通信情報システム専攻 津田研究室 M1 佐藤陽介

Slides:



Advertisements
Similar presentations
Absolute Orientation. Absolute Orientation の問題 二つの座標系の間における剛体 (rigid body) 変換を復元す る問題である。 例えば: 2 台のステレオカメラから得られた3次元情報の間の関 係を推定する問題。 2 台のステレオカメラから得られた3次元情報の間の関.
Advertisements

『わかりやすいパターン認 識』 第 5 章 特徴の評価とベイズ誤り確率 5.4 ベイズ誤り確率と最近傍決定則 発表日: 5 月 23 日(金) 発表者:時田 陽一.
偏光ライダーとラジオゾンデに よる大気境界層に関する研究 交通電子機械工学専攻 99317 中島 大輔 平成12年度 修士論文発表会.
リモートセンシング工 学 2007 年 1 月 11 日 森広研 M1 本田慎也. 第 11 章 気象レーダーによる観 測 雲、雨、風など 気象災害 → 特に台風、集中豪雨、竜巻、 ウインドシアー 大気の激しい撹乱現象をレーダーで 観測し防災に役立てることが重要.
放射線の計算や測定における統計誤 差 「平均の誤差」とその応用( 1H) 2 項分布、ポアソン分布、ガウス分布 ( 1H ) 最小二乗法( 1H )
Determining Optical Flow. はじめに オプティカルフローとは画像内の明る さのパターンの動きの見かけの速さの 分布 オプティカルフローは物体の動きの よって変化するため、オプティカルフ ローより速度に関する情報を得ること ができる.
反射波が支配的な状況下でのマルチパス誤差低減
コンピュータビジョン特論 第8回対象追跡 2006年11月22日 加藤丈和.
復習.
数値気象モデルCReSSの計算結果と 観測結果の比較および検討
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/5講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
GPS観測 2006年度地球観測実習 ~新しい可能性を求めて~     新井隆太 大久保忠博 米田朝美        担当教官 宮崎真一.
スペクトル法による数値計算の原理 -一次元線形・非線形移流問題の場合-
情253 「ディジタルシステム設計 」 (2)modem2
放射線の計算や測定における統計誤差 「平均の誤差」とその応用(1H) 2項分布、ポアソン分布、ガウス分布(1H) 最小二乗法(1H)
次に 円筒座標系で、 速度ベクトルと加速度ベクトルを 求める.
5.アンテナの基礎 線状アンテナからの電波の放射 アンテナの諸定数
前回の内容 結晶工学特論 第4回目 格子欠陥 ミラー指数 3次元成長 積層欠陥 転位(刃状転位、らせん転位、バーガーズベクトル)
首都大学東京 都市教養学部数理科学コース 関谷博之
羽佐田葉子 2007年3月24日 アクロス研究会@静岡大学
(ラプラス変換の復習) 教科書には相当する章はない
SI = N(H) ・ (1 - e -TR/T1) ・ e -TE/T2 ・ e -bD 双極傾斜磁場 bipolar gradient
ランダム不均質媒質中の非等方震源におけるベクトル波エンベロープ合成
2.伝送線路の基礎 2.1 分布定数線路 2.1.1 伝送線路と分布定数線路 集中定数回路:fが低い場合に適用
大気レーダーのアダプティブクラッタ 抑圧法の開発
第8週 高精度GPSの構築 位相測位の原理 通信システムの構築.
マイケルソン・モーレーの実験の検証 マイケルソン・モーレーの実験ではもう一つの往復光を垂直方向に分けて行った。
P4 通信システム P4.1 ディジタルフィルタの設計とその応用 P4.2 伝送線路のFDTD解析 P4.2 H4.1 P4.1 H4.1
分布定数回路(伝送線路)とは 電圧(電界)、電流(磁界)は回路内の位置に依存 立体回路 TE, TM波
電磁波 アンテナ.
位相カメラの進捗状況 京都大学修士1回 横山 洋海.
電磁気学C Electromagnetics C 5/28講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
情報理工学系研究科 数理情報学専攻 数理第四研究室 博士三年 指導教員: 駒木 文保 准教授 鈴木 大慈 2008年8月14日
黒体輻射 1. 黒体輻射 2. StefanのT4法則、 Wienの変位測 3. Rayleigh-Jeansの式
6. ラプラス変換.
ベクトル線図 周波数応答 G(jw) (– < w < ) を複素平面内に描いたものが、ベクトル線図である。
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/30講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
川崎浩司:沿岸域工学,コロナ社 第2章(pp.12-22)
4次元時空間(複素数)と ミンコフスキー時空間(実数)の差異
システム制御基礎論 システム工学科2年後期.
ルンゲクッタ法 となる微分方程式の解を数値的に解く方法.
第6回 高精度GPSの構築 位相測位の原理 通信システムの構築.
電気回路学Ⅱ コミュニケーションネットワークコース 5セメ 山田 博仁.
星形成時間の観測的測定 東大天文センター M2 江草芙実 第4回 銀河shop 2004/10/19.
空洞型ビーム軌道傾きモニターの設計 東北大学 M1 岡本 大典 .
変換されても変換されない頑固ベクトル どうしたら頑固になれるか 頑固なベクトルは何に使える?
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 8/4講義分 電気双極子による電磁波の放射 山田 博仁.
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/9講義分 電磁場の波動方程式 山田 博仁.
沖縄偏波降雨レーダー(COBRA)で観測 された台風0418号の風速場の特徴
Interferometry and Synthesis in Radio Astronomy 3.1章
2009年7月9日 熱流体力学 第13回 担当教員: 北川輝彦.
平面波 ・・・ 平面状に一様な電磁界が一群となって伝搬する波
Fourier 変換 Mellin変換 演習課題
バリオン音響振動で探る ダークエネルギー ~非線形成長と赤方偏移歪みの影響~
9. ナイキスト線図と安定余裕 教科書 7.2, 7.3.
第3章 線形回帰モデル 修士1年 山田 孝太郎.
潮流によって形成される海底境界層の不安定とその混合効果
イオン源ビームオンラインモニター・スキャナー
定常剛体回転する宇宙ひもからの 重力波放射
人工知能特論II 第8回 二宮 崇.
400MHz帯ウィンドプロファイラとCOBRAで観測された台風0418号の鉛直構造
地上分光観測による金星下層大気におけるH2Oの半球分布の導出
電磁気学C Electromagnetics C 5/20講義分 電磁場の波動方程式 山田 博仁.
電気回路学Ⅱ 通信工学コース 5セメ 山田 博仁.
卒論中間発表 2001/12/21 赤道の波動力学の基礎 北海道大学理学部 地球科学科 4年 山田 由貴子.
マイクロ波測定により、プラズマ密度、揺動計測を行いプラズマ閉じ込めについて調べる。
振幅は 山の高さ=谷の深さ A x A.
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/7講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
Fourier 変換 Mellin変換 演習課題
60Co線源を用いたγ線分光 ―角相関と偏光の測定―
Presentation transcript:

