小売店舗における陳列改善策の検討とVRの活用に関する研究

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小売店舗における陳列改善策の検討とVRの活用に関する研究 流通情報工学課程    学籍番号 98713    川口大輔 本研究の題目は小売店舗における陳列改善の検討とVRの活用に関する研究です。

販売方法の対面販売からセルフ販売への移行 多種多様な陳列方法の中から適切な方法を選択する指標が無い 研究背景 背景 販売方法の対面販売からセルフ販売への移行 セルフ販売増加による陳列の重要度の向上 問題 多種多様な陳列方法の中から適切な方法を選択する指標が無い  近年、人件費の高騰等により、店舗における販売方法は対面販売からセルフ販売に移行しつつあり、客が自由に商品を選ぶ売り方が多くなりました。その結果、陳列テクニックや広告技術は、ますます重要度を増しています。しかし、多種多様な陳列方法の中から適切な陳列方法を選択する指標はなく、店主の経験とカンに頼っているのが現状である。そのため、多種多様な陳列方法の中から売場の目的に応じた陳列方法を明確にするため、陳列方法の整理分類が必要となったのです。 解決策 陳列方法を整理分類する必要がある

VRの陳列評価システムへの応用の可能性について 研究目的 研究第一目的 陳列方法の整理分類を行い、 また整理分類の有効性の検討を行う 研究第二目的 VRの陳列評価システムへの応用の可能性について 検討を行う 本研究では陳列目的をもとに陳列方法の整理分類を行うことを研究の第一の目的とし、店舗の陳列改善へ、この分類を適用し、その有効性を検証します。 また、陳列評価へのバーチャルリアリティの応用の可能性に関して検討を行うことを研究の第二の目的とします

陳列方法一覧 本研究では調査により、発見したこれら(表)61通りの陳列方法について分類を行うこととしました

・陳列目的 ・適用場所 ・適用費用 ・適用期間 整理分類の視点 ・陳列目的 ・適用場所 ・適用費用 ・適用期間 陳列方法の整理分類はスライドにある陳列目的、陳列方法の適用場所、適用費用、適用期間の4つの視点から分類を行うこととしました。

陳列目的の整理 陳列方法、売場 目立つ (1.注目) 見やすい (2.興味) 買いやすい (5.決定) 陳列目的 (陳列効果) 手にとりやすい (4.確信) 選びやすい (3.比較) まず、陳列目的から分類を行うため陳列方法や売場を構成する陳列目的を大きく5つ分けました。それが、スライドにある目立つ、見やすい、選びやすい等のことであり、その下の注目や興味は陳列目的を分ける際、参考にした陳列効果です。

陳列方法の陳列目的達成度表 陳列方法 陳列目的 目的達成度 による分類 次に、スライドにあるように5つに分けた陳列目的を、目的の達成度により○△×の三段階に分けました。これを61通りの陳列方法全てに適用し分類しました。陳列方法の陳列目的達成度表です。

陳列方法分類表の作成(一部) 陳列目的達成度表からの分類 他の視点からの分類 さらに、他の整理分類の視点である陳列方法の適用場所、適用費用、適用期間について陳列方法の達成度の最も高かった陳列目的を主目的とし、これを中心に分類を行い陳列方法分類表を作成しました。 本研究ではこの陳列方法分類表と前の陳列方法の陳列目的達成度表の有効性を検証する事にします。

VRの陳列評価システムへの応用の可能性について 研究目的 研究第一目的 陳列方法の整理分類を行い、 また整理分類の有効性の検討を行う 研究第二目的 VRの陳列評価システムへの応用の可能性について 検討を行う ここまでで第一目的の分類整理まで終了しました。次は整理分類の有効性の検証に移ります。  

