埼玉大学大学院博士前期課程 物理学専攻 03SP001 秋山隆宏 超重元素合成の実験的研究 埼玉大学大学院博士前期課程 物理学専攻 03SP001 秋山隆宏 greeting Talk title outline
研究目的 未知核種(新同位体)の探索 → 核図表の拡大 核の性質の系統的変化 → 魔法数、核異性体、核構造理論の検証 新元素の探索 → 周期律表の拡大 修論発表 2005/02/16
超重元素 厳密にはZ=114, N=184の球形二重魔法核を持つ元素 液滴模型では安定に存在できない核が 殻効果によって安定化され存在する核 超重元素とは、 厳密にはZ=114, N=184の球形二重魔法核を持つ元素 Z=110を超える元素が広い意味で超重元素と呼ばれている また液滴模型では安定に存在できない核が 殻効果によって安定化され存在することのできる核を指す。 Liquid drop model :-- Z =102 Z=114の閉核、 最近では120や126も候補 N=184(理論予想)→ 現在の実験手法では程遠い 修論発表 2005/02/16
IUPAC’s latest version of periodic table of the elements IUPAC = International Union of Pure and Applied Chemistry、国際純正応用化学連合 IUPAP = International Union of Pure and Applied Physics、国際純粋応用物理学連合 93Np,95Am,99Es,100Fm-neutron captureで合成。 102No以降 HI induced reaction -106:LBNL,107-111:GSI 112-118(excluding117) : 報告されておりデータの信頼度もそれなりにあるが命名権を得るには到ってない 命名権を得るには… 修論発表 2005/02/16
http://nrv.jinr.ru/nrv/ 修論発表 2005/02/16
208Pb(58Fe, n)265Hs 208Pb(64Ni, n)271Ds 209Bi(64Ni, n)272Rg 208Pb(70Zn, n)277112 209Bi(70Zn, n)278113 N 自発核分裂 a 崩壊 b+ 崩壊, EC b- 崩壊 Z 横軸に中性子数N、縦軸に原子番号Zをとりプロットしたもの。 各崩壊様式の説明。 RIKENのグループでは、GSIを踏襲しCold Fusion reaction を採用. JINR(Joint Institute for Nuclear Research, Dubna, Russia)が 48Caとアクチノイド標的を用いてHot fusion reactionで報告をしている。 変形核のsub-shell(N=162)が示されている。 赤い色で示されているのは、新発見の同位体。 N=162 修論発表 2005/02/16
Gas-filled recoil separator (気体充填型反跳分離装置) 1 2 (m) D1 Q1 Q2 D2 Heガス導入 差動排気システム 入射ビー ム 回転式標的 弾性散乱による ビーム強度モニタ 半導体検出器 (真空領域) マイラフォイル 入射ビームの軌跡 ビームストッパー(Ta) 目的とするイオンの軌跡 Heガスの領域 Schematic view of GARIS GARISとは~で気体充填型反跳分離装置の略である。 GARIS consists of … … ビーム強度が強くビームラインとガス充填領域を膜などで区切ることができないため、 差動排気システムが用いられている。 またターゲットも照射による熱に耐えられないため、回転式ターゲットが用いられている。 飛行中にビームや核子移行反応生成物と分離され Magnet configuration A role of D2 magnet is reduce background such as light particle. 修論発表 2005/02/16
回転ターゲット 30cm 回転速度 ; 2000~3000 rpm 30 mg/cm2 のカーボンフォイル上に蒸着 ターゲットチェンバーと回転ホイールの写真。 回転ホイールは直径30cmで16個のターゲットがマウントされる。 ターゲットの構成はこんな感じでサンドイッチされている。 30 mg/cm2 のカーボンフォイル上に蒸着 10 mg/cm2 のカーボンフォイルでカバー 修論発表 2005/02/16
