採血を受ける幼児へ説明する「ことば」の地域差の検討

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採血を受ける幼児へ説明する「ことば」の地域差の検討 ーオノマトペ説明モデルの作成に向けてー 石舘 美弥子1)  いとう  たけひこ2)   山下 麻実1)  宍戸 路佳1)  久保 恭子1)   1) 横浜創英大学看護学部  2) 和光大学人間学部 目 的 結 果  オノマトペ(擬音語・擬態語)を取り入れた 言語的対応が子どもとのコミュニケーションに重 要な役割を担うと考えられている。 日本語には方言があり、オノマトペにも地域差が 存在することは知られているが、先行研究は少な い。本研究は、採血を受ける幼児へ説明する医療 者のことばの地域差の有無を調査し、オノマトペ を中心とした幼児用説明モデル作成のための基礎 的資料とすることを目的とした。 Table1. 対象者の属性   人数 割合 性別 男 女 無回答 42名 182名 5名 (18.3%) (79.5%) (2.2%) 年齢 20歳代 30歳代 40歳代 50歳以上 62名 73名 61名 27名 6名 (27.1%) (31.9%) (26.6%) (11.8%) (2.6%) 職種 看護師 医師 助産師 准看護師 175名 44名 4名 1名 (76.4%) (19.2%) (1.8%) (0.4%) (2.2%) 職位 スタッフ 主任 師長 院長 部長 172名 36名 7名 (75.1%) (15.7%) (3.1%) (1.7%) 方 法 1.研究参加者:無作為選択した各都道府県1~2 か所の小児科を標榜する病院、独立行政法人国立病 院機構病院、小児専門病院、小児科クリニック63 施設で小児に関わる看護師・医師540名。 2.研究期間: 2013年10月から2014年3月。 3.研究方法:施設の管理責任者に調査の趣旨、方 法等を説明した文書を送付し、調査用紙を対象者に 配布するよう依頼した。質問内容は初めて採血を受 ける2~5歳児に説明する「ことば」に関するもの であり、採血手順にそって、オノマトペを含むこと ばを列記し、それぞれに対して「全く使わない: 1」から「よく使う:4」の4段階尺度で回答を求め た。これらの回答は、対象者の所属施設別に、竹田 (2013)に準じた3区分(東日本、西日本、九 州)を採用して比較検討した。統計処理はSPSS Ver19.0を用い、有意水準5%として一元配置の分 散分析を行った。 4.倫理的配慮:所属機関の倫理委員会の承認を得 て実施した。調査対象者に対し、研究の意義、目的、 方法、匿名性確保、参加の自由と中断の保障、結果 公表についての説明文を調査用紙に同封し、個別封 筒の返送にて同意とする旨を明記した。 Figure1. 対象者の所属施設の所在地 Figure1. 全日本方言区画図 Figure1. 対象者の所属施設の種類 Table2. 採血を受ける幼児への説明のことば 考 察 調査用紙が返送された229名(有効回答率42.4%) を分析対象とした。性別では女性182名(79.5%) が多く、年齢では、30歳代73名(31.9%)、20歳 代62名(27.1%)の順であり、50歳以上(11.8%) が一番少なかった。職種では、看護師175名 (76.4%)、医師44名(19.2%)であった。所属施 設の所在地は27都道府県にわたり、東日本122名、 西日本73名、九州28名の対象者3群間に属性の偏り はみられなかった。3群間に有意差のある項目はな かった。また、各項目でオノマトペの使用頻度は高く、 「針を刺す」表現は「チックンする」(東日本 3.8±0.7、西日本3.7±0.8、九州3.9±0.3)、「絆 創膏を貼る」表現は「ペッタンする」(東日本 3.8±0.7、西日本3.6±0.9、九州3.9±0.6)であっ た。  採血を受ける幼児への説明に用いられるオノマトペ には地域差が見られないことが明らかとなった  今後、今回得られた結果を基に採血を受ける幼児用 説明モデルを作成し、介入研究を検討したい。 文 献 竹田晃子. (2013). 『日本語地図』にみる牛の鳴き声の オノマトペ. 著: 熊谷康雄, 熊谷康雄 (編), 大規模方言 データの多角的分析 成果報告書ー言語地図と方言談話 資料ー (ページ: 69-80). 国立国語研究所. 本研究は文部科研費#24660030の助成を受け て行った研究の一部である。 (連絡)石舘 美弥子 E-mail mishidate@soei.ac.jp