活動基準原価計算(ABC) 活動基準原価計算(Activity-Based Costing:ABC)

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ABC(活動基準原価計算) 伝統的な原価配賦システム 部門などの組織単位への原価集計に着目 ABC(活動基準原価計算システム)
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活動基準原価計算(ABC) 活動基準原価計算(Activity-Based Costing:ABC) まず組織の活動ごとに間接費を集計し、次いでそのコストを各活動の原因となる製品、サービスなどの原価対象に割り当てる原価計算。 間接費の配賦問題を解決するために考え出された原価計算技法。 活動基準原価計算が生まれた背景 伝統的原価計算による間接費の配賦に対する疑問 複雑な事業環境に対応した新しい業務システムに対応する、新しい原価計算システムの必要性

間接費の配賦問題とは? 間接費とその製品への配賦基準との間に比例関係がないために、間接費を正確に製品原価に配賦できないという問題。 この問題を解決するためにABCは間接費を活動と呼ばれる基準で分解した。 なぜ、間接費を活動と呼ばれる基準で分解することで間接費との間に比例関係を見出せるようになったかを、伝統的な原価計算と比較しながら見ていく。

図表4-10改 伝統的な原価計算システムとABCシステムの比較 図表4-10改  伝統的な原価計算システムとABCシステムの比較 <伝統的原価計算システム> <ABCシステム> 直接 材料費 直接 労務費 製造 間接費 直接 材料費 直接 労務費 製造間 接費A 製造間 接費B 製造間 接費C  B C コスト ドライバーA 賦課 (直課) 賦課 賦課 賦課 機械 処理費 組立費 品質 検査費 配賦 ~直接作業時間 (コストドライバー) 加工時間 (コストドライバーD) パーツ数 (コストドライバーE) 検査回数 (コストドライバーF)     製品        製品

伝統的な原価計算システム 伝統的な原価計算システム 間接費を製造部門に集計し、集計された製造部門費を製品を作るために、消費した直接作業時間に基づいて、製品に配賦している。 伝統的な原価計算における間接費の配賦方法には、どんな問題点があるのであろうか?

ABCシステム ABCシステム ①まず重要な間接活動(この場合、機械処理、組立、品質検査)が、業務マネージャーによって明らかにされる ②次いでこれらの活動を行うために消費される間接資源のコストを、最も適切なコストドライバーを用いて活動に跡付ける(資源ドライバー) ③最後にプールされた各活動のコストを、それぞれのコストドライバーを用いて製品に配賦する(活動ドライバー) 要するにABCシステムは、まず大きなコスト(製造間接費)を捉えて、それを小さなコストに細分し、主要な活動に関連付けるのである

考察~ABCの有効性を検討する ある会社の請求書作成部門(Billing Department:BD) 電力会社「 Portland Power Company(PPC)」の一部門 サービス内容 勘定の照会 請求書印刷 現在の顧客数 個人‥120,000件 法人‥ 20,000件

PPCの経営環境と課題 PPCの収益性に大きな影響を与える二つの要素 ・第一に電力業の規制緩和により競争が激化し料金が低下。   ・第一に電力業の規制緩和により競争が激化し料金が低下。    →「業務コストを低減する方法を見つけ出さなければならない」    ・第二に、PPCの営業地域の電力需要の増加(大規模な団地・ショッ             ピングセンター完成)    ・マーケティング部門の見積り     翌年の、「住宅用需要は約50%増加」「商用需要は10%増加」    ・現在BDはフルキャパシティで操業。    →需要増加分を賄うにはキャパシティを増やす方法を見つける必要  性がある。

意思決定の必要性 あるサービス事務所からの申し出 「BDの業務を、以下のコストで引き継がせて頂きたい」 住宅用勘定‥@3.50㌦ 商用勘定‥ @8.50㌦ BDのマネージャーは、正しい意思決定を行うために、サービスの提供から生じる住宅用勘定と商用勘定の正確なコストを、知る必要がある

BDのコストについて BDのコストは、全て間接費である 経済的に実行可能な方法で、コストを各顧客層に明確かつ排他的に、跡付けることができない 伝統的な原価計算により、各勘定のコストを求めている 次頁、図表4-11を参照

