The Spectral Evolution of Recurrent Nova T Pyx in 2011 outburst

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The Spectral Evolution of Recurrent Nova T Pyx in 2011 outburst 連星・変光星・低温度星研究会 (@京都産業大学) 2012年2月17日~19日 回帰新星 T Pyx の2011年 爆発時におけるスペクトルの進化 The Spectral Evolution of Recurrent Nova T Pyx in 2011 outburst 今村和義, 田邉健茲, 高木良輔 岡山理科大学

1. Introduction -Novae- 古典新星 回帰新星 白色矮星(WD)と赤色星からなる激変星 1回しか爆発が見つかっていない 古典新星 2回以上爆発が見つかっている 回帰新星 TR ~ 104 – 108 year TR < 102 year 新星の模式的な光度曲線 (Payne-Gaposhkin, 1957)

Galactic Recurrent Novae 現在確認されている銀河系の回帰新星 (Schaefer, 2010) Star Outburst Porb t3 Sp.(2) CI Aql 1917, 2000 0.6183 d 36 d ? T CrB 1866, 1946 227.57 d 6 d M3III V394 CrA 1949, 1987 0.76 d K IM Nor 1920, 2002 0.1025 d 80 d RS Oph 1898, 1933, 1958, 1967, 1985, 2006 455.72 d 14 d M0-2III V2487 Oph 1900, 1998 ~1 d 8 d T Pyx 1890, 1902, 1920, 1944, 1966, 2011 0.0762 d 62 d V3890 Sgr 1962, 1990 519.7 d 17 d M5III U Sco 1863, 1906, 1917, 1936, 1945, 1969, 1979, 1987, 1999, 2010 1.2304 d 3 d F8 V745 Sco 1937, 1989 510 d 15 d M4III

Classification of Recurrent Novae 三つのサブクラス Warner (1995) より T Pyx subclass U Sco subclass T CrB subclass T Pyx U Sco, V394 CrA T CrB, RS Oph, V3890 Sgr, V745 Sco Porb が1日以下 t3 が長い Porb が1日程度 t3 が短い 輝線幅が広い (FWHM > 5000 km/s) Porb が数100日 伴星が赤色巨星 IM Nor, CI Aql, V2487 Oph のサブクラスは?

T Pyx: 1890 - 1944 Outburst 1890 1902 1920 1944 Outburst Coment Reference 1890 Leavitt の追跡調査で発見される (7.9:等). Leavitt (1920) 1902 H. Leavitt によってHarvardの写真乾板から初めてoutburstが発見(7.3等) . Leavitt & Pickering (1913) 1920 Leavitt によって発見 (6.6等). 1944 7.1等にまで明るくなっているのを発見. Campbell (1945) 1902年と1920年の爆発で光度変化の様子は確認されている。 しかしこれら4回の爆発において分光観測がなされたのは1920年(+24 d)と1944年(+130 d)の二回のみ。 ●1902 outburst ○1920 outburst Range: 6.5p – 15.3p (Payne-Gaposhkin, 1957)

1967年の爆発で多くの観測(主に眼視)が行われ、光度変化がより明瞭になる。 Outburst in 1966 1967年の爆発で多くの観測(主に眼視)が行われ、光度変化がより明瞭になる。 Schaefer (2010) t3=62 d

Spectra in 1966 極大の23日前から分光観測(写真)が行われた He I, N II, Fe II などの輝線やP-Cyg profile Hβ輪郭の変化 Hβの時間変化 -23 d -20 d -23 d +30 d +49 d -20 d +56 d +106 d +155 d +49 d (Catchpole, 1969) (Catchpole, 1969)

T Pyx は40年以上に渡って次の爆発が期待され続けてきた。 Motivation T Pyxは1966年まで約20年ごとに爆発が見られてきた。 以後40年以上に渡って爆発が見られなかった (見逃しの可能性もあるか?!)。 質量降着率が下がって休眠期に入り数千~数百万年は爆発しない、とも言われた (Schaefer et al., 2010)。 1966年の分光観測は写真観測で長波長側の詳細不明。 極大前(1966年)のスペクトルは二晩しかない。 極大前後の観測例も無い。 問題点 T Pyx は40年以上に渡って次の爆発が期待され続けてきた。

2011年4月14日にアメリカの M. Linnolt 氏によって13等にまで増光していることが発見される!およそ45年ぶりの爆発。 2011 Outburst! 2011年4月14日にアメリカの M. Linnolt 氏によって13等にまで増光していることが発見される!およそ45年ぶりの爆発。 発見のアラート (vsnet-alert 13154など) を受け、田邉自宅天文台において4月16日から5月14日まで分光観測を行った。 その後、2012年2月4日に美星天文台(公募観測)でも分光観測を行った。

2. Observations 望遠鏡:セレストロン(C11) D=28 cm, F10 赤道儀:高橋 NJP 大学屋上では観測が行えなかった。 TPOは西低空の観測に適している。 観測の大部分は田邉 (教授) による。 田邉自宅天文台 (Tanabe Personal Observatory; TPO) 望遠鏡:セレストロン(C11)  D=28 cm, F10 赤道儀:高橋 NJP 分光器:SBIG DSS-7 (R~400) CCD:SBIG ST-402

