情報処理の概念 #14 次代へ向けて / 2002 (秋) 一般教育研究センター 安田豊.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
コンピュータ概論 B ー ソフトウェアを中心に ー #13 アルゴリズム・計算可能性 京都産業大学 安田豊.
Advertisements

情報技術基礎 論理素子による進歩. 計算機の歴史 計算機の歴史 1649 パスカル 歯車式加減算機 1839 バベッジ 階差機関 1890 ホレリス パンチカードシス テム ※歯車式の計算機は 1960 年(昭和30年)代ま で 便利な計算機として実際に使われてい た.
FPGA 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
CPUについて HN:セシル.
最新ファイルの提供を保証する代理FTPサーバの開発
早稲田大学理工学部情報学科 後藤滋樹研究室
情報処理の概念 #13 新しい技術 / 2002 (秋) 一般教育研究センター 安田豊.
光通信に挑戦! 光は情報をどのように伝えるのか? 国立沼津工業高等専門学校 教養科 物理教室.
1926~30年と1954~58年の違いはなんだろう? どうしてだろう? 今日のポイント モード 5ページの図.
安全・安心なネット生活を送るためのネットワークセキュリティ
情報処理の概念 #14 ドメイン名・インターネットの運営 / 2002 (春)
PCクラスタにおける2個体分散遺伝的アルゴリズムの高速化
経営情報 #1 デジタル表現 / 2003 (春) 安田豊 1.
神奈川大学大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻
ダイバータープラズマにおける熱流束に関する実験的研究(ヘリオトロンJにおける周辺プラズマの揺動と熱輸送の計測)
最新技術でネットワーク設備を省エネ化!! Green IT をリードするルータ/スイッチ「AXシリーズ」
#12 Grid Computing Yutaka Yasuda.
ARM 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
センサノード 時刻同期と位置測定 浅川 和久 2008/11/16 センサノード 時刻同期と位置測定.
情報処理の概念 #10 インターネットとIPv6 / 2002 (秋)
ネットワーク性能に合わせた 分散遺伝的アルゴリズムにおける 最適な移住についての検討
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
パソコンの歴史 ~1970年 1970年代 1980年代 1990年~ ▲1946 ENIAC(世界最初の計算機、1,900加算/秒, 18,000素子) ▲1947 UNIVACⅠ(最初の商用計算機) ▲1964 IBM System/360(5.1MHz, 1MB, 2億円) ▲1974 インテル8080(8.
Yutaka Yasuda, 2004 spring term
電子回路Ⅰ 第11回(2009/1/19) 電力増幅.
参考ビデオ クローズアップ現代 NHK 総合 19:30~55 4/3 放送 なんで企業は、そんなに必死に地頭力を求めるようになったのかな。
メディア業界の戦略構想 ~放送と通信の融合の最前線から~
MPIによる行列積計算 情報論理工学研究室 渡邉伊織 情報論理工学研究室 渡邉伊織です。
第8回  論理ゲートの中身と性質 論理ゲートについて,以下を理解する 内部構成 遅延時間,消費エネルギー 電圧・電流特性 瀬戸.
明星大学 情報学科 2010年度後期     コンピュータ設計論  
メモリとHDD.
序章 第1節 社会と情報 1 現代社会の特徴 2 情報の重要性
情報電子実験Ⅰ-説明 測定器の使い方.
5.3 接地アンテナ 素子の1つを接地して使用する線状アンテナ 5.3.1 映像アンテナと電流分布
All IP Computer Architecture
1.コンピュータと情報処理 p.18 第1章第1節 2.コンピュータの動作のしくみ CPUと論理回路
P4 通信システム P4.1 ディジタルフィルタの設計とその応用 P4.2 伝送線路のFDTD解析 P4.2 H4.1 P4.1 H4.1
#6 性能向上、ブレイクスルー、集中と分散 Yutaka Yasuda.
コイルのはたらき コイルの5つのはたらきについて説明.
コンピュータの歴史 ~1945年からの実用過程~ メンバー:秋田梨紗 (1E16M001-1) 梅山桃香 (1E16M010-2)
HPC基盤における大量データ転送のためのデータ転送ツールの評価
情報処理の概念 #1 デジタル表現 安田豊 1.
FPGA 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司

コンピューターの歴史 発表者 髙橋 一希 竹原 仰 山崎 翼 芳賀沼 舜 1E17M E17M E17M073ー8
コンピュータの歴史 1E16M009-1 梅津拓巳 1E16M045-4 田中新汰 1E16M035-0 柴田海斗
ディジタル信号処理 Digital Signal Processing
光スイッチングデバイス.
心を磨く 公共的なネットワーク社会の構築 知恵を磨く 情報モラル教育 情報社会の倫理 法の理解と遵守
X線CCD検出器 ーCCD‐CREST(deep2)ー の性能評価と性能向上 (京阪修論発表会)
アナログ と ディジタル アナログ,ディジタル: 情報処理の過程: 記録/伝送 と 処理 において, 媒体(メディア)の持つ物理量 と
電子回路Ⅰ 第10回(2008/1/7) 電力増幅.
ミリ波帯キャパシティブクロスカップリング差動増幅器のための対称交差レイアウトの提案
MIRS システム解説 (超音波センサボードとシリアル通信)
Peer-to-Peerシステムにおける動的な木構造の生成による検索の高速化
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
計算機アーキテクチャ1 (計算機構成論(再)) 第一回 計算機の歴史、基本構成、動作原理
JASMINEワークショップ March 6-7,2003 松原英雄(宇宙研)
CPU冷却用素子の開発 理工学研究科環境制御工学専攻 長谷川 靖洋
FPGA 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
輻射伝搬効果の検証(中) 都丸隆行.
ARM 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
高度プログラミング演習 (11).
ARM 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
圧電素子を用いた 高エネルギー素粒子実験用小型電源の開発
情報処理の概念 #0 概説 / 2002 (秋) 一般教育研究センター 安田豊.
アナログ と ディジタル アナログ,ディジタル: 情報処理の過程: 記録/伝送 と 処理 において, 媒体(メディア)の持つ物理量 と
今後の音声圧縮技術について 鈴木 誠人 .
情報機器と情報社会のしくみ Web素材利用
コンピュータと音 B3 入野仁志(irino).
Presentation transcript:

