社会保険料 平成26年6月現在の資料です 1
社会保険のしくみ 社会保険とは? 社会保険の種類 民間保険 社会保険 健康保険 年金保険 介護保険 社会保険 雇用保険 労災保険 労働保険 社会保険は、日本の社会保障制度のなかで中核的な存在であり、国民の生活保障のため「疾病・老齢・負傷・失業・死亡」など生活を脅かす事由が発生した時に、一定基準の給付を行う保険制度をいう 社会保険の種類 健康保険 年金保険 介護保険 社会保険 40歳以上 20歳以上60歳未満 全国民 雇用保険 労災保険 労働保険 一般民間被用者 2012年5月FP塾
社会保障の給付と負担の現状(2014年度予算ベース) 社会保障給付費(※) 2014年度(予算ベース) 115.2兆円(対GDP比 23.0%) 【給付】 社会保障給付費 子ども・子育て5.3兆円(4.6%) 《対GDP比 1.1%》 うち介護9.5兆円(8.3%) 《対GDP比 1.9%》 年金 56.0兆円(48.6%) 《対GDP比 11.2%》 医療 37.0兆円(32.1%) 《対GDP比 7.4%》 福祉その他 21.2兆円(19.3%) 《対GDP比 4.4%》 【負担】 保険料 64.1兆円(59.9%) 税 42.9兆円(40.1%) 積立金の運用収入等 うち被保険者拠出 34.4兆円(32.1%) うち事業主拠出 29.7兆円(27.8%) うち国 31.1兆円(29.0%) うち地方 11.9兆円 (11.1%) 各制度における 保険料負担 国(一般会計) 社会保障関係費等 ※※2014年度予算 社会保障関係費 30.5兆円(一般歳出の54.0%を占める) 都道府県市町村 (一般財源) ※ 社会保障給付の財源としてはこの他に資産収入などがある。 3
会社が社会保険料を見直さなければならない背景 高齢化による医療・年金財政の逼迫により社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)の財政基盤は大きく悪化しています。毎年9月には厚生年金保険料が引上げられ、事業主の負担が益々増えるばかりです。 現在、正社員を一人雇用するとその人の直接人件費の約15%の社会保険料の企業負担分が発生します。すなわち、正社員一人を雇用するとその人に支払う給料・賞与以外に15%もの経費がかかってくるということです。年収500万円の従業員であれば、75万円の会社負担となります。従業員を20人雇っていれば(直接人件費総額1億円)、事業主負担額だけで、約1,500万円が人件費とは別に必要になるということです。 これが近い将来、事業主負担額は人件費の約18%になると言われています。 将来の社会保険料の負担の重さを考えると、企業の雇用形態は、基幹部門・戦略部門は正社員で固め、定型業務等はパートタイマー、アルバイト、契約社員、嘱託等にまかせるか、業務委託、請負契約を締結する方向に進んでいます。 しかし一方で、パートなどの短時間労働者にも、社会保険料負担の義務化が決定し、施行されようとしています。(平成28年10月パートタイマーに対する社会保険の適用範囲の拡大決定】 社会保険料は、従来、年金事務所等から徴収されるままになっていた企業がほとんどでしたが、これからは企業側でも「賃金本来の見直し」(年功序列でなく成果に応じた賃金)・「支払い形態の見直し」(給与と賞与の見直し)などを通して、社会保険料を意図的にコントロールし、従業員に不利益を与えないことを前提に少しでも会社経費の節約につなげていく必要があります
【参考】 厚生年金保険料はH29年まで毎年上昇! 毎年の 上昇分 全体の 保険料率 個人の 個人の負担額 平成15年10月~平成16年9月 0% 13.58% 6.79% 339,500円 平成16年10月~平成17年9月 0.354 13.934 6.967 平成17年10月~平成18年9月 0.708 14.288 7.144 平成18年10月~平成19年9月 1.062 14.642 7.321 平成19年10月~平成20年9月 1.416 14.996 7.498 平成20年10月~平成21年9月 1.770 15.35 7.675 383,750 平成21年10月~平成22年9月 2.124 15.704 7.852 平成22年10月~平成23年9月 2.478 16.058 8.029 