安全衛生レベルアップ教育 講演Ⅰ 「企業における衛生管理とは何か」

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Presentation transcript:

安全衛生レベルアップ教育 講演Ⅰ 「企業における衛生管理とは何か」 2007年11月5日 安全衛生レベルアップ教育  講演Ⅰ  「企業における衛生管理とは何か」 三菱重工㈱横浜製作所健康管理センター 産業医 北原 佳代 kayo_kitahara@mhi.co.jp

今日のはなし 最近の労働衛生行政の動向 過労死と過労自殺 安全配慮義務と自己保健義務 メンタルヘルス対策 過重労働による健康障害防止対策

◎健康管理の充実 平成8年事後措置の実施義務化 労働衛生行政の流れ ◎職業病対策・結核対策 昭和22年労働基準法、昭和47年労働安全衛生法 ◎生活習慣病対策 平成元年:定期健康診断項目の追加 ◎健康管理の充実 平成8年事後措置の実施義務化 ◎過労死対策 労災基準の改定 過労死通達 ◎メンタルヘルス対策 労災基準の改定 心の健康づくり指針

事業者の義務の変遷 職場集団の管理(感染症・有害業務) 個々の健康管理 安全配慮義務/健康配慮義務

原則業務外と判断されていたメンタル不調・自殺 ⇒一定要件を満たすものは業務上と認める ~大きな方針転換~ メンタルヘルスケア・過重労働等に関する行政指針                   (厚生労働省) 心理的負荷による精神障害等に係わる業務上外認定指針について(1999年9月) 精神障害による自殺の取り扱いについて(1999年9月) 事業場における労働者の心の健康づくりのための指針(2000年8月) 脳血管疾患及び虚血性心疾患間等(負傷に起因するものを除く)の認定基準について(2001年12月) 新・過重労働による健康障害防止のための総合対策について (2006月3月) 原則業務外と判断されていたメンタル不調・自殺  ⇒一定要件を満たすものは業務上と認める    ~大きな方針転換~

心理的負荷による精神障害等に係わる 業務上外認定指針について 発表:1999年9月 担当:厚生労働省労働基準局長

精神障害による自殺の取扱いについて 精神障害等の「等」とは精神障害による自殺のことをいう。 通常、労災保険では「故意」による災害には保険給付がされ ない。一般的に、自殺は故意による死亡なので、基本的には 保険給付されない。 業務上の精神障害によって、正常の認識、行為選択能力が 著しく阻害され、または自殺行為を思いとどまる精神的な抑 制力が著しく阻害されている状態で自殺が行われたと認めら れる場合には、結果の発生を意図した故意には該当しない。 【平成11年9月付基発第545号通達】 精神障害等の労災認定「判断指針」の解説(労働調査会)より

メンタルヘルスケア・過重労働等に関する行政指針                   (厚生労働省) 心理的負荷による精神障害等に係わる業務上外認定指針について(1999年9月) 精神障害による自殺の取り扱いについて(1999年9月) 事業場における労働者の心の健康づくりのための指針(2000年8月) 脳血管疾患及び虚血性心疾患間等(負傷に起因するものを除く)の認定基準について(2001年12月) 新・過重労働による健康障害防止のための総合対策について (2006月3月) メンタル問題は企業もしくは個人が処理すべきもの⇒  職場における心の健康の保持増進を目的とする指針の策定は、今回が初  めてのものである。   2006年3月  安衛法第70条の2第1項の規定に基づく指針として新たに策定 ⇔職場におけるメンタルヘルス対策は法に基づき事業者が   実施すべき努力義務へ

事業者責任と自己責任 ~安全配慮義務と自己保健義務~

安全配慮義務とは 事業者には労働契約が成立した時点で新たに、 「業務による健康上の問題が労働者に起こら  ないように配慮する」義務が発生する。 (1975年最高裁判決で確定) 事業者が労働者に負っている労働契約上の債務で、事業者が労働者に対し、業務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは設備などの施設管理または労務の管理にあたって、労働者の生命および健康などを危険から保護するよう配慮すべき義務 事業者が労働者に対して賃金を支払だけの義務にとどまらず、生命に生ずる危険から労働者を保護する義務も有している。

⇒業務に直接起因する健康障害を起こさないこと ⇒業務に直接起因しているとはいえないが、 安全配慮義務とは 範囲:特段の規定はない ⇒業務に直接起因する健康障害を起こさないこと ⇒業務に直接起因しているとはいえないが、         業務と密接な関係を有する健康障害 ・・・・2000年最高裁判決

電通事件の判決要旨 2000.3.24・最高裁(二小) 死亡労働者:24歳の男性  長時間労働、うつ病、自殺による死亡の間に相当因果関 係を認め、会社に安全配慮義務不履行による損害賠償  Aと同居両親の過失相殺により損害額の7割を会社に負  担させるのが相当とした原審判断を違法として破棄・差戻

・平成2年入社、入社2年目 ・業務内容:広告主への営業       イベントの企画立案 ・入社してから日曜日も必ず出社 ・午前2時以降の退社が3日に一度(含徹夜) ⇒平成3年の春には傍目にも元気ない 『人間としてもうだめかもしれない』 ⇒同年8月大きなイベントが終了した翌日、自殺。    (この間取った有休は半日のみ)

