熱流動解析のための格子ボルツマン法による超大規模高速GPUコードの開発と複雑固相界面乱流熱伝達の大規模数値解析

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Computational Fluid Dynamics(CFD) 岡永 博夫
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7.伝熱(1).
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Jh NAHI 横田 理央 (東京工業大学) Hierarchical low-rank approximation methods on distributed memory and GPUs 背景  H行列、H2行列、HSS行列などの階層的低ランク近似法はO(N2)の要素を持つ密行列をO(N)の要素を持つ行列に圧縮することができる。圧縮された行列を用いることで、行列積、LU分解、固有値計算をO(NlogN)で行うことができるため、従来密行列の解法が用いられてきた分野では階層的低ランク近似法
川崎浩司:沿岸域工学,コロナ社 第2章(pp.12-22)
燃焼の流体力学 4/22 燃焼の熱力学 5/13 燃焼流れの数値解析 5/22
研究課題名 研究背景・目的 有機エレクトロニクス材料物質の基礎電子物性の理解 2. 理論 3. 計算方法、プログラムの現状
逐次伝達法による 散乱波の解析 G05MM050 本多哲也.
磁気回転不安定性によるブラックホール降着流の角運動量輸送機構の 解明
通信機構合わせた最適化をおこなう並列化ンパイラ
導電性高分子材料の電子状態計算に現れる連立一次方程式に対する 並列直接解法の高性能化
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航空エンジンの翼列周り流れ解析のメニーコアシステム向け最適化
開放端磁場における低温プラズマジェットに関する研究
連続体とは 連続体(continuum) 密度*が連続関数として定義できる場合
GW space-timeコードの大規模な有機-金属界面への適用に向けた高効率化
背景 課題 目的 手法 作業 期待 成果 有限体積法による汎用CFDにおける 流体構造連成解析ソルバーの計算効率の検証
サーマルプローブを用いたイオン温度計測の新しいアプローチ
速度ポテンシャルと 流線関数を ベクトルで理解する方法
Chapter 26 Steady-State Molecular Diffusion
円柱座標系の基底関数系を用いたSCF法による 円盤銀河のシミュレーション
キャリヤ密度の温度依存性 低温領域のキャリヤ密度                   ドナーからの電子供給→ドナーのイオン化電圧がわかる                              アクセプタへの電子供給→アクセプタのイオン化電圧がわかる             常温付近                            ドナー(アクセプタ)密度で飽和→ドナー(アクセプタ)密度がわかる.
SIFTとGraph Cutsを用いた 物体認識及びセグメンテーション
これらの原稿は、原子物理学の講義を受講している
高精細計算を実現するAMR法フレームワークの高度化 研究背景と研究目的 複数GPU間での袖領域の交換と効率化
堆積炭塵爆発に対する大規模連成数値解析 研究背景 研究目的 計算対象および初期条件 燃焼波の様子(二次元解析) 今後の予定
複雑流動場における物質移行過程の解明を目指した大規模数値計算 :実験計測データとの比較による数値モデルの構築
研究背景と目的 解析結果・グラフ 解析手法 今後の展望 太陽光模擬の高精度化 熱中症リスク評価シミュレータの開発と応用
Jh NAHI 横田 理央 (東京工業大学) Hierarchical low-rank approximation methods on distributed memory and GPUs 背景  H行列、H2行列、HSS行列などの階層的低ランク近似法はO(N2)の要素を持つ密行列をO(N)の要素を持つ行列に圧縮することができる。圧縮された行列を用いることで、行列積、LU分解、固有値計算をO(Nlog2N)で行うことができるため、従来密行列の解法が用いられてきた分野では階層的低ランク近似
■ 背景 ■ 目的と作業内容 分子動力学法とフェーズフィールド法の融合による 粒成長の高精度解析法の構築 jh NAH
東京都心1m解像度10km四方気流計算の可視化
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2008年 電気学会 全国大会 平成20年3月19日 福岡工業大学 放電基礎(1)
背景 粒子法(SPH・MPSなど)は大規模流体シミュレーションなどで幅広く利用.一方で,手法の数学的正当化(数値解析)が不十分
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エアリード楽器および音響機器における大規模音響流体解析
