毎月レポート くらしの情報 (2017年2月号)
くらしの情報 2017年2月号 ■おいしさいろいろ、ふるさとの醤油 ふるさとに帰省してうれしいことの1つに、郷土ならではの料理を堪能できることがあります。地元でないと入手しにくい食材はもちろんですが、地域ならではの調味料や味付けも、立派なふるさとの味です。なかでも調理の要ともいえる醤油は食卓にのぼる回数も多く、まさにふるさとの味の基本ともいえそうです。 甘味、酸味、塩味、苦味、うまみといった「おいしさの五原味(ごげんみ)」が含まれているのが醤油です。その歴史は古く、中国から伝わった「醤(ひしお)」を発酵熟成させたものが長い時を経て、わたしたち日本人の代表的な調味料になりました。地域の嗜好や醸造法による味の違いがあり、旅行先や出張先の醤油に驚いた方もいるのではないでしょうか。 醤油は、こいくち・うすくち・たまり・さいしこみ・しろ、の5種類に分類されており、全国消費量の約80%を占めているのがこいくち醤油。東日本では赤身の魚を食べる機会が多かったため、魚の臭みを消すためにこいくち醤油が普及したと言われます。うすくち醤油は、だしをきかせる料理が主流の関西ならではの繊細な味わいです。そして愛知や三重などで支持が高いたまりは、原料のほとんどを大豆で作っており、とろりとしているのが特徴です。お刺身にはこれでないと、という根強いファンも多いとか。そして、山口県を中心に好まれているさいしこみ醤油は別名を甘露醤油ともいい、製造の段階で2度醸造するのでこう呼ばれています。しろはその名の通り「白」と書き、国内生産量の割合は全体の1%弱です。小麦を主原料としているため淡泊な味わいで甘味が強く、お吸い物などに適しています。 さらに同じこいくち醤油でも北海道は甘味が少なく、古くから中国や韓国と味の交流の多かった九州では甘口が好まれるというように、味そのものも地域によって違います。 あのルイ14世も好んだという醤油は、今や日本の味として世界100か国以上の国で愛されており、わたしたちの食生活に欠かせない調味料として、ふるさとの味として、受け継がれているのです。 ※参考 しょうゆ情報センター https://soysauce.or.jp/ キッコーマン株式会社 https://www.kikkoman.co.jp/ ヤマサ醤油株式会社 http://www.yamasa.com/ 味の素株式会社 http://www.ajinomoto.com/jp/ 2
くらしの情報 2017年2月号 ■遠赤外線の「あったか」の秘密 冷え込みが厳しい日が続きますね。寒さ対策グッズについつい手が伸びてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、あったかグッズでよく見かける「遠赤外線」をご紹介します。 赤外線が発見されたのは1800年のこと。イギリスの天文学者ウイリアム・ハーシェルがプリズムを使っての実験中、「太陽光の中には、目に見えないが熱を伝える光線がある」ことを発見します。虹色の帯の中、赤色の外側に存在することから、赤外線と名付けられました。赤外線は近赤外線と遠赤外線の2種類に分けられ、X線や電子レンジのマイクロ波などと同じ電磁波の仲間です。 でもなぜ、遠赤外線があったかグッズに使われるのでしょうか。それは、遠赤外線は人の皮膚の表面に吸収されやすく、吸収されると熱に変わる性質があるからです。 であれば、より暖かさを求めるには遠赤外線の量を増やせばいいですよね。そこでセラミックの登場です。実はこのセラミック、加熱すると遠赤外線をいっぱい放出するのです。この原理を利用して暖房器具に採用したり、繊維に練りこんで暖かい衣類にしたりと、形を変えて幅広いジャンルで使われています。そうそう、岩盤浴もあたためられた鉱石が遠赤外線を放出する仕組みです。さらに学校や工場、体育館などの暖房や、穀類や豆類の乾燥に使われるなど、産業分野にも活用されているそうですよ。 ところで遠赤外線で体の芯までポカポカ、という表現を目にしますが、これは皮膚の表面近くのあたたまった血液が体のすみずみにいきわたった結果、暖かくなるというメカニズムで、一般的に体をあたためる方法と同じです。つまり体の芯までポカポカするのは本当ですが、遠赤外線ならではの特別なメリットではありません。そこをきちんと理解し、遠赤外線だから高機能・高価格とうたうものには注意しましょう。 ※参考 非営利・一般法人 遠赤外線協会 http://www.enseki.or.jp/ TDK株式会社 http://www.tdk.co.jp/ 株式会社マスダック http://www.masdac.co.jp/ 株式会社クラレ http://www.kuraray.co.jp/ 日本ヒーター株式会社 http://www.nippon-heater.co.jp/ 日精オーバル株式会社 http://www.nissei-oval.co.jp/ 3
くらしの情報 2017年2月号 ■スキレットを使えば、いつもの料理もおいしく “おうちでカフェごはん”など家めし志向が続くなか、今「おしゃれ」「おいしそうに見せられる」「1つ何役」「便利」がキーワードのさまざまなキッチンツールが人気を集めています。なかでも注目されているのがスキレット。見た目の新しさやおいしさという点が評価されているようです。 スキレットとはフライパンの一種で、材質が鉄の鋳物でできた厚手のフライパンのこと。フライパンの材質には、ステンレスや鉄、アルミニウムなど数種類ありますが、そのうち鉄製で重みと厚みのあるものがスキレットです。型に鉄を流し込んでつくるという鋳物の性質上、多少重くなりますが、普通の鉄のフライパンに比べて30倍もの炭素量があるため、油なじみが良いという特徴があります。スキレットには特定の形があるわけではなく、すき焼き鍋にもなる鉄製の両手取っ手鍋や、たこ焼き用フライパンも、材質が鉄で厚みがあれば、それも実はスキレットなのです。 一番人気のスキレットは小ぶりのフライパン型で、調理した後そのまま食卓に出せ、自宅でカフェやバル感覚の一品料理を楽しめるのもポイント。逆に大きめのサイズのものは、肉や餃子、ハンバーグなどの焼きものに実力を発揮します。おいしく仕上がるのは、底が厚いので熱が均一に伝わってムラなく食材を加熱できるからとされ、まさに良い道具が料理の出来を左右することを体現しているようなツールです。 使い始める前は食用油を塗って膜を作る、調理後はサビ防止のため洗ったあと食用油を塗って保管するというお手入れが必要です。この点だけはお手入れが楽なテフロン加工の鍋に軍配が上がりますが、その手間を補ってあまりある価値があること請け合いです。 いつものメニューがおいしく仕上がり、食卓を演出できるスキレット。使い慣れたツールもいいですが、たまには新しいキッチンツールを取り入れてみませんか? ※参考 株式会社ニトリ http://www.nitori.co.jp/ カンパネラ http://business.nikkeibp.co.jp/campanella/ ピントル https://pintoru.com/ トップバリュ https://www.topvalu.net/ イエモ https://iemo.jp/ 4