栄光OBゼミ 「激甚災害 その時、行政、法曹、医療が 果たした役割-東日本大震災(2011)-」 2018.05.23 (株)地域・技術経営総合研究所 (株)多夢 28K 中原 新太郎
50年後は現在より良くなるか? 良くなるように、様々な人が様々な場所で奮闘している。 被災地で見た高校生の姿
1.はじめに:災害対応は総力戦 人名救助だけではない。 人名救助:消防、警察、自衛隊 治療・予防:医師、看護師、理学療法士 法律相談:ローン、相続、罹災証明→復興支援金 ライフライン復旧:住宅、電力・ガス、水道、通信 日用品の供給:製造、コンビニ、スーパー、物流 政策立案:議員、官庁、NPO 生活再建:観光、飲食業、起業 他にもNPO、IT/ICT、経済・産業団体、調整役、報道
例:2014.05.31(土) 開催シンポジウム 震災から3年が過ぎて見えてきたこと。 例:2014.05.31(土) 開催シンポジウム 震災から3年が過ぎて見えてきたこと。 防災・減災・復旧 総合:日本総合研究所 調査部 主席研究員 藻谷 浩介 氏 災害に強い通信:JAXA 前理事長、NTTドコモ 元社長 立川 敬二 インフラの安全確保:ジオ・サーチ 社長 冨田 洋 氏 女子力とデザイン:防災ガール 代表 田中 美咲 氏 高専・高専人の取り組み~復旧から復興へ~:HN高専 顧問 島田 一雄 氏 復興に向けて: 行政:総務省 大臣官房審議官 渡辺 克也 氏 NPO活動-走れ東北!移動図書館プロジェクト 鎌倉 幸子 氏 料理・食メディアでの事例:アイランド 社長 粟飯原 理咲 氏 ミスキャンパスによるメディア発信力を生かした学生ボランティア 支援活動:Sweet Smile 前代表 西川 礼華 氏 観光:JR東海 相談役、元会長 須田 寬 氏
例: 2015.03.15開催第3回 国連防災世界 会議 2015 公式パブリック・フォーラム 例: 2015.03.15開催第3回 国連防災世界 会議 2015 公式パブリック・フォーラム 基調講演:久保田 崇 陸前高田副市長、 市川 啓一 レスキューナウ最高顧問、中原 新太郎 林 春男 京都大学防災研究所巨大災害研究センター長・教授 パネルディスカッション;粟飯原 理咲 アイランド社長 岡坂 健 東日本大震災支援全国ネットワーク事務局長 和崎 宏 ひょこむ(兵庫県SNS)創立者 牧野 友衛 ツイッター・ジャパン メディア事業部 執行役員 酒井 紀之 情報支援プロボノ・プラットフォーム共同代表 須田 寬 JR東海相談役、輿石 逸樹 JR東日本 執行役員、 冨田 洋 ジオサーチ社長、 高橋 幸弘 北海道大学創成研究機構宇宙ミッションセンター長 熊谷 巧 東北イノベーションキャピタル代表取締役 鈴木 祐司 地域創造基金みやぎ(さなぶりファンド)理事
パネルディスカッション 麻生 菜穂美 長野五輪組織委事務次長補佐(IOC出向)、 白石北ロータリークラブ前会長 篠目 貴大 損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント コンサルティング部長 牧 慎太郎 熊本市副市長 地引 泰人 東北大学グローバル安全学プログラム助教 近藤 道雄 福島再生可能エネルギー研究所 所長代理 兼上席イノベーションコーディネーター 今村 文彦 東北大学 災害科学国際研究所長 林 春男 京都大学防災研究所巨 大災害研究センター長・教授
今後想定される災害の被害額(政府想定) 南海トラフ巨大地震の被害額は220兆円 首都直下地震は103兆円と試算。 東日本大震災での被害額17兆円 (推計、ストック被害のみ)との 単純比較でも、そのインパクトは桁違い。 一時的な損失だけではなく産業・人材流出
1995年から23年 1995年は平成日本防災の一大エポック 自然災害 1/17:阪神・淡路大震災 (大都市圏直下型地震) 事件・事故 3/20:地下鉄サリン事件 (世界初の都市型毒ガステロ)
1995年から23年 少子高齢化だけでなく、災害・事件についても 日本は「課題先進国」 ↓ 多発する災害に鍛えられた 高度先進技術の応用と運用 日本の経験と日本発のICTによる対策を世界へ提 供 世界に貢献できるのは環境技術だけではない。 世界に提供できるソフトもゲーム・アニメだけではない。 対策:技術+人・組織の対応(ソフト)
4.東日本大震災での動き-1 4.1.地域SNS村継ぎプロジェクト 全国の地域SNSが連携し、物資をリレー 江戸時代の「村継ぎ」を SNS活用で現代に実現 背景に地域SNS全国フォーラム定期開催 による相互信頼
我ら「大震災【村つぎ】リレー」プロジェクト輸送隊 ★プロジェクト参加サイト(2011年4月5日現在) モリオネット(岩手県盛岡市) 1183名 桐生SNS(群馬県桐生市) 131名 e-とちぎどっとこむ(栃木県宇都宮市)583名 あついぞhotコム(埼玉県熊谷市)779名 さんむSNS(千葉県山武市)136名 かちねっと(東京都葛飾区) 841名 eじゃん掛川(静岡県掛川市) 2511名 愛っち!(愛知県春日井市) 315名 お茶っ人(京都府宇治市) 2017名 いたまちSNS(兵庫県伊丹市)1568名 さんでぃ(兵庫県三田市) 593名 E-宍粟(兵庫県宍粟市) 394名 さよっち(兵庫県佐用町) 547名 ひょこむ(兵庫県姫路市) 6025名 おのみっち(広島県尾道市) 498名 2011/4/9 10:00 岩手県盛岡市 2011/4/8 10:00 愛知県春日井市 2011/4/6 12:00 広島県尾道市 2011/4/8 14:00 静岡県掛川市 2011/4/710:00 兵庫県姫路市 2011/4/8 23:00 東京都葛飾区 「ひょこむ」 代表 和崎氏提供
