イノベーションの計測と分析 -技術経営戦略学に関する実証研究- 工学系研究科 技術経営戦略学専攻教授 元橋一之 http://www.mo.t.u-tokyo.ac.jp
メニュー イノベーションの計測手法 技術経営分析手法(おもに特許データによる) 企業活動とデータの所在 R&D、企業価値、生産性 イノベーションシステムと企業・産学連携 技術経営分析手法(おもに特許データによる) 特許データのメリット・デメリット 産業・技術コンコーダンス 引用データと特許の質 社会ネットワーク分析
企業活動とイノベーションデータ
研究開発費に関するデータ 科学技術研究調査(総務省) 企業財務データ(有価証券報告書) その他の政府統計・民間統計 企業、大学、研究機関に対して毎年行われている統計調査http://www.stat.go.jp/data/kagaku/index.htm 企業財務データ(有価証券報告書) 個別企業に関する公開情報として利用可能 研究開発費公開の義務化は2000年度から その他の政府統計・民間統計 研究開発に関する外部連携実態調査(経済産業研究所) http://www.rieti.go.jp/jp/projects/innovation-system/H15.html
日本の研究開発費(1) (2010年度まで、億円) (科学技術研究調査より)
日本の研究開発費(2) (2010年度まで、億円) (科学技術研究調査より)
(2010年度まで、億円) (科学技術研究調査などより)
研究開発投資ランキング (2010年度) 日経新聞調査+科学技術研究調査
企業価値(財務諸表と無形資産)
「企業価値と知的資産」 計量経済学的アプローチ (Griliches, Z., Market Value, R&D and Patents, Economic Letters, 1981) 実証分析の結果 Kとしては「R&Dストック」及び「特許数(引用ウェイト)」を 用いてγ>0が統計的に有意であることを検証 米国データでYes、例えばHall, Jaffe and Trajtenberg (2005) 日本のデータでも検証されている(長岡、2005)
「企業価値と知的資産」 計量経済学的アプローチ (Griliches, Z., Market Value, R&D and Patents, Economic Letters, 1981) 実証分析の結果 Kとしては「R&Dストック」及び「特許数(引用ウェイト)」を 用いてγ>0が統計的に有意であることを検証 米国データでYes、例えばHall, Jaffe and Trajtenberg (2005) 日本のデータでも検証されている(長岡、2005)
一国のイノベーションシステム National Innovation System
日本のイノベーションシステム 大企業中心・自前主義
イノベーションに関する環境変化 世界的な製品開発競争の激化 サイエンス型イノベーションが重要に オープンイノベーションへの期待 中国、インドなどの技術力キャッチアップ 世界的に見た日本経済のMarginal化(BRICsの台頭、G8→G20) サイエンス型イノベーションが重要に 医薬品分野:遺伝子、タンパク機能の解析(Cockburn, Gambardella) 半導体分野:半導体の固体物性 オープンイノベーションへの期待 サイエンスセクター(大学・国研)への期待
産学間の技術スピルオーバーをどう測るか? ライセンシング統計(知財活動調査) 特許発明者の所属情報 TLOに対するサーベイデータ 知的財産 論文・特許に関する引用情報 イノベーションサーベイ 論文など形式知 特許、論文に関する共著関係の分析 大学・企業に対するアンケート調査(共同研究や研究員交流の実態、大学との情報交換、産学連携のきっかけなど) 人的交流・情報交換など暗黙知 大学発ベンチャー調査、JBAバイオベンチャー調査など特定分野の統計調査 ベンチャー企業 大学 ・ 公的研究機関 企業 イノベーションシステム(国際比較、地域間比較)
特許データベース 日本特許についてはIIP Patent Database(特許庁における公開特許データを研究者向けにIIP・知的財産研究所にて公開): http://www.iip.or.jp 日本の特許公開データの実例 データの種類 特許公開データ(出願日、技術分類、請求項数、出願人等):1100万レコード 特許登録データ(登録日、技術分類、権利者、権利消滅日等):350万レコード 特許引用データ:1380万レコード 世界の特許DBとしてPATSTATが存在
国際特許出願(2011年ランキング) WIPO Statisticsより
特許データのメリット・デメリット メリット デメリット 特許制度に基づき公開(時系列、国際比較に耐えうる精度の高いデータ) 詳細な技術情報 出願、登録等のタイミング 発明者・出願者(共同研究の状況) 技術コード(IPC分類) 他の特許・論文の引用情報 デメリット 特許性向の違い(技術の専有可能性の違い) 特許の価値の違い(ほとんどの特許が経済的無価値) 引用情報の活用 パテントファミリー
特許制度の概要
企業の技術ポートフォリオ分析
産業・技術コンコーダンステーブル
エレクトロニクス企業の技術相関と営業利益率 「電機メーカーの事業展開と業績の相関分析」(古泉聡洋、2009年3月)
引用データの活用 引用データ 技術のスピルオーバーを示す指標 出願人引用(米国) vs 審査官引用(日欧) 特許制度の違いに注意 地理的に近くの出願人(発明者)を引用?:知識フローの地理的近接性→クラスター政策の評価 引用ラグ:技術の陳腐化スピード 引用、被引用特許の技術分野:特許の特性(重要性、サイエンスリンケージ 等)
特許引用データの活用
分析事例:移動体イノベーションにおけるNTTドコモの役割 (池田・元橋:2010)
結果の一部(引用ラグ)
結果の一部(Generality)
発明者データの活用 DNAチップに関するキャノンと日立ソフトの戦略比較 DNAチップ関連特許からコア技術者の特定 (太田・元橋:2010)
コア技術者の共著関係 日立ソフト キャノン (太田・元橋:2010)
日立ソフトvsキャノン
技術経営とその研究手法
参考文献 (経営戦略・経営論を考えるための良書) (技術経営研究に関する俯瞰的書籍) (実証研究の事例集) 『経営戦略の思考法』(沼上幹著)日本経済新聞社 『日本の優秀企業研究』(新原浩朗)日経ビジネス文庫 (技術経営に関する入門書) 『イノベーションの経営学』(ティッド、ベサント、パビット)(後藤・鈴木監訳)NTT出版、Managing Innovation, Integrating Technological, Market and Organizational Change (原題) (技術経営研究に関する俯瞰的書籍) 『Handbook of Technology and Innovation Management』(Scott Shane 編) Wiley Publishing (実証研究の事例集) 『日本のバイオイノベーション』(元橋一之編著)、白桃書房