(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案)

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(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案) 参考資料 (働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案) 厚生労働省

働き方改革関連法案に係る中小企業・小規模事業者対策について 厚生労働省 中小企業庁 ① 働き方改革関連法案における中小企業への配慮  ・中小企業における上限規制の施行時期を1年延期    (2020年4月)  ・条文附則にて、中小企業への配慮に関する規定を設ける。 ② 労働法制の周知徹底に向けた対応   中小企業・小規模事業者においては、そもそも労働法制  に不案内である、それ故に36協定を未締結など、現行法  制下でも課題を抱える状況。  (対策)  〇 これまでの現行の労働法制に係る周知に加え、   29年度補正予算等の支援策等についても、商工会・   商工会議所、税理士、金融機関等(官邸関係省庁会議   における周知ルート)と連携等して周知。(3月~)  〇 働き方改革関連法案の成立後においては、改正法案の   内容、30年度から始まる支援措置(働き方改革推進支   援センター等)について、上記と同様に早急に周知。 ③ 追加的な支援措置の検討   29年度補正予算、30年度当初予算の執行状況も踏ま  えた上で、切れ目ない支援につなげるため、31年度概算  要求等について検討していく。   その際、単に労働法制を理解して36協定を締結すれば  法違反を免れる者、上限規制を遵守するために強力な後押  しを必要とする者など、対象者の実情に応じたきめ細やか  な対応が必要。 (考えられる対策) ⅰ)働き方改革に取り組む中小企業への支援体制  ・ 働き方改革推進支援センターの機能・体制の強化   に加え、商工会・商工会議所における相談体制強化、   よろず支援拠点を経由した社労士派遣など、支援体   制の強化を検討する。 ⅱ)上限規制導入に伴う予算措置  ・ 働き方改革に取り組む企業の人材確保にかかる経   費の助成、人手不足対応・生産性向上のための、設   備投資支援、IT導入支援、販路開拓支援、再編・   統合を含む事業承継支援等の追加支援策を検討。 ⅲ)取引対策の運用徹底  ・ 下請Gメンの体制強化を行い、大企業からのしわ   寄せなど下請中小企業の実態把握を進めていく。ま   た、公取において大企業による短納期発注等中小企   業に不当に不利益が発生する下請法、独禁法違反の   おそれがある行為の事例を収集・公表する予定(本   年5月)。また、違反行為に対しては引き続き厳正   に対処。 1

中小企業・小規模事業者を取り巻く環境の改善 (取引条件改善等)を含めて、必要な支援策についてPDCAサイクルを構築 周知、把握・検討、対応実施の段階別対応 中小企業・小規模事業者が働き方改革に対応するため、①働き方改革の内容の周知、②必要な対応の把握・検討、③具体的な対応の実施の各段階で支援する仕組みを整備。 取引環境の改善等の関連施策を含め、必要な支援策のPDCAサイクルを構築。 H30年度 法施行 ①周知 「働き方改革によって何が変わるのか」を周知 ・時間外労働の上限 ・雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保 等 全ての中小企業・小規模事業者に対し、就業規則や36協定等の労働法制について周知。 更に、全ての中小企業が働き方改革の趣旨・内容を理解できるよう、改正法案や改善事例、支援策の周知徹底。 ②把握・検討 個々の中小企業・小規模事業者において ・自社の労務管理の状況を把握 ・労務管理改善に向けた具体的な対応検討 等 働き方改革推進支援センターを中心に、商工会・商工会議所等の支援機関が連携して、個別の相談対応体制を整備。 ③対応実施 社会保険労務士等の専門家が具体的な解決策実施を支援。 <労働法制の理解不足> 労務管理アドバイス 36協定、就業規則策定支援等 <新たな上限規制抵触するおそれ> 生産性向上に対する支援 労務管理の改善への支援 個々の中小企業・小規模事業者において ・ 36協定や就業規則等の整備など ・支援措置(助成金・補助金等)の有効活用 等 中小企業・小規模事業者を取り巻く環境の改善 (取引条件改善等)を含めて、必要な支援策についてPDCAサイクルを構築 2

