基礎ゼミ 光学のすすめ 第15章 光を用いた情報機器

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基礎ゼミ 光学のすすめ 第15章 光を用いた情報機器 基礎ゼミ  光学のすすめ 第15章 光を用いた情報機器 13t5086h 山本 真周

目次 ●1 CD(コンパクトディスク)プレイヤー ・1.1 コンパクトディスクの構造 ・1.2 光ピックアップの構成 ●2 レーザープリンター ・2.1 基本光学系 ●3 バーコードリーダー ・3.1 回転多面鏡式バーコードリーダー ・3.2 ホログラムディスク式バーコードリーダー

1 CDプレイヤー 1.1 CDの構造 ・厚さ1.2㎜、直径12㎝のプラスチックディスク ・幅0.5㎛、長さ約0.9㎛~3.3㎛、高さ0.11㎛のピットと呼ばれる突起 ・ピットの列をトラックといい、各トラックの間隔は1.6㎛ ピット以外をランドという

1 CDプレイヤー 1.1 CDの構造 ・データを読み取る際には、直径1.6㎛程度のレーザーを照射する ・ピットがない部分は全光量 ・ピットがある部分は回折・干渉によって光量が減少 ピットの高さはレーザー波長の4分の1なので、ピットのないところとあるところで反射光の位相がπずれる→干渉して減衰

1 CDプレイヤー 1.2 光ピックアップの構成 ・反射して返ってきた光量の変化 をとらえ、記録情報を読み出す 光学系を光ピックアップという ①半導体レーザー ②回折格子 ③ハーフミラー ④コリメータレンズ ⑤対物レンズ ⑥CD ⑦対物レンズ ⑧コリメータレンズ ⑨ハーフミラー ⑩シリンドリカルレンズ ⑪フォトダイオード

1 CDプレイヤー 1.2 光ピックアップの構成 ●半導体レーザー ・強い光、ほぼ完全な単色光、寿命が長い、 小型で省電力 ●回折格子 ・半導体レーザーから発散する光を3方向に 分ける 半導体レーザーは、波長780nm,出力5mW

1 CDプレイヤー 1.2 光ピックアップの構成 ●ハーフミラー ・入射光の半分を透過し、半分を反射させる ●コリメータレンズ ・半導体レーザーから出る光は発散している ので、平行光束にする コリメータレンズは懐中電灯に使われてる! ハーフミラーは、透過率と反射率が等しいもの→鏡の蒸着を不完全にすればできる

1 CDプレイヤー 1.2 光ピックアップの構成 ●対物レンズ ・レーザーのビーム径を小さくする ・光は収束しすぎると回折現象により広がって しまう 一番ビーム径が細くなる箇所をビームウエス トといい、その時のビーム径をスポット径という ●フォトダイオード ・十分なエネルギーを持った光子を検出すると、 電流を流すダイオード レーザービームの断面強度は一様ではない→ガウスビームの場合、ビーム径はビーク強度の1/e^2(13.5%)位置で定義される→エネルギー総量の95.45% スポット径 2w = 0.92 λ / NA (λは波長、NAは対物レンズの開口数) CDの光ピックアップでは、λ =780nm、NA =0.45 なので、2w = 1.6㎛ → トラックの間隔!! **** ガウスビームのスポット径は 2w = 0.64 * λ / NA 均一なビームのスポット径は 2w = 1.22 * λ / NA (0.64 + 1.22 )/2 = 0.93 ≒ 0.92 丸め誤差?

1 CDプレイヤー 1.2 光ピックアップの構成 ●シリンドリカルレンズ

1 CDプレイヤー 1.2 光ピックアップの構成 ・穴の消耗、取り付け誤差等によりトラックの 位置が左右にずれる トラッキングエラー信号 ・ディスクが回転すると、ディスクの反りなどに より記録面が上下する フォーカシングエラー信号

1 CDプレイヤー 1.2 光ピックアップの構成 ●トラッキングエラー信号 ・回折格子によって3方向のビームに分け、そ れらを用いてズレを判定 左右どちらかにずれると、±1次のスポットで光量に差が出る

1 CDプレイヤー 1.2 光ピックアップの構成 ●フォーカシングエラー信号 ・シリンドリカルレンズ

Coffee break ・CDはごみ、傷に強い ・入射ビームのNA(開口数)を0.45、ディスク基 板の屈折率を1.58とすると、ディスク表面での ビーム径は約0.7mmになる NA = n * sinθ    = 1.58 * sin(16.5°)