平成23年10月~平成24年9月 2.832 16.412 8.206 平成24年10月~平成25年9月 3.186 16.766 8.383 平成25年10月~平成26年9月 3.540 17.12 8.56 428,000 平成26年10月~平成27年9月 3.894 17.474 8.737 436,850 平成27年10月~平成28年9月 4.248 17.828 8.914 445,700 平成28年10月~平成29年9月 4.602 18.182 9.091 454,550 平成29年10月~ 4.72 18.3 9.15 457,500 ※平成24年サラリーマン男性の平均年収は約500万円 500万円×個人の保険料率=個人の年間負担分で計算
【参考】 健康保険料率 (都道府県別) 平成26年4月納付分~平成27年3月納付分 北海道 10.12% 東京都 9.97% 滋賀県 香川県 【参考】 健康保険料率 (都道府県別) 平成26年4月納付分~平成27年3月納付分 北海道 10.12% 東京都 9.97% 滋賀県 香川県 10.09% 青森県 10.00% 神奈川県 9.98% 京都府 愛媛県 10.03% 岩手県 9.93% 新潟県 9.90% 大阪府 10.06% 高知県 10.04% 宮城県 10.01% 富山県 兵庫県 福岡県 秋田県 10.02% 石川県 奈良県 佐賀県 10.16% 山形県 9.96% 福井県 和歌山県 長崎県 福島県 山梨県 9.94% 鳥取県 熊本県 10.07% 茨城県 長野県 9.85% 島根県 大分県 10.08% 栃木県 9.95% 岐阜県 9.99% 岡山県 宮崎県 群馬県 静岡県 9.92% 広島県 鹿児島県 埼玉県 愛知県 山口県 沖縄県 千葉県 三重県 徳島県 ※数値は労使合算。個人負担は半分で計算。 なお40歳から64歳までの方(介護保険第2号被保険者)は、 これに全国一律の介護保険料率(1.72%)が加わる
社会保険料の決め方 平成26年6月現在の資料です 7
4~6月の平均給与で基本の社会保険料が決まる! 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 届出 保険料決定 4月~6月の 平均給与をベースに 標準報酬月額を決定 標準報酬月額 × = 新しい 社会保険料 健康保険料率 介護保険料率(40歳以上) 年金保険料率 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 旧の保険料 新しい保険料適用 平成24年から、前年7月~当年6月の12ヶ月分の平均給与をベースに決定も可能 (一定要件) また報酬の額に大幅な変動があったときは、実態とかけ離れた状態になるため、定時決定を待たずに(一定の条件のもと)変更の届出を行う。これを随時改定(月変)という
標準報酬月額とは? 標準報酬月額 4~6月の実質給与の平均値 1,210,000 58,000 1,210,000 220,000 380,000 500,000 2万円幅 210,000円以上 230,000円未満 370,000円以上 395,000円未満 2.5万円幅 3万円幅 485,000円以上 515,000円未満 月々の給料は変動します。その変動する給与に対して、毎月厚生年金や健康保険など、それぞれの料率を乗じて社会保険料を計算することは、「非効率」的。そこで社会保険料は1年に1回だけ実質給与の平均値を算出して、その平均値が該当する給与範囲(「いくら~いくらまでは○○○○○円とする」)というように、固定された給与(報酬)が決められている。この固定された給与を「標準報酬月額」という 標準報酬月額 (資料) 平成26年3月からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)を参照 4~6月の実質給与の平均値
4~6月の平均給与で1年間の社会保険料が決まる! 395,000円未満 (394,999円まで) この範囲内の平均実質給与 380,000円 標準報酬月額 370,000円以上 4月 420,000円 5月 370,000円 6月 380,000円 平均 390,000円 例 標準報酬月額×社会保険料率(健康保険・厚生年金・介護保険など) =社会保険料 なお雇用保険・労災保険は標準報酬月額ではなく、実際の給与及び賞与に率を乗じる