通信情報システム専攻 津田研究室 M1 佐藤陽介 4章:ドップラー速度測定の原理 通信情報システム専攻 津田研究室 M1 佐藤陽介

まえおき 発表のテーマ 発表内容

発表のテーマ 大体のイメージをつかむ(定性的理解) 式ばっかり追っていてもいまいちわからない 最初から全て理解するのは難しい

発表内容 ドップラー速度測定 単一ドップラーレーダーによる風速測定 複数のドップラーレーダーによる風速測定 視線方向の風速を測定 アンテナ走査で2次元・3次元の風速推定 複数のドップラーレーダーによる風速測定 一つの気象標的を複数のドップラーレーダーで観測 風速測定の精度向上

ドップラー速度測定 ドップラーレーダーの原理 ドップラー速度測定範囲 ドップラー速度測定範囲の拡大

ドップラーレーダーの原理 距離r Target 往復:2r/λ×2π =4πr/λ[rad] Radar:波長λ,初期位相 受信信号位相 速度 位相時間変化(微分) ドップラー角周波数 ドップラーレーダーの 基本関係式

MOPA (Master Oscillator and Power Amplifier) ドップラーレーダーの構成 (1/2) I(t):実数部 Q(t):虚数部 別途説明用の資料を用意 口頭で説明 fs :キャリアみたいなもの MOPA (Master Oscillator and Power Amplifier)

ドップラーレーダーの構成 (2/2) 実際は離散的なデータなので・・・ 以上より,視線方向の風速測定が可能!!

ドップラー速度測定範囲 検出可能な 最大ドップラー周波数 (サンプリング定理より) ナイキスト速度 (折り返しなしの最大速度) 観測範囲 ナイキスト速度と観測範囲は 同時に大きくできない 通常raを制限して 速度折り返しの発生を極力抑える fp:パルス折り返し周波数 (pulse repetition frequency, PRF)

ドップラー速度測定範囲の拡大 複数のPRFの組み合わせ→測定範囲の拡大 2波の場合: Δvは折り返しの回数に応じて ナイキスト速度 の整数倍の値をとる PRF比(互いに素)

発表内容 ドップラー速度測定 単一ドップラーレーダーによる風速測定 複数のドップラーレーダーによる風速測定 視線方向の風速を測定 アンテナ走査で2次元・3次元の風速推定 複数のドップラーレーダーによる風速測定 一つの気象標的を複数のドップラーレーダーで観測 風速測定の精度向上

