第15回 レポート(ゼミ論文)作成・講評 2019年1月24日(木) 2018年度法情報学演習 第15回 レポート(ゼミ論文)作成・講評 2019年1月24日(木) 東北大学法学研究科 金谷吉成 <kanaya@law.tohoku.ac.jp> 2018年度法情報学演習 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
最終レポート(ゼミ論文) 最終レポート(ゼミ論文) 形式 提出期限:2019年1月31日(木) 23:59 各自が選択し報告したテーマをレポートにまとめる 各自が報告したテーマとは別に、ゼミ論文用にテーマを選択し直してもよい 大学院科目として受講している者は、レポートに代えて判例評釈を課題とする 形式 ワープロソフトでA4印刷できるよう作成 電子メールにより電子的に提出 電子メールの件名を「法情報学演習レポート」とする レポート枚数および様式は問わない 個別報告の内容をまとめるだけでも最低2~3ページにはなるのではないか 提出期限:2019年1月31日(木) 23:59 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
論文の構成 <例1> 章・節・款・項・目 <例2> はじめに 1. 問題意識 2. 本稿の構成 第1章 ○○○○ 第1節 ×××× 1. <例1> 章・節・款・項・目 <例2> はじめに 1. 問題意識 2. 本稿の構成 第1章 ○○○○ 第1節 ×××× 1. 2. 第2節 ×××× 第4節 小括 第2章 ○○○○ 終章 **総括と今後の課題 はじめに Ⅰ ○○○○ 1 ×××× (1) (2) 2 ×××× 4 ×××× Ⅱ ○○○○ Ⅴ 総括と課題 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
論文の構成例 はじめに:問題意識、なぜこのテーマを選んだのか 第1章:現状分析、自分の着眼点を示し、どのような問題が起きているかを説明する 第2章:先行研究、同じような問題意識をもって研究している論文や問題に関係する法令・判例を調べてまとめる 第3章:問題を解決するための仮説を立てる 第4章:実証分析、仮説によって本当に問題が解決するのか、実地調査等を通じて検証する 第5章:考察、仮説に基づく具体的な提言を行う おわりに:総括、残された課題、(謝辞) 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
論文の構成を考える アウトラインの作成 見出しを付ける フリーライティング 目次を作ったり、図を作ったりするのも効果的 論文を書き始める前に、トピックについて思いつくままに何でも書き出してみる 「私はこう思う」「私が言いたいことは○○だ」というものを見つけ、そこから枝を伸ばして論点を書き出していく さらに、各々の論点の根拠や具体例を挙げていく cf. マインドマップ 目次を作ったり、図を作ったりするのも効果的 見出しを付ける 文章を書き始める前に付ける 文章を書き終わってから付ける 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
マインドマップの例 (出典)Mind Map Art, http://www.mindmapart.com/ 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
調べる 附属図書館ウェブサイトは宝の山! http://www.library.tohoku.ac.jp/ トップページの「データベース」 法令・判例・文献 D1-law.com 第一法規法情報総合データベース 新聞記事 聞蔵Ⅱ(朝日新聞データベース) ヨミダス歴史館(読売新聞データベース) 毎索(毎日新聞データベース) 日経テレコン21 河北新報データベース 辞書・事典 JapanKnowledge Lib 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
法学部で利用できるオンラインデータベース D1-law.com 第一法規法情報総合データベース(学内限定) 現行法規[履歴検索]、判例体系、法律判例文献情報 https://www.d1-law.com/ip_login/ LEX/DBインターネット(法学部内限定,同時アクセス10) http://lex.lawlibrary.jp/lexbin/ACLogin.aspx 法律文献総合INDEX(法学部内限定,同時アクセス5) http://www.horitsujiho.jp/hobsgateway/GatewayAuth.aspx?method=03 Lexis.com(要パスワード) http://www.lexis.com/ Westlaw International(学内限定又は要パスワード) http://www.library.tohoku.ac.jp/search/detail.php?id=3312012301 Hein-On-Line(法学部内限定) http://HeinOnline.org/ 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