4.東日本大震災での動き-2 4.2.大槌みらい新聞 現地に大学生インターン、取材と配布 東京で地方新聞経験者が編集、印刷 クラウドファウンディングで資金調達 アマゾン欲しいものリストで機材調達 地域SNS村継ぎプロジェクトと大槌みらい新聞 は世界初の試み
支援活動2:大槌みらい新聞 13
4.東日本大震災での動き-3 4.3.モバイルフォーンアプリケーション開発 エンジニアのコミュニティが自主開発 by Androidの会、IT×災害on Facebook 4.4.SNSの活用 Twitter、Facebook
4.東日本大震災での動き-4 4.5.カーナビゲーション+マッピング 自動車の走行記録を地図上に集積し、 使用可能道表示 4.6.検索エンジン事業者の活躍 Yahoo、Google http://www.google.org/crisisresponse/kiroku311 /
5.行政-1 情報の収集→政策 情報:基礎自治体(市町村)→都道府県→中央官庁 しかし市町村では 役場そのものが倒壊 職員自体が被災 自治体機能そのものが喪失 通信インフラが断絶 携帯電話を抱えて走った村長も 状況が刻一刻と変化
5.行政-2 情報の収集→政策 情報:基礎自治体(市町村)→都道府県→中央官庁 しかし都道府県では 住民台帳等基礎となる情報の損失 職員自体が被災 通信インフラが断絶 状況が刻一刻と変化 情報が殺到し捌ききれない ノウハウが欠如(国に何を頼めるのか分からない) 頼めること、頼んでも無駄な事の区別、頼み先
5.行政-3 情報の収集→政策 情報:基礎自治体(市町村)→都道府県→中央官庁 しかし中央官庁では 情報選別のノウハウ不足 トリアージ デマとの峻別 司令塔の欠如 縦割り:権益争いではなく使う用語がバラバラで 意味が分からない 厚生労働省 パンデミックを防ぐのが急務! →避難所を管轄する国土交通省 ???
5.行政-4 足を引っ張る平等主義 住民全員分揃わないと配布しない! トリアージのノウハウ不足:何を捨てる? NPOとの接点弱体 社会福祉協議会(社協)に丸投げ NPOも玉石混交 ボランティアマネジメントのノウハウ欠如 デマ・フェイクニュースに振り回される 官尊民卑:命令すれば事態は回るという思い込み 前例主義
5.行政-5 中央官庁から自治体幹部職員として出向 例、内閣府→陸前高田 副市長 各自治体から被災自治体へ応援 初期は警察、消防、給水車 後に事務系、技術系 罹災証明交付、町の再建計画、コミュニティ再生 入会地の所有権確定 司令塔としての復興庁設立 法曹
6.医療支援 死者 15,520人 行方不明 7,173人 負傷者 5,388人 東日本大震災の特徴 死者 15,520人 行方不明 7,173人 負傷者 5,388人 東日本大震災の特徴 津波被害による死者と行方不明多く負傷者少 超急性期や怪我人の救命医療ニーズ把握困難 慢性疾患に対するニーズが長期継続
7.法曹界の奮闘-1 各地で無料法律相談:相続、二重ローン、生活保護 ↓ 対応する法律が無い 無ければ創ろう 国会を説得するため4万件以上の 法律相談をデータベース化 法律化+学問としても体系化「復興法律学」 裁判という手段で問題提起:大川小津波訴訟
第177回国会での東日本大震災関連の内閣提出法律案(26件) 第180回国会での東日本大震災関連の内閣提出法律案(11件) ※第177回国会からの継続案件(3件), 第179回国会からの継続案件(1件) 第183回国会での東日本大震災関連の内閣提出法律案(4件) 第186回国会での東日本大震災関連の内閣提出法律案(2件) 第189回国会での東日本大震災関連の内閣提出法律案(4件) 第190回国会での東日本大震災関連の内閣提出法律案(5件) 第192回国会での東日本大震災関連の内閣提出法律案(1件)
8.法律家からのメッセージ-2 法とは何か?法は守るもの・・・の前に 法はつくるもの、法は使うもの 災害時における「法」 法は人を救うためにある 人命最優先、被災者中心の原則、人間復興 最も必要なのは「希望」 希望の見えない「法」は単なる乾いたルール 現在の災害復興法の問題点 一人ひとりの被災者が大切にされていない。 在宅被災者、防げた筈の関連死、孤独死
なぜ復興が進まない? お任せ民主主義・お任せ復興こそが主因 合意形成=情報+発信+傾聴+熟議 二者択一の多数決 自治体自ら考える⇔国頼み 都道府県は調整能力を発揮せよ、脱縦割り 出典:災害時の法の役割と可能性、津久井、018.5.17
8.報道 従来は被災地から被災地以外の地域へ 最近は被災地に被災地が必要な情報も どこに何時支援物資が届くか 医療支援情報 仮設トイレ 無料法律相談
最後に 覇道ではなく王道を歩もう 嘘やごまかしで目先の戦いに勝っても 後からツケが倍になって返ってくる。 相手へのリスペクトを忘れずに。 嘘やごまかしで目先の戦いに勝っても 後からツケが倍になって返ってくる。 相手へのリスペクトを忘れずに。 現場に足を運び現場の人の声を聴け 頭の良い人が間違った前提での 善意の 行為ほど迷惑なことはない。 頭が悪ければ何をしても影響は小さいが。