図表4-11 現行の(伝統的)原価計算システム -請求書作成部門(BD) 通信費                58,520㌦ 空間占有料             47,000㌦ 紙代                  7,320㌦ 監督所給与             33,600㌦ コンピューター使用料      178,000㌦ 照会担当従業員給与      118,400㌦ 印刷機使用料            55,000㌦ 請求書作成担当従業員給与 67,500㌦ BDで利用した 資源のコスト(先月) =565,340㌦ 配賦基準 ‥勘定照会回数 勘定照会総数:23,000回 勘定照会数:18,000回         (78.26%) 勘定照会数:5,000回         (21.74%) 住宅用勘定   442,440㌦ 120,000勘定、@3.69㌦  商用勘定    112,900㌦ 20,000勘定、@6.15㌦

伝統的な原価計算により導ける結論 コストの比較 現行の原価計算システムにより算出されたコストと、サービス事務所の提案するコストを比較する 住宅用勘定はサービス事務所を利用、商用勘定は継続 第4章

しかし‥ 経営者の実感 「商用勘定の実際資源消費量は、その複雑性からして、総計の22%よりもかなり多いはずだ」 例えば、商用勘定の請求書は1枚当たり平均50行であるのに対して、住宅用は僅か12行である そこで経営陣は、重要な意思決定を行うのに先立ち、ABCを利用して、BDを調査することにした

ABCシステムの設計と実施のステップ ABC調査はBDのマネージャーとPPCのCFOからなるチームにより、以下の4ステップで実施された (1)原価対象、重要な活動、資源、関連するコストドライバーを決定する (2)活動と資源の流れを示すプロセスマップを作成する (3)コストデータと、資源-活動間のコストドライバー単位の物的流れに関      するデータを収集する (4)新たなABC情報を収集する

(1)原価対象、重要な活動、資源、 関連するコストドライバーの決定 (1)原価対象、重要な活動、資源、           関連するコストドライバーの決定 原価対象 各顧客層の勘定当たりのコストの算定を目的とする 重要な活動 BDの重要な活動は、「請求書の作成」活動、「請求書の照合」活動、「勘定照会」活動、「応対」活動の4つである 資源 図表4-11に示した資源が、これらの主要な活動を支える 関連するコストドライバー 各活動のコストドライバーは「適切な人物」へのインタビューによって、明らかにした(→次頁)

(1)原価対象、重要な活動、資源、 関連するコストドライバーの決定(つづき) (1)原価対象、重要な活動、資源、           関連するコストドライバーの決定(つづき) 重要な活動とコストドライバーの関係 コストドライバーは、以下の規準に基づいて選択した ドライバー単位と資源消費、もしくは支援活動の発生との間に、合理的な因果関係が存在すること そして、コストドライバー単位に関するデータが入手可能であること

(2)重要な活動と資源の流れを示すプロセスマップを作成 このステップの目的 重要な活動と、資源の消費との関係を、明らかにすること 一般に、「重要な人物」へのインタビューによって行われる 活動と資源の結びつきが明らかになったら、業務を視覚的に表現するプロセスマップが描かれる 次頁の図表4-12は、BDの活動と資源の流れを描いたプロセスマップである この図では、コストを示していないことに注意する チームは、まずビジネスプロセスを理解することにした コストは、ビジネスの重要な関係を理解した後に考慮する

住宅用 勘定合計 商用 勘定合計 通信費 空間占有料 紙代 監督者給与 コンピューター 使用料 照会担当 従業員給与 印刷機使用料 図表4-12  BDの活動のプロセスマップ  通信費 空間占有料   紙代 監督者給与 コンピューター 使用料 照会担当 従業員給与 印刷機使用料 請求書作成担当  従業員給与 勘定照会  活動 応対   活動 請求書 作成活動 照合   活動 作業時間 件数 行数 勘定数 住宅用  勘定合計 商用  勘定合計

(3)コストデータと、資源・活動間のコストドライバー単位 の物的流れに関するデータの収集 (3)コストデータと、資源・活動間のコストドライバー単位       の物的流れに関するデータの収集 このステップの概要 プロセスマップをガイドとして、さらに「適当な人物」にインタビューを行い、必要なコストと業務のデータを収集する データ源となるのは、会計記録や特殊調査、場合によっては「マネージャーの最善の見積」などである 次頁の図表4-13に、4つの活動について集計したデータを図示した 各活動について収集したデータには、跡付け可能なコストとコストドライバー単位の物的な流れがある