情報処理の概念 #14 次代へ向けて / 2002 (秋) 一般教育研究センター 安田豊

雑多なこと 携帯年始メイル インターネット年賀メイル どうするのが良いのか? おめでとう接続を間引き 利用者の需要が爆発するタイミングがある 1997年ごろから流行り出す 今は下火 同じくシステム負荷の一時的増大に悲鳴が どうするのが良いのか? 郵政省は臨時システム・経路を組んで文化(?)を作った user needs をどう実現するか?

雑多なこと CD音楽デジタル放送が可能に 韓国ネット選挙運動 新しい技術が実社会を少しずつ変えている 発売後一定期間は流さないことを条件に 新たなデータ源、メディアの登場 レンタルレコードも法律や規制と合わせて現在に至った 新たな体制(法・規制)が求められている 韓国ネット選挙運動 1960年ケネディ・ニクソンのテレビ討論 韓国のインターネット環境の先進性 新しい技術が実社会を少しずつ変えている

次代に向けて 次の世代のコンピュータは? 限界はないのか? ノイマン型システムはしばらく続く 計算処理速度向上(もっと速く!) 記憶容量向上(もっとたくさん!) 限界はないのか? 物理的限界が近づいている 2.4GHz のCPUっておかしくないか? 0.13μm配線幅っておかしくないか? まっすぐ性能を向上させることが今後も可能だろうか?

速度限界への挑戦 2.4GHz の CPU とは? これ以上、どうやって速度を上げるのか? コンピュータは同期回路で構成されている 真空中の光ですら 1GHz では 30cm 程度しか進まない 電線中ではせいぜい 20cm 程度 2.4GHz では数センチの範囲までしか届かない これ以上、どうやって速度を上げるのか? 10GHz ではセンチのオーダーを切る 物理条件の限界に到達しつつある

密度の限界への挑戦 回路密度を上げたい ムーアの法則:チップあたりの素子数が 一定期間(18 ヶ月)ごとに 2 倍になるという経験的予測 Pentium 4 では 4000 万トランジスタ以上 チップ面積はそれほど上げられない 距離限界(先述) 熱的限界 配線を細く、電圧を低く

密度の限界への挑戦 微細配線 ディスクの例 Pentium4 2GHz クラスでは 0.13 μm配線幅 静電気などによる回路破壊が深刻な問題に もはや扱うことが困難な領域に近づいている ディスクの例 3.5inch 円盤 3 枚両面、105 平方ミリ程度に、 100GB=8*1011 bit、 1/9000ミリ四方の磁石を並べて 7200rpm で読みとる? 実際には間隔を空けたりするのでもっと厳しい

インターネットでの問題 少々脱線ですが: インターネットの通信速度は? 向上しているように見えます 帯域は幅で向上しているのであって速度が上がるとは限りません 光速の限界:遅延は詰まりません 光が地球を一周するのに 2/15 sec が必要です 向上と言っても幅が広がるだけ US東海岸まで 200ms (1/5sec) で往復します (既にかなり優秀!限界に近い)

新しいアプローチ 並列処理 ニューロ・コンピュータ データフロー 非同期回路の採用 グリッドの事をおぼえていますか? 生物情報処理に学ぶ 1990年代のSHARPのデータフロー画像チップ 非同期回路の採用 上のデータフローも非同期だが 実用化研究が進んでいる

非同期回路 現在のコンピュータは同期システム 非同期動作とは 利点 高速化すると同期信号の分配が届かなくなる 回路の各部分がマイペースで処理を行う UltraSPARC IIIi などで部分的に採用 まだまだ十分に活かせていない 利点 高速・低ノイズ・低電力

非同期回路 低ノイズ 高速 同期回路では動作周波数やその高調波となる電磁波を発生させる 非同期では特定のリズムはないのでノイズが分散する 同期回路では最低回路速度に合わせて全体を設計する 非同期では最低回路に足を引っ張られない 各回路の平均速度が実効速度になる 低ノイズ 同期回路では動作周波数やその高調波となる電磁波を発生させる 非同期では特定のリズムはないのでノイズが分散する

非同期回路 低消費電力 回路設計に新しいノウハウが必要だが利点も多い 同期回路では消費電力の30%までが同期信号の生成と分配に充てられている 同期回路では有効に機能していない時でも、部分でも熱を発生させる 非同期では遊休部分は電力を消費しないようにできる 電池駆動システムに革命が起きるか? 回路設計に新しいノウハウが必要だが利点も多い

非同期回路 次代に向けて 短い時間で答えが出る世界 あと何年で「あなたのパソコンの速度は?」という質問が無効になるだろう? 卒業する頃に? もっと先? 短い時間で答えが出る世界 自己の判断を大切に 記録して、後で検証してください 計算機の分野は判断力を鍛える良い実験場です 次代を創ることができる力を