天竜川流域の花崗岩類の特性とその防災対策 最終講義 北澤秋司
日本の地質構造 西南日本 東北日本 糸魚川ー静岡構造線 領家花崗岩類
日本の地質別面積 第三系 白亜系6.9% 第四系 第三紀 10.5% 火山岩 6.0% 21.1% 先第四紀 火山岩6.9% 花崗岩8.2% 二畳系12.7% 白亜系6.9% 先第四紀 火山岩6.9% 花崗岩8.2% 第四紀 火山岩 7.7% 完新統 19.9%
日本の災害危険地帯 大月川(888) 磐梯山(1888) 浅間山(1817) 大沢崩れ(1331) 破砕帯地すべり 第三紀層地すべり ● 活火山 日本の災害危険地帯 破砕帯地すべり 第三紀層地すべり 温泉地すべり 大崩壊 磐梯山(1888) 大沢崩れ(1331) 浅間山(1817) 大月川(888)
長野県周辺の火山活断層,地震 7.0 以上 マグニチュ−ド 6.0〜6.9 5.9 以下 火 山 横ずれ断層 右ずれ断層 ▲ 左ずれ断層 ◆ ◎ ◆ ▲ ● 横ずれ断層 右ずれ断層 左ずれ断層 ◎ ◆ ▲ ● 7.0 以上 マグニチュ−ド 6.0〜6.9 5.9 以下 火 山
台風の経路 ① 伊勢湾台風 1959 / 9 26 伊勢湾台風
態様別 気象要因 地域別 自然災害の態様、気象要因および発生地域 崖崩れ 22% 地すべり 12% 土石流 66% 降雪 2% 降雨 14% 梅雨 60% 台風 23% その他 1% 地域別 九州 33% 四国 3% 中国 29% 近畿 6% 東海6% 中部 関東 8% 北陸 4% 東北 7% 北海道 1% % 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1
信 濃 の 国 1.信濃の国は十州に 境連ぬる国にして 聳ゆる山はいや高く 流るる川はいや遠し 松本伊那佐久善光寺 四つ平は肥沃の地 信 濃 の 国 作詞:浅井 洌 作曲:北村季晴 1.信濃の国は十州に 境連ぬる国にして 聳ゆる山はいや高く 流るる川はいや遠し 松本伊那佐久善光寺 四つ平は肥沃の地 海こそなけれ物さわに 万ず足らわぬ事ぞなき
砂防学校 1955年10月末長野県下伊那郡上久堅村立砂防学校 カリキュラム:砂防工学,測量学,測量学実習,林道測量,地質学,治山工学実習,数学等 午前中:講義,午後:実習 治山・砂防へのみち.
上久堅国営砂防の施工地分布図 信州大学農学部試験地
施工後1年目 生田花崗岩 天竜峡花崗岩(上久堅型) 荒廃地の治山施工と森林復元 1941年 豆沢入ユーノ沢崩壊 施工後33年目 施工後3年目
伊那谷36災害の状況 災害救助法適用地域 数 字 は 死 者 及 び 行 方 不 明 250 150 200 300 6 月 2 7 日 雨 9 2 6 8 5 3 7 4 霧 訪 山 坊 主 経 ヶ 岳 木 曽 駒 空 南 仙 丈 甲 斐 赤 北 荒 川 塩 見 小 河 内 石 光 青 崩 峠 新 野 茶 臼 恵 那 富 士 台 沢 摺 古 三 峰 鉢 伏 高 ボ ッ チ 伊那谷36災害の状況 250 150 200 300 6 月 2 7 日 雨 量 図 350 400 100 災害救助法適用地域 1 2 5 8 3 数 字 は 死 者 及 び 行 方 不 明 1