社会保険料率(従業員) 厚生年金 8.56 17.12 健康保険 4.985 9.97 介護保険 0.86 1.72 0.15 - 雇用保険 平成26年4月分~平成26年9月分 (%) 事業主負担 本人負担 全体 社会保険料の計算 厚生年金 8.56 17.12 (標準報酬月額 ×保険料率) + (標準賞与額 健康保険 4.985 9.97 介護保険 (40歳以上) 0.86 1.72 児童手当 拠出金 0.15 - 雇用保険 0.85 0.5 1.35 (月給×保険料率) (賞与×保険料率) 労災保険 0.3 合 計 15.705 14.905 30.61 (注1)健康保険、介護保険は協会けんぽが徴収する料率です。協会けんぽの健康保険料率は、都道府県毎に異なります。上記は、東京都の保険料率です。協会けんぽの介護保険料率は全国一律です。 (注2)労災保険・雇用保険は、一般事業の事務職を想定しています。一般拠出金(0.002)は考慮しておりません 11
社会保険料率(経営者) 厚生年金 8.56 17.12 健康保険 4.985 9.97 介護保険 0.86 1.72 0.15 - 雇用保険 平成26年4月分~平成26年9月分 (%) 事業主負担 本人負担 全体 社会保険料の計算 厚生年金 8.56 17.12 (標準報酬月額 ×保険料率) + (標準賞与額 健康保険 4.985 9.97 介護保険 (40歳以上) 0.86 1.72 児童手当 拠出金 0.15 - 雇用保険 労災保険 合 計 14.555 14.405 28.96 (注1)健康保険、介護保険は協会けんぽが徴収する料率です。協会けんぽの健康保険料率は、都道府県毎に異なります。上記は、東京都の保険料率です。協会けんぽの介護保険料率は全国一律です。 (注2)労災保険・雇用保険は、一般事業の事務職を想定しています。一般拠出金(0.002)は考慮しておりません 12
※ 標準賞与額とは実際の税引き前の賞与の額から1千円未満の端数を切り捨てたもの 賞与にも社会保険料はかかってくる! 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 賞与に関する社会保険料は、被保険者負担分の保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料)を賞与より控除し、事業主負担分と合計し、毎月分とあわせて、翌月に社会保険事務所に納付する × = 賞与分の 社会保険料 標準賞与額※ 健康保険料率 介護保険料率(40歳以上) 年金保険料率 ※ 標準賞与額とは実際の税引き前の賞与の額から1千円未満の端数を切り捨てたもの 標準賞与額は 年金の場合・・・1回150万円上限(最大3回まで) 健康保険・介護保険の場合・・・年間540万円
社会保険料の節約 給与編 法人税の節約は、会社だけのメリットです。一方、社会保険料の節約は、会社だけではなく従業員・役員個人にもメリットがあります 節約した社会保険料は、福利厚生や退職金の上乗せにも活用できます なお、従業員に対する不利益変更は、必ず本人の同意が必要です 平成26年6月現在の資料です 14
安易な社会保険料の見直しには問題が出る! 社会保険料見直しの留意点 ①税金との違い 税金は、国が一方的に国民に負担を課すものですが、社会保険料は給付と負担との関係にあり、負担を一方的に節約しても給付が低下するリスクを考えておく必要があります。 例えば、厚生年金保険料の削減を図ると、将来受取る老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金の給付額(年金額)が減少します。これは下記②・③にも該当します ②従業員のモチベーションの維持 社会保険料の節約を図るうえで、従業員のモチベーションの維持に配慮することが必要です。節約優先の考えではなく、経営全体を考え、そのうえで社会保険料の節約を考える必要があります。従業員のモチベーションを下げてしまい売上が減少するようでは、社会保険料の節約は出来ても利益が減少してしまいます。このような節約策は失敗と考えます ③従業員の同意 社会保険料の見直しは、従業員にとって「不利益変更」となる場合が考えられます 「不利益変更」となる場合には必ず従業員の『同意』を得ることが必要です。そのためには、従業員に十分説明し、また従業員の意見を聞き、納得してもらう必要があります ④法・税率改正 社会保険料率は厚生年金が9月、健康保険や介護保険が3月に毎年改訂が行われます また社会保険制度自体の変更も考えられます。現在の数値が今後変更になる可能性が100%あることも顧客に伝えてください
