エイズとその予防
本時の学習のポイント ①エイズとHIV感染症はどのような関係にあるのだろうか。また,世界と日本で,どの程度流行しているのだろうか。 ②HIV感染症・エイズの治療は,どのようにおこなわれているのだろうか。 ③性感染症としてのHIV感染症は,どう予防したらよいだろうか。
1.エイズ・HIV感染症とは エイズとHIV感染症の違い ・エイズ(AIDS,後天性免疫不全症候群) →HIV感染症が進んで免疫力が極端に低下し,指標となる病気が確認されたときのこと ◆指標となる病気・・・カリニ肺炎,カポジ肉腫,HIV脳症など23種類がある。 ・HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症 →免疫機能の司令官の役割を果たすリンパ球を直接破壊し,人の免疫力を低下させる。
1.エイズ・HIV感染症とは 世界のHIV感染状況 ・地域により感染者数の格差がある →南アフリカ地域や東南アジア地域の生存感染者数,新規感染者数がとくに多い 図2 世界のHIV感染状況
1.エイズ・HIV感染症とは わが国のHIV感染状況 ・増加傾向がつづいている 図1 日本のHIV感染状況 ・増加傾向がつづいている →新しい感染者は10代,20代の若者が多い傾向にあり,懸念されている。
2.HIV感染症の治療と対策 HIV感染症の治療方法 ・抗HIV薬の服用 →3種の薬剤を組み合わせて服用することで,HIVの増殖をさまたげ,免疫の働きを回復させる ・抗HIV薬の注意点 →毎日処方通りに生涯飲みつづける必要がある →副作用が起こることも少なくない
2.HIV感染症の治療と対策 わが国のHIV治療状況 ・国立エイズ治療・研究開発センター →国立国際医療センター内に設置されており,わが国におけるエイズ治療の中心機関である →全国各地にも治療の拠点病院が設置されている ・患者の経済的負担 →1998年からは,感染者には身体障害者手帳が交付され,経済的負担が軽減された
3.性感染症としてのHIV感染症の予防 HIVのおもな感染経路 ・HIVに感染した血液への接触による感染 ・HIVに感染した母から子への感染 ・HIV感染者との性行為による感染 図3 わが国のHIV感染経路
3.性感染症としてのHIV感染症の予防 性感染症予防のための対策 ・性感染症予防の方法 →ノーセックス →ステディセックス 図4 日本のHIV感染者数とコンドーム出荷数の推移 ・性感染症予防の方法 →ノーセックス →ステディセックス →セーファーセックス ・性行為の際の注意 →コンドームを必ず,しかも正しく使用する →ピルには性感染症を防ぐ効果はない
3.性感染症としてのHIV感染症の予防 HIVへの感染が疑われたら HIVへの感染がわかったら ・HIV抗体検査 →保健所で無料匿名で受けることができる →現在では,検査を受けた当日に結果がわかる検査方法も普及してきている →感染が疑われる期間には献血はしない HIVへの感染がわかったら ◆最新の治療法やカウンセリングを受けて,前向きに生きていくことが大切である。