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熱伝導方程式の導出 熱伝導:物質の移動を伴わずに高温側から低温側へ熱が伝わる現象 対流、輻射 フーリエの法則Fourier’s law:
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熱流動解析のための格子ボルツマン法による超大規模高速GPUコードの開発と複雑固相界面乱流熱伝達の大規模数値解析 jh170015-NAH 須賀一彦 (大阪府立大学) 熱流動解析のための格子ボルツマン法による超大規模高速GPUコードの開発と複雑固相界面乱流熱伝達の大規模数値解析 研究目的 格子ボルツマン法(LBM)による超大規模熱流動解析を行うための高速GPUコードを開発する. 複雑固相界面における乱流スカラー輸送機構の物理を直接的な数値解析により解明する. 超大規模CFDに対してのGPUマシンのコストパフォーマンスの高さを実証する. 背 景 (1) 27方向速度多緩和時間LBM(D3Q27MRT-LBM) Suga et al. , Comp. Math. Appl. 69 (2015) 電気自動車の駆動ユニット CPUやGPU等のプロセッサ  閉空間に閉じ込められた発熱体の冷却に関する解析 は産業機器の最適設計において最重要 高性能化・コンパクト化 熱のマネージメント技術はますます重要化 並進  多緩和時間衝突モデル 衝突 :密度分布関数 :変換マトリクス(27×27) 実用機器の壁面は複雑な粗さや透過性を有する :モーメント :平衡モーメント 空隙率0.8のカーボンペーパー界面乱流の解析例:ひずみ速度テンソル第二不変量の等値面,バルクレイノルズ数3000 :緩和マトリクス :粒子速度ベクトル 非滑面の乱流スカラー輸送機構の知見は少ない 密度分布関数の並進&衝突計算の繰り返し 主流平均速度分布 LBMによる直接解析を検討 スペクトル法 D3Q27格子ボルツマン法 平行平板間直接数値解析 (摩擦レイノルズ180) シンプルなアルゴリズム 隣接ノード点を用いる計算が少ない 完全陽解法 ポアソン方程式を解く必要ない 格子生成不用 LBMによる大規模CFDコードの開発 シミュレーションの高精度化・高効率化に向けて  これまで検討・開発されてきた手法を統合 スカラー境界条件・移動境界条件の高精度化 高い並列化性能・計算効率 スペクトル法に匹敵する高い解析精度 複雑固相界面の乱流スカラー場の大規模直接解析の実施 (2) 正規化熱格子ボルツマン法 正規化された非平衡分布関数 (3) 条件分岐不使用のGPUカーネル自動生成 Suga et al., Int.J. Heat Fluid Flow (2017) Shimokawabe, Aoki & Onodera, Procedia. Comp. Sci. 80 (2016)  Face (6パターン) 解析の安定化 D3Q27格子ボルツマン法では27通りの隣接点参照 固体:伝導伝熱 流体:対流伝熱 Edge (12パターン) 緩和時間はプラントル数と関連 1つのリーフの外殻格子点の隣接格子点参照が26(6+12+8)パターン 共役伝熱解析が容易に可能 複雑境界面の容易に取り扱い可能 Inner Grid 合計26×27=702通りのアクセスパターン    Corner    (8パターン) GPUによる複雑壁面の大規模熱流動解析に有効 条件分岐を行わないプログラムを実装するために,C++テンプレートによって702通りのカーネルを自動生成 多孔体の共役熱流動解析例:赤色は高温,青色は低温を表す. 単純実装に比べて10倍以上の高速化 (4) 局所細密格子法 局所細密格子法による角柱周りのLES解析 主流平均速度分布 Kuwata & Suga, J. Comp. Phys. 311 (2016) 研究計画 Coarse grid 連続条件 運動量・圧力・応力 温度・熱流束 格子境界面の物理量 の不均衡を修正 FLOW 開発してきた手法(1)-(5)を統合し,乱流スカラー場の大規模解析のためのGPUコードを開発する. 透過性壁・粗面壁などの非滑面上の乱流熱流動の直接数値解析を実施し,透過性・粗さがスカラー輸送に与える影響を調査する.さらに,高いレイノルズ数における大規模解析を行う. 回転体や移動物体周りに適用する移動境界条件(リフィル問題)について検討し,さらに,熱的境界条件(ノイマン・ディレクレ条件)の高精度化を行う. 移動する複雑粗面壁をもつ回転二重円筒内流れを解析し,コードの実用性・パフォーマンスを実証する. 有限体積法 D3Q27格子ボルツマン法 Fine grid 90%以上の計算コスト低減を実現 複雑乱流場も高い解析精度 (5) 8分木に基づく細密化 八分木 長谷川 & 青木,情報処理学会論文誌 Comp. Sys. 9 (2016) 再帰的に細分化 直交格子を8分木データ構造に基づき再帰的に細分化する適合細分化格子を導入. 同じ計算セル数を持つリーフを複数GPUに均等分配 計算負荷の均衡化・高い並列化性能 連続メモリアクセスによるキャッシャの活用 それぞれのリーフに対して163 or 323格子を割り当て