絶滅危惧植物シラタマホシクサの 種子生産に関する環境評価

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絶滅危惧植物シラタマホシクサの 種子生産に関する環境評価 絶滅危惧植物シラタマホシクサの種子生産に関する環境評価と題しまして 増田研究室の塚田が発表させていただきます 指導教員 増田理子准教授 都市社会工学科  17117051 塚田隆明

目次 背景・目的 研究対象 方法 結果 結論

背景・目的 東海地方の湿地に生育する絶滅危惧植物のシラタマホシクサを研究対象とした 東海地方の各種開発にともない,東海地方の固有種が多く生育している東海地方特有の湿地が減少・消滅している. 東海地方の湿地に生育する絶滅危惧植物のシラタマホシクサを研究対象とした 本研究では個体群ごとの開花期,開花期間,種子数と,過去の研究からシラタマホシクサは他殖個体の存在の可能性も否定できないことから開花期におけるポリネーターに着目した. 現在、東海地方の都市近郊では開発が進み、生物多様性の温床となる, ため池、湧水湿地が消失しています。●  そこで本研究では、湿地に生育するシラタマホシクサを研究対象した.● そしてシラタマホシクサの開花期,開花期間,種子数の調査に加え 過去の研究でシラタマホシクサは自殖である可能性が高いと示唆されてきましたが, ポリネーターを介した他殖の可能性も否定できないとして, 開花期におけるポリネーターのカウント調査を行い,● その種子の結実数に与えるポリネーターの影響、相関について考察し、 絶滅危惧植物の地域レベルでの保全の必要性を明確にして 乱開発の防止に役立てることを目的とします. 相互関係を明らかにし,絶滅危惧植物の地域レベルでの保全の必要性を明確にし,乱開発の防止に役立てることを目的とする.

シラタマホシクサ 研究対象 絶滅危惧II類(VU)に分類されている. 被子植物 単子葉類 ホシクサ科ホシクサ属 シラタマホシクサ  (Eriocaulon nudicuspe Maxim.) 絶滅危惧II類(VU)に分類されている. 日本の固有種であり,とくに本州のごく一部に分布する(静岡県西部, 愛知県, 岐阜県東濃地方, 三重県北部) 平均減少率は約50%,100年後の絶滅確率は約98%である. 本研究で対象としたシラタマホシクサは 絶滅危惧Ⅱ類に分類され,国と県のレッドデータブックに記載されている 東海地方の湿地を代表する固有種です。

8月5週目~10月の第4週目までの9週間毎週現地へ行き開花個体をマークして開花の開花週と期間を調査した 方法 調査地 県芸大 三ツ池 島田 大谷 育種場 8月5週目~10月の第4週目までの9週間毎週現地へ行き開花個体をマークして開花の開花週と期間を調査した JA裏 調査は地図にある6か所の湿地で行いました。 8月第5週目から10月の第4週めまで毎週現地へ行き 開花している個体をマークして開花の開始週と開花している期間を調査しました。

ポリネーターが花に飛来or到達した(訪花)時点でカウント 方法 (pollinator): 送粉動物,花粉を運ぶ生物.exミツバチ、ハナアブ ポリネーター 続いてポリネーターについてです。 ポリネーターとは花粉を意味するポロンに由来する 花粉を運ぶ動物のことを意味します。 ハナバチやハネカクシの仲間が有名です。 調査ではポリネーターが訪花した時点でカウントしました。 ポリネーターが花に飛来or到達した(訪花)時点でカウント

方法 結実種子数 種子が熟した11月に調査区内の個体を刈り取り 結実した種子を採集しました。

別の方法での検討が必要 結果 開花数とポリネーター比較 開花数とポリネーターのピークのずれ ポリネーターの挙動の違い 調査週 (匹) 島田 三ツ池 開花数とポリネーターのピークのずれ ポリネーターの挙動の違い 別の方法での検討が必要 (本) 開花個体数 ポリネーター訪花頻度 まず開花個体数と観測されたポリネーターの比較を行いました これは一例ですが 横軸に調査週をとり左縦軸に開花個体数,右縦軸にポリネーターの数をとったとき まず開花個体数のピークとポリネーターの数(訪花頻度)のピークがずれています。● また調査地ごとにポリネーターの数と挙動が異なります。● そこでポリネーター、開花期、種子数について個体群ごとに別の方向から相関を検討します。 調査週