焦点面検出器 PSD ToF SSD box ions MCP2 位置分解能 Dx 3.75 mm Dy ±1 mm MCP1 α 修論発表 続いて焦点面検出器の説明。 焦点面検出器は1組のMCPとSSDBoxからなる。 MCPの説明. 一つはフォイル間の飛行時間を測定し、PSDで測定された運動エネルギーと組み合わせて核種の質量を決定しようとするものである。 もう一つは偶発同時係数として働き、PSDのシグナルに対し、両方のMCPからのシグナルがあれば、それはimplantationのイベントとみなし、 MCPからのシグナルが無い場合にそれは崩壊によるイベントとみなす。 焦点面にある半導体検出器は、 16ストリップの位置敏感型半導体検出器で、 横方向はそのストリップ幅の3.75mmの分解能を持ち、 縦方向は2MeV以上のα粒子に対し、±1mmの分解能を持っている。 修論発表 2005/02/16
ToF-エネルギー スペクトル ER-a 相関 272111 TOF / ns Energy / MeV 209Bi+64Ni reaction (Main.033, strip 13) 272111 Beam-like particles Target-like particles 軽粒子 Counts per 10 keV 5 10 15 20 25 1 100 8 9 11 12 Total Total [ ROI = 8 - 12MeV ] Anti-coincidence with TOF detectors ER-a correlation (DP=+/-1 mm, Dt=30 s) 268Mt 264Bh 260Db 256Lr 0.5 cps 2.4x10-2 cps 1.8x10-3 cps 左側はMCP間の飛行時間を横軸にプロットし、縦軸にPSDで測定されたエネルギーをプロットしたものです。 右側は一番上はPSDの全シグナルで、 上から2番目がこれらの領域で予想されているα崩壊のエネルギー8~12MeVの部分を抜き出したものです。 このうちMCPがシグナルを出していないという条件を掛けることで、 さらにPSDの位置分解能と、implantationから30secの時間幅を取ることで、 ひとつの連鎖のみが残り確認できる。 修論発表 2005/02/16
208Pb(70Zn,n)277112 実験期間 2004/4/2 ~ 2004/5/24 693 時間 (28.9 日) 実験期間 2004/4/2 ~ 2004/5/24 693 時間 (28.9 日) ビームエネルギー 346 MeV @ target center Total Dose 4.4x1018 particles Target Thickness 450 mg/cm2 イベント数 2 e 0.8 s 0.44+0.59-0.29 pb 修論発表 2005/02/16
観測された崩壊連鎖(Z=112) CN a 273Ds 269Hs 265Sg 261Rf 11.09 ± 0.07 MeV 1.10 ms 277112 273Ds 269Hs 265Sg 261Rf CN 11.09 ± 0.07 MeV 1.10 ms 11.14 ± 0.04 MeV 0.52 ms 9.17 ± 0.04 MeV 14.19 s 8.71 ± 0.04 MeV 23.02 s 197.3 MeV 2.97 s 11.32 ± 0.04 MeV 1.22 ms 11.15±0.07MeV 39.9 ms 9.25 ± 0.07 MeV 0.270 s 8.70 ± 0.04 MeV 79.9 s 156.3 MeV 8.3 s a 修論発表 2005/02/16
T_decay (s) 103 102 101 257No 265Sg 269Hs 261Rf 100 10-1 10-2 277112 273Ds 10-3 10-4 中性子数 修論発表 2005/02/16
209Bi(70Zn,n)278113 実験期間 2003/9/5 ~ 2003/12/29 2004/7/8 ~ 2004/8/2 実験期間 2003/9/5 ~ 2003/12/29 2004/7/8 ~ 2004/8/2 1920 時間 (80 日) ビームエネルギー 349 MeV @ target center Total Dose 1.7x1019 Target Thickness 480 mg/cm2 イベント数 1 e 0.8 s 55 +154-47 fb 修論発表 2005/02/16
観測された崩壊連鎖(Z=113) CN a 23-July-2004 18:55 (JST) Elab (70Zn) = 349.5 MeV 278113 274Rg 270Mt 266Bh 262Db CN 11.68 MeV 344 μs 30.49 mm 11.15 MeV 9.260 ms 30.40 mm 10.03 MeV 7.163 ms 29.79 mm a 9.08 MeV 2.469 s 30.91 mm 23-July-2004 18:55 (JST) Elab (70Zn) = 349.5 MeV 204.05 MeV 40.9 s 30.25 mm 修論発表 2005/02/16
最適な入射粒子のエネルギーEoptを選ばなくてはならない 生成断面積が非常に小さい 113番元素では80日で1イベント観測 さらに重い元素を合成するためには 最適な入射粒子のエネルギーEoptを選ばなくてはならない 修論発表 2005/02/16
