ALMA Band10用 導波管型LOカプラ一体型低雑音SISミクサ

Slides:



Advertisements
Similar presentations
情253 「ディジタルシステム設計 」 (5)Noise5
Advertisements

野辺山 45 m 望遠鏡用 100 GHz 帯 2SB 受信機システムの開発
川口則幸教授 退任記念ワークショップ 日通機における 電波天文機器の開発 2014年6月3日 日本通信機株式会社 武井 健寿.
発表内容 研究背景・目的 伝送線路の構造 伝送線路間カップリングシミュレーション - 1段増幅器シミュレーション
発表内容 研究背景と課題 クロスカップルキャパシタ PAの設計手法 測定結果 2010/03/01 H. Asada, Tokyo Tech.
各種鏡面材料の640GHz帯 サブミリ波反射特性の測定
発表内容 研究背景 Txリークの概念 測定・シミュレーションの方法 測定結果・誤差解析 Txリークの主な原因を特定 まとめ
フィードバック制御に基づく 定在波型熱音響エンジンにおける 自励発振条件の特徴付け
ALMAの状況と将来計画 菊池健一(国立天文台) 2016/03/07-08, 第16回 ミリ波サブミリ波受信機ワークショップ(於電通大)
SQL観察に向けた微小振動子の振動特性評価
高エ研ライナックの高周波窓の現状 高エネルギー加速器研究機構 加速器第三研究系 道園真一郎.
みさと8m電波望遠鏡の性能評価 8m (野辺山太陽電波観測所より) (New Earより) 和歌山大学教育学部 天文ゼミ  宮﨑 恵 1.
640 GHz 帯 SIS 受信機の 利得線形性の測定 菊池、瀬田、稲谷、SMILES ミッションチーム 概要:
木村公洋、小川英夫、大西利和(大阪府立大学・理)
茨城局における 22 GHz 帯受信システム整備状況
高周波観測 大田 泉 (甲南大学理工学部) 空気シャワー電波観測ワークショップ2014@甲南大
関戸 衛、岳藤一宏 情報通信研究機構 鹿島宇宙技術センター 時空標準研究室
FOREST 搭載 IF 広帯域化100GHz 帯 SIS ミクサの開発 2
ー 第1日目 ー 確率過程について 抵抗の熱雑音の測定実験
計画研究ク 重力波天文台用高性能光源の開発
大気レーダーのアダプティブクラッタ 抑圧法の開発
低周波重力波探査のための ねじれ振り子型重力波検出器
茨城 32 m 電波望遠鏡(高萩局・日立局)の整備状況
5.3 接地アンテナ 素子の1つを接地して使用する線状アンテナ 5.3.1 映像アンテナと電流分布
・コンピュータのアナログデータの 扱いについて ・制御
アクティブフィルタによるW-CDMA受信機の歪抑制に関する検討
三極管型熱陰極高周波電子銃のための 同軸共振空胴の製作と性能評価
統計的手法による微弱雑音測定システムの開発
ミリ波帯電力増幅器における発振安定性の検討
ALMA Band 4 受信機 進捗状況 国立天文台先端技術センター 伊藤哲也 2010/3/5 ALMA Band 4 status.
デザイン情報学科 メディア情報設計 河原英紀
一般財団法人 VCCI 協会 教育研修専門委員会
クワッドリッジホーンアンテナ (広帯域フィード) を 用いた電波望遠鏡の測地VLBIにおける性能評価
安東 正樹池本尚史,小林洸,坪野公夫 (東京大学 理学系研究科)
27 共鳴管付ループ管型熱音響冷凍機の製作と ナイキストの安定判別に基づく発振条件の解析
基本システムのボード線図 ボード線図による基本システムの同定
低インピーダンス伝送線路を用いたミリ波帯VCOの低雑音化の検討
LCGT and QND experiment at NAOJ
電気回路の分類 一部修正しました 非線形回路 (重ね合わせの理が成り立たない) 線形回路 (重ね合わせの理が成り立つ)
高分解能ビーム軌道傾きモニターの設計開発
空洞型ビーム軌道傾きモニターの設計 東北大学 M1 岡本 大典 .
小型衛星パスファインダーによる総合的試験
C4 能動騒音制御を用いたループ管熱音響冷却機の製作
IF 整合回路 JEM/SMILES 用 640 GHz SIS ミクサの開発 LOAD IF-circuit
ミリ波帯電力増幅器における 発振の検証 ○松下 幸太,浅田 大樹,高山 直輝, 岡田 健一,松澤 昭 東京工業大学
サンテクノ技術セミナー 高周波技術入門 講座テキスト その3 平成18年6月30日.
22/43 GHz帯フィルタによる 野辺山45 m鏡二周波同時観測の現状について
電子回路Ⅰ 第8回(2007/12/03) 差動増幅器 負帰還増幅器.
ミリ波帯キャパシティブクロスカップリング差動増幅器のための対称交差レイアウトの提案
産総研・計測標準 寺田聡一 東大地震研 新谷昌人、高森昭光
電子回路Ⅰ 第9回(2008/12/15) 差動増幅器 負帰還増幅器.
熱音響コアが多段接続された 電力フィードバック進行波型熱音響発電機の 発振条件及び実験
Photo detector circuit of KAGRA interferometer (based on LIGO circuit)
ナイキストの安定判別に基づく熱音響システムの自励発振解析における発振余裕と 定常発振状態における圧力振幅の関係
核融合炉における多変数制御、分布制御に向けた制御器設計
Interferometer Photo Detector Circuit
1.85m電波望遠鏡 230GHz帯超伝導(SIS) 受信機の現況
LCGT and QND experiment at NAOJ
平成15年度情報システム工学序論 「ラジオ」について Inside of the Black Box 本多達也 情報システム工学科1年
HEBミクサを用いた THz-QCLの周波数安定化
神岡での重力波観測 大橋正健 and the LCGT collaboration
TOBAの現状と今後の計画 坪野研輪講 2012年2月22日 岡田健志.
DECIGOの光学設計の検討 第17回DECIGOワークショップ 2018.11.1 川村静児(名古屋大学)
物理学実験 II ブラウン運動 ー 第2日目 ー 電気力学結合系の特性評価 物理学実験II (ブラウン運動) 説明資料.
KAGRA用防振装置のプレアイソレータの性能測定
天体電波望遠鏡の開発  研究者:福永 健司 共同研究者:笠原  良太.
国立天文台 先端技術センター 金子慶子, A. Gonzalez, 福嶋美津広, 藤井泰範, 浅山信一郎
九大タンデムにおけるビーム・バンチャー改良
深宇宙通信への応用に向けた サブ・ガイガーモード光子検出器の開発
ASTE望遠鏡を用いたVLBI観測の ための超伝導230GHz帯受信機開発
Presentation transcript:

ALMA Band10用 導波管型LOカプラ一体型低雑音SISミクサ 黒岩宏一 (大阪府立大学) 小嶋崇文(国立天文台/大阪府立大学) M. Kroug, 藤井泰範, 金子慶子, 宮地晃平, 鵜澤佳徳 (国立天文台),王鎮 (情報通信研究機構),小川英夫(大阪府立大学)

LOカプラ一体型ミクサブロック の開発目的 ① LO信号の典型的な出力は 10-15 mW ②テラヘルツ帯では単位長さ当たりの導波管の損失が増大 Band10用のLOカプラの目的は ①LO信号は典型的に10-15マイクロWであり非常に微弱であることから、適切なカップリング率をもつこと。②テラヘルツ帯では単位長さ当たりの導波管の損失が増大するため、導波管の長さが短いことが必要です。 LOカプラ一体型低雑音SISミクサの開発ではまず、テラヘルツ帯では導波管の損失が単位長さ当たり増大します。よって一体型によって導波管長を最小の設計をしました。 そしてjunctionの消費電力が0.3マイクロWの時ミクサの雑音が最小であり、LO信号の出力の典型的な出力は10-15マイクロWであるから、カップリング率は10dBを採用した 10 dBカプラの開発は微細加工で困難 であり、表面粗さを含めた カップリングが良すぎる LO 信号の強度不足