表現する 一文一義 主語と述語を対応させる 接続助詞「が」はなるべく使わない 一文はできるだけ短く 一つの文で一つのことをいう 悪い例:「法情報学演習では、情報に関する法律問題について、個別報告を行う。」 主語と述語が対応していない 長い文章では気付かないこともある 接続助詞「が」はなるべく使わない 悪い例:「法情報学演習ではさまざまなテーマを取り扱ったが、どの問題も興味深かった。」 逆接なのか単純接続なのかわかりにくい 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
注の付け方 頁毎 章毎 巻末 第2章 ○○○○ 1. 総説 ~~~~~~~~ ~~~~1)、~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~2)。 第2章 ○○○○ 1. 総説 ~~~~~~~~ ~~~~1)、~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~2)。 ~~~~~~~~~ ~~~~24)。 注 1) ~~~~~~。 2) ~~~~~~。 3) ~~~~~~。 4) ~~~~~~。 5) ~~~~~~。 6) ~~~~~~。 7) ~~~~~~。 8) ~~~~~~。 参考文献 <第1章> ○○『××』(△、2016) <第2章> <第3章> 1) ~~~~~~。 2) ~~~。 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
著作物の「引用」について 科学=先人たちの膨大な研究業績の積み重ね 「引用」は、先人に対する敬意であるとともに、後進への橋渡しでもある 自然科学 ニュートンvs.アインシュタイン ニュートン力学から相対性理論へ 社会科学 歴史的所産の蓄積を基礎としてはじめて、新たな知見を築くことができる 「引用」は、先人に対する敬意であるとともに、後進への橋渡しでもある 出典を明示することで、読者が後でその情報にアクセスでき、より深い知識が得られる 引用の仕方や引用元の信頼性に誤りや問題がないかなと、事実関係が調査できる 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
2019年1月24日 著作物の「引用」 「引用」とは 著作権法32条1項「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。 」 2019年1月24日 2018年度法情報学演習 2018年度法情報学演習
適法な「引用」とは 公正な慣行に合致するものであり、かつ引用の目的上正当な範囲内で行われるものであること(著32条1項) カギ括弧を付けるなど、自分の著作物と引用部分を区別すること(明瞭区別性)* 自分の著作物が主で、引用される他人の著作物が従であること(主従の関係)* 出所(出典)を明示すること(著48条) *最判昭和55年3月28日民集34巻3号244頁。 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
法律文献等の出典の表示方法 法律編集者懇話会 「法律文献等の出典の表示方法」 NPO法人 法教育支援センター http://www.houkyouikushien.or.jp/ 神戸大学大学院法学研究科 http://www.law.kobe-u.ac.jp/citation/mokuji.htm 出典の表示方法については、学問分野によってさまざまな違いがある 法律文献等の出典の表示方法については、上記の資料が参考になる 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
2018年度法情報学演習で扱ったテーマ ○○「××」(2018/11/8) ○○「××」(2018/11/15) ○○「××」(2018/11/22) ○○「××」(2018/11/29) ○○「××」(2018/12/6) ○○「××」(2018/12/13) ○○「××」(2018/12/20) ○○「××」(2019/1/10) ○○「××」(2019/1/17) 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
情報に関する法律問題 情報のデジタル化、ネットワーク化 情報の価値の高まり 地球規模のコミュニケーション 新たな法律問題 劣化しない 大量のデータを処理することが可能 新たな付加価値が生ずることもある 容易に伝達することができる 地球規模のコミュニケーション 新たな法律問題 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
