観測的宇宙論グループ 東京大学 宇宙線研究所 大内 正己.

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第13回 銀河の形成と進化 東京大学教養学部前期課程 2016年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
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S3: 恒星とブラックホール (上田、野上、加藤)
星間物理学 講義1: 銀河系の星間空間の世界 太陽系近傍から銀河系全体への概観 星間空間の構成要素
COSMOS天域における ライマンブレーク銀河の形態
論文紹介 Type IIn supernovae at redshift Z ≒ 2 from archival data (Cooke et al. 2009) 九州大学  坂根 悠介.
伊藤洋一(兵庫県立大学) 大朝由美子(埼玉大学)
松原英雄、中川貴雄(ISAS/JAXA)、山田 亨、今西昌俊、児玉忠恭、中西康一郎(国立天文台) 他SPICAサイエンスワーキンググループ
第13回 銀河の形成と進化 東京大学教養学部前期課程 2014年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
塵に埋もれたAGN/銀河との相互作用 今西昌俊(国立天文台) Subaru AKARI Spitzer SPICA.
すばる望遠鏡による10GeV領域ガンマ線天体の観測
S5(理論宇宙物理学) 教 授 嶺重 慎 (ブラックホール)-4号館409 准教授 前田 啓一(超新星/物質循環)-4号館501
京大他、東大やアデレード大学など日豪の16機関が共同で、オーストラリアの砂漠地帯に望遠鏡4台を建設しTeVγ線を観測している。
宇宙線研究室 X線グループ 今こそ、宇宙線研究室へ! NeXT
超高光度赤外線銀河(ULIRGs)中に埋もれたAGNの探査
宇宙の初期構造の起源と 銀河間物質の再イオン化
滝脇知也(東大理)、固武慶(国立天文台)、佐藤勝彦(東大理、RESCEU)
星間物理学 講義1の図など資料: 空間スケールを把握する。 太陽系近傍から 銀河系全体への概観、 観測事実に基づいて太陽系の周りの様子、銀河系全体の様子を概観する。それぞれの観測事実についての理解はこれ以降の講義で深める。 2010/10/05.
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PFSについて、ハワイ観測所から Comments from Subaru Telescope
3.8m新技術望遠鏡を用いた 超新星爆発の観測提案 -1-2mクラス望遠鏡による成果を受けて-
第12回 銀河とその活動現象 東京大学教養学部前期課程 2017年度Aセメスター 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
ALMAへの期待 -埋れたAGNの探査から-
天文・宇宙分野1 梅村雅之 「次世代スーパーコンピュータでせまる物質と宇宙の起源と構造」
COSMOS天域における赤方偏移0.24のHα輝線銀河の性質
COSMOS天域における 高赤方偏移低光度クェーサー探査
ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発 竹腰達哉 北海道大学修士課程2年 Collaborators:
形成期の楕円銀河 (サブミリ銀河) Arp220.
S5(理論宇宙物理学) 教 授 嶺重 慎 (ブラックホール)-4号館409 准教授 前田 啓一(超新星/物質循環)-4号館501
BH science for Astro-E2/HXD and NeXT mission
Presentation transcript:

観測的宇宙論グループ 東京大学 宇宙線研究所 大内 正己

今年度入試より大学院生(修士)募集開始! メンバー 教授 福来正孝 (今年度まで) 准教授 大内 正己 (博士課程D1 中島王彦: 今年度からIPMUで受託) 秘書 佐藤立子 本グループは昨年の大内の着任に伴って学生の受け入れを始めました。 今年度入試より大学院生(修士)募集開始!

宇宙史 (解決済みの問題、未解決の問題) 観測限界(~10億年: z~6) 今日(137億年: z=0) Unknown 未知の時代…   (観測データ無し)

晴れ上がり:z〜1100 (ビッグバンから0.004億年後) 宇宙背景放射(WMAP7:Komatsu+09) 高温ガスの宇宙 晴れ上がり:     電離ガス(3000K)     → 陽子の電子捕獲     →中性水素 (中性の宇宙へ) 3Kの黒体放射(マイクロ波)で観測される 宇宙背景放射の発見:   Penzias & Wilson(1978年ノーベル物理学賞) 宇宙背景放射の温度ゆらぎの発見   Mather & Smoot(2006年ノーベル物理学賞) WMAP衛星 宇宙年齢の決定(ΛCDMに基づく) エネルギー密度構成(ダークマター,  ダークエナジー, バリオン) への制限 WMAP satellite (artist’s illustration) Dunkley et al. (2009) Charged particles Black body radiation from the last scattering surface. The Lagrange Point (L2) of the Sun-Earth system. 密度揺らぎ、フーリエ空間

宇宙史 (解決済みの問題、未解決の問題) 観測限界(~10億年: z~6) 今日(137億年: z=0) Unknown 未知の時代…   (観測データ無し)

現在の宇宙:z~0 (ビッグバン後137億年) 銀河宇宙 近傍宇宙の地図 (大規模構造) Great Wall Dedicated telescope of SDSS Coma Cluster 100Mpc 銀河宇宙 Sloan Digital Sky Survey (SDSS): 可視光の撮像、分光探査(全天の1/4をカバー)口径2.5mの専用望遠鏡(New Mexico州) 近傍宇宙の地図(z~0.4)

宇宙史 (解決済みの問題、未解決の問題) 観測限界(~10億年: z~6) 今日(137億年: z=0) Unknown 未知の時代…   (観測データ無し)