具体的な対応①:働き方改革の内容の周知徹底 本法案が従業員がいる全事業所に適用されることを踏まえ、津々浦々まで改正の趣旨や支援策を浸透させるため、あらゆるルートを使って周知徹底を図る。 ① 官邸WGで整理された周知ルート ・官邸WG(中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するWG)において整備された様々な主体を巻き込んだ周知ルートを経由して周知徹底。 ・既に、現状の労働法制に関する周知(12月~1月)を実施。更に3月中に補正予算・当初予算による支援策に関する周知を実施。 機関 体制 働き方改革推進支援センター ・全都道府県に設置(H30~) 全国社会保険労務士会連合会 ・全都道府県、社労士40,829人 商工会・商工会議所 全国中小企業団体中央会 商店街振興組合 ・商工会・商工会議所:2,175単会 ・中小企業団体中央会:全都道府県 ・加盟組合数:2,043ヵ所 認定経営革新等支援機関 ・27,203機関 よろず支援拠点 専門家派遣 ・全都道府県に設置 ・2.5万件の派遣(H28) 機関 体制 市町村・行政相談センター ・センター:各都道府県に設置 金融機関、政府系金融機関等 ・各協会、ゆうちょ銀行 等 日本税理士会連合会/各税理士会 中小企業診断士協会 ・全税理士が加盟 ・全都道府県に協会 全国労働保険事務組合連合会 ・加盟組合数:8,032組合 全国農業協同組合中央会 漁業協同組合 ・農:正会員897、准会員11 ・漁:加盟組合数:960(沿海地区)  ・また、各都道府県においては、各労働局が中心的役割を果たし、都道府県等の自治体及び上記関係機関と連携し、   周知 ② 全国津々浦々での働き方改革のためのセミナー開催 ・働き方改革推進支援センター等において、事業者が参加できるセミナーを約2,600回開催(平成30年度) ③ 労働保険事務の年度更新手続を活用した周知 ・従業員を雇用する事業場が対象となる労働保険の年度更新手続に係る書類を送付する際、現行の36協定や就業規則等の労働法制、相談窓口や支援策について周知 3

経営指導員等向けの労務管理に関するセミナー 中小企業・小規模事業者向け対策予算(H30当初:2,113億円 H29補正:1,700億円) 具体的な対応②:相談・支援体制の整備 働き方改革推進支援センター  (働き方改革関連法案への対応 等) 身近な支援機関による経営支援  (生産性向上、IT導入、人材確保 等) 20万件/年の働き方改革対応支援 510万件/年の経営支援 各都道府県に47箇所設置【常駐型専門家57人 派遣型専門家151人】 【経営指導員等:8361名】 ●窓口相談等による個別支援(常駐型専門家)  ・労務管理のアドバイス、36協定や就業規則の支援等 ●企業訪問支援(派遣型専門家) ●出張相談会(商工会議所等と連携) ●事業者向けセミナー(商工会議所等と連携) 【よろず支援拠点】 ・生産性向上、IT投資等に関する  相談について、企業経営の専門  家と連携を図り一体的に支援 ・人手不足アドバイザーを設置す  る等、相談体制を強化 【商工会・商工会議所・中央会】 ・会員企業が労務管理に関する  相談がある場合にセンターを紹介 ・事業主向けセミナーの共同開催 ・会員数:商工会:81万者、      商工会議所125万者、      中央会:262万者 連携 時間外労働等 改善助成金等 (団体推進コース) 経営指導員等向けの労務管理に関するセミナー (厚生労働省委託) ※ 企業訪問支援は、1企業3回まで  の訪問を実施   出張相談会・事業主セミナーは、  全ての商工会等で実施 それぞれの窓口において、中小企業・小規模事業者の課題に応じ適切に支援(必要に応じ相互に紹介)。 ・36協定、就業規則策定支援等→センター ・生産性向上、人材確保等  →支援機関 セミナー等開催支援 指導員の知見強化 中小企業・小規模事業者  社労士等の活用による相談窓口設置など も活用可能 ⇒執行実績を踏まえ、更なる拡充を検討 中小企業・小規模事業者向け対策予算(H30当初:2,113億円 H29補正:1,700億円) <労務管理等の支援> 時間外労働等改善助成金【H30当初:35億円】 キャリアアップ助成金【H30当初:923億円】                       等 <生産性向上の支援> ものづくり・サービス・商業補助金【H29補正:1000億円】 IT導入補助金【H29補正:500億円】 小規模事業者持続化補助金【H29補正:100億円】 業務改善助成金【H30当初:8.6億円、H29補正:6.0億円】等 4

