河成長を理解 するための優れたlabolatory 合体銀河中の 成長中のAGNは 埋もれている Hopkins+06 ApJS 163 1 Buried AGN AGN晴れ上がり

Chandra X線観測に よるdual AGNs (1) (0.5”分解能) NGC 6240 Komossa+03 ApJ 582 L15 Chandra X線観測に よるdual AGNs (1) (0.5”分解能) NGC 6240

Arp299 XMM X線観測に よるdual AGNs Ballo+04 ApJ 600 634

X Compton thick (NH >10^24 cm^-2) X線観測の見ているもの 散乱光 (6.4keV鉄輝線強い) 直接透過光 Compton thick (NH >10^24 cm^-2) 散乱率不明 AGN光度は求まらない

K-L<0.5 K-L>2 AGNはStarburstよりエネルギー放射効率 がはるかに高く、周囲に高温ダスト 10Myr 10Gyr 1Gyr 100Myr Log (Fν) Starburst K-L<0.5 L K 高温ダスト放射 Log (Fν) K-L>2 AGN Insensitive to age Ramos Almeida+09 Sorba & Sawicki 2010

赤外線LバンドはAGNに極めて敏感 L-band/Bolometric = 0.2 (AGN) L-band/Bolometric = 0.002 (SB) Risaliti,Imanishi,Sani 10 MN 401 197 AGNのbolometricへの寄与が10%(5%)でも Lバンドの91%(84%)はAGN起源(Av=0mag) Lバンドの52%(34%)はAGN起源(Av=35mag)

AGNはK-L赤い AKARI 2.5-5um PAH Normal SB Buried AGN Imanishi+11 AJ 141 156

1. 赤外線分光より暗い核(secondary nucleus) に適用できる 赤外線AO撮像観測(K-Lの赤い点源探査)の優位性 1. 赤外線分光より暗い核(secondary nucleus) に適用できる L(bol) = 10^42 erg/s のAGN (z = 0.1) 2. AGN光度を定量的に導出できる (X線観測では、Compton-thick AGN の光度求められない) M(SMBH) 3. Chandra X線観測(0.5”)より小さな separation(0.2”)のdual AGNs を 分解できる

暗い方の核に埋もれたAGNの探査は、 Lバンドの限界等級で決まる 5” 2” K L Subaru/IRCS+LGS-AO(2011年7-8月) Lの感度を落とさずにPSF小さくしたい(=GLAO)

Lバンドでの感度比較(現行のLGS-AO) 15分、10σ (imaging) すばる+IRCS: L’=17.0 mag Gemini+NIRI : L’=15.5 mag(TT星の視野も狭い) Keck+NIRC2 : L’=14.5 mag GLAOで、点源に対するLの感度が1mag 向上すれば、さらに優位性が増す。 J,H撮像はHSTに比べて感度負けるが、 K,L撮像は地上観測がベストな波長

必要な仕様のまとめ Lバンド撮像で高感度(可変副鏡を用いたAO) Lバンドに感度のあるカメラ必要 視野~60”あれば充分 Pixel scale~0.04” (Lの回折限界の半分程度) (LバンドIFUがあれば、3.3um PAH mappingから AGN-SB connectionの詳細研究も可能になる)

まとめ K-Lの赤い点源探査から、合体銀河中 に埋もれたAGNの研究をしたい Lバンドで高感度を保ったままPSFを 小さくできるGLAOは強力な手段に なり得る

End

Chandra X線観測に よるdual AGNs (2) (0.5”分解能) Mrk463 Bianchi+08

Chandra X線観測に よるdual AGNs (3) Koss+11 (0.5”分解能)

XMM X線観測に よるdual AGNs Piconcelli+10

X線 dual AGNs NGC6240 (Komossa+03) N: Compton thick Lx(2-10keV) = 1.9 x 10^42 ergs/s S: Compton thick Lx(2-10keV) = 0.7 x 10^42 ergs/s Arp299 (Ballo+04; XMM) IC694: Compton thick, 6.7keV N3690: Compton thick, 6.4keV

X線 dual AGNs IR20210 (Piconcelli+10; XMM) N: Lx(2-10keV) = 4.7 x 10^42 ergs/s NH = 4.7 x 10^23 cm^-2 S: Compton thick Mrk463 (Bianchi+08) E: Lx(2-10keV) = 1.5 *10^43 ergs/s NH = 7 x 10^23 cm^-2 W: Lx(2-10keV) = 3.8*10^42 ergs/s NH = 3 x 10^23 cm^-2

Mrk938 (Koss+11) E: Lx(2-10keV) = 1.1 x 10^43 ergs/s NH=1.5 x 10^21 cm^-2 W: Lx(2-10keV) = 1.0 x 10^42 ergs/s NH=4.6 x 10^21 cm^-2