「海外科学英語実習」と 「女性先端科学者キャリア実習」 を受講して 海外科学英語実習と女性先端科学者キャリア実習を受講して、という報告をさせていただきます。 複合現象科学専攻 D2 梅田早希
海外科学英語実習 SIAM Conference参加に関する報告 2007年5月28日~6月1日にアメリカ合衆国ユタ州ソルトレイクで開催されたSIAM (Society for Industrial and Applied Mathematics) の研究集会Conference on Applications of Dynamical Systemsに参加. まず、私は海外科学英語実習の活動として、 2007年5月28日~6月1日にアメリカ合衆国ユタ州ソルトレイクで開催されたSIAM の研究集会Conference on Applications of Dynamical Systemsに参加しました。会場のSnowbird Ski&Summer resortは2002年の冬季オリンピックスキー競技の会場です。SIAM はSociety for Industrial and Applied Mathematicsの意味で、私が普段参加している純粋数学とは違って、応用数学関連の学会です。これがメイン会場になったホテルです。今まで参加したことがないくらい非常に大きな規模の研究集会でした。午前中は毎日総合講演が行われ、午後からはいくつかのセッションに分かれて発表が行われていました。ポスターセッションなど、私が普段、見ることのない形式の発表もありました。また、研究集会の会場にはネットワークに繋がったパソコンが多数準備されていて、メールのチェック等、不自由なく行えました。ホテルでは、無線LANが使用でき、無線LANが使用できるパソコンでは直ぐにネットに繋ぐことが出来ました。 ソルトレイク(2002年冬季オリンピック会場)
目的: 1.指導教員の小林先生との共同研究の内容についてmini symposiumで発表する, 2.私の研究テーマである流体のかき混ぜに関する最新の成果について知る. 特に, この研究集会にはMark Stremler, Matthew D. Finn, Philip Boyland, Jean-Luc Thiffeault等, この方面の一線で活躍する研究者が参加を予定していた. 参加の目的は、指導教員の小林先生との共同研究の内容についてmini symposiumで発表することと, 私の研究テーマである流体のかき混ぜに関する最新の成果について知ることでした. 特に, この研究集会にはStremler, Finn, Boyland, Thiffeault等, この方面の一線で活躍する研究者が参加を予定していました. 残念ながら, Boyland, Thiffeaultは都合により参加できず、会うことは出来ませんでした。
8:30 AM - 10:30 AM Room: Ballroom I Thursday, May 31 MS66 Topology and Mixing in Fluids 8:30 AM - 10:30 AM Room: Ballroom I Organizer: Mark A. Stremler Virginia Polytechnic Institute & State University Jean-Luc Thiffeault Imperial College London, United Kingdom Cancelled 8:30-8:55 Designing for Topological Chaos in Fluid Mixing Phil Boyland, University of Florida 8:30-8:55 Topological Chaos and Fluid Mixing in Cavities and Channels Mark A. Stremler and Jie Chen, Virginia Polytechnic Institute & State University 9:00-9:25 On Braids and Topological Entropies in Spatially Periodic Flows Matthew D. Finn, University of Adelaide, Australia; Jean-Luc Thiffeault, Imperial College London, United Kingdom 9:30-9:55 Realizing Topological Chaos with Simple Mechanisms Tsuyoshi Kobayashi, Nara Women's University, Japan 10:00-10:25 Braid Theory and Microparticle Dynamics in Ferrofluids Kai de Lange Kristiansen , University of California, Santa Barbara これが、発表当日のプログラムです。ミニシンポジウム名は「 Topology and Mixing in Fluids 」で、Boyland, Stlemer, Finn等が発表を行う予定でした。残念ながら、Boylandの講演は直前にキャンセルされてしまいました。われわれの研究に関する発表は、小林先生が行い、私は発表用のパワーポイントの準備をしました。
これが当日用いたパワーポイントの一部です。最後のスライドは、実際に行った、流体のかき混ぜの様子を表す実験の写真です。私は、この実験装置の作成・実験の実施・写真撮影等もしました。
成果: ・新しい概念(Ghost rodsによるかき混ぜ)を知ることが出来た. 帰国後, Stremlerの挙げた文献を調べ, Ghost rodsに関する情報を収集した. ・Stremler, Finn等から, これから私が取り組もうとしている3次元空間の流体のかき混ぜについての情報を得ることができた. Stremlerの講演では、Ghost rodsによるかき混ぜが紹介されました。これは、私にとって初めて聞く概念で非常に興味深く、帰国後, Stremlerの挙げた文献を調べ, Ghost rodsに関する情報を収集しました。また, Stremler, Finn等と一緒に昼食を取る機会がありましたが, ここで, これから私が取り組もうとしている3次元空間の流体のかき混ぜについて, 彼らは論文には重要と記したが実際にはまだ手をつけていないことや, それに関する研究の情報を得ることができました.