具体的な対応③-1:労務管理アドバイス、36協定等の締結支援 【働き方改革推進支援センターの支援】 民間事業者による相談支援 企業訪問などにより、専門家が、就業規則等の整備方法や助成金の活用などを含めたアドバイスを行う。  時間外及び休日労働に関する協定(36協定)が未届である事業場に対して、民間事業者による集団や訪問での相談指導を、委託事業により実施する。 【個別支援例】 ・無駄な業務の削減・合理化、機械・設備導入等による業務プロセスの見直し ・正規-非正規間のそれぞれの待遇状況について確認          1 自主点検の実施   民間事業者から、チェックリスト(自主点検票)の作成やWEB診断の実施について案内を送付し、36協定の締結状況や労働時間の上限の遵守状況のほか、就業規則の策定、労働条件明示の状況なども含めた、基本的な事項について確認する。 ・業務プロセスの見直しに即した働き方の確立、時間外労働の上限規制への対応 ・正規-非正規間の不合理な待遇差を解消             2 相談指導の実施   自主点検等の結果から指導が必要と思われる事業場や、自主点検等に回答のない事業場等に対し、民間事業者が、集団的な相談指導や、同意を得られた事業場に対する個別訪問による相談指導を実施。 就業規則等の整備等 など 【時間外労働等改善助成金の活用事例】  ○時間外労働上限設定コース【H30予算 19.2億円 2.6千件】   ① 産業ロボット導入による、製品の増産   ② 福祉車両の導入による、労働者の業務効率の向上  ※機器の導入等に係る経費を助成。労働局の助成金担当   が36協定により要件を確認。  ○団体推進コース【H30予算 4.3億円 120団体】   ③ 36協定の作成の手順や、労働時間管理などを教示    するセミナー開催   ④ 会員企業等の求人募集を団体がとりまとめて実施    する経費を助成 36協定届・就業規則作成支援ツールのWebによる提供 5

具体的な対応③-2(1):生産性向上のための支援 (1)生産性向上のための支援等 (1)生産性向上のための支援等 ものづくり・サービス補助金 IT導入補助金 小規模事業者持続化補助金 革新的なサービス開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資を支援 生産性向上に資するITツール導入のための経費を支援。 商工会・商工会議所と作成した経営計画に基づいて行う販路開拓等の経費を支援。 【H29補正:1,000億円、1万件】 【H29補正:500億円、13万件】 【H29補正:100億円、1万件】 業務改善助成金 新たな固定資産税減免措置 所得拡大促進税制 事業場内で最も低い賃金を30円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行う中小企業等に対し、その設備投資等に要した費用の一部を助成。 生産性向上特別措置法案に基づき、高い労働生産性の向上を目指す企業が導入する設備について、自治体の判断により固定資産税を減免(ゼロ~1/2)。 1.5%以上の賃上げを行った中小企業に前年度からの給与増加額の15%を法人税から税額控除。さらに、2.5%以上の賃上げに加えて人的投資や生産性向上に取組む企業には税額控除率を25%に上乗せ。 【H29補正:6.0億円、1.2千件】 【H30当初: 8.6億円、1.4千件】 【H30税制改正案】 【H30税制改正案】 6

