電離領域の遠赤外輻射 (物理的取り扱い)      Hiroyuki Hirashita    (Nagoya University, Japan)

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電離領域の遠赤外輻射 (物理的取り扱い)      Hiroyuki Hirashita    (Nagoya University, Japan)

内容 なぜ電離領域を遠赤外で見るか 電離光子に対するダストの吸収 IR Excessの解析 ダストの空間分布の効果 銀河間での相違 まとめ

1. なぜ電離領域を遠赤外で見るか (0.1 – 3 mm) UV, opt, NIR (10 – 1000 mm) Dust MIR, FIR, sub-mm Dust 銀河 = 星の集まり 銀河形成史 = 星形成史 銀河の活動性 = 星形成活動

SFRの指標 ionised gas Ha 大質量星のtracer = 最近形成された星の指標 Buat (1992)

Lyman Continuum Extinction 1 – f 電離領域 SFR = SFR(Ha) / f

2. 電離光子に対するダストの吸収 ダストのない場合の電離領域の半径 rS ダストのある場合の電離領域の半径 ri ≡ yi rS Inoue, Hirashita & Kamaya (2001) ダストのない場合の電離領域の半径 rS ダストのある場合の電離領域の半径 ri ≡ yi rS 電離光子のうち、ダストに吸収される割合 f = yi3

電離半径でのダストの光学的厚さ Stromgren半径にわたるダストの光学的厚さ 電離半径にわたるダストの光学的厚さ td ||

f の観測的決定 一方、yi は tS,d の関数となる(Spitzer 1978) → f と td の関係が得られる

系内電離領域の f

Caplan et al. (2000): [O II], Hb, [O III], He I, Ha

3. IR Excess の解析 Inoue et al. (2001) f = 0.5 非電離光子のみ吸収 Lyaのみ吸収

4. ダストの空間分布の効果 Inoue (2001) 中空 yd ≡ (inner radius of dust distribution) / Stromgren

電離領域サンプル (Simpson et al. 1995) KAOによる観測 Inoue (2001)

Simpson et al. (1995) 金属輝線比→電子温度、重元素率

5. 銀河間での相違 Kennicutt (1984) NGC 604 (M33) Orion Pellet 550 (M31) 600 pc NGC 604 (M33) Orion Pellet 550 (M31) NGC 3603 Carina with different exp. N70 (LMC) M82 NGC 5471 (M101) with different exp. N66 and N76 (SMC) 30 Doradus

光度プロファイルの比較 Kennicutt (1984) 系外銀河には銀河系にない 明るい電離領域が存在する。 ↓ 銀河の個性 (内部環境) が重要?

銀河の個性のまとめ M31 (Sb) には銀河系 (Sbc) に存在するCarinaやNGC 3603級の明るさの電離領域は存在しない。 M101 (Sc)には銀河系に存在するものより明るい電離領域が存在する。 30 Doradus級の電離領域は銀河系にはない。 電離領域の性質に銀河の形態が重要か? ↓ なぜ? 遠赤外線での性質の違いはあるか? 電離領域のIR excessはLMC < Galaxy (HH et al. 01)

LMCのHa画像 Kennicutt & Hodge (1986) 30 Dor 500 pc ~ 30”

6. まとめ 電離領域の遠赤外観測は、銀河の星形成指標に 関する素過程(energetics)を解明するために重要である。 (2) 特に、電離光子のダストに吸収される割合を知る ために、遠赤外観測は重要。 (3) 銀河系の電離領域の観測から、電離光子の半分 程度はダストに吸収されてしまう ⇒ Haを指標とした 星形成率は大きな補正を要する。 (4) 電離領域のダスト分布のジオメトリも f に重要。 大きな電離領域であれば、遠赤外観測からダスト分 布が出せるか? (5) 電離領域の特徴的な明るさは銀河の形態に依る? ⇒系外の電離領域の観測も重要

7. メモ、今後の議論事項 Reach et al. 1998, ApJ, 507, 507: 高銀緯の遠赤外マップ(分子雲の分布) Kennicutt & Hodge (1986)との関連で、 電離領域の典型的な大きさ80 pc (5’)は分解できるか 遠赤外で見てもサイズ分布は同じか → 典型的にどれくらいのemission measureのところまで見えるかを評価する必要がある Hirashita et al. (2003): SFR(Ha)とSFR(IR) → 個々の電離領域対銀河全体 なんてんの結果