4~6月の平均給与は他の月より高くなっていないか? 仕事(業績)に見合った給与か?の抜本的見直しも必要 410,000 395,000円未満 (394,999円まで) この範囲内の平均実質給与 380,000円 標準報酬月額 370,000円以上 この実質給与(賃金)は4月~6月の平均値 したがって、標準報酬月額決定時期の給与自体を見直す必要あり ① 残業(代)の見直し ② 定期昇給時期の見直し ③ その他(3月挙績の見直しなど) 360,000 340,000
4~6月の残業代の見直しで社会保険料の軽減を! 社会保険料の保険料は毎年4月~6月の給与(残業代も含む)で決定され、その金額が原則として1年間適用されます。従って、この間出来るだけ残業しないことが、社会保険料の節約に繋がります。従業員にもこの仕組みを説明し、自己の社会保険料の負担が減少し、手取額を増やすことが出来ることを話せば、協力を得やすいと思います 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 業務の見直し ・その時期に必要な残業か? ・自主残業でないか? 4~6月の残業を見直す 【事例】月給は30万円(東京都在住41歳)・残業代毎月4万円の計34万円。4~6月の残業代を4万円から8千円に減らして給与の合計は30.8万円に。1ヶ月分の個人社会保険料の軽減額は・・・(早見表より) 【対策前】 標準報酬月額34万円(残業代含む給与34万円) 健康保険料(介護保険料含む) 19,873円 厚生年金保険料 29,104円 合計 48,977円 【対策後】 標準報酬月額30万円(残業代含む給与30.8万円) 健康保険料(介護保険料含む) 17,535円 厚生年金保険料 25,680円 合計 43,215円 差額5,762円×12ヶ月=69,144円(個人負担分の減。同額会社も減)×従業員数20人=1,382,880円 【メリット】 個人・会社負担の社会保険料を減らすことができる 【デメリット】 標準報酬月額が下がることにより、将来の年金額が減る
定期昇給時期を4月から7月に見直す 社会保険料は、4月~6月の平均給与で決定されます。従って、4月に定期昇給するのではなく、7月に定期昇給するようにすれば、標準報酬等級が昇給により上がる従業員の場合、9月から翌年の8月までの1年間その差額分だけ社会保険料を節約することができます 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 定期昇給時期を7月に変更 【事例】月給は30.8万円(東京都在住41歳)を定期昇給により32万円にアップ。ただし定期昇給時期を4月から7月に変更。1ヶ月分の個人社会保険料は・・・(早見表より) 【対策前・そのまま4月定期昇給の場合】 標準報酬月額32万円(給与32万円) 健康保険料(介護保険料含む) 18,704円 厚生年金保険料 27,392円 合計 46,096円 【対策後・7月に定期昇給をずらした場合】 標準報酬月額30万円(給与30.8万円) 健康保険料(介護保険料含む) 17,535円 厚生年金保険料 25,680円 合計 43,215円 差額2,881円×12ヶ月=34,572円 (個人負担分の減。同額会社も減)×従業員数20人=691,440円 【メリット】 個人・会社負担の社会保険料を減らすことができる 【デメリット】 1年分標準報酬月額が下がることにより、将来の年金額が減る
入社日は1日違いで1ヶ月分の負担が変わる! ● 入社日が資格取得日。社会保険料はその月の分を翌月に納付する ● 入社日が資格取得日。社会保険料はその月の分を翌月に納付する 3月 4月 5月 3月31日入社 4月1日入社 入社日は 月末より、月始の1日付けで! 3月分としてわずか1日でも、翌4月にまるまる 1ヶ月分の社会保険料を納付しなければならない 4月分として5月に社会保険料を納付する 【参考】 企業の役員、従業員が加入している社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、入社時の報酬、給与によって保険料が決定される 【定時決定】 4~6月の平均給与に基づいて「標準報酬月額」を決定し、毎年9月から翌年8月まではその標準報酬月額に基づいて社会保険料が決まってくる(前述)