具体的な対応③-2(2):取引改善のための支援 官邸WG(下請等中小企業の取引条件改善に関するWG)において、下請等の取引条件改善に係る対策の検討・フォローアップを業種横断的に行うとともに、関係省庁の連絡会議により、自動車運送業、建設業といった業界の実情に応じた支援を検討。 業種横断的な支援 業界の実情に応じた支援 下請法違反の疑いのある個別事案については厳正に 対処するとともに、法令違反には至らないものの改善 が望ましい事案については大企業等発注側へのヒアリ ングや、経営トップへの改善要請を検討。 発注事業者側の働き方改革によって下請事業者にし わ寄せがきていないか、下請Gメンによる下請企業ヒア リングを通じた実態の把握。 働き方改革による短納期発注などの下請事業者への しわ寄せの懸念を踏まえ、下請中小企業振興法・振興 基準(親事業者と下請事業者の望ましい取引慣行を示 した経産省告示)の改正を検討。 下請中小企業の長時間労働の背景として、親事業者 の下請法等違反が疑われる場合に、労基署から中小 企業庁や公正取引委員会に通報する制度の強化につ いて検討し、整備する。 【自動車運送事業】H30予算:47億円 ○ 機械荷役への転換による荷役時間の削減等に取り組  むほか、長時間労働是正の環境整備のための関連制度  の見直しや支援措置に関する行動計画を策定・実施す  る。 ○ 特に、トラック運送事業については、荷待ち時間・  荷役時間の削減、集配経路の見直しなど、ドライバー  の長時間労働是正のために荷主と交渉する際に参考に  できるようなガイドラインの策定、改善策や好事例を  盛り込んだハンドブックの作成等の支援策を実施する。 【建設業】H30予算:83億円 ○ 適切な工期設定等を求めるガイドラインを官民の発  注者に徹底するとともに、若者や女性等への訓練など、  人材確保に取り組む事業者への女性等を行う。 【情報サービス業】H30予算:1億円 ○ 情報サービス業(IT業界)について、業務特性など  時間外労働が発生する要因の把握・分析を行うととも  に、業務プロセスや取引条件面も含め、改善方策の検  討・推進等を行う。 7

中小企業・小規模事業者における「働き方改革」に対する支援策 生産性向上 取引条件改善 雇用管理改善 人手不足対応 設備投資が困難等の声に対応し、賃上げ等につながる支援を行う 発注企業からのしわ寄せで 残業が増える等の声に対応し、 取引条件改善に向け支援する 時間外労働の見直しを行うため必要な労務管理の改善に向けた支援を行う 人手不足、賃金高騰等で従業員を採用できないとの声に対応し、マッチングの強化等を行う ①生産性向上に資する 業務管理システム等の   ITツール導入経費を支援 ②人事評価制度等の整備・実  施を通じて、生産性向上・賃  金アップ等を実現した企業に対  し助成 ③金融機関と連携し、生産   性向上などに関する計画を   作成し、設備投資等を行う 中小企業等に対し助成 ④生産性向上に資する設備・   器具の導入等を行い、事業   所内最低賃金を引き上げる   中小企業等に対し助成 ⑤所得拡大促進税制を延長・    拡充            等 ①大企業からの短納期発注等   の抑制   イ 下請Gメンによる企業ヒアリ    ングを通じた実態確認   ロ 法令違反への厳正な対処 ②取引条件改善の好事例の 収集・公表 ③労基署から中小企業庁や   公正取引委員会に通報する   制度の強化について検討し、   整備 ④官公需発注に起因する 長時間労働の抑制 (関係省庁へ要請文を発出) 等 ①働き方改革推進支援  センターにおける専門家の 支援(以下支援例)  ・組織内の応援体制、従業員 の多能工化により、業務に 複数人で対応する  ・非効率な残業を避け、   効率的に働くよう社内意識 の改善を図る  ・業務の繁閑に対応した労働 時間の決定をし、メリハリを つけた勤務体制を作る  ・正規-非正規間のそれぞれの    待遇状況について確認し、    不合理な待遇差を解消 ②非正規雇用労働者の正社  員化や賃金規定の増額改定  等を行う事業主に対し助成 等 ①働き方改革に取り組む企業 にハローワークで重点的に 人材を紹介、求人担当制で フォローアップを徹底 ②雇用管理制度(評価・処遇  制度等)の導入等を通じて雇  用の安定に取り組む中小企業  等に対し助成 ③中小企業・小規模事業者が   行う社員訓練について、訓練   経費、期間中の賃金の一部 を助成 ④オーダーメイド型訓練の実施 ⑤中小企業の魅力の発信 (SNS等を活用)   等 8