女性先端科学者キャリア実習 2008年1月21日~30日の期間,「女性先端科学者キャリア実習Ⅰ」の授業の一環で,東京工業大学大学院情報理工学研究科の金英子先生の研究室を訪問. 目的: 1.「流体の効率的なかき混ぜ」に取り組むきっかけになった研究をされた金先生に,現在行っている研究の話を聞いてもらうこと, 2.研究集会,小島研究室で研究発表を行うこと 3.他大学での研究の様子を自分の目で見てくること. 次に、女性先端科学者キャリア実習の活動として、 2008年1月21日~30日の期間,東京工業大学大学院情報理工学研究科の金英子先生の研究室を訪問しましたので、それについて報告します。訪問の目的は、現在研究を行っている「流体の効率的なかき混ぜ」について、これ取り組むきっかけとなった研究をなさった金先生に,話を聞いてもらうことと、研究集会や東京工業大学の小島研のセミナーで発表を行うこと、そして、他大学、特に東京工業大学のような大きな大学での研究の様子を見、普段奈良女子大学では受ける機会があまりないような刺激を得て、自分の研究の参考にすることです。
東京工業大学大岡山キャンパス本館 学生室の様子 左の写真は、東京工業大学大岡山キャンパスにある本館で、私が訪問した大学院情報理工学研究科は、この隣の建物内にあります。右の写真は、私が滞在中に使わせて頂いた学生室の様子です。この一角に机を一つもらって、滞在中はここで研究や勉強などを行いました。パソコンは持参し、これを大学のネットワークに繋いで使っていました。大学のネットワークを使うのには、特に申請などは必要なく、持参したパソコンをケーブルで繋げばすぐに使用できました。 東京工業大学大岡山キャンパス本館 学生室の様子
発表等: 2008年1月21日~24日に東京大学で開催された「The Fourth East Asian School of Knot and Related Topics」に参加.「A design for pseudo-Anosov braid using hypotrochoid curves」というタイトルで発表を行った. 2.東京工業大学では,毎週月曜日に小島先生の研究室のセミナーがあり,そこで,現在の研究に関する発表「位相的カオスによる流体のかき混ぜ 」を行った. 滞在中、二回発表を行いました。まず、 1月21日~24日に東京大学で開催された「The Fourth East Asian School of Knot and Related Topics」に参加し、「A design for pseudo-Anosov braid using hypotrochoid curves」というタイトルの英語での発表を行いました。この研究集会は、日本・中国・韓国の結び目理論の研究者が集まって、一年に一回程度行われているもので、今年度は東京大学を会場として開催されました。
これが、発表当日のプログラムです。
そしてこれが、発表に用いたパワーポイントの一部です。英語での発表は私にとって、2007年12月に京都大学で行われた「International Conference on Topology and its Applications」でのものに続いて二回目で、一回目よりも会場が大きかったのですが、落ち着いて発表が出来たと思います。
発表等: 2008年1月21日~24日に東京大学で開催された「The Fourth East Asian School of Knot and Related Topics」に参加.「A design for pseudo-Anosov braid using hypotrochoid curves」というタイトルで発表を行った. 2.東京工業大学では,毎週月曜日に小島先生の研究室のセミナーがあり,そこで,現在の研究に関する発表「位相的カオスによる流体のかき混ぜ 」を行った. また、東京工業大学では、毎週月曜日に金先生の属する小島先生の研究室のセミナーが行われていますが、ここで現在の研究に関する発表をしました。
これが、発表に用いたパワーポイントの一部です。この日は、時間をゆっくり取ってもらえたので、自分の研究だけではなく、流体のかき混ぜの研究背景の紹介、最新の論文の紹介なども行いました。様々な話題に触れられていて、とても面白い発表だった、と聴衆からも好評でした。滞在中は、このような研究集会での活動ばかりではなく、小島研究室では毎週水曜日の昼に、研究室のメンバーが昼食を持ち寄ってミーティングが行われているのですが、そこにも参加させて頂きました。
成果: ・「The Fourth East Asian School of Knot and Related Topics」での発表後,松岡隆先生からアドバイスを頂いた. ・小島研での発表後,金先生から発表のアドバイスを頂いた.また,流体力学の研究集会の情報や,流体のかき混ぜに関する研究を行っている先生方の情報を得た. ・大きな大学の研究室の雰囲気に触れることが出来た. 「The Fourth East Asian School of Knot and Related Topics」での発表後には,研究集会に参加されていたこの分野を代表する研究者である松岡隆先生とお話をする機会がありました.私の発表の内容に興味を持って頂き,流体力学や物理の研究集会で発表しても興味を持ってもらえる内容なので、積極的に参加するといい,というアドバイスを頂きました.東京工業大学の月曜セミナーでは,発表の後,金先生から,聴衆層を意識した発表内容にすること等,発表のアドバイスを頂きました.また,国内で行われている流体力学の研究集会の情報や,他にも流体のかき混ぜに関する研究を行っている先生方の情報を得ることが出来ました。また、大きな大学の研究室の雰囲気に触れることが出来たのは、良い刺激になりました。例えば、一つの研究室にたくさんの学生が所属していて、その中で様々な交流・情報の交換が盛んに行われている様子を見ることが出来ました。特に、学部生と大学院生の間の交流は、とても良い雰囲気だと思いました。
感想: ・英語でのコミュニケーション能力の必要性を痛感し,英語を積極的に学ぶきっかけになった. ・海外の研究集会では数学を広く応用する可能性を知ることが出来,今の私の研究を更に発展させていきたいと思った. ・数学に限らず,流体力学や物理の研究集会でも発表してゆきたいという意欲を掻き立てられた. これらの実習を通して,英語でのコミュニケーション能力の必要性を痛感し,英語を積極的に学ぶきっかけになりました.また,海外の研究集会への参加では、日本に居るだけでは知ることが出来なかった,数学を広く応用する可能性を知ることが出来ました。そして、東京工業大学訪問では、「流体のかき混ぜ」の研究は日本ではあまりなされていないのですが、興味を持ってくれる方は多いのではないか、と感じました。これらの実習で私は、今の研究を更に発展させて,数学に限らず,流体力学や物理の研究集会でも発表してゆきたいという意欲を掻き立てられ、良い刺激になったと思います.