LOカプラ一体型ミクサブロックの設計 10 dB coupler RF Corrugated horn IF output 6.2 mm RF Signal Superconducting Magnetic coil LO Signal LO diagonal horn こちらが設計したLOカプラ一体型ミクサです。 LO信号が微弱なため10dBカプラを採用し、導波管長を最小にするためカプラをミクサブロックと一体化しました。カプラを一体化したことで導波管は6.2mmになり、別の測定結果からの損失から0.3dBに相当します。  ローカル信号はミクサブロックと一体化したダイアゴナルホーンで受信します。RF信号はフランジで接続されたコルゲートホーンで受信します。このRF信号とLO信号はミクサブロックに一体化された10dBカプラでカップリングされミクサチップまで伝送されます。 6.2 mm → 0.3 dB 損失 WR-1.2冷却時損失測定 RF in Mixer chip Port 1 Port 2 Port 3 Port 4 LO in Termination 100 mm

IF chain at room temperature LOカプラ一体型ミクサ 雑音温度測定 LO 側 RF 側 4K stage LO source Isolator CLNA Mixer Cold Load Hot load Chopper このカプラ一体型ミクサの雑音温度を測定しました。LO信号は定倍器でつくり、ホーンから平面鏡・楕円鏡を経由してミクサに導かれ、RFのhot coldは楕円鏡でミクサに導かれます。 この測定系はLO側からhot coldを入力できるのでLO側の雑音温度を測定しました。これは冷却系状態でカップリング率を測定できます。 IF chain at room temperature カプラのRF側,LO側の雑音温度を測定    →カップリング率を冷却で測定可能

雑音温度・利得測定結果 → 0.8 – 0.95 THz で330 K以下 0.87 THz で221 K RF 側 LO 側 横軸周波数で縦軸が雑音温度、利得です。RF側の雑音温度は0.801-0.95THzで量子限界の7.5倍である330K以下、0.87THzで221Kという低雑音でした。 そして、LO側の雑音温度は右の図です。この測定結果の利得からカップリング率を求めました。 低雑音!! LOカップリング 測定図 → 0.8 – 0.95 THz で330 K以下   0.87 THz で221 K

冷却時 カップリング率 Port 1 Port 2 RF in Mixer LO in Termination Port 4 Port 3 測定値 計算値 横軸が周波数、白い点が挿入損失、黒点がカップリング率をあらわしています。計算値は実線であり計算値と一致していることを確認しました。

結論 10 dB LOカプラは計算値とよく一致 →カプラ部が設計どおりにできていることを示唆 0.8 – 0.95 THz で雑音温度 330 K以下 →ALMA Band10の使用に耐えうる 耐えうると考えられます ポスターをご参照ください

はじめに ヘテロダイン受信機でRFとLO信号を結合する手法 ・ ビームスプリッタ 機械的に不安定 ・ 導波管型カプラ 機械的に安定

IF chain at room temperature 雑音温度・利得測定 Chopper 4K stage Isolator CLNA Mixer Hot load Cold Load Cold Load Hot load Chopper LO source IF chain at room temperature

ALMAのスペック 230K ミクサ 前段のロスを下げる 導波管のロス カップラのロス(カップリング率) ミリ波でも評価されていない 導波管のロス カップラのロス(カップリング率) ミリ波でも評価されていない 評価方法 導波管を小さく  (定倍機を離す) 110K 4Kステージには電力供給から定倍機をおけない Band10 で230Kという低雑音化のためミクサの前段のロスを下げることが重要。電力供給の観点から定倍器は冷却できない。導波管でローカル信号の入力は、導波管のロスのため、カートリッジの外からホーンでテラヘルツを飛ばしてホーンを受信するシステムを採用。