研究対象店舗の概要 今回は、有効性の検証をするために陳列の改善案を作成した分類表を用いて行うこととしました。そこで、改善を行うべき陳列が必要となり、本研究では、小売店舗を研究対象とし、陳列の検討を行うこととしました。具体的には茶小売店である「玉露軒」を対象としました。この店舗は、茶を専門として、その他に関連する幾つかの商品を取り扱う店舗である。また、販売方法は基本的にセルフ販売とし、デパートやスーパーに専門店として出展している典型的な小売店舗であり、 茶以外の商品も扱っているため複数の陳列方法が使用されている可能性があり、研究対象店舗としては最適であると考えられます。 茶小売店舗  「玉露軒」

改善案立案の流れ アンケートによる店舗調査 陳列方法の 問題点の明確化 目的達成度表 陳列方法分類表 改善案の立案 第一段階 第二段階 第三段階 陳列における改善案の立案の流れとしてはこのようになります。ここから一つの手順ずつ具体的に解説していきます。 まず、第一段階としてアンケートによる店舗調査について述べます。 陳列方法分類表 改善案の立案

研究対象店舗でのアンケート調査 (1)店長に対するアンケート調査 実施者 1名 方法 ・店長に対し調査項目のアンケート 実施者 1名 方法  ・店長に対し調査項目のアンケート 目的  ・研究対象店舗における売場で選択された陳列目的      ・個々の売場での使用陳列方法の調査 (2)店員、客に対するアンケート調査 実施者 店員4名 客113名 方法  ・5段階評価(5大変良い~1大変悪い)によるアンケート 目的  ・店長により選択された陳列目的の達成度調査 まず、店舗における現状を調査するため、店舗調査の方法として2種類のアンケートを行いました。 1つ目は店長に対するアンケートで、店舗の中の売場ごとの店長の選択した陳列目的と、それぞれの売場で使用されている陳列方法の調査アンケートを実施しました。 2つ目は店員客に対するアンケートで、店長により選択された陳列目的の現状での達成度の調査アンケートを行いました。

改善案立案の流れ アンケートによる店舗調査 陳列方法の 問題点の明確化 目的達成度表 陳列方法分類表 改善案の立案 第一段階 第二段階 第三段階 次に流れの第二段階の問題点の明確化について述べます。これは、図にあるとおり陳列方法の目的達成度表を用いました。 陳列方法分類表 改善案の立案

問題点の明確化 1.問題点となっている目的の 明確化 (1)採用した陳列方法の妥当性 2.各陳列目的ごとの問題点の 抽出    明確化   (1)採用した陳列方法の妥当性    (2)問題となっている陳列目的の抽出 2.各陳列目的ごとの問題点の    抽出 問題点の明確化はスライドにある2つの手順により行いました。 1.問題点となっている目的の明確化 採用した陳列方法の妥当性・・目的にあった陳列方法 問題点となっている陳列目的の抽出・・達成度表を使用し売場の総合評価表を作成し、5つの陳列目的がどのような問題になっているのか検討 次に、各陳列目的ごとの問題点の抽出を行います

問題点となっている目的の明確化 (1)採用した陳列方法の妥当性の検証 売場での陳列目的達成度表の作成(一例) 売場の目的 検証 1つ目の手順として 採用した陳列方法の妥当性の検証を行うため、アンケート調査から売場の使用陳列方法を「陳列方法の陳列目的達成度表」から抜き出し、売場での陳列目的の総合評価を行いました。そして、総合評価と売場での選択された陳列目的と比較し、例では、店主が選択した売場の目的の達成度が高くなっており、採用した陳列方法の妥当であるといえるのです。

問題点となっている目的の明確化 (2)問題となっている陳列目的の抽出 比較 総合評価とアンケート結果の比較 比較 総合評価が○、アンケート結果が○・・問題は無い 総合評価が×、アンケート結果が×・・この陳列方法の組み合わせでは目                        的を達成できない 総合評価が○、アンケート結果が×・・陳列方法の適用方法(使用方法)に                        問題がある さらに、問題点となっている陳列目的を抽出するため、総合評価と店員客のアンケート等と比較を行いました。結果として総合評価が○、アンケート結果が○・・問題は無い 総合評価が×、アンケート結果が×・・この陳列方法の組み合わせでは目的を達成できない。そのためこの陳列目的の達成度が高い陳列目的を陳列方法の陳列目的達成度から選択する方法が考えられる。 総合評価が○、アンケート結果が×・・陳列方法の適用方法(使用方法)に問題がある。これら結果から、問題点を抽出する方向性を決めることができるのである。

