救急撮影セミナー 2009.9.27 横浜 2018/9/17 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー.

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救急撮影セミナー 広島 2018/11/9 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー.
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外側線条体動脈領域:分枝粥腫型梗塞とラクナ
諏訪邦夫 (当時東京大学医学部麻酔学教室所属)
御案内: この作品の製作コンセプト ●一般歯科医の現実問題として、パノラマ写真を見る時、歯牙周辺のみに注意が集中している現実があり、特に上顎周辺部は微細な構造が複雑に重なり合っており、しかも原理や像の成り立ちに対する理解が不十分なこととあいまって、ほとんど正確に読影されていないという問題意識から作成。
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救急撮影セミナー 2009.9.27 横浜 2018/9/17 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー

内因性疾患の診療における 撮影の実際 2018/9/17 救急撮影セミナー

脳卒中撮影法 2018/9/17 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー

脳卒中の画像診断の流れ 単純CT 虚血性 出血性 ・MRI ・造影CT (Perfusion-CT) ・造影CT (CT-Angiography) ・Angiography

頭部単純CTにおけるポイント 撮影レベルとスライス厚の関係 スキャン範囲は必ず脳全域(大後頭孔から頭頂部)をカバーしていること 骨からのアーチファクトができるだけ少ないこと(特に後頭蓋窩) 白質・灰白質のコントラストが十分にあること 脳槽・脳溝が明瞭であること 単純CTでも主要血管がある程度同定できること 撮影レベルとスライス厚の関係 複雑な骨構造による由来するアーチファクトが多い アーチファクト軽減のためにスライス厚3~5mmを使用 骨からのアーチファクトも減少 脳梗塞、高血圧性出血性病変の好発部位 コントラストを優先してスライス厚10mmを使用 後頭蓋窩レベル 中脳から大脳基底核、側脳質体部レベル 側脳質体部~頭頂レベル パーシャルボリューム効果の影響を受けやすい 必要に応じて5~7㎜程度のスライス厚を使用

虚血性脳血管障害

局所脳虚血による病変 ペナンブラ領域 虚血中心部 可逆的な虚血領域 適切な治療により梗塞という不可逆性組織障害 の回避が期待できる領域

頭部単純CTにおけるEarly CT sign 最も早く描出 される所見 灰白質・白質のコントラスト低下に伴うもの ・基底核の不明瞭化 ・皮質髄質境界の不明瞭化 ・島皮質の濃度低下 脳浮腫の出現に伴うもの ・脳回の腫脹や脳溝の狭小化 わずかな濃度差から得られる所見 撮影条件が重要!!

Early CT sign Early CT signを正確に評価するためにS/Nの良好なCT画像 を得る必要がある。 CT推奨撮像条件 ①スキャン方式はコンベンショナルスキャン ②スライス厚は原則としてテント上は5~8㎜ ③再構成関数は最適なものを使用 ④CRT上での観察、フィルムへの焼付けは十分に狭いWindow幅で行う( Window幅80以下を推奨) ⑤スキャンの推奨条件は設定しない。   (コントラスト分解能の向上のため2秒/回転以上が望ましい) MELT Japanホームページより抜粋

脳梗塞のCTプロトコール 撮影範囲 脳全体 大後頭孔から頭頂部 撮影条件 管電圧:120kV 管電流:400mAs程度 脳全体 大後頭孔から頭頂部 撮影条件 管電圧:120kV 管電流:400mAs程度 スキャンスライス厚:5~10mm以下 再構成FOV 220~250mm                  その他 再構成スライス厚:5mm~10mm Window条件は、WW60~80、WL40

Early CT sign検出向上の一工夫 Window幅 DWI WL35 WW100 WL35 WW70

Perfusion-CT 造影剤を急速静注し、造影剤が脳を初回循環する際に同一断面を 連続的に撮像し、時間-濃度曲線から脳循環情報を解析する検査 ー撮影法ー 注入レート:3~5ml/sec 注入量:30~60sec Delay:5sec 撮影時間:45~50sec 解析方法:deconvolution法 その他:CTAを併用する場合はCTPを先行させ、          2~3分後にCTAを施行する