会社側の意見 安全配慮として ・健康管理センターの設置 ・タクシー乗車券の無制限の交付 ・深夜宿泊施設の確保  ・健康管理センターの設置  ・タクシー乗車券の無制限の交付  ・深夜宿泊施設の確保  ・勤務状況報告書による勤務時間の把握  ・ミニドックの受診義務  ・深夜勤務者のための出勤猶予制度

職場でのAへの対応 直属の部長Bは、3月頃にはAがしばしば翌朝まで徹夜することに気づいていて、直属の班長Hに告知し、『なるべく早く仕事を切り上げるように』と指導した。 7月には班長Hは、Aの顔色が悪く,健康状態がおかしくなっていたことに気づいていた。 8月には班長HはAの言動がおかしくなっていることに気づいていた。 しかし、具体的な措置は行わなかった。

原告側の意見 管理員巡視報告書上、Aは休日も含めて5日に2日の割合で,深夜2時以降に退館した旨記載されている。 平均勤務終了時刻と退館時刻の間に大きな開きがあり、サービス残業に充てたものである。

裁判所側の事実認定 1.40社のスポンサーを担当し、処理していた業務は相当多いものであったと認められる。 2.組合の調査によると午前10時以降の勤務状況報告表へ真実と異なる申告をした者の割合が男子42.9%、女子58.7%である。以上より、Aが退館時刻までの間の時間の大半は自己の業務を処理するために宛てられていたと認めるのが相当

判決理由① 直属の部長Bおよび班長Hは、 常軌を逸した長時間労働や同人の健康状態の悪化 を知りながら、労働時間を軽減させるための具体的  常軌を逸した長時間労働や同人の健康状態の悪化  を知りながら、労働時間を軽減させるための具体的  な措置をとらなかった過失がある。

判決理由②  社員の労働時間を把握するための勤務状況報告表が真実を反映するものでなく、社員が残業時間を過少申告していたことが会社で常態化しており、会社もそのことを認めていた。会社の準備した健康管理の措置は実質的に機能していないことは明らかで、社員の労働時間を把握し,過剰な長時間労働によって社員の健康が侵害されないように配慮するという義務の履行を尽くしたと言うことができない。

最高裁判所の判決 「業務に直接起因する健康障害のみでなく、 業務と密接な関連を有する健康上の問題を 起こさないように配慮する」ことが不可欠 使用者は、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に  蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する  義務を負う。 使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限  を有する者に「使用者の注意義務の内容に従って、その権限を  行使する」ことを求めた。 管理監督者に対し「部下の健康状態を把握し、健康状態に問題  がある場合には、業務負荷による健康状態の悪化を防ぐための  具体的な措置をとる」責任がある。 「業務に直接起因する健康障害のみでなく、  業務と密接な関連を有する健康上の問題を  起こさないように配慮する」ことが不可欠

民事裁判での損害賠償認定要件 ・業務と健康障害の間に相当因果関係が認められる ・・・予見可能性   ・・・予見可能性 ・健康障害を起こさないための具体的な方法が存在する   ・・・回避可能性 ・故意もしくは過失がある

自己保健義務について 労働者自身が自分の生命や健康に危険が及ぶことを予見しまたは予見し得るときは、その危険から回避することが可能であるときは、「労働者は自己の生命・健康等の安全を確保するために、この危険から回避すべき義務」がある。

自己保険 義務 安全配慮義務 健康配慮義務 会社責任と個人責任のバランス 労災保険の概念では、安全配慮義務と 自己保健義務のバランスを考慮して、 責任の割合を決めるが…。 自己保険 義務 安全配慮義務 健康配慮義務

労働内容の多様化 ・労働者の健康を害さない ・労働者の健康を増悪させない 労働者の身体や生命の安全を実質的に確保するためには、物理的安全だけでは不十分 労働者の健康を害さないように 労働環境の質的安全を実現すること ・労働者の健康を害さない ・労働者の健康を増悪させない

・労働者の健康を害さない ・労働者の健康を増悪させない ・有害業務の管理の適正化 ・適正な労務管理が出来ているか 人員配置の適正化 業務内容の役割分担の明確化 適正配置がなされているか ・働きやすい環境づくりに配慮しているか セクハラ・パワハラ etc. ・労働者の健康を増悪させない ・定期健康診断を確実に実施しているか ・健診の事後措置を確実に行っているか   (就業制限・保健指導) ・衛生健康管理に関する社内の体制づくりがなされているか