問題点分類表 店主が 選択した 陳列目的 対象 売場 原因と 考えられる 使用陳列方法 陳列目的 陳列目的 達成度 問題点の 考察 問題点 抽出の結果として問題点分類表が作成できます。

改善案立案の流れ アンケートによる店舗調査 陳列方法の 問題点の明確化 目的達成度表 陳列方法分類表 改善案の立案 第一段階 第二段階 第三段階 次に第三段階として改善案の立案に関して述べることとします。図にあるとおり、改善案の立案は陳列方法の目的達成度表と陳列方法分類表を使用しました。 陳列方法分類表 改善案の立案

改善案の立案 1.陳列方法の陳列目的達成度表を使用し問 題点に対する改善案の立案 1.陳列方法の陳列目的達成度表を使用し問  題点に対する改善案の立案 2.陳列方法分類表を使用し改善案の分類選  択(改善案のタイプ、費用、期間) 改善案の立案は2つの手順を行いました。1.陳列方法の陳列目的達成度表を使用し問題点に対する改善案の立案を行い、2、陳列方法分類表を使用し改善案の分類選択を行う

改善案分類表 対象 売場 総合 評価 問題点 改善案の タイプ 期間 陳列 目的 改善案 費用 原因と なっている 陳列方法 改善案で 使われる 陳列方法 対象 売場 総合 評価 問題点 改善案の タイプ 期間 陳列 目的 改善案 費用 これにより分類した改善案から改善者の意図に合ったものを選択できるのです。 まとめ 研究対象店舗の店主に改善案の結果について示したところ妥当な改善案であるという評価を得ることができた。 これにより、2つの陳列方法の分類表を使用することで簡単に陳列改善を考案することができ、分類整理が有効であることを示すことができた。

VRの陳列評価システムへの応用の可能性について 研究目的 研究第一目的 陳列方法の整理分類を行い、 また整理分類の有効性の検討を行う 研究第二目的 VRの陳列評価システムへの応用の可能性について 検討を行う 研究第二目的であるVRの陳列評価システムへの応用の可能性について検討を行いました。

陳列評価方法 「陳列変更図を手書きにより作成」 「模型(自己製作、委託)」 「既存の陳列評価システム」 「VRを応用した陳列評価システム」 「店舗への改善案の直接の適用」 VRを応用した陳列評価システムにはどのような機能が必要なのか検証するため、まずVRを応用した陳列評価システムを含めた陳列評価方法について比較を行った。

VRの応用により問題の解消が可能であると考えられる 陳列評価方法の比較検討 陳列評価方法 陳列評価方法のハード的な面 (費用、期間、労力) 陳列評価方法のソフト的な面 (陳列を評価するうえで必要な機能) 比較検討結果 既存の問題点 ・店舗への直接の適用を除くと現実の陳列状態の把握に問題がある ・改善案の適用評価後の変更が難しい ・ハード的な面では手書き以外で陳列変更ごとに費用、時間、労力がかかる そして、ハード的な面とソフト的な面の2つから陳列評価方法を比較検討した結果、既存の陳列評価方法の大まかな問題点は図のようになりました。その中で、VRの応用により問題の解消が可能であると考えられる現実の陳列状態の把握という問題点を解消することのできるシステムを開発することとしました。 VRの応用により問題の解消が可能であると考えられる

問題解消のため陳列評価システムに求められる機能  1.物体の表示に関係する機能 2.視野視界に関係する機能 3.陳列位置に関係する機能 本研究では重要な機能であると考えられた 1、2の機能に関して開発を行う 問題点解決に求められる機能として、物体の表示、視野視界、陳列位置に関係する機能が挙げられましたが、本研究では3つの中で重要であると考えられる物体の表示、視野視界に関係する機能について開発を行うこととしました。