退職日も1日違いで1ヶ月分の負担が変わる ● 退職日の翌日が被保険者の資格喪失日。社会保険料は喪失月の前月分まで納付 ● 退職日の翌日が被保険者の資格喪失日。社会保険料は喪失月の前月分まで納付 2月 3月 4月 3月30日退職 3月31日退職 資格喪失日が翌日の4月1日になり、3月分までの社会保険料納付が必要となる 退職日は月末1日前の日付で退職 資格喪失日が3月31日となり、前月である2月分までの保険料納付で済む。1ヶ月分の軽減になる 【事例】 月給は300,000円(東京都在住)と想定します。1ヶ月分の個人社会保険料の軽減額は・・・(早見表より) 健康保険料(介護保険料含む) 17,535円 厚生年金保険料 25,680円 合計 43,215円 【退職者のメリット】 1か月分の保険料が節約となり、月給の手取額が43,215円増える。(会社も同額の負担軽減) 【退職者のデメリット】 老齢厚生年金等の給付が若干下がる。退職日の翌日から新しい会社に就職することが決まっていない場合は、退職月から国民年金(平成26年度15,250円)・国民健康保険(要件を満たせば任意継続に加入することも 可能)に加入することが必要。国民年金で配偶者が第1号被保険者になる場合は、配偶者分も保険料を収める必要がある
空白の1日が国民年金加入期間=滞納期間になる ● 退職日の翌日が被保険者の資格喪失日。社会保険料は喪失月の前月分まで納付 2月 3月 4月 納付終了期間 3月30日退職 4月1日入社 資格喪失日が3月31日になり、喪失月前月までの保険料納付のため、2月分までの保険料納付で済む 再就職を考える場合には できるだけ空白期間を作らないまたは空白が出る旨、退職前に会社側の指導が必要 ● 入社日が資格取得日。社会保険料はその月の分を翌月に納付する 資格喪失日 3月31日 2月 3月 4月 納付終了期間 納付開始期間 国民年金期間 (滞納期間?) 資格取得日 4月1日 ※3月31日退職ならば、資格喪失日が翌日の4月1日になり、3月分までの社会保険料納付しているため、空白の期間は生じない。または、3月31日に新しい会社の入社日になればこれもOK
65歳までの雇用が義務化になりました! 60歳以降の給与決定は、温情なし・実質手取りで考える 定年退職した翌日から継続雇用される場合は「同日得喪」の手続きをとることにより、給与に見合った社会保険料に変更される ① 65歳に定年を延長する ② 定年制自体を廃止する ③ 継続雇用制度を導入する 再雇用は雇用形態・給与の大幅変更が可能 60歳以降は右の3つが受給可能。したがって給与を決めるには、社長の温情ではなく、従業員の手取りが最大になるように決めること! 継続雇用 60歳 65歳 高年齢者雇用継続給付(75%未満で支給) 老齢厚生年金 (在職老齢年金) 給 与 1.平成16年12月1日にすでに施行されたものは・・・いわゆる雇用の入口と出口に関することです。 一つは採用に関して『募集及び採用についての理由の提示』です。 事業主は、労働者の募集及び採用をする場合において、やむを得ない理由により一定の年齢(65歳以下のものに限る。) を下回ることを条件とするときは、求職者に対し、その理由を示さなければならないこととなりました。 ・・・つまり採用の年齢条件を60歳までとか55歳までとかのように65歳以下で募集する場合は、ちゃんとした理由が必要だと言うことです。 今一つは、『求職活動支援書の作成』です。 事業主は、離職を余儀なくされる高年齢者等が希望するときは、当該高年齢者等の職務の経歴、 職業能力等を明らかにする書面を作成し、交付しなければならなくなりました。 ・・・つまり高年齢者が退職するときは、もしその退職するものが希望した場合には、 その人の職歴やら職業能力等の書類を作成して、再就職し易くする手伝いを会社がしてあげなさいと言うことです。 ※ 59歳時点の賞与を止め退職金に上乗せしておくこと。賞与は在職老齢年金にカウントされる!
