福岡工業高校 平成22年7月7日 福岡市薬剤師会薬局 薬剤師 福岡英樹 性および性感染症の話 福岡工業高校 平成22年7月7日 福岡市薬剤師会薬局 薬剤師 福岡英樹 「性」の話は、 非常にデリーケートな内容の分野になります。 興味本意な話にしようと思えば、いくらでも崩した内容にできます。 反面、「命」「生命」に関わる話で、非常に神聖なものでもあります。 本日は、薬剤師という立場で、「性感染症」の内容を中心に話をさせていただきますので、 少し方堅苦しい内容になるかtと思いますが、大事な内容ですので、しっかり聞いていただければと思います。
「若者の性」白書 性交経験率の推移 S49 S56 S62 H5 H11 H17 「若者の性」白書 ㈶ 日本性教育協会2005年 <図3 性交経験率の推移> 「若者の性」白書 ㈶ 日本性教育協会2005年 <図3 性交経験率の推移> 「若者の性」白書 ㈶ 日本性教育協会2005年 このグラフは、中学生、高校生、大学生の性経験率の推移を示したものです。 この数字が、今日の皆さんに当てはまるかどうかは分かりません。 これは、ここ30年くらいの推移、ということで見てください。 大きく囲ったグラフが高校生です。30年間で、男女とも経験率は上がっています。 その上の2本の折れ線グラフが大学生ですが、大学生も男女とも30年で経験率は大きく上がっています。 もう一つ特徴は、大学生の調査では、男性の方が経験率はずっと高かったのですが、 H17年、5年前の調査で、男性と女性の経験率がほぼ並んでいます。 この傾向をどう見るかというのは、いろんな考えがあると思います。 「性の解放」「性の自由化」という言葉が使われます。反面「性道徳意識の低下」という言葉もつかわれます。 【次のスライド】 この若者の性経験率の上昇と比例するように、「10代の人工妊娠中絶の件数」が増加しています。 もう一つ、「10代の性感染症の件数」が増加しています。 今日は、薬剤師の立場で話をしていますので、モラル教育に関わる話は出来るだけ避けるようにしますが、 みなさん、これだけはしっかり意識しておいてください。 ヒトは、思春期を過ぎると「性欲」はあります。 そして、性行為というのは妊娠という、新たな命を生む可能性がある行為です。 動物には発情期という時期があります。 ヒトにはないという考え方と、発情期が1年中つながってしまったという考え方があります。 それは、ヒトは何時のころからか「性行為をコミュニケーションの手段として利用」するようになっているからなのです。 だから、ヒトは「性欲」という本能を「モラル」と「知識」でコントロールしているのです。 今日は、その知識のなかで「性感染症」の話をします。 S49 S56 S62 H5 H11 H17 「若者の性」白書 性交経験率の推移
この若者の性経験率の上昇と比例するように、「10代の人工妊娠中絶の件数」が増加しています。 もう一つ、「10代の性感染症の件数」が増加しています。 今日は、薬剤師の立場で話をしていますので、「モラル教育に関わる話は出来るだけ避ける」ようにしますが、 みなさん、これだけはしっかり意識しておいてください。 ヒトは、思春期を過ぎると「性欲」はあります。 そして、性行為というのは妊娠という、新たな命を生む可能性がある行為です。 動物には発情期という時期があります。 ヒトにはないという考え方と、発情期が1年中つながってしまったという考え方があります。 それは、ヒトは何時のころからか「性行為をコミュニケーションの手段として利用」するようになっているからなのです。 だから、ヒトは「性欲」という本能を「モラル」と「知識」でコントロールしているのです。 今日は、その知識のなかで「性感染症」の話をします
性感染症(STD/STI) Sexually Transmitted Diseases Sexually Transmitted Infection が増加している 今は、感染の意味のinfectionの「STI」を使われることが多くなっているようです。 その中で、近年問題になっている感染症を中心に紹介します。
増 加 このグラフは、性感染症の中で「クラミジア感染症」と「淋菌感染症」の 増 加 このグラフは、性感染症の中で「クラミジア感染症」と「淋菌感染症」の 1988年、1989年が平成元年から2002年(平成14年)までの患者数の増加を示すものです。 この二つのSTDは、実はこの後、少し減少気味なのですが、 そこだけ見ると減少しているんじゃないかと、安心してしまいますので、その前に大きく増加した時期があったということを覚えておいてください。
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
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若者に 性感染症は増えている
平成20年 性器ヘルペス感染症
薬剤による治療 STD 病原体 治 療 性器クラミジア クラミジアトラコマティス マクロライド系抗生物質 ニューキノロン抗菌剤 治 療 性器クラミジア クラミジアトラコマティス マクロライド系抗生物質 ニューキノロン抗菌剤 性器ヘルペス ヘルペスウィルス 抗ヘルペスウィルス薬 淋 病 淋 菌 セフェム系抗生物質 *抗生物質に耐性率が高い 梅 毒 梅毒トレポネーマ 抗生物質 (ペニシリン、ミノマイシン) ケジラミ症 毛じらみ 剃毛 フェノトリンシャンプー
薬剤の耐性 ・病原体も生き物です ・生き物である限り、 子孫を残すという使命で生きている ・薬剤で死滅されられる病原体は、 その薬剤に耐えられるよう進化していく ・ヒトから言えば、 薬剤が効かない進化した病原体が出てくる ・そのように進化した病原体を耐性菌という
耐性菌をつくらないためには・・ ・薬剤の使用を抑える ・そのためには 感染拡大を防ぐ予防が重要
HIV感染 と AIDS
HIV感染とAIDS HIV感染 HIV(ヒト免疫不全ウィルス)に感染した状態 感染と発病の違い 汚染:病原体が体の表面に付着した状態 感染:病原体が体内に侵入し、一定の場所に定着して 増殖する状態 発病:病原体に感染し、人体内部の組織や臓器に 何らかの病的変化が起こる場合 AIDS (後天性免疫不全症候群) HIV感染から発病した状態
1981年(昭和56年)の米のロスアンゼルスで第1号のAIDS症例。 その後10年間で全世界に感染者100万人。 日本で最初の症例は1985年(昭和60年)。 1991年からHIV感染者、AIDS患者の増加が顕著になる。 世界の中では日本は、HIV感染者、AIDS患者は非常に少ない地域であるが、 先進国の中で、HIV感染者、AIDS患者が増加しているのは、日本だけである。 1992 2000 2005 2008
性行為による感染 血液による感染 薬剤による感染 母子感染 HIVの感染経路 性行為による感染 血液による感染 薬剤による感染 母子感染
HIVの薬剤による治療 ・HIV感染からAIDS発病を遅らせる治療 ・一生服用を続けなければならない ・一度でも飲み忘れると 耐性ができてしまう ・今ある薬剤は非常に大きく飲みにくい
薬物乱用は性モラルの低下につながり 性感染症の拡大につながる危険がある アルコールも WHO(世界保健機関)では 薬物に分類しています 薬物乱用と性感染症 薬物乱用は性モラルの低下につながり 性感染症の拡大につながる危険がある アルコールも WHO(世界保健機関)では 薬物に分類しています
ご清聴 ありがとうございました