法律や制度はどうあるべきか 情報化が適切に進展するための制度整備 新たに発生する問題に対するルール整備 標準化、技術開発 既存の法律がデジタル化やネットワーク化の障害になっているような場合は、法律の本来の目的を損なわないようなかたちで障害を取り除く 規制緩和、環境整備 新たに発生する問題に対するルール整備 現行法によるルールが有効かどうか 新たな法律・制度をどのように整備すべきか 実体法:法的責任の明確化 手続法:法的追求を容易にする手続きの整備 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
今後の課題 今後も新しい問題が生ずる いまはまだ法律や制度が十分に対応しきれておらず、判例等の蓄積も多くない 個々の具体的な事例等について、その都度考えていく必要がある 法律の知識だけでなく、さまざまな分野の知識が必要となる 広い視野を持って問題と向き合ってもらいたい 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
補足①:SNSでのトラブル FacebookやTwitterなどで、従業員や学生等が不適切な書き込みを行う事例 未成年者の飲酒・喫煙、無免許運転や遺失物横領、窃盗など犯罪行為の告白、犯罪予告 守秘義務違反、個人情報流出 病院に医療事務員として4月からの就職が内定し、研修中の医療専門学校の学生が、twitterに「○○(ある有名スポーツ選手)のカルテみてみた」との書き込みを行った。(2013年1月16日) 学校は学生の処分を決定、学生は内定を辞退 一方で、企業等では、SNSの積極的な活用が求められる面も 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
事例 不動産会社に勤務する女性がTwitterで、有名芸能人が店舗を訪れ、物件を探していたとツイート(2016年1月8日) ↓ 不動産会社が ウェブサイトにお詫び掲載 (2016年1月14日) 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
補足②:個人情報の意図せぬ収集 M2Mサービスの進展 GPS情報の利用 M2Mとは、Machine-to-Machineの略語で、ネットワークにつながれた機械同士が人間を介在せずに相互に情報交換を行い、さまざまな制御を自動的に行う仕組み 自動販売機の在庫管理、業務車両の位置情報、監視カメラ、気象データの観測など これが進むと……?私たちの生活に直接関係する電化製品(冷蔵庫、洗濯機、調理器、湯沸器、電灯など)もいずれネットワーク化されるかもしれない IoT (Internet of Things) モノのインターネット 便利になる反面、個人情報流出の危険が増大 GPS情報の利用 スマホ、デジカメ写真(位置情報や撮影日時が自動的に記録される) 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
事例 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
事例 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
補足③:ライフログ ライフログ(Life Log) 人間の生活・行動を、デジタルデータとして記録すること 何の役に立つのか? 食べた物、会った人、行った場所、読んだ本、買った物などを記録 体重や体調、起床・就寝の時刻、エクササイズの記録(歩数、消費カロリー数)、ドライブレコーダー ブログやSNSに書き込んだり、Evernoteなどのクラウドサービスを利用したり 何の役に立つのか? 過去を楽しむ、将来の行動を予測する ウェブサイトで自動的に「おすすめ」が表示される、場所や嗜好に合ったクーポン券を発行 プライバシーへの不安 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
補足④:ソーシャルゲーム ソーシャルゲームの課金システム 基本的には無料で遊べるが、アイテムやアバターなどを有料で提供しているものが多い 重課金で遊んでいる一部のユーザと、その他大多数の無料ユーザ それでもペイする、むしろ現在の日本のゲーム市場はソーシャルゲーム全盛時代になっている 何らかの「中毒」をもたらしているのではという懸念 出会い系サイトとして利用されることの懸念 射幸心をあおるコンプリートガチャ 消費者庁による規制 未成年者への超過課金問題(未成年者へは月間利用上限を設定しているが、システムの設計ミスにより、上限を超過してゲーム利用料金を課金してしまった) 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
補足⑤:ステルスマーケティング ステマ 消費者庁の対応 消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること、口コミサイトに好意的な投稿を多数投稿するなどの手法が用いられる 消費者庁の対応 消費者庁「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(2012年5月改訂) 「商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該『口コミ』情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる。」 → 消費者庁による措置命令 → 命令に違反した場合は罰則 ただし、具体的な表示が景品表示法に違反するか否かは、個々の事案ごとに判断される 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