Perfusion- CT撮影時の要点 頭部をしっかりと固定する ⇒撮影中に動きがあると解析ができない 眼球を外して水晶体の被曝を避ける   ⇒撮影中に動きがあると解析ができない 眼球を外して水晶体の被曝を避ける   ⇒同一断面をDynamicに撮影するため 管電圧は低電圧(80kVp)・低電流・低速回転   ⇒低電圧はコントラスト向上に寄与し、被曝低減 造影剤注入開始5sec後より撮像を行う   ⇒早過ぎると被曝量が多くなり、遅すぎると造影剤到達前の     ベースラインデータが不十分となる 撮像時間は50sec~60sec   ⇒短いと虚血部分のデータが不十分、長いと被曝量増大  ・・・被曝低減・コントラスト分解能を上げる

CT-Perfusionにおける主要パラメータ 脳血液量(celebral blood volume;CBV)   脳組織100g中に含まれる血液の量、流れの遅い速いは考慮され   ない   組織中の血管の量・密度・血管拡張の度合などを反映 脳血流量(celebral blood flow;CBF)   脳組織100g中に1分あたりに流れる血液の量   脳組織のパラメータで最も重要な指標 平均通過時間(mean transit time;MTT)   組織中を流れる血液の平均的な時間 ⇒低下域は非可逆的虚血域を示唆 ⇒虚血の重症度の予測が可能 ⇒還流異常領域に鋭敏 3つのパラメータの間には次の式が成り立つ CBF=CBV/MTT

超急性期脳梗塞の虚血領域では・・・ 脳血流量 平均通過時間 脳血液量 脳血液量 脳血液量低下の領域のほとんどが最終梗塞となる 脳灌流圧の低下した領域では自己調節能が働き、細動脈や 抵抗血管が拡張することで 脳血液量 一方、非可逆的虚血領域では 脳血液量 脳血液量低下の領域のほとんどが最終梗塞となる

Perfusion-CT 梗塞部位 (中大脳動脈) 左中大脳動脈領域の血流量低下、平均通過時間の延長が認められる。 CBF:cerebral blood flow CBV:cerebral blood volume 脳血流量 脳血液量 梗塞部位 (中大脳動脈) 撮影法 注入レート:3~5ml/sec 注入量:30~60sec Delay:5sec 撮影時間:45~50sec 平均通過時間 MTT:mean taransit time 左中大脳動脈領域の血流量低下、平均通過時間の延長が認められる。

MRIの利点 時間 情報量 虚血組織障害の程度と拡がり⇒DWI 脳血管閉塞の有無⇒MRA 脳血流低下の有無とその程度・拡がり⇒PWI 微小出血の有無⇒T2*WI 上記の情報が1回の検査で得られ、的確な治療計画が立てられる 情報量 時間 トレード・オフ 3時間というアルテプラーゼ静注療法のタイム・ウィンドウでは・・・ DWIによる初期虚血領域の検出に主眼がおかれる

脳梗塞に対するMRI 特徴は・・・ 問題点は・・・ 診断能は・・・ MRIでは特に拡散強調画像(diffusion-weighted imaging;DWI)が単純CTよりも   格段に虚血領域の描出に優れる。 脳出血に関しては、T2*強調像が不可欠 くも膜下出血の判定にはFLAIRが必要 問題点は・・・ 読影が誰にでも簡単にできない 撮影に時間がかかる CTと拡散強調像での虚血領域描出の鋭敏度に違いがあるため   単純CTで使われてきた1/3ルール、ASPECTがそのまま適応できるかどうか   エビデンスが無い 診断能は・・・ 急性期脳梗塞に対する拡散強調画像の感度は高く、特にある程度の範囲をもつ   塞栓性梗塞であればほとんど100%である。ただし、ラクナ梗塞、脳梗塞では   24時間以内に異常所見が認められない場合もある

出血性脳血管障害

各種血管撮影法の長所と短所 撮像法 長所 短所 非侵襲的に動脈内腔を 3Dで描出 静脈の重なりがない 内腔の一部のみの描出 病的状態の描出に難 非造影TOF-MRA 非侵襲的に血流情報が 得られる PC法 病的状態・乱流に弱い 内腔の確実な描出 3D data 高空間分解能 被曝がある 造影剤の急速注入 3D CTA 短い検査時間 内腔の描出のgold standard 高空間・時間分解能 高度の合併症の可能性 高い非侵襲的 DSA (conventional)