時間外労働の上限規制について 【改正案】 (時間外労働の上限規制) ○時間外労働の限度時間を、月45時間、年360時間とする。 ○臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合、年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平 均80時間(休日労働含む)を限度とする。(月45時間を超えることができる月数は、年6か月まで) (除外業務・適用猶予) ○新技術・新商品等の研究開発業務  時間外労働の上限規制は適用しない。※時間外労働が一定時間を超える場合には、事業主は、その者に必ず医師による面接指導を受けさせなければならない。(労働安全衛生法の改正) ○建設事業  改正法施行5年後に(平成36年4月に)、一般則を適用。(ただし、災害時における復旧・復興の事業については、1か月100時間未満・複数月平均80時間以内の要件は適用しない。この点についても、将来的な一般則の適用について引き続き検討する旨を附則に規定)。 ○自動車運転の業務  改正法施行5年後に(平成36年4月に)、時間外労働の上限規制を適用。上限時間は、年960時間とし、将来的な一般則の適用について引き続き検討する旨を附則に規定。 ○医師  改正法施行5年後に(平成36年4月に)、時間外労働の上限規制を適用。具体的な上限時間等は省令で定める(医療界の参加による検討の場において、規制の具体的あり方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る)。 ○鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業  改正法施行5年間は、1か月100時間未満・複数月平均80時間以内の要件は適用しない。(改正法施行5年後に(平成36年4月に)、一般則を適用) ○中小事業主に対する助言指導に当たっての配慮  行政官庁は、当分の間、中小事業主に対し新労基法第36条第9項の助言及び指導を行うに当たっては、中小企業における労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態等を踏まえて行うよう配慮するものとする。 <参照条文:改正後の労働基準法第36条>    7 厚生労働大臣は、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするため、第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して指針を定めることができる。    9 行政官庁は、第七項の指針に関し、第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。 (労働時間の状況の把握の実効性確保) ○労働時間の状況を省令で定める方法(※)により把握しなければならないこととする。(労働安全衛生法の改正)  ※省令で使用者の現認や客観的な方法による把握を原則とすることを定める 【現行】 ○現行の時間外労働の規制では、36協定で定める時間外労働の限度を厚生労働大臣の限度基準告示で定めている。 ○限度基準告示では、36協定で締結できる時間外労働の上限を、原則、月45時間以内、かつ年360時間以内と定めているが、法律の定めはない。臨時的な特別の事情がある場合には、労使が合意して特別条項を設けることにより、上限なく時間外労働が可能となっている。 9

勤務間インターバル制度の普及促進について 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の見直し 【現行】 ○「労働時間等設定改善法」は、事業場における「労働時間等の設 定の改善」について、労使の自主的な努力を促進するための法律 であり、以下のとおり「事業主の責務」を規定している。 「事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。」 【改正案】 ○この「事業主の責務」の具体的内容に、 「前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間の一定時 間の休息(=勤務間インターバル)の確保」  を位置づけ、「勤務間インターバル制度」の普 及促進を図る。 ※「労働時間等」とは、労働時間、休日及び年次有給休暇その他の休暇をいう。 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の見直し 【現行】 ○長時間労働の抑制等のため、1か月の時間外労働のうち、60時 間を超える時間に係る割増賃金率は、50%とされている。 ○ただし、中小企業については、当分の間、適用猶予されている。 (このため、60時間を超える時間についても、割増賃金率は 25%) 【改正案】 ○中小企業に対する適用猶予を廃止する。(中小 企業についても、1か月の時間外労働のうち、60時間 を超える時間に係る割増賃金率は、50%とする) ○施行日は、平成35年4月1日とする。 (参考:時間外労働の現状) 10

年次有給休暇(年休)の確実な取得について フレックスタイム制の見直し(清算期間の上限の延長)について 【現行】 ○労働者は、その請求(時季指定)により年休を取得する。 (参考:年休取得の状況) 【改正案】 ○年5日の年休については、労働者の希望を踏まえて、使用 者が時季指定して与える(指定された日に労働者が年休を 取得する)こととする。  年休を請求(時季指定)することへのためらいが一因となって、年休取得率は近年5割を下回る水準で推移。 ●我が国の年休取得率:49.4%(平成28年)  ⇔ 平成32年の政労使目標:70% ●1年間で年休を1日も取得できていない労働者の割合  :16.4%(平成23年時点の調査) ●年休が10日以上付与されている労働者に限る。 ●以下のケースでは、使用者の時季指定により付与する必要は ない。 労働者が時季指定して取得した年休がある場合:その日数 労使協定により年休を計画的付与した場合:その日数 ※法定の年休付与日数 継続勤務年数 6か月 1年 2年 3年 4年 5年 6年6か月以上 年休の付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日 フレックスタイム制の見直し(清算期間の上限の延長)について 【現行】 ○フレックスタイム制とは、 「清算期間」で定められた所定労 働時間の枠内で、労働者が始業・終業時刻を自由に選べる制 度。「清算期間」は最長1か月と定められている。 【改正案】 ○「清算期間」を最長3か月に延長。 ○各月で週平均50時間を超えた場合は、使用者はその各月で割増賃金を支払う必要。 11