過重労働対策 メンタルヘルス対策

労働者の健康に関する現状 〇有所見者の増加 〇仕事に関する強い不安、ストレスを感じる 労働者が6割超過 〇産業構造の変化、高齢化 厚生労働省 「過重労働・メンタルヘルス対策在り方に係る検討」                  平成16年8月18日 ●過重労働による健康障害防止対策のあり方について  ア 過重な負荷がかかることを予防するための対策の在り方  イ 過重な負荷がかかった場合の健康管理の在り方 ●メンタルヘルス対策の在り方について  ア 過重な精神的負荷がかかることを予防するための対策    の在り方  イ 労働者の自発的なストレス把握、対処など過重な精神    的負荷がかかった場合への対応のあり方  ウ 事業場外の相談体制等の支援措置の在り方 労働者の健康に関する現状 〇有所見者の増加 〇仕事に関する強い不安、ストレスを感じる             労働者が6割超過 〇産業構造の変化、高齢化 仕事の負担増大、過重労働の増加 過労死の労災認定件数増加 平成18年 147件   (労働災害による死亡者数の約1割)

過重労働とは 過重負荷 医学的経験則に照らして、脳・心臓疾患の発症の基礎となる血管病変をその自然的経過を超えて著しく増悪させ得ることが客観的に認められる負荷をいう。 負荷と負担のバランス 過重労働とは個人の許容範囲を超える負荷を受け、睡眠時間や休息時間の減少・不足などの生活習慣、健康保持上の齟齬をきたす状況。

ちなみに過労死は 一般的には  「過度な労働負担が誘引となって、高血圧や動脈硬化などの基礎疾患が悪化、脳血管疾患や虚血性心疾患、急性心不全などを発症し、永久的労働不能又は死に至った場合」 KAROSHI (1)社会医学的用語 (2)わが国独特の労働習慣や考え方に起因 (3)欧米ではストレス関連疾患 (上畑鉄之丞による定義)

過重労働  ⇒ わが国の伝統的な長時間労働    仕事中心の生活風習 中高年の突然死 過労死

労災保険における脳・心臓疾患の認定基準 昭和36年2月(基発116号)  「中枢神経及び循環器疾患(脳卒中、急性心臓死等)の  業務上外認定基準について」 ⇒「発症直前」あるいは「少なくとも発病当日」 昭和62年10月  「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」 “災害”⇒“過重負荷”     ⇒発症直前1週間以内の過重な業務及び     異常な出来事を評価する 平成7年2月  「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」 ⇒ 発病1週間より以前の業務も含め、総合的に評価

平成12年7月 最高裁判決 東京海上横浜支店事件 大阪淡路交通事件(西宮労基署事件) 業務の過重性評価 ⇒長期間にわたる業務による負荷や 平成12年7月 最高裁判決 東京海上横浜支店事件 (横浜南労基署長事件) 大阪淡路交通事件(西宮労基署事件)  業務の過重性評価  ⇒長期間にわたる業務による負荷や   具体的な就労態様による影響を   考慮する判決

東京海上横浜支店事件(行政訴訟の上告審判決) 支店長付き運転手(54歳男性) 昭和59年5月早朝 くも膜下出血発症 発症前に従事した業務による過重な精神的、  身体的負荷が同人の基礎疾患ある脳動脈りゅう をその自然の経過を超えて増悪させ、発症に到 らせたもの ⇒業務に起因する疾病の認められた例

東京海上横浜支店事件 業務負荷の状況 被災者:54歳 男性 業務内容:支店長付き運転手・昭和48年より勤務 被災者:54歳 男性 業務内容:支店長付き運転手・昭和48年より勤務 業務負荷の状況  ・運転手は1人、自動車の清掃・整備も担当  ・昭和56年~支店長異動により運転距離増加  ・発症半年前から 1日の平均時間外労働7時間  ・昭和58年1月~発症 時間外労働1ヶ月平均150時間  ・発症前月 1日平均走行距離 192Km  ・発症当月 1日走行距離が260Kmを越える日もあり  ・発症前日 午後11時まで車の修理        3.5時間の睡眠        午前5時には業務開始  ⇒業務中に発症

東京海上横浜支店事件 基礎疾患の有無など ・軽度の高血圧(治療を要しないレベル) ・脳動脈りゅうを有していた。 昭和58年ころから 被災者:54歳 男性 業務内容:支店長付き運転手・昭和48年より勤務 基礎疾患の有無など  ・軽度の高血圧(治療を要しないレベル)  ・脳動脈りゅうを有していた。 昭和58年ころから  ・顔色不良  ・眼の充血  ・イライラ  ・睡眠不足の訴え

業務による過重な精神的、身体的負荷が基礎疾患をその自然経過を超えて増悪させ、発症に至ったもの 東京海上横浜支店事件 精神的緊張を伴うもの 不規則、拘束時間が極めて長い 発症前半年間の時間外労働が非常に長い  ⇒精神的、身体的にかなりの負荷、   慢性的疲労をもたらした 基礎疾患が自然経過により発症したと考えられない 業務による過重な精神的、身体的負荷が基礎疾患をその自然経過を超えて増悪させ、発症に至ったもの

平成12年7月 最高裁判決 ① 慢性の疲労や過度のストレスの持続は 高血圧症や動脈硬化の原因の一つとなり得る。 平成12年7月 最高裁判決 ① 慢性の疲労や過度のストレスの持続は   高血圧症や動脈硬化の原因の一つとなり得る。 ② 業務の不規則性、拘束時間の長さ、精神的緊  張などの具体的な就労態様による影響 ③ 通常の勤務に耐え得る程度の   基礎疾病を有する者をも含む   平均的労働者

脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準 (平成13年12月12日付け基発第1063号) 【認定要件】  異常な出来事   発症直前から前日までの間において、発生状態を   時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭   遇したこと。  短期間の過重業務   発症に近接した時期において、特に過重な業務に   就労したこと。  長期間の過重業務   発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積を   もたらす特に過重な業務に就労したこと。

脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準 過重業務とは? 脳・心臓疾患の発症の基礎となる血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させ得ることが客観的に認められる負荷 過重業務とは?