造影CT 救急患者は特に循環動態が不安定のため、 症例によりその最適のタイミングは異なることが多い 最適な動脈相を撮影するには、症例ごとに造影剤の 到達時間を調整してスキャン開始時間を決定する ボーラストラッキング法 テストインジェクション法 造影剤の大動脈への到達を経時的 にモニタリングし、大動脈の濃度が ある閾値に達した後に撮影を開始 少量の造影剤を注入し、低線量で 一定の横断面を連続撮影し、 大動脈の造影剤到達速度を測定 テストインジェクションでは、造影剤量の増加や検査の煩雑さが あるため救命領域ではボーラストラッキング法を推奨

造影剤注入法と時間濃度曲線(TDC)との関係 基本カーブ CT値 CT値 時間 注入速度2倍 時間 注入量2倍 CT値 CT値 注入速度0.5倍 時間 注入速度2倍、注入量0.5倍 時間

造影剤注入法と時間濃度曲線(TDC)の変化 到達時間はほぼ一定 ピーク時間は注入時間に比例 最高濃度は注入速度、注入量、注入時間に比例 造影有効時間は注入時間に比例 64列 4列 CT値 時間 多列化により、 造影剤の注入レートを 挙げて、注入量を減らす ことが可能。 ピークを的確に捕らえる ことにより、良好な VR画像やMIP画像を 作成でき、診断能向上 につながる。

造影剤ルートの確保 右尺側皮静脈での血管確保が望ましい 右橈側皮静脈は肩のところで急速に腋窩静脈に流入、 腕を挙上した体位では、この部分で造影剤のうっ滞が 起こり、血管内造影剤濃度の不良を引き起こすことがある 左側からの注入では、左腕頭静脈が大動脈弓部と胸骨の 間を走行するため、造影剤によるアーチファクトが生じる 左側からの注入において大動脈弓部に瘤がある症例では、 左腕頭静脈が瘤により圧排され、狭小化することがあり、 この部分で造影剤がうっ滞する可能性がある

CT(Volume data)からの画像表示法  -VR(volume rendering)法- 光の透過特性である不透明度を各CT値に割り当て、視線方向に   沿った光源減衰を全ボクセルで管理するものである。   表示したい領域のCT値の上限値と下限値範囲をオパシティカーブ   で立体的に表現する。現在の三次元表示の主流。

-MIP(maximum intensity projection:最大値投影法)- 特に、CTAでとらえた血管情報をDSAと同様な画像処理で観察する 場合よく使われる簡便な処理法。 また、ステレオ表示、回転表示をすることによって、三次元的な理解 も深まる。

-MPR(multi planar reconstruction)法- 薄く連続したCT画像により作成される。レンダリングによる三次元表示ではCT値の情報をすべて表現することはできないが、MPRはCT値情報をそのまま表示できる。MPRでは、sagittal、coronal での画像観察を始め、任意断面・任意画像厚での表示ができる。 axial sagittal coronal

-CPR(curved-planar reconstruction)法- ボリュームデータを曲面に沿って 展開した画像 蛇行する構造を1断面で表示する ことが可能 1断面で血管全体が観察できるので 有用であるが、血管の中心を正確に 通っていないと正確な評価は できない。

CT-Aの特徴 長所 MRAに比べ撮像時間が短い(数秒) 空間分解能が高い(0.5㎜ isotropic程度) 空間分解能が高く、歪みが少ないので計測に向く 骨との関係が容易にわかる MRIと比較すると原理が単純で解釈が容易 救急患者の安全性を確保しやすい 短所 放射線被曝(量子フィルター等を用いることにより低減可能) 造影剤を用いる必要がある 造影のタイミングが重要 血流情報がない(多列化により解決) 骨や石灰化の重なりがある(サブトラクションで解決) MRIに比べ頭蓋内病変の診断能に劣る(急性期脳梗塞etc)