信州大学農学部 生田中学校 緑ヶ丘中学校 上久堅砂防学校 上久堅中学校 根羽中学校 花 崗 閃 緑 岩 ( 英 ) 高 遠 ・ 武 節 門 ▲ 赤 岳 2 8 9 . 甲 斐 駒 ヶ 6 5 仙 丈 3 7 塩 見 4 石 1 光 ㎞ 青 崩 峠 茶 臼 山 恵 那 木 曽 摺 古 経 鉢 伏 蓼 科 諏 訪 湖 天 竜 川 花 崗 閃 緑 岩 ( 英 ) 高 遠 ・ 武 節 門 島 太 田 切 市 清 内 路 伊 奈 濃 飛 火 砕 類 落 合 日 利 生 勝 間 熊 峡 南 向 非 持 神 原 基 性 鹿 マ イ ロ ナ ト 鳳凰花崗岩 5 3 1 2 4 生田中学校 緑ヶ丘中学校 根羽中学校 上久堅砂防学校 上久堅中学校 信州大学農学部 手良沢山演習林 木曽駒演習林 上久堅演習林
36災害時の生田中学校周辺 7 2 7 0 0 至 橋 場 7 0 0 至 大 鹿 至 中 山 至 飯 田 寺 沢 川 6 6 至 長 峰 7 0 0 至 橋 場 7 0 0 至 大 鹿 至 中 山 至 飯 田 寺 沢 川 6 6 至 長 峰 7 0 0 6 8 7 0 0 0 5 0 1 0 0 m
1.増水する 2.徐々に濁ってくる 天然ダム 3.激しく流れる 4.水が止まる 5.土石流が走る A 表土 根茎ネットワーク層10〜30㎝ 粘土層0.5〜3.0㎜ 基岩 B 天然ダム C 節理 4.水が止まる 3.激しく流れる 2.徐々に濁ってくる 1.増水する 5.土石流が走る
岩石表面の亀裂 約10倍 花崗岩の 偏光顕微鏡写真
比 重 領家花崗岩類の比重と色指数 30 20 10 色 指 数 ⑥ ② ① ③ ④ ⑩ ⑨ ⑯ ⑤ ⑰ ⑳ ⑭ ⑦ ⑲ ⑮ ⑬ ⑧ ⑱ ⑪ (%) ⑥ 30 ② 色 ① ③ 22 ④ ⑩ n=25 23 ⑨ 指 20 r=0.772 ⑯ ⑤ Cx=93.11ρ-236.16 ⑰ ⑳ ⑭ 21 ⑦ 25 数 ⑲ ⑮ ⑬ ⑧ ⑱ 10 ⑪ (Cx) 24 ⑫ 2.6 2.7 2.8 (ρ) 比 重
花崗岩の風化分帯 A B C D 風化分帯
領家花崗岩類の相互関係(領家研究グループ1972) 三河ー東濃 恵那山ー天竜峡 小渋川ー高遠 木曽山地 苗木花崗岩 上松花崗岩 新期花崗岩類 落合花崗岩=高遠花崗岩=木曽駒花崗岩 武節花崗岩=門島花崗岩 清内路花崗岩=市田花崗岩 伊奈川花崗岩 伊奈川花崗岩 小原花崗岩 摺古木花崗岩 濃飛流紋岩 濃飛流紋岩 三橋花崗岩 生田花崗岩 清崎花崗岩 古期花崗岩類 新城石英閃緑岩 勝間石英閃緑岩 天竜峡花崗岩=南向花崗岩 神原石英閃緑岩 非持石英閃緑岩
古期岩類 新期花崗岩類 12 伊奈川 5 粗粒 01 神 原 1 粗粒 13 清内路 6 中粒 02 非 持 1 中粒 14 市 田 6 中粒 03 天竜峡Ⅰ 2 粗粒 15 武 節 7 中粒 04 天竜峡Ⅱ 2 粗粒 16 門 島 7 細粒 17 太田切Ⅰ 7 細粒 05 南 向 2 粗粒 18 太田切Ⅱ 7 細粒 06 勝 間 3 粗粒 19 摺古木 7 細粒 07 滝 沢 3 粗粒 20 高 遠Ⅰ 8 中粒 08 生 田 4 粗粒 21 高 遠Ⅱ 8 中粒 22 木曽駒Ⅰ 8 中粒 09 日曽利 4 中粒 23 木曽駒Ⅱ 8 中粒 10 落 合 4 粗粒 24 上 松 9 粗粒 11 赤 木 4 細粒 25 北 葛 9 粗粒
2) 屋外放置試験 (自然の条件) 平型試験片 平型試験片の研磨 空中に放置 (木曽駒ヶ岳標 水中に放置 高 2,750m)
3)岩石の力学試験 一軸圧縮試験及びひずみ試験 圧裂引張試験