シミュレーション表 単位: (万円) 59歳給与 60歳給与A 59歳時の80% 60歳給与B 59歳時の60% 給与(月額) 40 32 24 賞与(59歳の賞与を退職金へ) - (標準報酬月額判定) 41 (老齢厚生年金) 12 (支給停止額) 8 4 在職老齢年金 高年齢者雇用継続給付金(75%以下) 3.6 所得税 1.0 0.6 0.4 住民税 1.8 1.3 0.9 個人負担の社会保険料 6.1 4.7 3.5 会社負担の社会保険料 6.4 5.0 3.7 手取り額 31.1 29.4 30.8 給与に対する手取り割合 77.7% 91.8% 128% 会社負担合計(給与+社保) 46.4 37 27.7 ※高年齢者雇用継続給付金は75%以下の賃金で、最大給与の15%支給。在職老齢年金と高年齢者雇用継続給付との併給調整は加味していない(最大6%減) ※当社計算シミュレーションにて試算 23
社会保険料の節約 賞与編 法人税の節約は、会社だけのメリットです。一方、社会保険料の節約は、会社だけでなく従業員・役員個人にもメリットがあります 節約した社会保険料は、福利厚生や退職金の上乗せにも活用できます なお、従業員に対する不利益変更は、必ず本人の同意が必要です 平成26年6月現在の資料です 24
-賞与を使って給与合計を減らさず賞与分の社会保険料負担を減らす!- 賞与の一部を給与に加算 -賞与を使って給与合計を減らさず賞与分の社会保険料負担を減らす!- 45歳 給与月額 370,000円 年間444万円 賞与年間 150万円 + = 合計594万円 毎月の給与アップ分は、 賞与から移動 394,000 円に 380,000円のまま 標準報酬月額 24,000 円アップ 370,000 円の給与を (注意) 全ての従業員が、標準報酬月額の範囲内で 最大限アップできるとは限らない。中にはほとんど標準報酬月額の上限に近くてアップ不能もある
賞与の一部(標準報酬月額の範囲内)を給与に加算 45歳 給与月額 370,000円 年間444万円 賞与年間 150万円 + = 合計594万円 毎月24,000円給与UP 給与は標準報酬月額・賞与は標準賞与額(1,000円未満の端数切捨て)を元に計算 しかし、給与に対する社会保険料は、標準報酬月額(38万円)が同じのため変わらず 賞与差・・・288,000円 従業員負担減 28.8万円×14.905%≒42,926円 会社負担減 28.8万円×15.705%≒45,230円 45歳 給与月額 394,000円 年間472.8万円 賞与年間 121.2万円 + = 合計594万円 ※ 残業手当や通勤手当など、月ごとに変動する給与の場合は効果が薄くなるため、給与を固定で支払うことができるような工夫が必要 26
賞与を年1回にする 平成15年からの総報酬制の導入に伴い、保険料を負担する賞与の上限額が決まりました。厚生年金保険で1回当たり150万円(ただし年3回まで)、健康保険で1年間(4月~翌年3月)通算して540万円です。この年金の上限額を利用して、社会保険料を節約します。上期賞与と下期賞与の合計が150万円以上が対象となります 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年2回の賞与を1回に変更 【事例】 (従業員45歳)上期賞与が100万円、下期賞与が150万円の年2回支給されている賞与を年1回 250万円に変更。(労働保険は加味しない) 【対策前・そのまま2回支給の場合】 健康保険料(介護保険料含む) 100万円×5.845%+150万円×5.845%=146,125円 厚生年金保険料 100万円×8.56%+150万円×8.56%=214,000円 【対策後・1回の賞与に変更した場合】 健康保険料(介護保険料含む) 250万円×5.845%=146,125円 厚生年金保険料(賞与は1回150万円が頭打ち) 150万円×8.56%=128,400円 厚生年金保険料の軽減分 合計 85,600円 (会社負担分も軽減される) 【メリット】 個人・会社負担の社会保険料を減らすことができる 【デメリット】 賞与に対する標準賞与額が下がることにより、将来の年金額が減る
賞与を12等分にして給与に振り返る(高額所得) 厚生年金保険では、標準報酬額の上限が620,000円(給与ベースで605,000円以上)に設定されています。