動脈瘤の好発部位と破裂時SAHの分布 部位 頻度 出血の分布 ウィルス動脈輪に好発する CTの早期相は、ウィルス動脈輪をターゲットにする 内頸動脈、後交通動脈 30~40% 鞍上槽中心に、同側優位、両側性 前交通動脈 25~35% 大脳縦裂前部、交叉槽、脚間槽などから Sylvius裂まで左右対称、両側性. 透明中隔内に血腫形成 中大脳動脈 15~20% 同側のSylvius裂中心 椎骨脳底動脈 5~10% 迂回槽、脚間槽、橋前槽中心に左右対称, 両側性.第4脳室内に血腫形成 ウィルス動脈輪に好発する CTの早期相は、ウィルス動脈輪をターゲットにする

ウィルス動脈輪

頭部3D-CTA 撮影体位 撮影範囲 造影条件 可能な限り顎を引いた状態でのポジショニングが望ましい ・OM lineやRB lineを垂直にした場合に比べて、同じ脳血管領域を撮影する  にしても短い撮影範囲でカバーでき、高い造影効果の維持が可能 ・眼球への被曝を最小限にできる 撮影範囲 頭蓋底から前大脳動脈遠位部(A3くらいまで) 頭蓋底から頭部を6割程度含めた撮影範囲(頭蓋底から6cm程度) 造影条件 造影剤濃度(mgI)   量(ml)   注入速度(ml/sec)  撮影遅延時間(sec) 300~370 100~150 3~4 20 *遅延時間をボーラストラッキング法(目視)で決定する方法もある

瘤内塞栓術法 1.3D-DSAを撮影し、動脈瘤の計測と ワーキングアングルを決定する。 2.マイクロカテーテルを瘤内に誘導し、   ワーキングアングルを決定する。 2.マイクロカテーテルを瘤内に誘導し、   動脈瘤サイズに合わせて最初のコイルで   ケージを作成する。 3.順次にコイルを小さくしながら、内部を密に   パッキングしていく。 4.塞栓を終了する目安は、小さく短いコイル   も入らない、もしくはコイルを挿入しようとしても   マイクロカテーテルが瘤外に押し出されて   塞栓できない状態をもって終了とする。 ‐GDCを用いた瘤内塞栓術法‐ マイクロカテーテルを瘤内に誘導 最初のコイルでケージを作成 動脈瘤内部にコイルを充填

ポータブル写真の意義 移動の不可能な患者に対して行われる検査 院内で最も重症な患者 院内で最も正確な診断が必要な患者 最も重症な患者に対して行われる、 最も正確な診断を求められる検査

ポータブル胸部写真の特性 臥位撮影のため、正常構造物、異常所見ともに一般的に知られた 立位正面像での見え方と異なる。 撮影時の呼吸の深さや体位が一定でない。 十分な焦点距離と管球エネルギーが得られないために容易に 条件の悪い写真となる。 病態が時に短時間で変化する。 ⇒幾何学的な拡大により縦隔は正常であっても拡大して見える   心陰影は14%まで上縦隔は50%まで拡大される可能性がある ⇒呼吸器や胸郭・腹部の動きに合わせて撮影を行う ⇒経時的観察が必須となるので毎回同じ条件での画像提供を行う

ポータブル写真の撮影環境 交代で割り当てられた技師 必ずしも病棟スタッフの協力が十分に得られない 品質の低さを諦めていませんか? ー高く一定に保たれた質の画像が提供されにくい環境ー 交代で割り当てられた技師 必ずしも病棟スタッフの協力が十分に得られない 品質の低さを諦めていませんか? 質の高いポータブル写真を得ることは、 重症患者の病態管理上極めて重要 検査をオーダーする医師、撮影する技師、 患者を受け持つ看護師、読影医を含むすべてのスタッフが 高い意識をもち、協力し合うことで達成される

ポータブル写真でよく見られる病態 胸水 気胸 無気肺 肺水腫 感染症 急性呼吸促迫症候群 胸水・気胸・無気肺は臨床的には不顕性に単独で存在することも、 他の疾患や手技に伴って存在することもあり、常に注意が必要!!

