Niシリサイド電極形成過程の 高分解能断面像観察による評価

Slides:



Advertisements
Similar presentations
金属微細構造体製作のための 二相ステンレスの析出相生成場所制 御 田畑研究室 B4 田中 伸 治.
Advertisements

TI-DSP を用いた多様な開発ボード・ソリューション ロステーカ株式会社 代表取締役 鵜 澤 安 寿 2007 年 11 月 15 日.
第2章.材料の構造と転位論の基礎. 2-1 材料の種類と結晶構造 体心立方格子( bcc ) 稠密六方晶格子( hcp ) 面心立方格子( fcc ) Cu 、 Ag 、 Au 、 Al 、 Ni 等 Mg 、 Zn 、 Ti 等 Fe 、 Mn 、 Mo 、 Cr 、 W 、 大部分の鋼 等 充填率.
前回の内容 結晶工学特論 第3回目 格子歪 結晶の歪 歪、応力、歪エネルギーの定義 不整合歪(基板と成長層の格子不整合に起因する歪)
環境表面科学講義 村松淳司 村松淳司.
較正用軟X線発生装置のX線強度変化とスペクトル変化
導波路放出光解析による量子細線の光吸収測定
第10章 焼結体の構造 焼結体の構成:粒子、粒界、気孔 焼結体の物性を左右する微細構造パラメーター:
Chapter3 SOI MATERIALS CHARACTERRIZATION
単一分子接合の電子輸送特性の実験的検証 東京工業大学 理工学研究科  化学専攻 木口学.
色素増感太陽電池におけるフィルム 電極の2.45GHzマイクロ波焼成
無機化合物の構造と特性 との関係を理解する
Commonly-used detectors for SksMinus and SksPlus
セラミックス 第2回目 4月 22日(水)  担当教員:永山 勝久.
小笠原智博A*、宮永崇史A、岡崎禎子A、 匂坂康男A、永松伸一B、藤川高志B 弘前大学理工学部A 千葉大大学院自然B
スパッタ製膜における 膜厚分布の圧力依存性
シリカガラスの熱的性質 II ガラス転移,仮想温度 福井大学工学部 葛生 伸.
AOによる 重力レンズクェーサー吸収線系の観測 濱野 哲史(東京大学) 共同研究者 小林尚人(東大)、近藤荘平(京産大)、他
セラミックス 第9回 6月18日(水) セラミックスの物性.
固体電解コンデンサの耐電圧と漏れ電流 -アノード酸化皮膜の表面欠陥とカソード材料の接触界面-
Ag(111)超薄膜上のSilicene エピタキシャル成長過程(実験)Ⅱ
空孔の生成 反対の電荷を持つイオンとの安定な結合を切る必要がある 欠陥の生成はエンタルピーを増大させる
モンテカルロ法と有限要素法の連成による 焼結のマイクロ‐マクロシミュレーション
セラミックス 4月 18日(水)  担当教員:永山 勝久.
Ⅲ 結晶中の磁性イオン 1.結晶場によるエネルギー準位の分裂 2.スピン・ハミルトニアン
スパッタの基礎知識.
前回の内容 結晶工学特論 第5回目 Braggの式とLaue関数 実格子と逆格子 回折(結晶による波の散乱) Ewald球
セラミックス 第4回目 5月 7日(水)  担当教員:永山 勝久.
アンドレーエフ反射.
原子核物理学 第4講 原子核の液滴模型.
微粒子合成化学・講義 村松淳司
MBE成長GaAs表面の平坦化とそのAFM観察
イオンスライサーの使用方法 2014/10/9.
GaAs(110)表面の形成機構と緩和過程の動的モンテカルロシミュレーション
セラミックス 第7回 6月4日(水) セラミックスの製造法.