晴れ上がりと現在の間(z=0-1100; ビッグバンから0.004-137億年後) 宇宙の星形成史 電離光子の放射率密度 星形成率密度の宇宙進化 Ouchi+09b 星形成率(単位体積・時間当たり) ? fesc=0.05 Ouchi et al. (2009b) 過去 The decrease of stellar mass follows ∝(1+z)-6 Dust extinction estimates from UV slope(β) and comparison with SS models. E(B-V)~0.15 at z~3, but E(B-V)~0 at z>~6 (Bouwens et al. 2008, Labbe et al. 2010, Ono et al. 2010b). Is this correct? 現在 過去 宇宙の星形成史、ビッグバンから30億頃にピークを迎える。過去の宇宙へ向けて減少。 星形成の始まりはまだ見えていない。

宇宙史 (解決済みの問題、未解決の問題) 観測限界(~10億年: z~6) 今日(137億年: z=0) Unknown 未知の時代…   (観測データ無し) 宇宙を満たす水素 電離 中性 電離 宇宙再電離?

晴れ上がりと現在の間(z=0-1100; ビッグバンから0.004-137億年後) 宇宙の星形成史 電離光子の放射率密度 星形成率密度の宇宙進化 Ouchi+09b ? ? fesc=0.05 Ouchi et al. (2009b) 過去 The decrease of stellar mass follows ∝(1+z)-6 Dust extinction estimates from UV slope(β) and comparison with SS models. E(B-V)~0.15 at z~3, but E(B-V)~0 at z>~6 (Bouwens et al. 2008, Labbe et al. 2010, Ono et al. 2010b). Is this correct? 現在 過去 宇宙の星形成史、ビッグバンから30億頃に ピークを迎える。過去の宇宙へ向けて減少。 星形成の始まりはまだ見えていない。 銀河(星)がもたらす電離光子だけで宇宙の再電離ができない?(原始ブラックホール??ダークマターの対消滅???)単に我々の星形成の常識が初期の宇宙で通用しないだけ?

宇宙史 (解決済みの問題、未解決の問題) 未解決の問題 観測限界(~10億年: z~6) 今日(137億年: z=0) Unknown 未知の時代…   (観測データ無し) 宇宙を満たす水素 電離 中性 電離 宇宙再電離? 未解決の問題 いつ、どのような物理プロセスで原始ガスから第一世代星、銀河形成されたか? 大規模構造の中の銀河でどのように化学進化が進み今日の元素組成が実現されたか? 宇宙再電離史はどのようなものだったのか?何が宇宙を再電離させたのか?

現在の観測限界(z〜6)、もしくはそれを超える非常に遠い天体(銀河)を観測しなくてはならない 極めて暗い: fz=6galaxy 〜 1/10000000000 x fvega 必要なものは …

大口径望遠鏡 赤外線 可視光・近赤外線 Hubble Space Telescope (NASA/AURA/ESA) Spitzer Space Telescope (NASA/JPL) 可視光・近赤外線 サブミリ・ミリ波 Atacama Large Millimeter/submillimeter Array (ESO/国立天文台/NRAO) 8.2m すばる望遠鏡 (国立天文台)

研究活動 観測準備風景(©NHK) 篠木君 大内 橋本君 観測(過去1年間) 海外誌での発表論文(過去1年間):7編 すばる望遠鏡(2) Keck Telescope(3) Magellan Telescope(2) ハッブル宇宙望遠鏡(1) 海外誌での発表論文(過去1年間):7編 国際会議 (今年度:招待講演) TMT Science & Instrument Workshop (カナダ、バンクーバー) New Horizons for High Redshift Universe(イギリス、ケンブリッジ) Galaxy Mergers in an Evolving Universe (花蓮、台湾) 研究資金 科研費 基盤A(代表大内) 3996万円 NASA研究費(研究代表大内:代理受理R.Ellis) $63,077

ALMA (ESO/国立天文台/NRAO) 今後5年間の研究(2012-2017年) 2つの柱 1) すばるHyper SCによる広域深宇宙探査(U. Tokyo, NAOJ, Princeton, Taiwan etc) 2) ALMAやHST等による高感度深宇宙探査(U. Tokyo, NAOJ, California Inst. of Technology etc.) 可視光・近赤外線 ハッブル宇宙望遠鏡 (NASA/AURA/ESA) 狭帯域フィルター  (本研究室で開発中) Hyper SC (2011-) サブミリ・ミリ波 ALMA (ESO/国立天文台/NRAO)

過去の具体例+これから aa Hyper SCによる広域深宇宙探査 ハッブル宇宙望遠鏡画像(PI:大内) 赤方偏移6の大規模構造(Ouchi+05) 現在研究中につきハッブルの画像は非公開になります。 200Mpc~6億光年 巨大ガス雲           (x10;予想外!) aa

具体例(最近の発見) 遠方銀河の分光同定(距離決定)→再電離への制限 小野君(D3)の解析による発見(約1ヶ月前) 現在研究中につき発見例の画像は非公開になります。 徳利 小野君 遠方銀河の分光同定(距離決定)→再電離への制限 小野君(D3)の解析による発見(約1ヶ月前) 信頼できる質(S/N)のデータでは観測史上最も遠い銀河。 当初、装置の感度からここまで遠い銀河は見つけられないと思っていた →予想外の発見

将来の研究 (2018-20年以降) 未知の宇宙への挑戦 「予想しなかった発見」を皆さんの手で! TMT すばるHyper SC探査 ALMA/HST探査 次世代超大型望遠鏡TMT(「計画中」)による超高感度/高分解能[Opt-NIR]観測研究 Thirty Meter Telescope (TMT; Japan, California, Canada, China, India) 未知の宇宙への挑戦 「予想しなかった発見」を皆さんの手で! TMT すばる TMT完成予想図