1台のレーダーによるドップラー観測 VVP法による線形風速場の観測 VAD法による水平風の場の観測 バイスタティックレーダーによる観測

VVP法による線形風速場の観測 解析体積…風速が線形に変化 仰角幅1~2°, 方位角幅30~40°, 距離幅20~30km 発散、変形の推定精度は 解析体積のサイズ、形状、 風速の測定誤差、 実際の風の線形性などに依存 VVP(velocity volume processing) 1台のドップラーレーダーで 得られる視線方向の空間分布から 解析体積内の風を直接求める方法

極座標系への変換 測定点(r, θe, φ)を x, y, zを用いて表現 正 正 ・z軸の取り方が特殊 ・

レーダー視線方向の速度成分vr(1/3) 点(x, y, z)の風ベクトルvは (x0, y0, z0) の風に対して 線形のテイラー級数により表現可能と仮定

レーダー視線方向の速度成分vr(2/3) 修正風速成分 ∂u/ ∂x=uxとおく 12個のパラメ-タで風の場を表現 11個の方程式で解を与える

レーダー視線方向の速度成分vr(3/3) Kmは最上二乗法で求める によってKmが算出される

VAD (velocity azimuth display)法 VAD法による水平風の場の観測 レーダー位置を中心とする半径 r の円周上の風の場を考える 地球の湾曲効果を無視 円周上で w が一定 フーリエ級数の 第2項までを表している 水平風速、水平風向、 水平風の発散、水平風の変形が 求められる。 VAD (velocity azimuth display)法

風向、風速が一様と仮定出来る(ux=uy=0) 水平風速等の導出 水平風速 水平風向 水平風の発散 水平風の変形 伸長による変形 水平シアーによる変形 風向、風速が一様と仮定出来る(ux=uy=0)

バイスタティックレーダーによる観測 送信系と受信系を離して配置 同一空間点を様々な視線方向で観測可能 周波数の有効利用 応用例:バイスタティックレーダーネットワーク 同一空間点を様々な視線方向で観測可能 後方散乱と側方散乱を受信 周波数の有効利用 パッシブレーダーネットワーク 受信電力が小さく,観測範囲が狭い 強い降雨などに対応

発表内容 ドップラー速度測定 単一ドップラーレーダーによる風速測定 複数のドップラーレーダーによる風速測定 視線方向の風速を測定 アンテナ走査で2次元・3次元の風速推定 複数のドップラーレーダーによる風速測定 一つの気象標的を複数のドップラーレーダーで観測 風速測定の精度向上

2台以上のレーダーによるドップラー観測 一つの気象標的を複数のドップラーレーダーで観測、風速測定の精度向上 2台のレーダーの配置 独立走査方式 COPLAN方式 2台のレーダーの配置 3台以上のレーダーによる風観測

独立走査方式 複数レーダーで3次元の風の場を推定 観測領域の定常性を仮定 2台のレーダーの場合、 非弾性系の連続式 から3成分を推定 例:降水粒子について 一般式(i:レーダー)

2台のドップラーレーダーによる 独立走査方式(1/2) 鉛直方向の項(第2項)を無視→2成分(u, v)が求まる. 3成分(w)を求める→w, wT が必要

2台のドップラーレーダーによる 独立走査方式(2/2) wT 導出の一例として以下の 経験式[Atlas et al., 1973]を用いる Z:レーダー反射因子[mm^6m^-3] ρa0, ρa :地表、観測地点の大気密度 非弾性系の連続の式 高度znでの鉛直風速w ρan:高度znでの大気密度 w1:境界条件z1での境界条件 値が収束するまで繰り返す

COPLAN方式 3成分(u,v,w)のうち2成分までを直接求められる。 一つの操作面のみの観測時間内で、観測対象が定常であればよい。1桁以上小さい時間で可能。 アンテナ走査の制御が複雑

COPLAN方式の走査方法(1/2) 走査条件 独立走査方式で導出した式 座標 (s,r,α) 基線に平行な成分Γ 基線に直行な成分Ψ 走査面に垂直な成分Φ

COPLAN方式の走査方法(2/2) 円柱座標系非弾性系連続の式 走査面のドップラー速度と位置情報のみで 座標 (s,r,α) Γ,Ψが求まる 座標 (s,r,α) 基線に平行な成分Γ 基線に直行な成分Ψ 走査面に垂直な成分Φ 1つの走査面に対してのみ定常であればよい

2台のレーダーの配置 風の誤差の許容範囲によって 配置が決まる x,y方向の風速成分u,vの誤差分散 εu^2, εv^2 レーダー固有のドップラー速度の誤差分散 ε1^2, ε2^2 2台のレーダーのビーム交差角β 共通領域を選ぶ 2台のレーダーの間隔を 観測対象の水平スケールと同程度にする必要がある レーダーからの距離R レーダーのビーム幅θ 距離に依存する分解能Rθ 2台のレーダーの間隔を広げることは 風の鉛直シヤー等により ドップラー速度の誤差分散が増大

3台以上のレーダーによる風観測 3台の場合…直接観測が可能 4台以上の場合 …解は最小二乗法で求める