インターネット上の情報発信 ウェブ→ソーシャルメディア(SNS) インターネットの特質 情報の広がり・拡散、反応の早さ 予想外の反応=炎上 コミュニティの種類と規模 1対1 → 知り合い、関係者 特定グループ → 仕事、趣味、サークル、ゼミ 不特定グループ → 共通の話題、趣味の情報交換 公開 → 誰でも見られる、誰が見るかわからない 規模が大きくなりすぎると、発言数が多くなり、情報を取りこぼしたり、混乱したりする。混乱すると、魅力が失われて廃れることもある。 やっかいなのは、公開サービスで特定グループの場合 Twitterで仲間同士の情報交換のつもりが世界に公開 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
ソーシャルメディア利用時の注意点 話題の選び方、表現によっては、意図しないコミュニケーションが生じるおそれ 想定外の閲覧者の目に触れるおそれ 匿名性は不確実 投稿の削除が困難 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
意図しないコミュニケーション 悪気のない投稿内容が他人を不快にしてしまう場合がある さまざまな立場、地域、文化的背景、価値観 不正確、攻撃的、無配慮と思われる可能性 違法な行為、社会的モラルに反する行為については、悪気がなくとも批判が巻き起こる可能性(炎上) 話題の選び方、表現に注意する 公開メディアでは多様な閲覧者が存在することを意識する 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
想定外の閲覧者 友人・内輪のつもりの軽い投稿も、公開されてしまう可能性 公開範囲を制限する機能の有無・設定を確認 再掲載されて情報が拡散する可能性 想定外の他人に閲覧される可能性 想定外の他人には誤解・批判される可能性 公開範囲を制限したつもりでも、設定ミス・操作ミス・運営者のミス・システムの故障なども起こり得る 多様な閲覧者を想定して投稿する 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
匿名性は不確実 実名:仮名:無名 匿名(仮名や無名)でも特定されることがある 過去に行った複数の発言やプロフィールを分析して特定 実名・所属・住所などの情報が暴露される可能性 プライバシー侵害、業務妨害 所属先への抗議、炎上 個人が特定される可能性を想定しておく 身バレしても困らないように注意して行動 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
投稿の削除が困難 不用意な投稿を後で削除しても、インターネット上から完全に消し去ることは難しい 検索サイトのキャッシュ 第三者による複製・保存 引用、再掲載、アーカイブ 責任を持てるかどうかを考えて発言するしかない その一方で、SNSの公式利用への期待も大きい 企業、大学、行政機関等の公式広報 公式アカウントによる情報発信 「中の人」の個人的な意見 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
クラウドサービス利用時の注意点 クラウド 安全か? インターネット上で手軽に利用できる情報サービス メール、SNS、掲示板・連絡板、検索、翻訳、ファイル保存、ファイル交換、日程調整、日本語変換 業務の効率化や経費節減の効果も期待できる 安全か? 利用時に、どのような情報がサービス提供者に送信されて蓄積されるのか どういう範囲の人々に見られる可能性があるのか 入力した情報をサービス提供者が再利用する可能性 内容そのもの、利用動向・履歴、利用者情報 無償サービス提供の対価は何か 利用規約をよく読む必要があるが、利用規約が変更になることもある 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
参考Web 法人におけるSNS利用に伴うリスクと対策(JPCERTコーディネーションセンター) http://www.jpcert.or.jp/research/sns2012.html SNSの安全な歩き方(日本ネットワークセキュリティ協会) http://www.jnsa.org/result/2012/sns.html 2019年1月24日 2018年度法情報学演習
2019年1月24日 おしまい この資料は、2018年度法情報学演習のページからダウンロードすることができます。 http://www.law.tohoku.ac.jp/~kanaya/infosemi2018/ 授業アンケートのお願い この場での記入をお願いします。 提出したら退席して構いません。 レポート作成についての質問等があれば、引き続き受け付けます。 2019年1月24日 2018年度法情報学演習 2018年度法情報学演習