過重労働 健康リスク 40 50 60 70 年齢 血管病変等がその自然経過を超えて著しく増悪し、脳・心臓疾患が発症する場合 Dead line 血管病変等の自然経過 40 50 60 70 年齢 厚生労働省「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書(2001)」より

脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準 最も重要な要因 「労働時間」 過重業務とは? 脳・心臓疾患の発症の基礎となる血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させ得ることが客観的に認められる負荷 最も重要な要因 「労働時間」

本当にヒトは“過労”のみで死ぬのか? ○ 医学的にみて明確な意見の一致はない ○ 高血圧や動脈硬化症などの基礎疾患の存在 ○ 医学的にみて明確な意見の一致はない ○ 高血圧や動脈硬化症などの基礎疾患の存在         + 過重な労働による急激な増悪

疾病発症 個人的要因② 個人要因① 職場の ストレス負荷要因 疲労の ストレス反応・疲労 蓄積 職場外の ストレス負荷要因 緩和要因 長時間労働 不規則な勤務 長い拘束時間 深夜勤務・交替制勤務 出張の多い業務 精神的緊張 作業環境 異常な出来事 個人的要因② 飲酒、喫煙、肥満 基礎疾患 治療状況 個人要因① 年齢、性別、性格 仕事熟練度 職場の ストレス負荷要因 負荷要因 負荷要因 緩和要因 心理的反応:抑うつ 生理的反応:血圧・心拍数         不眠・疲労感 疲労の ストレス反応・疲労 蓄積 緩和要因 家事労働、夜更かし 家族関係 経済問題 異常な出来事 職場外の ストレス負荷要因 緩和要因 社会的支持/支援 ストレス対処 疾病発症 心臓疾患 NIOSH職業性ストレスモデル(一部改変)

残業時間と循環器疾患 週50~60時間以上の労働は 心血管疾患と何らかの関係がある可能性はあるが 決定的なものではない。 ○上畑鉄之丞ら(1994)  月50時間以上の残業⇒新規降圧薬服用者増加 ○Hayashi,T.et.al(1996)  月60時間以上の残業⇒有意な血圧の上昇 ○建設関連産業労働者の健康調査(1983)  月75時間以上の残業⇒活力低下、疲労蓄積、睡眠不足  月95時間以上の残業⇒血圧上昇、睡眠時間の減少 週50~60時間以上の労働は 心血管疾患と何らかの関係がある可能性はあるが 決定的なものではない。

長時間労働が脳・心臓疾患に影響を及ぼす理由 睡眠時間が不足し疲労の蓄積が生じること 生活時間の中での休憩・休息や余暇活動の時間が制限されること 長時間に及ぶ労働では、疲労し低下した心理・生理機能を鼓舞して職務上求められる一定のパフォーマンスを維持する必要性が生じ、これが直接的なストレス負荷要因となること 就労態様による負荷要因に対する曝露時間が長くなること (「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討委員会報告書」平成13年11月より)

心臓突然死とストレスの関わり ストレスが強く作用している時よりも、その後に発症することが多い (上畑鉄之丞(1999):過労死と心臓性突然死;循環器科46:144-151) ストレスが強く作用している時よりも、その後に発症することが多い 強い交感神経緊張(脈が速くなる)の後に、副交感神経緊張(脈が遅くなる)が生じるというリズムの乱れ 急性ストレスよりも慢性の消耗性ストレスの関与が大きい 訴えの特徴  「ふだん経験したことのない疲れや体調不良」  「眠れないほどの疲れ、不眠の持続」  「いつまでも治らない風邪様症状」  「極度の疲労感」

長時間労働 適切な休養 十分な睡眠  時間確保 睡眠時間 の減少 疲 労 回 復 疲労の蓄積 それでも働く・・・ 疾病発生 極度の疲労・不眠

睡眠時間が脳・心臓疾患に及ぼす影響は? 睡 眠 時 間 長期間にわたり 1日4-6時間以下 脳・心臓疾患の有病率 や死亡率を高める 3-4時間 翌日の血圧と心拍数の上昇 睡 眠 時 間 4-5時間 カテコラミンの分泌低下 最大運動能力の低下 6時間未満 狭心症、心筋梗塞の有病率が高い 5時間未満 心臓疾患の発症率が高い 4時間未満 冠動脈性心疾患の死亡率は、 7-7.9時間の人の2.08倍 長期間にわたり 1日4-6時間以下 脳・心臓疾患の有病率 や死亡率を高める

