パルス中性子透過分光撮影のための 撮像システムの開発

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パルス中性子透過分光撮影のための 撮像システムの開発 東京都市大学 山下純征 持木幸一 北海道大学 加美山隆 鬼柳善明

パルス中性子による物質材料 および空間場の組織構造・物理量イメージング 共鳴吸収イメージング ブラッグエッジイメージング 1000 eV 10 eV 0.1 eV 0.001 eV 領域 共鳴吸収 イメージング ブラッグエッジ 磁気 エネルギー 高(1000eV-1eV) 低(<1eV) 低(<0.1eV) ΔT 1μs~10μs 5μs~50μs 20μs~200μs 視野 300mm× 300mm 20mm× 20mm 50mm× 50mm ΔX 50μm~200μm 100μm~500μm 磁気イメージング 断面積 飛行時間 [ms] [n/sec/cm2] 107 ビーム強度 即存の検出器 空間分解能 最大計数率 GEM 1mm 1.7Mpps 飛行時間 [ms] より高計数率、高位置分解能の検出器が必要

中性子イメージ・インテンシファイア (中性子I.I.) 40~50μmの高位置分解能、 高中性子反応効率、高感度の画像 を得ることができる 中性子線を可視光に変換する パルス中性子源で用いたことがない パルス中性子の様々なエネルギーをすべて取得できるようにパルス中性子源と組み合わせたエネルギー測定をできるようにする 高速CMOSカメラの開発が必要

カメラシステム構成(北大LINAC ) 加速器ビーム: 電子 パルス幅: 3 µs エネルギー : 45MeV 繰り返し周期: 50pps そして、中性子I.I.、MCP、カメラへ行き画像を取得します。 MCPは微弱な光を増倍させることによって感度を上げるために使います。 加速器ビーム: 電子 パルス幅: 3 µs エネルギー : 45MeV 繰り返し周期: 50pps

光イメージ インテンシファイア(光I.I.) 光I.I.はHamamatsu C9016-24を用いており、光ゲインは106に設定した 出力面は褐色光で出力する ゲート付きであるが常にオープンにする

高速CMOSカメラの必要条件 空間分解能は200μm以下必要 時間分解能は50μs以下必要 1ライン100ピクセル以上必要 視野20mm x 20mm 1ライン100ピクセル以上必要 フレーム速度は20[kfps]以上必要

使用する高速CMOSカメラ、DITECT社HAS-D3の性能を下表に示す 2008年後半に発表 CMOSイメージセンサ LUPA-3000 フルフレーム有効画素数 1,696×1,710 フルフレーム撮影速度 485fps データビット数 8bit メモリ カメラ内蔵2GB Cypress社 LUPA-3000 従来より高速、なおかつ通常のCMOSイメージセンサは一ラインごとに画像を取得するため、いらないピクセルも取得してしまうが、 この会社のイメージセンサは必要なピクセルだけを取得するためより高速に撮影できます。 長時間連続撮影できる 縦と横の画素を指定選択してイメージセンサから読み出しができる (他メーカーは横1ラインごとに画素選択して取得する) 全画素にスイッチング素子とコンデンサを組み込み全画素同時 シャッターをすることができる(グローバルシャッター)

長時間連続撮影できるためにこのカメラをカスタマイズし、HAS-D3-TOFを開発することにした 市販されているカメラは内蔵メモリ2GBにデータを保存してから転送するため、長時間連続撮像できない。 そのため、ビーム効率が悪くなっている 長時間連続撮影できるためにこのカメラをカスタマイズし、HAS-D3-TOFを開発することにした

追加機能1 データ加算処理 LINACの同期パルスが来るたびに同じエネルギー帯のフレームに 追加機能1 データ加算処理 ライナックトリガ、繰り返し周期 これによって、PCに転送する時間を稼ぐことができます。 LINACの同期パルスが来るたびに同じエネルギー帯のフレームに 積算処理をする。これを256回繰り返す (データ幅は16bit)

追加機能2 シームレスなデータ転送 片方のメモリが256回積算後にPC転送を行うが、 その間にもう片方のメモリが256回分の積算を 追加機能2 シームレスなデータ転送 メモリ1 メモリ2 PC転送 撮影 256回積算後 片方のメモリが256回積算後にPC転送を行うが、 その間にもう片方のメモリが256回分の積算を することにすることによって、交互に動作させる

追加機能3 ピクセル数とフレームレートの改良 追加機能3  ピクセル数とフレームレートの改良 繰り返し 周期 (pps) フレームレート (fps) フレーム 間隔 (sec) ピクセルサイズ (pixel) 空間 分解能 (m) 北大LINAC 50 25k 40μ 160x134 125μ×150μ J-PARC 25 12.5k 80μ 224x200 89.3μ×100μ 中性子透過分光撮影法に求められている フレーム間隔は50μsec以下であるため、 フレームレートとピクセルサイズを追加した

溶接部撮像による実験 この被験体に12.5kfps、224×200pixelのモードで3時間連続撮像した 鉄の厚さT=0.55cm 母材(鉄) 中性子全断面積 I:被験体がある画像 I0:シェーディング画像 T:鉄の厚さ[cm] 鉄の溶接部(1cm) この被験体に12.5kfps、224×200pixelのモードで3時間連続撮像した 中性子I.I.の残光時間を測定するために光電子増倍管を用いて測定した

実験結果 透過像を取得して暗電流補正を行っても、縦縞ノイズが残っていたため 下図のブロック処理とFFTの高周波成分除去をして断面積情報を取得した このあと、画像積算し中性子全断面積を求めた

全断面積擬似カラー画像と 中性子波長に対する全断面積情報 λ= 0.667 [Å] λ= 2.00 [Å] λ= 8.33 [Å] 母材部 溶接 2番部 溶接部 ブラッグ散乱が検出できなかった

光電子増倍管を用いた時の中性子波長に 対する全断面積情報 光電子増倍管のためノイズは多いがブラッグ散乱を計測できた。そのため、中性子I.I.のために 高速カメラで取得出来なかったわけではない

問題点 原因 解決案 より、SN比を大きくしたい ブラッグ散乱が現れない 長時間撮像を行うことによって熱が上昇し、イメージセンサのクロック速度が変化しメモリアドレスがずれる 今回用いた光I.I.は 、残光が10%になるのにかかる時間が1msec程度と長いため、パルス中性子でブラッグ散乱を測定できない 光I.I. Hamamatsu C9016-24の残光特性 解決案 カメラ側面に水冷却装置を取り付ける 残光時間が短い光I.I.を用いる

来年度以降のカメラ検出器の計画 中性子イメージインテンシファイア(II) 光イメージインテンシファイア(II)3台 光シャッター PLZT   9→7→5.5 インチ (一辺161→126→99 mm)   入射面: B-10  高分解能: 20μm 以下   短残光: ~120 ns  Blue ブランキング付 光イメージインテンシファイア(II)3台  MCP(ゲート付 短残光) 電子管(短残光とカラーの2種) 光シャッター PLZT 高精細カメラ 非破壊アナログ積算  2台  CID 2048 × 2048 28bit ダイナミックレンジ   EOS 5616 × 3744  高速度カメラ    8 μs, 256 x 128, 13 μs, 256 x 256,   46 μs, 640 x 640, 200 μs, 1024 x 1024,  12 bit  電子シャッター 370ns (min) ( 1 μs可能 )  ディジタル積算     中性子