しかしアリのポリネーターとしての効果は低い 結果 ポリネーター 2008 県芸大 ポリネーター 訪花頻度 2週目 (9/5) 4週目 (9/17) 6週目 (10/2) アリが圧倒的に多い しかしアリのポリネーターとしての効果は低い 結果です。 まずポリネーターの種類と数について これは一例ですが,2008年の県芸大ではアリの数と割合が圧倒的に多い観測結果になり、 ほかの地域でも同様の結果となりました。● しかしアリがポリネーターとなることは稀で、体の構造上ポリネーターとしては効果が低く、効率があまりよくないと考えられます。

種子数だけで個体群の違いを 決定することは困難である 種子数 結果 Steel-Dwassの多重検定 変異なし 変異あり 2007 2008 次に種子数の個体群間の変異をみるためにSteel-Dwass検定を行いました。 2007年で個体群間で変異があるという検定結果がでた地域間でも 2008年では変異なしとでるところが多くあることから 種子数だけで個体群の違いをみることは困難であることが示されました 2008

どの個体群においても,開花期間と種子数の間に相関はみとめられず、長期間開花していても種子数は4前後となった 結果 開花期間 どの個体群においても,開花期間と種子数の間に相関はみとめられず、長期間開花していても種子数は4前後となった y=0.7845x+5.8168 R2=0.0293   は各期間咲いていた個体の結実した種子の中央値を示す 結実種子数(個) 次に開花期間と種子数を単回帰分析を行うと 開花期間と種子数の間には寄与率0.0293となりほとんど相関がみられませんでした。 どの個体群でも同じ結果となり、開花期間にかかわらず種子数は4前後となりました。 1      2       3      4      5 開花期間(週) 2008年 大谷 開花期間と種子数

遺伝的な違いが直接フェノロジーの違いに現れていない。環境条件の影響を強く受ける可能性 結果 遺伝的な距離との関係(クラスター分析) 種子数 遺伝的距離 遺伝的な違いが直接フェノロジーの違いに現れていない。環境条件の影響を強く受ける可能性 さいごにクラスター分析により遺伝的な違いと種子数についてそれぞれグループ分けを行いました。 遺伝的には大谷と三ツ池とそのほかの地域に分けられるのに対し 種子数を例に同様の分け方はできませんでした. また大谷には比較的独立している結果が出ているが,● 三つ池と県芸大は遺伝的に離れているにもかかわらず同じグループ になっていることから開花期や開花期間などのフェノロジーの違いのみで個体群を分けられないことがしめされ,● 遺伝的な違いが直接フェノロジーの違いに現れていない。環境条件の影響を強く受ける可能性があります。 JA 三ツ池 島田 育種場 JA 県芸大 大谷 育種場 島田 県芸大 三ツ池 大谷

シラタマホシクサは少数のポリネーターで種子生産が可能 結論 シラタマホシクサは少数のポリネーターで種子生産が可能 シラタマホシクサの生育地を開発する際,そこに生息するすべてのポリネーターになりうる生物を保全する必要はない

個体群ごとに遺伝子レベルでの分化が進んでおり,それは環境条件により,遺伝的に予測されるフェノロジーとは異なる特徴をもつ 結論 個体群ごとに遺伝子レベルでの分化が進んでおり,それは環境条件により,遺伝的に予測されるフェノロジーとは異なる特徴をもつ 保全を行う際,集団遺伝学的・生態学的な観点からの検討が必要である

ご清聴ありがとうございました ご清聴ありがとうございました

日本において、1/25,000地図ごとに 対象とする個体数が十年前に比べて 現在何個体いるかを調べ その減少率を平均したもの 平均減少率・・・ 日本全体では 4400枚にも及ぶ 約10.25km 約9.25km