エネルギー ダイアグラム 修論発表 2005/02/16 反応のエネルギーダイアグラムを示したものです。 Shell効果によるポテンシャルのラインが赤で示されており、 各labelの説明. 分裂の鞍点(saddle point)がCoulomb barrierの内側にあるためCoulomb barrierを超えただけでは 分裂に対し不安定で、自発核分裂を起こしてしまいます。 以下ではこの部分に注目し考察を行っていきます。 修論発表 2005/02/16
GSI RIKEN LBNL 208Pb(64Ni, n)271Ds 209Bi(64Ni, n)272Rg 修論発表 2005/02/16
Moller&Nix 2.92 MeV Myer&Swiatecki 1.32 MeV KTUY2005 -0.11 MeV 最適な入射エネルギー Eopt = 368.4 +0.2-0.2 MeV 修論発表 2005/02/16
a 未知核 284115 283114 既知核 既知核に到達する前に自発核分裂を起こした場合 AZX 実験的確認ができない s.f. AZER A+1ZCN A-4Z-2Y 未知核 既知核 a A-12Z-6Z’ A-8Z-4Z AZX s.f. 実験的確認ができない 283114 284115 修論発表 2005/02/16
イオン 修論発表 2005/02/16
蒸発残留核 核分裂片 修論発表 2005/02/16
結論 初めての実験的確認 新しい検出器のR&D ING 277112を2イベント観測 中性子数N=162の閉核の示唆 278113を1イベント観測 初めての実験的確認 Z=114 の元素を合成するのに最適な 入射エネルギーの決定 Eopt = 368.4 +0.2-0.2 MeV 新しい検出器のR&D ING 修論発表 2005/02/16
修論発表 2005/02/16
Theoretical estimation of cross section Phys. Rev. C 71(2005) 014602 W. J. Swiatecki et al. 修論発表 2005/02/16
差動排気システム 102 10-2 101 100 10-1 [Pa] Beam GARIS Top View MBP 280 l/sec Target Chamber 102 10-2 101 100 10-1 [Pa] GARIS Top View MBP 280 l/sec 140 l/sec TMP 280 l/sec Side View 修論発表 2005/02/16
Cross section systematics Hot fusion reaction Cold fusion reaction 修論発表 2005/02/16
Schematic view of MCP 修論発表 2005/02/16
同定方法 崩壊の親子関係 位置,崩壊エネルギー相関 a 崩壊 未知核 既知核 AZX A+1ZCN 修論発表 2005/02/16 AZER A-16Z-8Z’’ A-4Z-2Y 未知核 既知核 a 崩壊 A-12Z-6Z’ A-8Z-4Z AZX 同定方法は位置、崩壊のエネルギーの相関を用いて、親子関係から合成された核種の同定を行っている。 これはα崩壊の連鎖が既知核に到達することをもって行う。 したがって途中で自発核分裂を起こした場合や、 (α粒子が完全にescapeした場合には確認ができなくなってしまう。) 修論発表 2005/02/16
Efficiency(e) of GARIS 修論発表 2005/02/16
実験手法 (蒸発残留核) HI(58Fe,64Ni,70Zn,etc.)とPb,Biターゲットを用いて、核融合反応を起こす。 融合した複合核は10数MeVの励起エネルギーを持ち、中性子を一つ放出し、基底状態におちる。 断面積は、fusionの確率と 複合核が基底状態に落ちる時に自発核分裂と競合した時に自発核分裂を起こさす中性子を放出し生き残る確率Psurvの積で表される。 修論発表 2005/02/16
理研線形加速器(RILAC) GARIS 18GHz ECR イオン源 可変周波数RFQ CSM 加速タンク RILAC 加速タンク CSM:Charge State Multiplier 重イオン荷電状態増幅装置 RFQ:Radio Frequency Quadrupoleの略で、イオン用の線形加速器の一種。 1969年に旧ソ連で考案され、1980年に米国で始めて実用化された、比較的に新しいタイプのものである。 RFQにはイオン源から引きだされた程度の低速のイオンをほとんど100%加速することができる利点があるため、 その後世界中の加速器施設で用いられるようになった。周波数可変のRFQは世界でもあまり例がない。 ECRIC:Electron Cyclotron Resonance Ion Source。 ソレノイド磁石等を利用した磁場で囲まれた領域にマイクロ波を導入し、気体または固体を加熱しプラズマを生成する。 この時磁場中でマイクロ波の周波数と同期してサイクロトロン運動を行う電子により効率良くイオン化が行われる事を利用したイオン発生装置 MAX 5.8MeV/u (before 3MeV/u) 修論発表 2005/02/16