2 レーザープリンター 2.1 基本光学系 ・他のプリンタに比べ高速・高品質・低騒音なレーザープリンター

2 レーザープリンター 2.1 基本光学系 ●半導体レーザー ・発光のON、OFFを高速で切り替えられる ●回転多面鏡 ・等角速度回転する多面鏡 ・回転することで入射角、反射角が等速で変化する 感光ドラムに直線を描く、この動作を走査といい直線を走査線という 多面鏡の回転は、一般に5000~20000回転/分 感光ドラムにレーザーが当たると、その部分の電荷が逆になる(正しくはグランドに落ちるから見かけ上逆になる) →そこに帯電したトナーがつく

2 レーザープリンター 2.1 基本光学系 ●シリンドリカルレンズ ・面倒れ補正によりピッチムラ(走査線間隔のムラ)を防ぐ

2 レーザープリンター 2.1 基本光学系 ●走査レンズ ・像の高さが入射角に比例するレンズ fθ(エフシータ)レンズ 2 レーザープリンター 2.1 基本光学系 ●走査レンズ ・像の高さが入射角に比例するレンズ fθ(エフシータ)レンズ レーザープリンタに使われる走査レンズは、普通2枚で構成される。 そのうちの一枚にシリンドリカルレンズの機能を持たせてトーリックレンズとしたものが良く使われる。

3 バーコードリーダー 3.1 回転多面鏡式バーコードリーダー 3 バーコードリーダー 3.1 回転多面鏡式バーコードリーダー ・回転多面鏡を用いて走査 ・レーザーがバーコードで散乱反射することを利用 ・干渉フィルタで使用波長以外の外乱光を除去 ・どんな方向からでも読み取れるよう、 走査パターンを工夫 バーコードで拡散反射するので、穴あきミラーでも反射できる 黒は反射しない、白は全反射

3 バーコードリーダー 3.2 ホログラムディスク式バーコードリーダー 3 バーコードリーダー 3.2 ホログラムディスク式バーコードリーダー ・レンズと同じような結像作用を持つ ホログラムレンズをディスク上に並べた ホログラムディスクを用いる ・回転多面鏡式に比べて、コンパクト ・ディスクのホログラムレンズの焦点距離、 光軸等を個々で異なるようにすることで、 走査パターンを工夫

3 バーコードリーダー 3.2 ホログラムディスク式バーコードリーダー 3 バーコードリーダー 3.2 ホログラムディスク式バーコードリーダー 入射光を拡散させることで角度を変える→結像する場所が深くなる

Coffee break ●手持ち式CCD走査バーコードリーダー ・LEDでバーコードを照らし、 CCDラインセンサ上に結像する ・構造が簡単で安価 ・バーコードの向きにリーダーを 合わせる必要あり ・読み取り深度(バーコードを 読み取れる範囲)も10 ~ 20mmと浅い

Coffee break ●見えないバーコード ・人間の目には見えない、インビジブルバーコード ・ある波長の光を照射すると、別の波長の光が出てくる 透明な蛍光材を塗料に使用 ・通常のデザインの上に印刷してもバーコードは見えないので、 デザインを損なわない

まとめ ●1 CD(コンパクトディスク)プレイヤー ・コンパクトディスクの構造 – ピット、ランド ・光ピックアップの構成 – 回折格子、シリンドリカルレンズ ●2 レーザープリンター ・基本光学系 – 面倒れ補正、fθレンズ ●3 バーコードリーダー ・3.1 回転多面鏡式バーコードリーダー – 回転多面鏡 ・3.2 ホログラムディスク式バーコードリーダー – ホログラムディスク

参考文献 ・光学のすすめ、オプトロニクス社 ・光学機器の基礎、左貝潤一、森北出版株式会社(2013) ・パソコンの基礎知識 – 光ディスクドライブ http://www.way-on.com.tw/PCbasal/kiso/hikari2.htm ・バーコードリーダの技術と正しい使い方 http://www.keyence.co.jp/barcode/special/codereader/lecture/princip les/technology/ ・光ピックアップのしくみ https://www.nitto-optical.co.jp/feature/pickup.html