VRを応用した陳列評価システムの構成 システム全体の構成は ②     キーボードを使用し、視野視界に関係する機能により店舗内の観察を行う ③     観察結果から改善案の評価考察を行う というものです。 次は実際の開発した機能について解説します。

「物体の表示に関係する機能」 「物体の表示に関係する機能」 対象店舗陳列再現機能 実店舗の陳列状態を再現するための機能 時間の関係から物体の表示機能についてのみ解説します。 この機能は具体的には対象店舗陳列再現機能として、実店舗の陳列状態を再現するための機能です。この機能は3D Studio Vizにより構築した物体をオメガスペースというソフトに取り込むことで可能となりました。

陳列評価システムによるシステムと改善案のアンケート評価 評価方法 前回と同様に個々のアンケート項目に関して 5段階評価(5大変良い~1大変悪い)によるアンケートを実施 「陳列評価システム評価アンケート」 実施者 11名 目的  2つの機能についての評価 「店舗陳列の目的達成度の改善前、改善後の比較評価 」 実施者 11名 目的  改善前と改善後の2種類の売場の      陳列目的の達成度を評価さらに前回アンケートとも比較 構築した陳列評価システムによりシステムの完成度を見るアンケートと構築した改善前と改善後の店舗での比較調査のためのアンケートを行いました。

アンケート評価結果 「陳列評価システムアンケート結果」 考察 臨場感を持ったある程度陳列状態の再現が可能 ・物体表示機能・・平均3.2 ・視野視界機能・・平均3.6 考察 臨場感を持ったある程度陳列状態の再現が可能 「店舗陳列の目的達成度の改善前、改善後の比較評価結果」 ・全ての売場において改善後の評価が改善前より上昇 ・前回と改善前の評価に差が発生 考察 ・改善案の有効性を示す ・陳列状態の再現が不十分 システムに関しては陳列状態の再現性の評価が平均3.2と若干の問題が見られるものの既存の方法よりも、より臨場感があり現実に近い陳列状態の再現が可能となり、陳列評価へのVRの応用の可能性を示すことができた。 また、改善案自体の評価であるが、改善前と比較し全ての売場において改善後の評価が上回り、この改善案の有効性を示すことができた。

結論 ①陳列方法の陳列目的達成度表、陳列方法分類表を作成。 ②作成した陳列方法分類表を用いて店舗における陳列の問題点の抽出分類及び改善案の立案より、陳列方法の分類の有効性を示した。 ③VRを活用した陳列評価システムより陳列改善案に関する評価が可能であることを示し、これにより陳列改善へのVRの応用の可能性を示した。 結論として、まず、陳列方法分類表と陳列方法の陳列目的達成度表の作成を行い陳列方法の整理分類を行うことができ、また改善案の立案による改善案分類表の作成よりその有効性を示すことができました。 また、アンケートからVRの陳列評価への応用の可能性も示すことができました。 これにより研究目的ができたといえます

質問①~⑤・・視野視界に関する機能についての質問 質問⑥・・物体の表示に関する機能についての質問 補足資料 システム評価アンケート結果 質問①~⑤・・視野視界に関する機能についての質問 質問⑥・・物体の表示に関する機能についての質問

補足資料 客アンケート結果

陳列目的 目立つ陳列目的とは、

「視野視界に関係する機能」 「視野視界に関係する機能」 視界再現機能 視点移動機能(人の視点移動) 現実に近い評価を可能にすることができる 2つ目の機能である視野視界に関係する機能は具体的には、視界の再現機能と視点の移動機能の2つに分かれます。 視界再現機能についてはオメガスペースのカメラ設定を実際の人間の視界に設定することにより可能となりました。 視点移動機能は視界再現機能でのカメラをオメガスペースの機能の1つであるウォークスルーと併用することで可能となりました。ウォークスルー機能とはオメガスペース上に構築したバーチャル空間内をキーボード、マウスなどのデバイスを使用することで自由に移動する機能です。