2013 現代文明論 10 3つめの原理 資本主義.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
2013 現代文明論 第4回第4回 1492 年 世界システムの始まり. 世界地図を描いてみよう.
Advertisements

社会システム論 第 1 回 システムとは何か 大野正英 経済学部准教授. この授業のねらい 現代社会をシステムという視点から捉 える。 社会の複雑さをシステムというツール を用いることによって、理解する。
2004/11/18hiroyuki moriya1 早稲田大学教育学部社会科学専修 現代社会研究4 ( マネー) 伝統的資産運用とオルタナティブ投 資 森谷博之 住商キャピタルマネジメント チーフストラテジスト オックスフォードファイナンシャルエデュケーション.
2010 年 12 月 16 日(木) 王 暁華 経営情報学入門 ― 生産管理 (1) /12/16 経営情報学入門-生産管理(1)
制度経済学Ⅰ ①. 制度経済学とは何か 制度 institutions 最も根本的な制度は・・・・ 言語、法、貨幣 いずれも経済、そして経済学に関係する それらなしに、経済は成立しない.
1.欧州. 特許会社  特許会社とは …. 経営権が国に保留されている事業の、 一部または全部の経営権を、法律などに より付与された会社。  世界で最初の特許会社 モスクワ会 社.
工業発展期のヨーロッパ 技術変化と資源需要増加
組織の経営学 第1章 ニモ・クルー・からあげ.
スポーツ文化   第4回目 スポーツとは何だろうか? スポーツの定義.
Web.sfc.keio.ac.jp/~thiesmey/shakainote.htm.
国民経済計算 System of National Accounts
現代の金融入門 第5章 3節 企業統治の変質と再生
トルコ及び中欧からの人の移動とそのEU加盟問題に与える影響
第2章 バブル崩壊後における経済の長期停滞の原因をどうみるか
情報社会とガバナンス 歴史的経緯から 吉田寛.
1 生命倫理学とは何か 倫理学Ethicsは哲学の1部門 善、道徳を追求する学問 規範倫理学normative ethicsとメタ倫理学
場所1 空間分析批判と場所の概念化 政治地理学の理論と方法論 第4週.
自律学習と動機づけ 教育心理学の観点から 2011/2/19 上淵 寿 (東京学芸大学).
6 需要、供給、および政府の政策.
第7章 途上国が「豊か」になるためにすべきこと
新学期にあたって 作花 一志.
2005年度マネジメント学部3年生秋学期ガイダンス
情報経済論Ⅰへようこそ! 2016年度 第1回 apr.13.
<キーワード> 生産関数、労働、資本 限界生産物
経済成長の概観 マクロ経済分析 畑農鋭矢.
女性参政権獲得の歩み 19世紀から20世紀半ばまで (第1派フェミニズム)
国際経済3 多国籍企業 6-1.直接投資と多国籍企業の現状 6-2. 多国籍企業と直接投資の理論 6-3. 多国籍企業とM&A・国際提携
公共政策大学院 鈴木一人 第7回 政治と経済の関係 公共政策大学院 鈴木一人
現代の人事労務管理 --人的資源管理-- 2014年7月15日
2節 なぜ消費者行動が重要になってきたか(市場の変化)
社会福祉調査論 第15回_2 第5章 倫理と個人情報保護 第7章 社会科学としての社会福祉
経営学総論 ガイダンス Thursday, April 15, 2004
2017現代文明論 7 近代化=西欧化(16-18世紀)←1492年に始まる世界システム(前回の講義参照)
マーケティングの歴史と定義の変遷 マーケティングとは
複言語・複文化状況における日本語教育 -ことばの教室で私たちがめざすもの
静岡新聞就職フェア講座 “就活”国際化時代がやってきた! ~ グローバル社会と就労構造 ~ 2008年4月 NPO法人日中環境経済中心.
公共政策大学院 鈴木一人 第7回 政治と経済の関係 公共政策大学院 鈴木一人
人工知能特論2007 東京工科大学 亀田弘之.
Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 【 社会科 】 小中一貫教育系統図 地理的分野 歴史的分野 公民的分野 13 【小学3年】 【小学4年】 【小学5年】
前期ゼミまとめ スラックス経済.
社会主義の教育理論.
ポラニー,ヒックス,ブローデルの市場観・社会観・歴史観
2017  現代文明論 10 3つめの原理 資本主義.
現代資本主義分析 前期の復習 藤女子大学人間生活学部 内田博.
マルクスの基本定理の 数式を使わない証明 2016年10月 松尾匡.
市場経済 商品を買 いたい人 商品を売 りたい人 市場 (いちば) 外国と交易し, 商品範囲を広げる 商人は 利得を拡大 客の要望 が増大.
経済学部 岸本寿生 社会科学への誘い 経済学部 岸本寿生
現代マス・メディア、マス・コミュニケーションの成立の歴史をたどる 参考文献
グローバリゼーションは 国際的画一化なのか
経済成長のメカニズム 経済学B 第4回 畑農鋭矢.
国家構築の際におけるタイの「標準化」、 国民の統一化
ソーシャルワークの価値と倫理 ~国際ソーシャルワーカー連盟の議論を踏まえて~
科学・技術と社会 ◎科学・技術: 現代社会の基礎; 人類の物質生活を豊かにするもの
<Market and Society> Workshop 市場経済と資本主義: 歴史的視点から
経営学総論 サマリー Thursday, January 11, 2007
2017 現代文明論 8、9 近代の2つめの原理 科学革命.
グローバリゼーションは 国際的画一化なのか
「リゾーム」 ドゥルーズ、ガタリ そして今田高俊
K・ポラニーの思想: 市場と国家 斎藤 修 「市場と社会」第13回研究会, 2014年11月15日.
2017年度 現代文明論 (浜名優美) 第1回 9月20日 問題提起と今年の予定(シラバスの一部修正を含む)
錬金術時代 ・Alchemy(アラビア の錬金術) ・中世ヨーロッパ ( )
2017 現代文明論 第5回 1492年 世界システムの始まり.
Lecture2 体育・スポーツ経営とは p.16
80年代のアメリカ経済 現代資本主義分析.
国際教育論1 オリエンテーション.
北海学園大学経済学部 現代資本主義分析 ガイダンス 2006年4月17日 内田 博.
POST-CAPITALIST SOCIETY
教育行政・財政 導入説明.
現代資本主義分析 資本主義という見方.
経済学入門 ミクロ経済学とマクロ経済学 ケインズ経済学と古典派マクロ経済学 経済学の特徴 経済学の基礎概念 部分均衡分析の応用.
Presentation transcript:

2013 現代文明論 10 3つめの原理 資本主義

科学革命、資本主義、産業革命の連関 「ヨーロッパの科学的学問世界の成立が資本主義の発展と産業革命に結びついていることを否定するわけにはいかない」(盛山和夫、近代世界の形成とヴェーバー・テーゼ、UP, p. 46)

資本主義の定義 資本主義とは、機械や土地のような生産手段(資本)を所有する「資本家」が「労働者」を賃金で雇って市場向けの生産をおこなうこと(「世界史詳説」山川出版社、330ページ)

資本、資本家、資本主義 「資本主義」という用語は、ヴェルナー・ゾンバルト『近代資本主義』1902年による。(カール・マルクス「資本論」にはない。)

ブローデルによる定義 資本(つねに働き続けている財源、単なる蓄財ではなく、利用可能な労働の成果) 資本家(社会そのものの存立基盤たる不断の生産過程への資本の投入を指揮する人間) 資本主義(資本投入という絶えざる賭のありよう) (「資本主義のダイナミズム」(邦訳「歴史入門」65頁による)

市場経済と資本主義

西ヨーロッパの特殊性 「歴史上で、資本主義が生まれたのは、むしろ、高利の貸借や商業取引による暴利の取得が罪悪視され、営利追求が社会的、宗教的にきびしく取り締まられていた地域であった。」(中村雄二郎、21世紀問題群、21ページ)

広松渉による産業資本主義の要因 ー 東西への大航海のもたらした外在的要因を重視(キリスト教わけてもプロテスタンティズムの存在やいわゆる西洋的科学・技術の独自の発達といった因子を、重視はしない。137ページ) (東方との直接的交易のもたらしたインパクト、および新大陸の略奪的経営・開発、この大陸との物資流通のもたらしたインパクト、このヨーロッパ外的要因の介在を抜きにしては、西欧において産業資本主義があのようなかたちで成立することはありえなかったであろうと考える。137-138ページ)

3つの資本主義 (フェルナン・ブローデルによる) 商業資本主義(16世紀、ヴェネツィア) 金融資本主義(16世紀、ジェノヴァ) 産業資本主義(18世紀末から19世紀、イギリス)

経済=世界という考え方 (フェルナン・ブローデル) 経済圏(中心、半周辺、周辺)→世界システム論(ウォーラーステイン) 中心

経済=世界の中心は移動する 16世紀 ヴェネツィア 16世紀後半 ジェノヴァ、アントワープ(ベルギー) 17世紀 アムステルダム(オランダ) 16世紀 ヴェネツィア 16世紀後半 ジェノヴァ、アントワープ(ベルギー) 17世紀 アムステルダム(オランダ) 18世紀後半 ロンドン 20世紀後半 ニューヨーク

近代世界システム論 近代世界システム論(用語はウォーラーステインによる) 長い16世紀(1450年から1650年まで)の間に近代世界「システム」が資本主義的経済=世界という形をなした

近代世界システムの3つの枠組み 1 経済=世界は、世界全体に拡大する。 1 経済=世界は、世界全体に拡大する。 2 経済=世界は、交互にA局面(拡大)とB局面(後退)が入れ替わる周期的なモデルに従って、また、変化しつつある地理的な役割分配に従って、進展する 3 経済=世界は、百年にわたる内的変化のプロセスに従う。そのプロセスとは、技術上の進歩、工業化、プロレタリア化、こうした変化への政治的抵抗といったものである。(ステネール、封建君主とブルジョワ、 『ブローデル帝国』、179ページ)

ミシェル・ボーとウォーラーステインの世界システム論の比較(別紙PDF)