Dissociative Recombination of HeH+ at Large Center-of-Mass Energies
Niシリサイド電極形成にともなう 欠陥導入過程の考察
シリカガラスのバルク,表面及び融着界面の構造
結晶工学特論 第2回目 前回の内容 半導体デバイス LED, LD, HEMT 半導体デバイスと化合物半導体 種類の豊富さ、直接遷移型、
PIC/MCによる窒素RFグロー放電シミュレーション
その場原子レベル顕微同定によるマルチスケール物性制御
Fig. Crystal structure of Nd2Fe14B
遺伝子導入効率No.1を目指す ナノ・ニードル基板デバイスの開発
半導体デバイスの基本構成要素 pn junction diode
シリカガラス表面および表面付近の構造変化
情報化社会を支える量子ビームと化学 大阪大学産業科学研究所 古澤孝弘 ナノサイエンス・ナノテクノロジー高度学際教育研究訓練プログラム
研究背景 電荷移行反応とは・・・ 核融合(重水素 + 三重水素→ヘリウム原子核+中性子) ・・・しかし、
研究課題名 研究背景・目的 有機エレクトロニクス材料物質の基礎電子物性の理解 2. 理論 3. 計算方法、プログラムの現状
原子核物理学 第2講 原子核の電荷密度分布.
実習課題B 金属欠乏星の視線速度・組成の推定
自己集積的手法による 原子膜複合体の形成と評価 法政大学 生命科学部 マイクロ・ナノテクノロジー研究センター 高井 和之
半導体の歴史的経緯 1833年 ファラデー AgSの負の抵抗温度係数の発見
平成16年度 広島大学技術センター 研  修  会 技術発表 2004.11.19 .
GW space-timeコードの大規模な有機-金属界面への適用に向けた高効率化
Why Rotation ? Why 3He ? l ^ d Half-Quantum Vortex ( Alice vortex ) n
液中通電法を用いたAu, Pt, Pdナノ粒子の作成
第一原理計算でひも解く合金が示す長周期積層欠陥構造の形成メカニズム
【1 事業の内容及び実施方法】 1.1. 事業内容(実施方法を含む) 1.1.1 加工・熱処理および試験片加工
B4報告会 拡散対を用いた銅系金属間化合物の生成挙動
化学量論組成フルホイスラー合金Fe2TiSn焼結体のp型熱電特性
Bi置換したCaMnO3の結晶構造と熱電特性
プラズモニック構造付シリコン光検出器のHPC援用設計に関する研究
3.ワイドギャップ半導体の オーム性電極材料開発
Pb添加された[Ca2CoO3]0.62CoO2の結晶構造と熱電特性
3.建築材料の密度 密度の支配因子 原子量 原子の配列状態 一般的に原子量(原子番号)が大きいほど、密度は大きい
ガスセンサーの製作 [応用物理研究室] [藤井新太郎]
電子ビームラインの構築と APDを用いた電子計測試験
セラミックス 第3回目 4月 30日(水)  担当教員:永山 勝久.
MEMS技術×金属組織学=新たな医療デバイス
6.8.4 Cordierite 我々がこの章で議論する最後のフレイムワークケイ酸塩はcordierite (Fe,Mg)2Al4Si5O18である。 それは変成岩中で重要な鉱物であるとともに、ひとつの構造中でのAl,Si orderingを研究する方法と熱力学に関するこのorderingの効果の良い例を与える。このことは言い換えるとcordieriteの出現が、変成度の重要な尺度である変成作用に関係するcordierite中のAl,Si.
Presentation transcript:

Niシリサイド電極形成過程の 高分解能断面像観察による評価 一色 俊之1, 西尾 弘司1, 中村 勇2, 深田卓史3,Woo Sik Yoo3 吉本 昌弘1, 播磨弘1, 1京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科 2京都工芸繊維大学 電子情報工学科 3WaferMasters Inc.

Introduction 金属シリサイド : 半導体工業において重要な材料 ◎ NiSi △CoSi2,TiSi2,WSi2 近年の高集積デバイスに求められる 金属シリサイドの特性 Source Drain Gate MOSFET 低抵抗     低温形成    少ないSi消費量        ◎ NiSi   △CoSi2,TiSi2,WSi2 Si Ni NiSi Ni2Si NiSi2 450K 600K 1000K temperature Resistivity: high low high orthorhombic orthorhombic cubic

Ni/p-Siにおけるラマンスペクトル 200℃ 225℃ 250℃ 275℃ 450℃ 300℃ 310℃ 325℃ 350℃ 400℃ 290℃ NiSi NiSi 450℃ Ni2Si 400℃ 350℃ 325℃ 310℃ 300℃ 290℃ 275℃ 250℃ 225℃ 200℃ as sputtered

High-resolution transmission electron microscopy Purpose and method Niシリサイド形成における             局所構造のナノレベルでの解析 シリサイド層のナノ構造 Si / シリサイド 界面の形態 相変化過程の詳細 局所的なシリサイド相の分布 High-resolution transmission electron microscopy HRTEM

Formation of Silicide on Si wafer sputtering(RT) スパッタ法により10nm厚のNiをSi(001)上に 堆積 Ni 10nm p-type Si wafer   熱処理機構 ホットプレート型熱処理炉 10min N2雰囲気中 において 473K~723K          で熱処理  ホットプレート 基板 Ni-silicide p-type Si wafer

Sample preparation for cross-sectional TEM 基板を2mm x 3mmに切り出す Ni シリサイド Si 基板 切り出した2つの基板を エポキシ系樹脂で貼り合せる 観察点 JEM-2010SP 加速電圧 200KV Moリングで補強    観察点 機械研磨   成形しAr+ イオンでシニング

Cross-section of silicide layer Result of TEM observation 粒子状のNi層 表面に異なる物質を含む均一層 Niとシリサイドの2層構造 表面物質の減少 内部にコントラストを持つ一様な層  欠陥コントラスト等が殆どない均一層 熱処理前後の断面観察像

Encroachment of Si substrate 10nm 20nm 10nm 15nm 18nm 19nm *像は垂直方向に 2倍に拡大 NiのSi基板内への拡散によってシリサイド化が進行 Ni層は550Kまでに完全に消費 シリサイド化の進行に伴いシリサイド層の厚さとSi基板の消費が徐々 に増大 550K以上でSi/シリサイド界面のラフネス急激に増大

Cross-sectional HRTEM of Ni silicide Before annealing (as sputtered)‏ Ni スパッタにより堆積されたNiは多結晶状, 粒子サイズ:   ~10nm Si substrate Ni Ni-Si ? 直ちに初期 界面相形成 Si Ni Si substrate 初期シリサイド相? スパッタ成膜されたNi層は多くの10nm程度の大きさの粒子により構成  NiとSi基板の間に初期シリサイド相 シリコン基板とシリサイドの界面は平坦

Cross-sectional HRTEM of Ni silicide Annealing temp. = 498K (225oC)‏ Ni Ni2Si Si Niの不均一消費によりNi層が島状に残存 Ni層の直下に約10nm厚のシリサイド相(Ni2Si)形成 Si界面に小さなラフネスが見られるがほぼ平坦

Cross-sectional HRTEM of Ni silicide Annealing temp. = 498K (225oC)‏ Ni2Si 層の成長 Si substrate 不均一消費により  Niは島状に Ni Ni2Si Ni Ni2Si 初期界面層 Si Ni2SiとSi基板間に初期界面相残存 Ni-Ni2Si界面は不明瞭

Cross-sectional HRTEM of Ni silicide Annealing temp. = 548K (275oC)‏ Ni2Si NiSi Si Niの拡散によりNi層は完全に消費 界面の形態変化が始まる NiSi相の形成に伴いSi基板にくぼみ                         

Cross-sectional HRTEM of Ni silicide Annealing temp. = 548K (275oC) Si substrate Ni Ni2Si Ni2Si Ni2Si 界面にNiSi成長 Ni2Si NiSi NiSi NiSi Si substrate 初期界面相 初期界面相が部分的に消失し,その部 分にNiSiが中間層を挟まず直接形成 Si