これを活用すれば、給与が605,000円以上の人は賞与を12等分して給与に振り分ければ、賞与に対する社会保険料がかかりませんまた振り分けた金額には健康保険の社会保険料はアップしますが、年金に対する社会保険料は既に頭打ちのため、その分はかかりません 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 賞与を給与に振り分ける 【事例】 (役員50歳)給与65万円 賞与が年間で240万円(100万円、140万円の2回)、この賞与を12等分し、毎月の給与を85万円に 【対策前・給与65万円、賞与そのまま2回支給の場合】 (給与は早見表より) 健康保険料(介護保険料含む)給与:37,992円×12=455,904円 賞与:240万円×5.845%=140,280円 小計596,184円 厚生年金保険料 給与:53,072円×12=636,864円 賞与100万円×8.56%+140万円×8.56%=205,440円 小計842,304円 合計1,438,488円 【対策後・給与85万円(標準報酬月額83万円)、賞与を給与に振り分けで0】 (早見表より) 健康保険料(介護保険料含む) 給与:48,513円×12=582,156円 厚生年金保険料(60.5万円で頭打ち) 給与:53,072円×12=636,864円 合計1,219,020円 差額 219,468円 【メリット】社会保険料の軽減 【デメリット】賞与分に対する将来の年金額が減る なお賞与を年4回にする場合も、同じ内容となる
社会保険料の節約 経営者編 平成26年6月現在の資料です 29
役員報酬の引下げによる年金受給と税・社会保険料の軽減 -65歳以降の社長に提案- 引き下げた給与と会社負担分の浮いた社会保険料で生命保険を活用した退職金積立 在職老齢 年金なし 在職老齢年金が 一部受給 + 役員報酬 が高い 役員報酬 を下げる 役員退職 慰労金 退職金の準備 所得・住民税引き下げ 社会保険料の引き下げ 社会保険料 所得税・住民税 所得税・住民税 社会保険料 会社負担分の 社会保険料 30
シミュレーション表 【前提】 老齢厚生年金168万円(月額14万円) 基礎年金額76.8万年(月額6.4万円) 給与引き下げによる社会保険料・所得・住民税軽減額と会社負担分 単位: (万円) 旧給与 新給与 年金満額給与 給与(月額) 120 50 32 在職老齢年金 5 14 老齢基礎年金 6.4 他の収入 所得税 24.8 1.7 0.6 住民税 11.4 2.5 1.3 個人負担の社会保険料 12.3 7.2 4.6 会社負担の社会保険料 手取り額 77.9 45.9 給与に対する手取り割合 64.9% 100% 143.3% 会社負担合計(給与+社保) 132.3 57.2 36.6 ※当社計算シミュレーションにて試算 31
給与を極端に下げ賞与1回に集中? 社保回避行為? 給与を極端に下げ賞与1回に集中? 社保回避行為? 年齢55歳(東京都在住) 給与150万円(賞与なし・年収1,800万円)の社長が、給与10万円・賞与1回のみ1,680万円(年収1,800万円)に変更するように勧められた 効果と問題について教えてください 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 給与150万円(年収1,800万円)・賞与なし 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 給与10万円・賞与1,680万円 (年収1,800万円) 賞与 1,680 万円 【変更前】(早見表より) 健康保険料(介護保険料含む)+厚生年金(70,724円+53,072)円×12=1,485,552円 【変更後】(標準報酬月額98,000円) 給与分:健康保険料(介護含む)5,728円+厚生年金保険料8,388円)×12=169,392円 賞与分:健康保険料(介護含む)540万円×5.845%=315,630円 厚生年金保険料 150万円×8.56%=128,400円 合計613,422円 差額 872,130円 ●過度な社会保険料の軽減。年金額が大幅に減る。同時に健康保険料等の支払回避(脱社保)
「選択制」確定拠出年金で 社会保険と税を同時に節約する 平成26年6月現在の資料です 33
確定拠出年金は公的年金を補完する企業年金 会社員 自営業者 厚生年金保険(老齢厚生年金) 厚生年金 基金 確定給付 企業年金 国民年金(老齢基礎年金) 第2号被保険者 第1号被保険者 1階 2階 3階 4階 財形年金や保険会社の年金商品 確定拠出年金 (個人型) 中小企業 退職金 共済 (企業型)
「選択制」確定拠出年金(選択制DC)のポイント! 給与の一部を掛金とするためには ① (企業型)確定拠出年金に加入するかどうか を社員が選択する(希望者のみ加入) ② 加入する場合、掛金をいくらにするかを選択 する 選択制確定拠出年金は既存の給与に上乗せして掛金を拠出するのではなく、給与の一部を掛金とする 【ポイント③】 会社が拠出する掛金は「給与」とはされないため、社会保険料・税金の対象とはならない。 そのため個人は「税と社会保険料」が、会社は「社会保険料」が軽減される ※標準報酬月額ランクが下がった場合 会 社 既存の 給与 【ポイント②】 確定拠出年金のため利息(運用益)は非課税 【ポイント①】 給与の一部を掛金とするため、会社負担が増えない 【デメリット】 社会保険料が減る分、 将来の年金が減額される