生活時間配分と脳・心疾患増加(週5日労働) 拘束時間(昼休み) 通勤 基本労働時間 食事、風呂、団欒、余暇など 1時間 8時間 4時間 余 り 10時間 睡眠時間 5時間 6時間 7時間  8時間 1日残業時間 5時間 4時間 3時間  2時間 1月残業時間 100時間 80時間       45時間  脳・心疾患 発症増加

「労働時間」 脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準 業務と発症との関連性が徐々に強まる 業務と発症との関連性が強いと評価できる  業務と発症との関連性が徐々に強まる 発症前1か月間ないし6か月間  1か月当たりおおむね45時間を超えて時間外 労働時間が長くなるほど、  業務と発症との関連性が強いと評価できる 発症前1か月間  おおむね100時間を超える時間外労働 発症前2か月間ないし6か月間  1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働

精神的ストレスが 脳・心疾患に及ぼす影響? 1958年 Russekら 心筋梗塞や狭心症患者の90%に職場のストレスがあった      脳・心疾患に及ぼす影響? 1958年 Russekら  心筋梗塞や狭心症患者の90%に職場のストレスがあった  (病気のない群では、20%に職場のストレスあり) 以後数多くのストレスと脳・心疾患の研究が発表 1974年Karasekらの “仕事ストレインモデル”

Karasekらの“仕事ストレインモデル”(1974) 仕事の要求度 (負荷や責任) 低い 高い 高い 高ストレス群 (自由度や裁量権) 仕事のコントロール 職場の支援が低い ↓ さらにストレス増 低い

Karasekらの“仕事ストレインモデル”(1974) 仕事量の要求が大  仕事の自由度が少ない 社会的支持が少ない ストレス増加 高ストレス群 交感神経副腎髄質系 副腎皮質系 血圧上昇(高血圧の増悪) 心血管系疾患の発症

なぜ、過重労働がいけないのか? 十分な休息・睡眠時間確保の妨げ 慢性的な疲労蓄積 身体的・精神的ストレスの増大 自律神経系への影響 生活習慣の乱れ⇒生活習慣病の誘発・増悪 ⇒脳・心臓疾患発症リスクの増大  (いわゆる過労死のリスク)

過重労働と関連する疾患 労災対象疾患(平成13年12月12日 基発1063号) ・脳血管疾患: ・虚血性心疾患等: ・原因系: 労災対象疾患(平成13年12月12日 基発1063号) ・脳血管疾患: 脳内出血(脳出血)、くも膜下出血、脳梗塞、 高血圧性脳症 ・虚血性心疾患等: 心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む)、 解離性大動脈瘤 ・原因系:   (1) 異常な出来事、(2)短期間の過重業務、   (3) 長期間の過重業務 *一定の要件を満たした場合は労災として認定される

「労働時間」 脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準 業務と発症との関連性が徐々に強まる 業務と発症との関連性が強いと評価できる  業務と発症との関連性が徐々に強まる 発症前1か月間ないし6か月間  1か月当たりおおむね45時間を超えて時間外 労働時間が長くなるほど、  業務と発症との関連性が強いと評価できる 発症前1か月間  おおむね100時間を超える時間外労働 発症前2か月間ないし6か月間  1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働

高 低 時間外労働と健康障害のリスク 徐々に高まる 時間外労働 健康障害のリスク 長くなるほど 月45時間以内 月100時間 以上 月100時間 以上 または 2~6ヵ月平均 月80時間 以上 徐々に高まる 低 月45時間以内

過重労働による 健康障害防止のための総合対策 過重労働による 健康障害防止のための総合対策 健康診断の 実施 労働時間対策 時間外労働の 削減 労働者の健康管理 産業医による 保健指導 36協定 限度基準 年休の 取得促進 その他

1.事業者による意思決定と方針の表明 2.衛生委員会等の活用 3.過重労働対策推進計画 4.健康確保の徹底

過重労働による 健康障害防止のための総合対策 過重労働による 健康障害防止のための総合対策 健康診断の 実施 労働時間対策 時間外労働の 削減 労働者の健康管理 産業医による 保健指導 36協定 限度基準 年休の 取得促進 その他

では、どうやって面談体制を確立していくか??

お手元のアクションチェックリストで、まずは御自分の 企業の状況をまずチェックしてみましょう!

当所における長時間残業者面談の流れ 三菱重工㈱横浜製作所 対象者①  ・3ヶ月連続で45H超/月以上  ・80H超/月以上  ・休日出勤が月4日以上  ・深夜時間が月10時間以上 対象者②  ・100H超/月以上 対象者③  ・45H超/月以上 3ヶ月に1回 問診票による自覚症状確認 必要に応じて面談実施 毎月呼び出し 産業医面談 健診結果等産業医チェック 必要に応じて面談等実施

長時間時間外勤務者面談の流れ 月初に、面談対象者抽出(勤労課より) 勤労課より80時間以上の残業者 を出した部署には直接注意を促す 健康管理センターより日時指定・呼び出し 保健師面談・必要に応じて産業医面談 必要に応じて採血等を実施 面談結果を集計 就業制限が必要な場合、直接本人・職制と連絡をとり制限をかける 書面で職制に返却