「高度プロフェッショナル制度」の創設について 制度概要 :時間ではなく成果で評価される働き方を希望する方のニーズ等に応えるため、職務の範囲が明確で高年収の労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、年間104日の休日を確実に取得させる等の健康確保措置を講じること、本人の同意、労使委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする制度。 1.対象業務、対象労働者 (1)対象業務は高度専門業務のみ ・「高度の専門的知識等を必要とする」とともに「従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと  認められる」という性質の範囲内で省令で規定する業務(時間ではなく成果で評価される業務)   ⇒  金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務、コンサルタントの業務、研究開発業務等を想定 (2)対象者は希望する高所得の労働者のみ ・職務を明確に定める「職務記述書」等により同意している労働者 ・1年間に支払われると見込まれる賃金の額が、 「労働者の平均給与額の3倍」を「相当程度上回る水準」以上の  労働者 ・・・具体額は「1075万円」を想定 ※給与所得者のうち、年収1,000万円超の労働者は、管理職を含めても2.9% 2.健康確保措置等 年間104日以上、かつ、4週4日以上の休日確保措置を義務化(※)。 加えて、①インターバル措置(終業時刻から始業時刻までの間に一定時間以上を確保する措置)、②1月又は3月の健康管理時間の上限措置、③2週間連続の休日、④臨時の健康診断のいずれかの措置の実施を義務化(※)。この他、省令で定める事項のうちから労使で定めた措置を実施。 使用者は、客観的な方法等により在社時間等の時間である「健康管理時間」を把握し、その健康管理時間が一定時間を超えた者に対して、医師による面接指導を実施  (※)27年法案の内容について、労働政策審議会の議論を踏まえ、健康確保措置を強化する修正を行ったもの。  3.制度導入手続 職務記述書等に署名等する形で職務の内容及び制度適用についての本人の同意を得る 導入する事業場の委員会で、対象業務・対象労働者をはじめとした上記の各事項等を決議 12

13 産業医・産業保健機能の強化について① 1 産業医の活動環境の整備 2 労働者の健康管理等に必要な情報の産業医への提供等 1 産業医の活動環境の整備 産業医の独立性・中立性の強化 (1)産業医について、専門的知識に基づいて誠実にその職務を行う責務を定める。 長時間労働者等の健康確保対策の強化 (2)事業者は、衛生委員会に対し、産業医が行った労働者の健康管理等に関する勧告の内容等を報告しなければならないこととする。(産業医の選任義務のある労働者数50人以上の事業場) (3)事業者は、労働者が安心して産業医等による健康相談を受けられるようにするために必要な体制整備等を講ずるよう努めなければならないこととする。 (産業医の選任義務のある労働者数50人以上の事業場) 産業医の業務内容等の周知 (4)事業者は、産業医の業務内容等を労働者に周知しなければならないこととする。 (産業医等を選任している事業場) 2 労働者の健康管理等に必要な情報の産業医への提供等 労働者の健康管理等に必要な情報の産業医への提供 (1)事業者は、産業医に対し産業保健業務を適切に行うために必要な情報を提供しなければならないこととする。   (産業医の選任義務のある労働者数50人以上の事業場) 労働者の健康情報の適正な取扱いの確保 (2)事業者は、本人同意その他正当な事由がある場合を除き労働者の健康確保に必要な範囲内で労働者の健康情報を取り扱わなければならず、また、健康情報を適正に管理するための措置を講じなければならないこととする。(全ての事業場)   ※ じん肺法も同様の改正 ●産業医とは:事業場において、労働者の健康を保持するための措置、作業環境の維持管理、作業の管理、健康管理等を行う医師。常時使用する労働者が50人以上の事業場において選任義務がある。 ●衛生委員会とは:労働者の衛生に係る事項を調査審議するための会議体。構成員は使用者、労働者、産業医等。常時使用する労働者が50人以上の事業場において設置義務がある。 ※ 高年齢労働者の増加に伴う産業保健機能の強化についても、労働災害防止計画等に基づき、不断の見直し・取組を進めていく。 13