臥位における胸水や気胸の分布様式 胸水 肺底部背側⇒背面⇒腹側(側胸部や横隔膜上縁に沿って) 肺底領域の透過性低下、血管壁の不明瞭化 気胸 肺底部腹側*⇒腹側の頭側方向と側胸部領域に拡大 *胸郭内の腹側で最も高い領域(非重力加重域) 肺底部の透過性亢進

座位でのポータブル写真 胸水の貯留確認 60度以上の座位で行う 60度以上であれば、それ以上の角度にしても得られる画像 に顕著な差はない。 胸水の貯留確認  60度以上の座位で行う  60度以上であれば、それ以上の角度にしても得られる画像  に顕著な差はない。 CTR(心肺係数)の測定  可能な限り90度座位で撮影を行う  背臥位に近いほど重力や幾何学的な問題によりCTRは  大きな値をしめす。 気胸の確認  呼気のタイミングで撮影を行う。 グリッドを使用して撮影を行う場合には斜入に十分注意する。 低格子比のグリッド(3:1 or 5:1)を使用して斜入の影響を 最小限にする等の工夫もある。

胸部X線写真のチェックポイント 胸郭は欠けることなくフィルムに収まっているか? 正面性良く撮影できているか? 棘突起が椎弓根間の正中にあるか    棘突起が椎弓根間の正中にあるか 斜入をしていないか?(グリッド使用時)    肺野のみではなく、頸部や腋窩の濃度差を確認    グリッドの縞目の確認 吸気は十分か? 正面性の確認 P S 棘突起(S)が椎弓根間(P)の正中にあるか

各種デバイスの正しい留置位置と合併症 気管内チューブ 適正な先端位置は気管分岐部より5~7cm上方。  片側に偏移すると対側は無気肺になりやすい。  胃が極度に拡張している場合には、食道挿管の可能性がある 中心静脈カテーテル  適正な先端位置は右房の手前2cm前後で、胸部写真上で  第1肋骨前縁の下方レベル(前方の第1肋間)。  合併症として重要なのは気胸である。 胃管  先端だけではなく近位にある側孔(通常先端より10cm以内にある)も胃内  に置かれるべきである。合併症として、側孔を含めた位置異常 胸腔ドレナージチューブ  胸水や血胸に対しては背側、気胸の場合は腹側に先端が置かれるのが理想  的である。合併症としては、葉間裂内・皮下などの位置異常ほか、  留置に伴う肋間動静脈損傷、肺損傷などがある。 Swan-Ganzカテーテル  適正な先端位置は左右肺動脈内で、肺葉枝よりも手前にあるべきである。  先端位置異常とそれに伴う肺梗塞や肺動脈損傷(先端位置が深すぎる場合)

胸痛診断のフローチャート 胸痛症例 (画像診断 vol.27 No.9 2007より) 診察(問診、聴診) 心疾患疑い 心疾患以外が疑われる ・大動脈疾患  胸腹部造影CT ・肺血栓塞栓症  造影CT  肺換気・血流シンチ ・呼吸器疾患  胸部単純X線写真  胸部CT  核医学検査 ・消化器疾患など 心電図、採血、胸部単純X線写真、心臓US 虚血所見(-) 虚血所見(+):ST上昇 ST低下、T波陰転化 心臓US 心臓CT、冠動脈CTA 運動負荷心電図 心臓MRI 心筋シンチ 急性冠症候群(ACS)       入院 (心臓カテーテル検査など) 虚血所見(-) 他疾患または 不整脈、冠動脈攣縮 虚血所見(+) 冠動脈攣縮 薬物投与 心臓カテーテル検査など Holter心電図 不整脈

肺血栓塞栓症 肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)は塞栓子が肺動脈を閉塞する疾患で、血栓性塞栓子によることが多く、肺血栓塞栓症とも言われる。塞栓源の9割以上は骨盤か下肢の静脈血栓である 胸部造影CTに引き続き、下大静脈から下肢静脈を撮影で 両者を診断でき、治療方針の決定を早急に行うことができる