時間外労働協定超過者 健康診断フロー図 対象者の選出 月初(勤労課⇒システム) 対象者① 対象者②:毎月 対象者③:毎月 対象者①節目月以外  時間外労働協定超過者  健康診断フロー図 対象者の選出 月初(勤労課⇒システム) 対象者① 対象者②:毎月 対象者③:毎月 対象者①節目月以外 対象者①節目月(3ヶ月に1回) ・問診表をシステムから送付 ・現場は紙送付 ・面談希望者も同時に聴取 ・対象者一覧を職制に通知  ⇒注意喚起 産業医によるリスト確認 当該社員の健診チェック 気になる配下がいれば 上司から健管セに連絡 ①産業医が問診表をチェック ②定健結果等も踏まえ  要健診者をピックアップ 対応不要者 (特に対応なし) 産業医または 保健師面談を実施 面談不要者 (特に対応なし) 産業医面談実施 長時間時間外勤務対象者 対象者①  ・3ヶ月連続で45H超/月以上  ・80H超/月以上  ・休日出勤が月4日以上  ・深夜時間が月10時間以上 対象者②  ・100H超/月以上 対象者③  ・45H超/月以上 面談等の結果を職制報告 (就業措置・総合コメント付記) 必要な措置の実施

当所における長時間残業者面談の流れ 三菱重工㈱横浜製作所 〇月100H超過の残業・疲労の蓄積・面談を希望している者 ⇒月100H以上の者は全て面談対象とする 〇月100H未満の残業者でも問診表によるスクリーニング、   面談希望聴取、定期健康診断結果に基づく指導 〇月80H超過の残業者を出した部署に対する勤労部門からの警告 〇職制からの気づき点があればコメントさせる 〇結果は、産業医コメントを職制に返信  (心身面の問題ありなしだけではなく、勤務状況についても指示) 〇安全衛生委員会での報告(産業医報告事項としている)

メンタルヘルス対策 69

メンタルヘルス対策の2本柱 メンタルヘルス教育 メンタルヘルス支援活動 -階層別教育 *管理職教育 -ラインのケア -事例性スクリーニング    *管理職教育 メンタルヘルス支援活動 -ラインのケア -事例性スクリーニング -関係者間の連携 -治療導入支援 -復職支援 70

メンタルヘルス教育の目的 管理職教育 ストレス関連疾患に対する差別意識の除去 ラインによるケア(安全配慮義務・事業者責任)  ストレス関連疾患に対する差別意識の除去  ラインによるケア(安全配慮義務・事業者責任)  職場関係者(管理職・人事担当者・産業医)の連携 一般職教育  相談窓口・社内システムの周知 新入社員教育  心の健康への気づき  組織への適応  セルフケア

管理職教育プログラム(例) PART1_導入 メンタルヘルス・ケアの目的 メンタルヘルス・ケアに関する行政指針  メンタルヘルス・ケアの目的  メンタルヘルス・ケアに関する行政指針  メンタルヘルス・ケアの進め方(システム化)  健康管理(集団)の基本的な考え方 PART2_メンタルヘルスの基礎知識  ストレスとは何か  ストレス関連疾患とは PART3_メンタルヘルス支援活動  メンタルヘルス教育  メンタルヘルス支援活動  ラインによるケア(管理者の役割)  カウンセリングマインド  事例性とは  治療導入の対応(フローチャート)  復職の対応(フローチャート)  事例検討

管理職教育プログラム(例) PART4_事業者責任と労災・訴訟 メンタルヘルスに係わる事業者責任と自己責任 安全配慮義務と自己保健義務  メンタルヘルスに係わる事業者責任と自己責任  安全配慮義務と自己保健義務  過労自殺と過労死  労働災害・公務災害、民事訴訟、国家賠償  過労自殺に関する指針  過労死に関する指針  過重労働による健康障害防止 PART5_メンタルヘルス・ケアに必要な機能  コーディネーター機能・マネジメント機能  共通言語(経営、人事労務、医学、判例等)  産業保健組織体制の整備

メンタルヘルス支援活動 74

メンタルヘルス支援活動 ラインのケア 事例性スクリーニング 関係者間の連携 治療導入支援 復職支援 企業(組織)として、 メンタルヘルスの対応は 必要であることは認識している でも何をしたらよいか分からない? いろいろと試行しているが上手くいかない ラインのケア 事例性スクリーニング 関係者間の連携 治療導入支援 復職支援

ラインによるケア 76

健康調査にあらわれた労働者の自覚するストレスの内容 -自分の仕事や職業生活での強い不安、悩み、ストレスの内容-   -自分の仕事や職業生活での強い不安、悩み、ストレスの内容- 平成14年厚生労働省「労働者健康状況調査」