産業医・産業保健機能の強化について② 今般の改正により、過労死等のリスクが高い状況にある労働者を見逃さないため、長時間労働者への産業医の関与を強化し、産業医による面接指導等が確実に実施されるようにする。 拡充 事業者が全ての労働者の労働時間を把握 ※ガイドラインから法律に格上げ 拡充 事業者が産業医に残業時間80h/月超の労働者の情報を提供 ※省令から法律に格上げ ※面接指導の対象となる残業時間の基準を100h/月超から80h/月超に強化 産業医が情報を元に労働者に面接指導の申出を勧奨 拡充 残業時間80h/月超の労働者が事業者に面接指導の申出 ※面接指導の対象となる残業時間の基準を100h/月超から80h/月超に強化 事業者が産業医等による面接指導を実施 事業者が産業医等から労働者の措置等に関する意見を聴く 事業者が産業医の意見を踏まえて必要な措置を講じる 新規 事業者が産業医に措置内容を情報提供 ※新規 措置状況を確認した産業医が労働者の健康確保に必要があると認める場合は事業者に勧告 新規 事業者が産業医の勧告内容を衛生委員会に報告 14 ※新規

(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の改正) 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保 (パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の改正) 「働き方改革実行計画」に基づき、以下に示す法改正を行うことにより、企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労 働者の間の不合理な待遇差の実効ある是正を図る。 1.不合理な待遇差を解消するための規定の整備 ○ 短時間・有期雇用労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らし て適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化。   (有期雇用労働者を法の対象に含めることに伴い、題名を改正(「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)) ○ 有期雇用労働者について、正規雇用労働者と①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲が同一である場合の均等待遇の確保を義務 化。 ○ 派遣労働者について、①派遣先の労働者との均等・均衡待遇、②一定の要件(同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の 賃金であること等)を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化。 ○ また、これらの事項に関するガイドラインの根拠規定を整備。 2.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化 ○ 短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化。 3.行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備 ○ 1の義務や2の説明義務について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備。 15

不合理な待遇差を解消するための規定の整備① (短時間労働者・有期雇用労働者) 【現行】 ○均等待遇規定(①職務内容、②職務内容・配置 の変更範囲が同じ場合は差別的取扱い禁止)[パー ト法9条] ⇒ 短時間労働者についてのみ規定 / 有 期雇用労働者については規定なし ○均衡待遇規定(①職務内容、②職務内容・配置 の変更範囲、③その他の事情の相違を考慮して 不合理な待遇差を禁止)[パート法8条・契約法20条] ⇒ どのような待遇差が不合理に当たるか、明 確性を高める必要 【改正案】 ○ 新たに有期雇用労働者も均等待遇規定の対象とする。 ○均衡待遇規定の明確化を図る。  それぞれの待遇(※)ごとに、当該待遇の性質・目的 に照らして適切と認められる事情を考慮して判断さ れるべき旨を明確化。 ※ 基本給、賞与、役職手当、食事手当、福利厚生、 教育訓練など ○均等待遇規定・均衡待遇規定の解釈の明確化のため、ガイドライン(指針)の策定根拠を規定。           ×:規定なし ○:規定あり ◎:明確化 短時間 有期 均等 ○ → ○ × → ○ 均衡 ○ → ◎ ガイドライン 16