フェノロジー:季節性.植物の発芽,開花,開花期間,種子をつける時期,熟す時期,枯れる時期など 用語 フェノロジー:季節性.植物の発芽,開花,開花期間,種子をつける時期,熟す時期,枯れる時期など ヘテロジェナイティー:不均質性、異種、異質、異成分、異種混交化 ハビタット:動植物の生息環境 コロニー:集団 ノンパラメトリック多重比較検定:母集団の形を正規分布などに仮定しない検定 ポリネーター:花粉媒介動物,種子を運ぶ動物ではない アイソザイム:酵素多系をもとにした遺伝解析,人間のイメージ的には酒に強いか弱いか(アルコール分解酵素が有るか無いか)

そもそもなんでシラタマ&ポリネーター  まず、シラタマホシクサは東海地方の湿地のシンボル的存在,その知名度と見た目の美しさから環境評価の指標とした.  しかし,その生態について詳しく書かれた図鑑,論文はない.(検索すると増田研の論文が出てくる)  増田研の過去の研究から他殖個体がいる(ヘテロ接合体頻度が低くない)ことがわかっているため,ポリネーターがいることがわかっている.(花粉が風で飛ぶにしては,枯死体に花粉が残りすぎている)  そこで花粉を運ぶのが虫であるという仮定をもとに(過去の論文より,岩井&深川&水野 2006,2007)調査を行った.  ところが・・・・結果がよくなかった.(虫の種類が変,虫が来た個体の種子を採集してヘテロ接合体頻度をはかっていない(無理),人為的な問題が多い) そこで,テーマを変えて花が咲いてる時期に虫が多くないことは明らかなので,見方を変えて,種子数や開花時期や種子数が遺伝的に決まるかどうか,決まるなら似てる所同士で相互補完可能なんじゃないか,違ってるなら絶対に混ぜちゃいけないことがはっきりする. <結果> ぜんぜん違う.おそらくポリネーターはイノシシや野犬が湿地を通る時にガサガサやって,花粉を媒介している.(目撃者有)

ポリネーター 結果 2008 県芸大 ポリネーター 訪花頻度 6週目 (10/2) 2週目 (9/5) 4週目 (9/17) 訪花頻度(匹) 結果です。 まずポリネーターの種類と数について ポリネーター花粉をあまり運ばないとされるアリが非常に多かった. 訪花時刻(時) 2008 県芸大 ポリネーター 訪花頻度

シラタマホシクサの花粉

オオホシクサの薬効 ホシクサ科 Eriocaulaceae のオオホシクサ Eriocaulon buergerianum KOERN. などの頭状花序をつけた花茎。頭状花序のみを集めたものを谷精子、谷精珠と呼ぶ。 効能 疏散風熱(熱をさましながら風邪を追い出す) 、明目退翳 肝経風熱による目赤腫痛、多涙、翳障などに用いる。 本品は疏散肝経風熱で明目退翳の効能がある。 荊芥、龍胆草、赤芍などを配伍する。例:谷精龍胆散。

遺伝的な違いが直接フェノロジーの違いに現れていない。環境条件の影響を強く受ける可能性 結果 遺伝的な距離との関係 種子数 遺伝的な違いが直接フェノロジーの違いに現れていない。環境条件の影響を強く受ける可能性 遺伝的距離 遺伝的には大谷と三ツ池とそのほかの地域に大きく分けられるのに対し 種子数を例に同様の分け方のできるカテゴリーはなかった. 大谷は比較的独立している結果が出ているが, 三つ池と育種場は遺伝的に最も離れているにもかかわらず同じグループ になっていることから開花期や開花期間などのフェノロジーの違いのみで個体群を分けられないことがしめされ,● 遺伝的な違いが直接フェノロジーの違いに現れていない。環境条件の影響を強く受ける可能性があります。 JA 三ツ池 島田 育種場 JA 県芸大 大谷 育種場 島田 県芸大 三ツ池 大谷

ヘテロジェナイティー(Heterogeneity ) 不均質、異種、異質、異成分、異種混交化

開花期間 方法 種子数 開花開始期 ポリネーター の訪花頻度 各個体群の成長パターンや開花パターンの違いが 遺伝的なものなのか,各環境によるものなのか を判断するために現地調査を行った とりあえずレイアウトと全体厚生 と ポリネーターがなんのかもっと説目い ポリネーター の訪花頻度

方法 8/27(1) 9/5(2) 9/10(3) 開花開始期,開花期間 開花開始:2 開花期間:2 開花開始:1 開花期間:3