これは労働省が1992年と1997年に行った調査の結果です。 仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレスについて 相談できる人の有無 平成14年厚生労働省「労働者健康状況調査」 これは労働省が1992年と1997年に行った調査の結果です。 自分の仕事や職業生活での「強い不安、悩みストレス」を持つ勤労者の 割合を比べると。1992年では57.3%でありましたが、 1997年においては62.8%と5.5%も増加しています。 参考まで1987年の調査では55.0%でしたので、この10年で7.8%増加しています。 この調査からもストレスを感じる勤労者は、年々増加傾向にあるのがわかります。 (補足) 自分の仕事や職業生活での『強い不安悩みストレス』をもつ労働者の割合 項目 1987年 1992年 強い不安、悩み ストレス 有 55.0% 57.3% 仕事の質の問題 55.4 41.2 仕事の量の問題 33.9 仕事への適性の問題 29.7 25.8 職場の人間関係の問題 51.6 47.9 昇進、昇給の問題 22.1 18.9 配置転換の問題 8.4 5.8 転勤に伴う転居の問題 2.8 1.9 単身赴任の問題 1.7 1.2 定年後の仕事、老後の問題 19.3 15.8 その他 3.8 11.5 強い不安、悩み、ストレス なし 45.0 42.7 78

心の健康づくりのための指針 メンタルヘルス4つの対策 セルフケア  従業員みずからが行う活動 ラインによるケア  管理監督者などが行う活動 事業所内産業保健スタッフなどによるケア  産業医や安全衛生担当などが行う活動 事業所外の専門家,機関を活用したケア  労働省関連機関や地域の専門機関など  を利用した活動 79

NIOSHの職業ストレスモデル (一部改変) ※NIOSH (National Institute for Occupational and Safety and Health(アメリカ国立産業安全保健研究所) 個人的要因 年齢、性別、結婚生活の状況 性格(タイプA) 職場のストレッサー 急性ストレス反応 ストレス関連疾患 職場環境 役割上の葛藤、不明確さ 人間関係、対人責任性 仕事のコントロール 仕事の量的負荷と変動性 仕事の将来性不安 交代制勤務 仕事以外の要因 緩衝要因 家族、家庭からの欲求 社会的支援 上司、同僚、家族 80

ラインによるケアの内容 仕事上のストレッサー の軽減 職場環境の評価 問題点の把握 職場環境の改善 ・物理化学的環境 ・人間工学的側面 ・人間関係 ・仕事の質的,量的負荷 ・仕事の自由度,裁量権 ・組織形態 ・作業スケジュール など 職場環境の評価 問題点の把握 職場環境の改善 81

ラインによるケアの内容 相談と助言 気づく 話を聴く 情報提供・助言を行う 専門スタッフに依頼する ・声かけを惜しまない ・聞き役に徹する ・共感的態度で接する ・批判はひかえる ・結論を急がない ・助言をあせらない ・プライバシーに配慮する 相談と助言 気づく 話を聴く 情報提供・助言を行う 専門スタッフに依頼する 82

ラインによるケアの内容 業務上の配慮 高ストレス状態 職場不適応 心の健康問題 による休業後 長時間労働など 個人差を踏まえて ・仕事量の軽減 ・仕事内容の変更 ・業務時間の調整 ・各種サポート ・人間関係の調整         など 高ストレス状態 職場不適応 心の健康問題   による休業後 長時間労働など 83

事例性スクリーニング 84

病気と勤労の狭間 病気は治った?…でも働けない人たち サボりなのか?…働かない人たち? 働ける 働けない 働かない 病気 85

事例の早期発見 集団の平均からのズレ 今までのその人からのズレ 部下のちょっとした変化「事例性への気づき」 事例性とは? 事例性とは?  平均的な姿からの乖離(ズレ) 集団の平均からのズレ 今までのその人からのズレ 86

事例性と考えられる部下の兆候 しばしば遅刻するようになった 予定になく、当日の朝になって連絡してくる休暇がたびたびある 家族に内緒で休暇をとり、職場外で何かをしている様子がある 無断欠勤をした 仕事に自信がないと申し出てきた 退職希望を訴えた 職場で仕事関係とは思われない電話やインターネットをしている 大切な会議なのに居眠りをしていることがある 仕事の進捗が停滞している ケアレスミスが目立つようになった 通常は考えらないミスをした 業務上外の大きな事故に巻き込まれたり、目撃したりした 以前と比べて仕事の質や処理能力が低下した 仕事の期限が守れない ありそうもない、あるいは無理な苦し紛れの言い訳をする ボーっとしていることがある 担当している業務の負担の割に帰りが遅い日や時間外労働、休日出勤が多い 自席を離れることが多い 必要性の乏しい出張が目立つ さて、みなさんにはラインによるケアの1つとして、仕事上のストレス要因の軽減の説明の中で、「管理者は職場環境の評価をし、さまざまな視点から職場の状況を把握することが必要です」とご説明しました。その意味でも職場評価において、この職場の事例性に対する評価や気づきはとても重要です。そこで、OHPに、みなさんが職場評価、状況把握の際に、具体的に事例性の初期サインとしてとらえてもよいと思われる項目を示します。 遅刻、欠勤が増える 休みの連絡がない 業務パフォーマンスが低下している 残業、休日出勤が増える ミスや事故(小さなケガ)が目立つ 報告や相談、会話がなくなる 気分が落ち込み、ふさぎこんでいる 気分が高揚し、興奮している これらの状況はみなさんが職場で部下の状況を観察することで比較的容易に気づくことができる項目といえます。またこの他にも各職場ごとに特徴的な項目を追加するとよいでしょう。 87