一軸圧縮強度測定後 水中重量の測定 圧裂引張強度測定後
木曽駒ヶ岳2750m地点の気温 (1994年6月8日〜1995年10月17日) 木曽駒ヶ岳2750m地点に設置してある岩石試験片の表面温度 木曽駒ヶ岳2750m地点の気温 (1994年6月8日〜1995年10月17日) -25.0 -20.0 -15.0 -10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 6/8 7/7 8/6 9/5 10/5 11/5 12/4 1/3 2/2 3/4 4/3 5/5 6/2 7/2 8/1 8/31 9/30 1994 1995 気 温 ℃ 木曽駒ヶ岳2750m地点に設置してある岩石試験片の表面温度 (1994年7月8日〜1995年10月21日) -20.0 -10.0 温 度 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 7/7 8/6 9/5 10/5 11/5 12/4 1/3 2/2 3/4 4/3 5/5 6/2 7/2 8/1 8/31 9/30 1994 1995 10/28 ℃
×102 ㎏f/㎠ 13 ▲:A帯 ⑭ ▲ 12 ●:B帯 ① ▲ ㎏f/㎠ ⑤ ▲ ⑥ 11 ◆:C帯 2.5 ④ ▲ ▲ ● ⑭ 一軸圧縮強度 10 2.0 ③ ▲ 9 1.5 ⑥ ④ ● 8 ● 1.0 ⑪ ▲ ⑤ ▲ ⑦ ⑦ ● ⑪ ● ● ⑭ 0.5 7 ◆ ① ⑦ ◆ ● ● ③ -5 -10 -15 6 -20 ④ 5 ◆ ⑥ 氷の温度と圧力曲線 ⑤ ◆ ◆ ⑪ ◆ 4 ① ③ ◆ ◆ 1 2 3 4 有効間隙率
ー2 ×10 ●12 10 9 8 7 ●20 ●6 風 6 ●3,5 化 ●10 5 ●7 係 ●22,23 4 ●19 数 ●15,16 3 ●1,2 ●13,14 2 1 ●17,18 ●9 細 中 粗 (造岩鉱物の粒度) グラフ内数字は岩石番号
風化速度 p A 有効間隙率 B C 時間 t
風化分帯と崩壊型 風化分帯 A帯 B帯 C帯 D帯 崩壊型 浸透水型 渓岸浸食型 破砕帯型 地表浸食型
崩壊型と基礎工法 工種 崩壊型 山腹工 渓間工 浸透水型 水路工・階段工 渓岸侵食型 階段工 床固工・護岸工 破砕帯型 階段工 山腹工 渓間工 浸透水型 水路工・階段工 渓岸侵食型 階段工 床固工・護岸工 破砕帯型 階段工 床固工・護岸工 地表侵食型 階段工
安定性の確保と工法 (1)地形,地質,気象等の条件 (2)降水および法面上方からの流下水による土砂の移動,浸透水による法面の安定性の低下 (3)画一的な技術より経験的技術を重視 (4)法面保護工は一時的に安定を確保し,随時,維持補修によって機能を高める 維持補修の費用の経済性にも配慮 (5)必要に応じた修正を行
環境との調和を重視した工法 ア.法面周辺の環境に著しい影響を与えない法面保護工を設定する.植生工で法面安定が確保できない場合,植生工と構造物工との併用 イ.地域環境との調和 ウ.法面の地質や気象の条件に応じて,維持管理を続ける必要が生じるものがある.
設計上の留意点 1)造成目標 2)法面の安定性 3)工法の選定 4)施工時期 5)維持管理,補修
法面の形 擁壁等土木工作物 緑化工可能な勾配では裸地が大きくなる
平坦な対象地 直線的な法面 ラウンデングのある法面