肺血栓塞栓症における各種検査 胸部単純X線写真 右心拡大 肺門部肺動脈の拡張 末梢肺動脈の急激な狭小化 局所的な透過性亢進 10~20%は異常所見と認めず 診断困難 単純CT 血栓について単純CTで得られる 情報はごく限られている 撮影する必要はあまりない 造影CT 感度96~100%、特異度86~89%               (4列MDCT) 亜区域までの血栓を正確に診断可 ゴールド・スタンダードとされる 肺動脈造影に匹敵

肺血栓塞栓症に対する造影CTのポイント ◎肺動脈を十分に造影すること 造影剤量:70~100ml、注入レート:3~4ml/sec Delay:15~25sec (肺動脈本幹のCT値をモニターしてボーラストラッキング法) *肺静脈も十分に造影されるタイミングで撮影すると、末梢の   肺動脈血栓の診断は容易 3~5分後に下肢の撮影を追加することで下肢の静脈血栓の診断 が可能 ◎薄いスライス厚で観察すること ヘリカルCTでは3~5mm以下のコリメーションを用いて撮影を行う MDCTでは1mm以下のコリメーションを使用して撮影し、1~1.5mm の断面を再構成して観察、診断する。連続性の確認にMPRが有効

肺血栓塞栓症のCTプロトコール ( )内は推奨 撮影範囲 (  )内は推奨 撮影範囲 肺動脈:肺尖~横隔膜下縁 下肢静脈:腎静脈~足関節 注入条件 総ヨード使用量:600 mgI/kg、注入時間:30sec 撮影条件 管電圧:120kV、管電流:肺動脈 150~200mA 下肢静脈200~250mA (CT-AEC) スキャンスライス厚:2mm以下(1mm)、スキャン時間0.5~0.8sec 総スキャン時間:15sec以内                    肺動脈:15~20sec(Bolus tracking法、Test Injection法) 下肢静脈:3~5min その他 下肢静脈の撮影時は、足関節部に枕などを挿入し、下腿部の圧迫を少なく するようポジショニングを行う 血栓の連続性を確認するためにはMPRが有効である

肺血栓塞栓症のMPR画像

大動脈瘤・大動脈解離

胸部単純X線写真 ・大動脈瘤 嚢状と紡錘状のものがあり、嚢状大動脈瘤では大動脈 陰影の限局的隆起を認める。 上行大動脈瘤は右前方 弓部および下行大動脈瘤は左側 胸腹部大動脈瘤は胸部下行大動脈陰影の拡張・蛇行を認める 突出することが多い ・大動脈解離 限局的隆起を来たさないことが多い。 高血圧患者などで激烈な胸痛で発症し、上縦隔が拡大している 場合や、大動脈陰影が急速に増大している場合は積極的に 造影CTを行う必要がある

大動脈CTAの撮影プロトコールの一例 単純CT 動脈瘤破裂~切迫破裂の際の瘤内およびその周囲の血腫や 血栓閉鎖型解離での血栓化偽腔の評価  動脈瘤破裂~切迫破裂の際の瘤内およびその周囲の血腫や  血栓閉鎖型解離での血栓化偽腔の評価  造影早期相(造影剤注入後 30sec)  真腔・偽腔の状態、entryの位置、分枝の状態  偽腔の血流が遅い場合、偽腔が血栓化していると判断  造影後期相(造影剤注入後 120~180sec)  大動脈解離症例での偽腔のゆっくりとした偽腔血流の評価、  炎症性もしくは感染性大動脈瘤での瘤壁および周囲の遅延造影  の診断、周囲の静脈の解剖、ステントグラフト後のゆっくりとした  endoleakの評価

大動脈瘤のCTプロトコール ( )内は推奨 撮影範囲 肺尖-恥骨結合下縁 管電圧:120kV、管電流:150~200mAs(CT-AEC) (  )内は推奨 撮影範囲 肺尖-恥骨結合下縁 注入条件 総ヨード使用量:450~600 mgI/kg、注入時間:25~30sec 撮影条件 管電圧:120kV、管電流:150~200mAs(CT-AEC) スキャンスライス厚:2mm以下(1mm以下)、スキャン時間0.5~0.8sec 総スキャン時間:25sec以内                    単純、動脈相:30sec(Bolus tracking,Test Injection)、 遅延相:120~180sec 血管壁評価 その他 再構成スライス厚:5mm以下(2~3mm)、 MPR・VR・MIPの作成 単純CTは、動脈壁の石灰化の程度の評価や破裂/切迫破裂の血腫の評価に有用