Cross-sectional HRTEM of Ni silicide Annealing temp. = 573K (300oC)‏ Ni2Si NiSi NiSi Si substrate Ni2Si Ni2Si NiSi 表面にNi2Si残存 Si NiSi Si substrate 成長した均質なNiSi相が支配的となるが,Ni2SiはNiSi表面に残存 NiSiの形成に起因する起伏の激しい界面がNiSi-Si間に生じていた Ni2Siの位置は起伏の谷の部分に一致

Cross-sectional HRTEM of Ni silicide Annealing temp. = 583K (310oC) NiSi Ni2Si Ni3Si2 Si substrate NiSi Ni-リッチ   領域の減少 Si NiSi Si substrate より高温での熱処理によってシリサイド化が進行 Ni-リッチ領域は数ナノの大きさに減少                    

Cross-sectional HRTEM of Ni silicide Annealing temp. = 723K (450oC)‏ Si substrate NiSi 単一NiSi相 Si NiSi Si substrate Si substrate NiSiの大きさ : 幅100nm以上 ,厚さ20nm 界面の荒れは幾分緩やかに

Cross-sectional HRTEM of Ni silicide Annealing temp. = 723K (450oC)‏ Si substrate NiSi NiSi Si NiSi -Si界面 NiSiとSiの結晶格子はスムーズに接合していた ミスフィット転位が界面に周期的に生じていた

Summary of TEM observation Ni 初期相 Ni2Si NiSi 各シリサイド相の分布概略図 Ni Ni Ni Ni2Si Ni2Si Ni2Si NiSi2 NiSi Si substrate NiSi NiSi NiSi NiSi NiSi Si substrate Si substrate Si substrate Si substrate Si substrate Si substrate 支配相 Ni Ni2Si NiSi (+Ni2Si)‏ NiSi NiSi Ni2Si(+NiSi) 界面の形態 平坦 ほぼ平坦  部分的に  ラフネス有 大きな    ラフネス 大きな  ラ スネス  中程度の ラフネス

Conclusions High resolution TEMによって様々な熱処理温度におけるシリ コン基板上のNiシリサイドの成長を観察した HRTEM での観察によってNiからNiSiへの相変移の過程を局 所的なNiシリサイド相の分布と共に解明した 相変移の際の各段階における界面の形態 もまた解明した   Ni2Si とSi 基板は直接接合しないが、NiSi とSi基板は直接接 合していた 550K周辺からNiSiの成長に伴って、界面のラフネスが増大  し始め、そのラフネスはシリサイド層が完全にNiSiになると幾 分緩やかになった

Cross-sectional HRTEM of Ni silicide Si substrate NiSi Ni2Si Ni3Si2 Annealing temp. = 583K (310oC)‏ NiSi NiSi NiSi シリサイド相の分布を結晶格子像の フーリエ変換スペクトルによって解析 Si Si Si Si NiSi 相中に10nm程度の範囲の Ni2Si , Ni3Si2 各相を発見

Cross-sectional HRTEM of Ni silicide Before annealing (as sputtered)‏ Si substrate Ni スパッタにより堆積されたNiは多結晶状, 粒子サイズ: ~10nm Ni この状態は観 察されず・・・ 直ちに初期 界面相形成 Ni-Si ? Ni ← 初期シリサイド相? Si substrate Si  初期界面相は何なのか? Ni2Si ? (この相は “核形成相”として知られている) ⇒ Not agree! 他のシリサイド もこの相の格子間隔や形成条件にあてはまらない

Cross-sectional HRTEM of Ni silicide Before annealing (as sputtered)‏ Ni NiSi2 (非蛍石型構造)‏ NiSi2(非蛍石型構造)‏ Si Si(220)‏ 0.192nm 0.192nm 低温(熱処理なし)で形成 Si(220) の格子間隔0.192nmに一致するSiにエピタキシャ ルな格子面を確認. NiSi2 (非蛍石型構造) Ni 原子は Si‐Siの結合を切ることなく侵入方の位置(八面体位置)を占める Si [110]からの 原子投影図