Bisei Astronomical Observatory 望遠鏡: D=101cm 分光器:R~1000 (300 lines/mm) CCD:ANDOR DU-440BV

3. Results 3-1. Early Phase 3-1. Early Phase 3-2. Late Phase 田邉自宅天文台で得た結果について 3-1. Early Phase 田邉自宅天文台で得た結果について 3-2. Late Phase 美星天文台で得た結果について

3-1. Early Phase 極大の25日前から極大周辺に渡って計11夜の分光観測に成功。 maximum (光度曲線のデータはVSOLJより; 前原氏, 清田氏, 伊藤氏) maximum

He/N type -25 to -21 days from maximum Hα, β, γ, δ 同定した輝線 Hα, β, γ, δ He I, N II, N III, O I 主に高励起な輝線 He/N type Williams (1992)

Fe II type -18 to +2 days from maximum Hα, β, γ, δ Fe II, Na I, O I 同定した輝線 Hα, β, γ, δ Fe II, Na I, O I 主に低励起な輝線 Fe II type Williams (1992)

Variation of Fe II Lines

Variation of Hα line Hα 極大へ向かうにつれて P-Cyg profile が発達した。 FWHM (km/s) は減少傾向を示した後、少しずつ上昇傾向を示した。 Hα HαのFWHM (km/s) の変化

3-1. Early Phase 3-2. Late Phase 田邉自宅天文台で得た結果について 3-2. Late Phase 美星天文台で得た結果について

3-2. Late phase 星雲線期 特有のスペクトル! 極大から268.5日後 (2012年2月4日) のスペクトル 観測は美星天文台にて (R~1000) V~13 mag [O III] 4959, 5007 星雲線期 特有のスペクトル! [O III] 4363 Hβ [N II] 5755 Hα

Line Identification 高励起な酸素や鉄などの禁制線が見られた N III Hβ He II Hα [Fe VII] 5276, [Ca V] 5309 ? [Fe VII] 5159, [Fe VI] 5176 ? noise noise [Fe VII] 6087 ? [O I] 6300 ? [O II] 7325

Double Peaks [N II] Hα

pre-max stage で He/N type から Fe II type へと変化 4. Discussion pre-max stage で He/N type から Fe II type へと変化 (光度曲線データはVSOLJより; 前原氏, 清田氏, 伊藤氏) maximum Fe II He/N

今回 T Pyx でもHe/N type から Fe II type への進化を捉えた(2例目)。 一般に新星の極大前の光度変化は1日~数日と大変速いため、その増光初期の分光観測の例は少なく、断片的。 very slow nova の V5558 Sgr で 、極大前に He/N type から Fe II type へ変化することが初めて観測されている(Tanaka et al. 2011)。 今回 T Pyx でもHe/N type から Fe II type への進化を捉えた(2例目)。

極大前は光学的に厚い (optically thick) エンベロープが膨張している (Warner, 1995 & 2008)。 極大後は膨張によってガスが薄くなり、光球半径が縮む(Hachisu & Kato, 2006)。故に光学的に薄い (optically thin) 領域がより拡がる。 光学的に厚い 光学的に薄い Light curve T Pyx や V5558 Sgr の極大前の進化はどう解釈すべきか? He/N type (高励起輝線) → Fe II type (低励起輝線)

Evolution of Pre-max Stage 爆発で先に一気にガスが広がる 光球が占める割合はエンベロープに比べて小さい 増光初期 He/N type 光球 光学的に薄い領域 ガスの膨張速度が減速 光球が成長がしてくる (光学的に厚い領域が増える) 極大直前 Fe II type 光球 光学的に薄い領域 outburst!

Hα輝線の減速 増光途中で膨張ガスが減速する様子を捉えている He/N Fe II (P-Cygni profile も徐々に強くなる) 膨張速度の減速とHe/N type から Fe II type への進化の時期が合うと考えられる。

5. Summary T Pyx (2011 outburst) の極大25日前から極大周辺に渡って継続的に分光観測することができた。 極大前のスペクトルはHe/N type から Fe II type へと進化した。V5558 Sgr に次いで二例目。 極大へ向かうにつれ、輝線幅の減速、P-Cygni profile の成長が見られた。 nebular phase のスペクトルにおいて、[O III], [N II], バルマー線はダブルピークを示していた。 爆発初期では光学的に薄い領域が支配的で、極大に向うにつれ光学的に厚い領域が支配的になると考えられる。

References Campbell, L., 1945, Harv. Obs. Repr. 277 Catchpole, R. M., 1969, MNRAS, 142, 119 Hachisu, I. & Kato, M., 2006, ApJS, 167, 59 Leavitt, H. S., 1920, H. A., 84, 121 Leavitt, H. S. & Pickering, E. C., 1913, Harvard College Obs. Circ., 179, 1-4 Payne-Gaposchkin, C., 1957, The Galactic Novae (North-Holland P.C.) Schaefer, B. E., 2010, ApJS, 187, 275 Schaefer, B. E., Pagnotta, A. & Shara, M. M., 2010, ApJ, 708, 381 Tanaka, J. et al., 2011, PASJ, 63, 911 Warner, B., 1995, Cataclysmic Variable Stars (Cambridge) Warner, B., ed. Bode, M. F. & Evans, A., 2008, Classical Novae (Cambridge) Williams, R. E. , 1992, AJ, 104, 725