GARISの動作原理 PHe-gas~ 85 Pa V0 = c/137 修論発表 2005/02/16 GARISの動作原理。 ターゲットと反応した入射粒子は異なった電荷状態qを持ち、その電荷状態qに応じた軌跡を通る。 しかし、磁場領域をガスで充填することで、 イオンとガス分子との連続的な衝突によりある平衡電荷状態を持つようになる。 したがって磁場の設定は、合成しようとする核種の原子番号と質量にのみ依存し、 効率よく収集することができる。 PHe-gas~ 85 Pa V0 = c/137 修論発表 2005/02/16
271Ds 2002年 7月, 9月, 11月 (40日) ビーム 64Ni : 0.4~1 pmA ターゲット 208Pb :190~250 mg/cm2 e (GARIS) 0.8 Elab@target center [MeV] Dose (×1018) event s [pb] 308 1.00 1 1.8+4.1-1.5 311 0.95 4 8.0+6.0-4.0 314 1.01 9 17+7-6 318 1.07 0+3.7-0 合計 4.1 14 events (cf. 13 atoms at GSI) 修論発表 2005/02/16
Excitation function of 271Ds Epeak = 313.1 MeV s = 16.5 pb Moller & Nix Myer & Swiatecki KTUY2005 修論発表 2005/02/16
a a 271Dsの核異性体の確認 267Hs核異性体の存在の可能性 CN 46.0 ms 10.441 MeV 1.16 s 271110 267Hs 255No 259Rf 263Sg 251Fm 46.0 ms 10.441 MeV 1.16 s 9.728 MeV 5.998 s 9.307 MeV 239 ms 10.712 MeV a CN 272110 267Hs 255No 259Rf 263Sg 251Fm 66 ms 10.089 MeV 48 ms 10.830 MeV 2.714 ms 10.461 MeV 58.4 ms 7.727 MeV 修論発表 2005/02/16
272Rg 2003年 2/12~5/12 (50日) ビーム 64Ni : 0.7~1.8 pmA ターゲット 209Bi : 210~310 mg/cm2 Elab@target center [MeV] Dose (×1018) event s [pb] 320 2.02 3 2.6+2.3-1.5 323 4.94 8 2.5+1.2-0.9 326 2.50 0.0+1.1-0 合計 9.46 11 events (cf. 6 atoms at GSI) 修論発表 2005/02/16
Excitation function of 272Rg Epeak = 318.9 MeV s = 3.8 pb ここでのgaussianフィットはFWHMを110番のものと同じに固定して、得ました。 上の三色の軸はDsの時のものと同じです。 修論発表 2005/02/16
a a a 264Bh, 260Dbの自発核分裂 260Dbの核異性体の存在 1.71 s 231 MeV CN 7.11 ms 272111 268Mt 260Db 264Bh 7.11 ms 10.82 MeV 0.715 ms 10.28 MeV 0.54 s 9.57 MeV 1.71 s 231 MeV S.F. a CN 272111 268Mt 264Bh 8.89 ms 10.96 MeV 26.18 ms 2.76 MeV 0.97 s 208 MeV S.F. 2.82 ms 11.31 MeV a CN 272111 268Mt 256Lr 260Db 264Bh 44 ms 10.78 MeV 0.44 s 9.58 MeV 48.46 s 8.81 MeV 264Bh, 260Dbの自発核分裂 260Dbの核異性体の存在 修論発表 2005/02/16
208Pb(50Ti, n)257Rf 209Bi(58Ti, n)258Db NUCLEAR REACTION VIDEO Project http://nrv.jinr.ru/nrv/ 修論発表 2005/02/16
208Pb(54Cr,n)261Sg 209Bi(54Cr, n)262Bh 修論発表 2005/02/16
208Pb(58Fe, n)265Hs 209Bi(58Fe, n)266Mt 修論発表 2005/02/16
208Pb(64Ni, n)271Ds 修論発表 2005/02/16