大動脈解離のCTプロトコール ( )内は推奨 撮影範囲 肺尖-恥骨結合下縁 管電圧:120kV、管電流:150~200mAs(CT-AEC) (  )内は推奨 撮影範囲 肺尖-恥骨結合下縁 注入条件 総ヨード使用量:450~600 mgI/kg、注入時間:25~30sec 撮影条件 管電圧:120kV、管電流:150~200mAs(CT-AEC) スキャンスライス厚:2mm以下(1mm以下)、スキャン時間0.5~0.8sec 総スキャン時間:25sec以内                    単純、動脈相:30sec(Bolus tracking,Test Injection)、 遅延相:120~180sec  (Stanford A型に対しては心電図同期撮影も考慮に入れる) その他 再構成スライス厚:5mm以下(2~3mm)、 MPR・VR・MIPの作成 MPRによるエントリー/リエントリーの評価。単純CTは、壁内血腫の評価や切迫破裂を 疑わせる壁在血栓内の高吸収域の評価に有用である。

ステントグラフト内挿術 大動脈瘤用ステントグラフトTAG(Gore社製、USA) ・2008年3月 厚生労働省の承認 ・2008年3月 厚生労働省の承認 ・2008年5月 保健適応

大動脈瘤のVR画像と胸部単純写真 上左:術前のVR画像 上右:大動脈ステント留置後のVR画像 左:来院時の胸部単純X線写真 大動脈陰影の限局的隆起を認める

腹痛の原因疾患の分類 出血性ショック 腹部大動脈破裂、肝癌破裂、消化管出血 虚血 急性大動脈解離、腸管虚血症、卵巣嚢腫茎捻転 消化管穿孔   腹部大動脈破裂、肝癌破裂、消化管出血 虚血   急性大動脈解離、腸管虚血症、卵巣嚢腫茎捻転 消化管穿孔   腸管虚血に伴う穿孔 通過障害や嚢状臓器の閉塞   膵管・総胆管・胆嚢の結石、イレウス、尿路の結石 炎症性疾患   急性膵炎、肝炎、胆嚢炎、虫垂炎、子宮内膜症

腹部単純X線撮影 仰臥位正面像 腹部液体貯留を示すサイン 異常ガス像(イレウスを示唆する腸管内ガスの異常、門脈内ガス・胆道内ガスやフリーエア等の異所性ガス) 異常石灰化 結石像 軟部陰影 立位正面像 腸管内のガスや液体像(鏡面形成像) フリーエア像 *フリーエア像の診断のために横隔膜が正確に含まれる必要がある 立位が不可能な場合には 左側臥位正面撮影や仰臥位側面撮影を行う (フリーエアの診断には、ガスの移動のために体位変換5分後に撮影を行う)

急性腹症(上腹部)のCTプロトコール ( )内は推奨 撮影範囲 管電圧:120kV、管電流:200~250mA(CT-AEC) (  )内は推奨 撮影範囲 単純・動脈相:肝上縁~総腸骨上縁 門脈相:肝上縁~恥骨結合下縁 注入条件 総ヨード使用量:450~600 mgI/kg、注入時間:30sec 撮影条件 管電圧:120kV、管電流:200~250mA(CT-AEC) スキャンスライス厚:2mm以下(0.5~1mm)、スキャン時間0.5~0.8sec 総スキャン時間:15sec以内                    単純、動脈相:40sec(Bolus tracking,Test Injection)、門脈相:70~90sec その他 再構成スライス厚:5mm(2~3mm)、(目的臓器のcurved MPRやMIPを作成) Window条件は、腹腔内脂肪層における炎症所見、消化管穿孔に伴う 腹腔内遊離ガスの観察など病態にあわせた調整が必要。