選択制確定拠出年金 「導入のポイント」 現行給与 給与 400,000円 新給与 349,000円 例 選択制確定拠出年金 「導入のポイント」 現行給与を新給与と生涯設計手当(最大51,000円の枠があり)に分割する 現行給与は()新給与+生涯設計手当の合計額と同額 生涯設計手当(51,000円)の中で、❶確定拠出年金として積み立てる分と、❷生涯設計前払金 (積立しない分=給与扱い)で受け取る分を、従業員自身で選択することができる 従業員のライフプランに応じて、年に一度選択コース(金額)を変更することができる 確定拠出年金の掛金として積み立てた分は、税金(所得税・住民税)・社会保険料の対象外となり、負担を軽減することができる 掛金は51,000円の範囲で自由に選択 確定拠出年金掛金 20,000円 ❶確定拠出年金の 掛金部分 20,000円 ❷生涯設計前払金 (給与扱部分)31,000円 例 現行給与 400,000円 生涯設計手当 ※最大51,000円の枠 新給与 349,000円 給与 380,000円 シンプルな考え方 ※平成26年度税制改正により確定拠出年金について、(1)他の企業年金がない場合 月額51,000円から月額55,000円へ引き上げ、(2)他の企業年金がある場合 月額25,500円から月額27,500円へ引き上げが決定。2014年10月を予定
【参考】 選択コース 選択 確定拠出年金 掛金 生涯設計前払金 1 円 51,000 26 27,000 24,000 2 3,000 【参考】 選択コース 選択 確定拠出年金 掛金 生涯設計前払金 1 円 51,000 26 27,000 24,000 2 3,000 48,000 27 28,000 23,000 3 4,000 47,000 28 29,000 22,000 4 5,000 46,000 29 30,000 21,000 5 6,000 45,000 30 31,000 20,000 6 7,000 44,000 31 32,000 19,000 7 8,000 43,000 32 33,000 18,000 8 9,000 42,000 33 34,000 17,000 9 10,000 41,000 34 35,000 16,000 10 11,000 40,000 35 36,000 15,000 11 12,000 39,000 36 37,000 14,000 12 13,000 38,000 37 13 38 14 39 15 40 16 41 17 42 18 43 19 44 20 45 21 46 22 47 23 48 49,000 2,000 24 25,000 26,000 49 50,000 1,000 25 50
選択制確定拠出年金 シミュレーション例 【前提】45歳(東京都)サラリーマン。給与40万円(別に賞与120万円・・年収600万円) 選択制確定拠出年金 シミュレーション例 【前提】45歳(東京都)サラリーマン。給与40万円(別に賞与120万円・・年収600万円) 所得税・住民税は社会保険料控除と基礎控除のみと仮定。確定拠出年金の掛金3.5万円(年間42万円)の場合。 なお標準報酬月額が下がるため将来の年金が減るが加味しない(単位:円) 個人で積立 選択制確定拠出年金で積立 個人のコスト 会社のコスト 給与(×12) 400,000×12 365,000×12 賞与 1,200,000 確定拠出掛金年間 35,000×12 社会保険料 (給与分年間) 61,110×12 733,320 64,390×12 772,680 53,658×12 643,896 ▲89,424 56,538×12 678,456 ▲94,224 社会保険料(賞与) 178,860 188,460 所得税 204,000 175,600 住民税 304,000 275,600 コスト計 1,420,180 6,961,140 1,273,956 ▲146,224 6,866,916 給与(年収)手取り 4,579,820 4,306,044 個人積立額 残りの手取り 4,159,820
非正規雇用者(パート等)への社会保険の拡大 (1)1日の所定労働時間が一般 従業員の4分の3以上であること (2)1ヶ月の所定労働日数が一般 従業員の4分の3以上であること (3)上記(1)と(2)の両方を満たす こと(いずれかを満たさない場合 は適用除外) (4)有期雇用の場合は、雇用期間が 2ヵ月を超える場合は適用(断続 的に再契約すれば適用外) (5)月額賃金10.8万円以上(年収 130万円)以上は扶養対象外 現 行 ◆ 適用範囲拡大の対象 (1)週20時間以上(所定労働時間) (2)月額賃金8.8万円以上(年収106 万円以上) (3)勤務期間1年以上 (4)学生は適用除外 (5)従業員501人以上(適用企業規模)⇒3年以内に検討を加え必要な措置を 講じる=中小企業への拡大 平成28(2016)年10月施行 企業にとって社会保険料負担がますます厳しくなってきている現状において、社会保険料の正しい節約は、会社を守る大切な鍵です。 ただしくれぐれも気をつけていただきたいのは、給与・賞与・退職金の変更は、従業員にとっての不利益変更になる可能性があるということです。根気を尽くした説明と理解・納得が必要であることにご留意ください
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