事例性と考えられる部下の兆候 無断欠勤は1回でもイエローカード 病休と有休の混在 毎回休みの理由が異なる 診断書病名が3つ以上混在する 病院を転々としている 診断書の内容に疑問がある  -脂肪肝にて、2週間の自宅安静  -気管支喘息にて、3ヶ月間の自宅安静

事例性への対応が適切に出来るために コミュニケーションの重要性を認識すること 管理職が面談をどのように実施するか理解していること 部下をよく観察し、必要に応じて個人面談などを実施できること ストレスの受け止め方等の個人差を理解していること 高ストレス状態にある者を把握していること 個人面談が実施できない場合、早い段階で専門スタッフと連携を  とる(本人の承諾をえなくても可能)ことができること 産業保健スタッフからのアドバイスをもとに、本人に面接に応じる  ように再度上司からアプローチすること 十分にプライバシーに対する配慮を行うこと(守秘義務を重視す  るがために本来実施すべき対応を怠らないようにする)

治療導入と復職の支援 90

早期治療導入の判断 本人をどのように説得させるか 職場関係者の対応 産業医面談を実施させる 明確な治療導入の判断が必要(医師の権限と責任) 明確な治療導入の判断が必要(医師の権限と責任)                          ⇔産業医の役割 病態への理解(病気なのか、能力なのか) 企業風土、組織風土、本人の立場(職責、役割)への理解 身分保証の問題 休業、勤務継続、社内の対応の3択 できる限り守秘義務のステップを踏んだ上で、情報を共有する 病識がないケースへの対応は職制との連携を十分に図る 家族への協力依頼(家族はあくまで社外扱い) 主治医との連携

職場復帰支援のながれ 第1ステップ:病気休業開始及び休業中のケア 第2ステップ:主治医による職場復帰可能の判断 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き 職場復帰支援のながれ 第1ステップ:病気休業開始及び休業中のケア 第2ステップ:主治医による職場復帰可能の判断 第3ステップ:職場復帰の可否の判断及び      職場復帰支援プランの作成 第4ステップ:最終的な職場復帰の決定   ~職場復帰~ 第5ステップ:職場復帰後のフォローアップ 復職可否の判断はどのようにするか 職場の受け入れ体制 組織風土に合った復職対応プログラムの作成

生活のリズムが確保できている(自発的なリハビリ) 通院間隔があまり短すぎない 症状が安定してからの期間 要因分析 復職対応上の注意点 復職可能の判断 主治医の基準  休んでいる  内服している  病態が安定している 産業医の基準  1日8時間、週5日働ける  勤務に対する意欲がある(焦りではなく)  生活のリズムが確保できている(自発的なリハビリ)  通院間隔があまり短すぎない  症状が安定してからの期間  要因分析  同様の状況になった時の対処がイメージできる

原則的に元の職場 異動させる場合 段階的業務負荷の必要性 職場の受け入れ体制 復職プログラムの作成 復職意見書の作成 復職対応上の注意点 復職可能の判断 原則的に元の職場 異動させる場合 段階的業務負荷の必要性 職場の受け入れ体制 復職プログラムの作成 復職意見書の作成

復職対応上の注意点 リハビリ出社の取り扱い 飛び石出社 半日勤務 有休と病欠 傷病手当金 賃金の支払い 労災の取り扱い

社内システムの構築 社内システムの構築と周知 管理職のストレス関連疾患に対する理解 関係者間の連携 成功事例の蓄積 ストレス関連疾患に対する差別意識の除去 社内システムへの信頼感の獲得

事 業 者 総括安全衛生管理者 人事部門 産 業 医 衛生管理者 安全管理者 EAP 保健師 健診機関 選任 選任 選任 勧告 指導  事  業  者  選任 総括安全衛生管理者 人事部門 選任 選任 勧告 指導 情報提供 指導・勧告 助言 情報提供 産 業 医 衛生管理者 安全管理者 指導 指示 EAP 保健師 健診機関

産業医をうまく巻き込むには ルール上産業医の役割を明確化すること 契約時の説明を明確に 産業医が仕事をしやすくなる 産業医から発する指示命令系統を明確にする 産業看護職から、人事・勤労から会社側の情報得られるように

メンタルヘルス対策を浸透させるために・・・ 産業保健スタッフ 会社側の理解が“ない”ではなく、専門職からみた問題事象をどう理解してもらうかを考える 問題提起する能力(社内幹部・管理職) 社員の気軽な相談窓口としての機能力アップを 人事・勤労 産業保健スタッフに任せきりでは解決しない 関係各部署との連携を強化する 会社として何を求めているかを産業保健スタッフに伝える 社内教育プログラムを産業保健スタッフを巻き込み立案

過重労働・メンタルヘルス対策  ポイント「人間らしい働き方」  Work-Life Balance を意識  個の対応・組織としての対応     ・継続的な働きかけ ・セルフケアへの意識啓発

ご清聴ありがとうございました。 三菱重工(株)横浜製作所 健康管理センター 北原 佳代