急性腹症(下腹部)のCTプロトコール ( )内は推奨 撮影範囲 管電圧:120kV、管電流:200~250mA(CT-AEC) (  )内は推奨 撮影範囲 単純:肝上縁~恥骨結合下縁 造影:肝上縁~恥骨結合下縁 注入条件 総ヨード使用量:450~600 mgI/kg、注入時間:40~60sec 撮影条件 管電圧:120kV、管電流:200~250mA(CT-AEC) スキャンスライス厚:2mm以下(0.5~1mm)、スキャン時間0.5~0.8sec 総スキャン時間:15sec以内                    単純、造影70~90sec その他 糞石や婦人科疾患に伴う血腫などを描出目的とした骨盤部の単純CT 再構成スライス厚:5mm(2~3mm)、(目的臓器のcurved MPRやMIPを作成) Window条件は、腹腔内脂肪層における炎症所見、消化管穿孔に伴う 腹腔内遊離ガスの観察など病態にあわせた調整が必要。

急性腹症(背部痛)のCTプロトコール ( )内は推奨 撮影範囲 管電圧:120kV、管電流:200~250mA(CT-AEC) (  )内は推奨 撮影範囲    肝上縁~恥骨結合下縁:造影CTは単純CTの所見を踏まえ決定 注入条件 総ヨード使用量:450~600 mgI/kg、注入時間:30sec 撮影条件 管電圧:120kV、管電流:200~250mA(CT-AEC) スキャンスライス厚:2mm以下(0.5~1mm)、スキャン時間0.5~0.8sec 総スキャン時間:15sec以内                    単純、動脈相:30sec、門脈相:70~90sec、(排泄相:240~300sec) その他 尿路結石の評価には単純CTが必要。ほぼ全ての尿路結石はCTで描出できる 再構成スライス厚:5mm(2~3mm)、(目的臓器のcurved MPRやMIPを作成) Window条件は、腹腔内脂肪層における炎症所見、消化管穿孔に伴う 腹腔内遊離ガスの観察など病態にあわせた調整が必要。

消化管出血に対する画像検査の流れ 第1選択は、診断と治療を兼ねた内視鏡検査 出血源が不明 内視鏡的止血が困難でIVRの適応有り 造影CT 動脈相で出血源を同定する 動脈性の出血であれば管腔外への血管外漏出像を認める 第1選択は、診断と治療を兼ねた内視鏡検査 出血源が不明 内視鏡的止血が困難でIVRの適応有り 造影CT 血管造影検査 消化管出血に対するTAEは、正常腸管の虚血域を最小にするために 出血源にできるだけ近い部位で塞栓を行う Pre Post

イレウスに対する画像検査の流れ 腹部単純X線写真 立位像でガスと腸液により腸管と鏡面像(niveau)を認める。 正中部に腸管ガスが集まる。拡張した小腸内の液体貯留がmassの ようにX線で映る。 CT 拡張腸管を追跡することにより閉塞部位の同定ができることもあり有用 造影CTにより造影されない腸管壁の存在は絞扼性イレウスを示唆 合併症の腸管穿孔を見落とさないためにWW、WLにも留意 MPR画像は全体像の把握や病変分布に有効

消化管穿孔に対する画像検査の流れ 腹部単純X線写真 少量の遊離ガスの検出には立位像 左側臥位正面撮影が有効(ただし、体位変換後5分後に撮影) 多量(1ℓ以上)の遊離ガスが存在する場合には、背臥位でも診断可能。 消化管穿孔における単純X線写真で遊離ガスの検出率 50~70% CT 微量の遊離ガスの検出 腹部に認められるガスが、腸管内ガスか腹腔内の遊離ガスかを 腹腔内遊離ガスと脂肪組織とを区別するために、広いウィンドウ幅 Thin sliceやMPRでの評価も有用 ⇒穿孔部が消化管の壁の断裂として直接認められることもある。 気体は陰性造影剤の役目を果す。腹部で気体は、女性では膣内に少量の空気が 認められることがあるほかは、正常の状態では消化管の管腔内にのみに存在し、 他の部位には認められない。

CTにおける腹膜腔遊離ガスの有効な検出法 WW/WL:300/40HU 腹膜腔遊離ガス(-1000)と脂肪(-100程度)を区別しにくい WW/WL:2000/-600HU ガスのみが黒く表示される(air window)