不合理な待遇差を解消するための規定の整備② (派遣労働者) 【現行】 ○派遣労働者と派遣 先労働者の待遇差 ⇒ 均等待遇規 定・均衡待遇規 定ともなし(配 慮義務規定の み) 【改正案】 ○派遣労働者について、⑴派遣先の労働者との均等・均衡待遇、⑵一定の要件を満たす 労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化。 ⑴ 派遣先労働者との均等・均衡方式 ⑵ 労使協定による一定水準を満たす待遇決定方式 派遣元事業主が、労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数代表者と以 下の要件を満たす労使協定を締結し、当該協定に基づいて待遇決定。 ○派遣先事業主に対し、派遣料金の額について、派遣元事業主が上記⑴⑵を順守できるよう配慮義務を創設。 ○均等待遇規定・均衡待遇規定の解釈の明確化のため、ガイドライン(指針)の策定根 拠を規定。 派遣先 派遣元 ○派遣労働者と派遣先労働者との待遇差について、均等待遇規定・ 均衡待遇規定を創設。 ○派遣先になろうとする者に対し、派遣先労働者の待遇に関する情 報提供義務を課す。 ○教育訓練、福利厚生施設の利用、就業環境の整備など派遣先の措 置の規定を強化。 待遇情報 待遇決定 均等・均衡 労働政策審議会建議 ・派遣労働者の就業場所は派遣先であり、待遇に関する派遣労働者の納得を考慮する上で、派遣先の労働者との均等・均衡は重要な観点。 ・しかしながら、一般に賃金水準は大企業であるほど高く、小規模の企業になるほど低い傾向にあるが、必ずしも派遣労働者が担う職務の難易度は、同種の業務であっても、大企業ほど高度で小規模の企業ほど容易とは必ずしも言えない。このため、(中略)結果として、派遣労働者の段階的・体系的なキャリアアップ支援と不整合な事態を招くこともあり得る。 ・こうした状況を踏まえ、1)派遣先の労働者との均等・均衡による待遇改善か、2)労使協定による一定水準を満たす待遇決定による待遇改善かの選択制とすることが適当である。 ・賃金決定方法(次の(イ)、(ロ)に該当するものに限る)  (イ)協定対象の派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金額と同等以上の賃 金額となるもの  (ロ)派遣労働者の職務内容、成果、意欲、能力又は経験等の向上があった場合に賃金が改善されるもの ・派遣労働者の職務内容、成果、意欲、能力又は経験等を公正に評価して賃金を決定すること ・派遣元事業主の通常の労働者(派遣労働者を除く)との間に不合理な相違がない待遇(賃金を除く)の決定方法 ・派遣労働者に対して段階的・体系的な教育訓練を実施すること 17

労働者に対する待遇に関する説明義務の強化 【現行】 ○待遇内容や待遇決定に際しての考慮事項 に関する説明義務 ⇒ 短時間労働者・派遣労働者は規定あり (※) / 有期雇用労働者は規定なし ○説明義務の対象は基本的に「本人の待 遇」に関することのみ ⇒ 正規雇用労働者との待遇差の内容やそ の理由については説明義務なし ※短時間労働者[パート法] ①特定事項(昇給・賞与・退職手当の有無)に関する文 書交付等による明示義務、その他の労働条件に関す る文書交付等による明示の努力義務【雇入れ時】 [パート法第6条第1項・第2項] ②待遇の内容等に関する説明義務【雇入れ時】[パート 法第14条第1項] ③待遇決定等に際しての考慮事項に関する説明義務 【求めに応じ】[パート法第14条第2項] ※派遣労働者 [派遣法] ① 待遇の内容等に関する説明義務【雇用しようとす る時】[派遣法第31条の2第1項] ② 待遇決定に際しての考慮事項に関する説明義務 【求めに応じ】[派遣法第31条の2第2項] 【改正案】 ○有期雇用労働者についても、本人の待遇内容及び待遇決 定に際しての考慮事項に関する説明義務を創設。 ○短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、 事業主に正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等の説 明義務(求めた場合)を創設。 ○説明を求めた場合の不利益取扱い禁止を規定。               ×:規定なし ○:規定あり 短時間 有期 派遣 待遇内容 ○ → ○ × → ○ 待遇決定に際しての 考慮事項 待遇差の内容・理由 18

行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備 【現行】 ○行政による報告徴収・助言・指導等 ⇒ 短時間労働者・派遣労働者は規定あり / 有期雇用労働者は規定なし ○行政による裁判外紛争解決手続 (調停など) ⇒ 短時間労働者のみ規定あり  / 有期雇用労働者・派遣労働 者は規定なし ⇒ 短時間労働者についても、均 衡待遇規定に関する紛争は対象 外 【改正案】 ○有期雇用労働者についても、事業主に対する報告徴収・助言・指導等 の根拠規定を整備。 ○有期雇用労働者・派遣労働者について、行政による裁判外紛争解決 手続(行政ADR)の根拠規定を整備。 ○均衡待遇や待遇差の内容・理由に関する説明についても行政ADRの対象に追加。 ×:規定なし △:部分的に規定あり ○:規定あり            ※均衡待遇は行政ADRの対象外 短時間 有期 派遣 行政による 履行確保措置 ○ → ○ × → ○ 行政ADR △(※) → ○ 19