図表4-13 ABC(活動基準原価計算)システム -請求書作成部門(BD) 205,332㌦ 勘定照会 3,300作業時間 @62.22㌦ 35,384㌦ 応対 2,800件 @12.64㌦ 235,777㌦ 勘定請求書作成 2,440,000行 @0.097㌦ 88,847㌦ 請求書照合 20,000勘定 @4.44㌦ 住宅用勘定 1,800作業時間→111,999ドル 1,800件→22,747ドル 1,440,000行→139,147㌦ 120,000勘定、@2.28㌦ 商用勘定 1,500作業時間→93,333ドル 1,000件→12,637ドル 1,000,000行→96,630ドル 20,000勘定→88,847㌦ 20,000勘定、@14.57㌦ 273,893㌦ 291,447㌦

(4)新たなABC情報を収集する コストの計算 第3ステップのデータから、ABCに基づく各顧客層の勘定当たりのコストが計算できる 次頁の図表4-14に、その計算結果を示す 伝統的な原価計算によるコストと比較してみよう

図表4-14  ABC調査の主要結果

ABCシステムにより導ける結論 ABC調査により、伝統的な原価計算は、操業度の高い住宅用勘定のコストを過大評価し、操業度は低いが複雑な商用勘定のコストを過小評価していることが理解できる 現行の原価計算システムは、商用勘定のコストを過小評価しているのではないか、という経営者の実感が確認されたわけである こうしてPPCの経営者は、計画作成と意思決定のための正確なコスト情報を手に入れた。

留意事項 この結果は、ABCを実施した企業に共通している 操業度に基づく1つのコストドライバーだけを用いると、プロセスが単純で操業度が高い原価対象のコストが過大評価される BDにおいては、操業度に基づくコストドライバーとして、照会件数を用いていた もう一度、伝統的原価計算システムによるコストと、ABCシステムによるコストを比較してみよう

図表4-11 現行の(伝統的)原価計算システム -請求書作成部門(BD) 通信費                58,520㌦ 空間占有料             47,000㌦ 紙代                  7,320㌦ 監督所給与             33,600㌦ コンピューター使用料      178,000㌦ 照会担当従業員給与      118,400㌦ 印刷機使用料            55,000㌦ 請求書作成担当従業員給与 67,500㌦ BDで利用した 資源のコスト(先月) =565,340㌦ 配賦基準 ‥勘定照会回数 勘定照会総数:23,000回 勘定照会数:18,000回         (78.26%) 勘定照会数:5,000回         (21.74%) 住宅用勘定   442,440㌦ 120,000勘定、@3.69㌦  商用勘定    112,900㌦ 20,000勘定、@6.15㌦

図表4-13 ABC(活動基準原価計算)システム -請求書作成部門(BD) 205,332㌦ 勘定照会 3,300作業時間 @62.22㌦ 35,384㌦ 応対 2,800件 @12.64㌦ 235,777㌦ 勘定請求書作成 2,440,000行 @0.097㌦ 88,847㌦ 請求書照合 20,000勘定 @4.44㌦ 住宅用勘定 1,800作業時間→111,999ドル 1,800件→22,747ドル 1,440,000行→139,147㌦ 120,000勘定、@2.28㌦ 商用勘定 1,500作業時間→93,333ドル 1,000件→12,637ドル 1,000,000行→96,630ドル 20,000勘定→88,847㌦ 20,000勘定、@14.57㌦ 273,893㌦ 291,447㌦

考察のまとめ どちらのシステムの方が有用であろうか? 全ての支援コストを「照会件数だけ」に基づいて、各顧客層に割り当てる伝統的な配賦システムか? あるいは重要な活動を明らかにし、「活動ごとに選択したコストドライバー」に基づいて、コストを割り当てるABCシステムか? 結論 PPCにとって、ABCシステムから得られる便益は、この新システムを導入・維持するコストよりも大きいと思われる もちろん、コストと便益のバランスは、ケースバイケースで評価しなければならないだろう

ABCシステムの長所 重要な活動とそのコストドライバーを適切に選択すれば、直接材料費や直接労務費だけでなく、多くの製造間接費も原価対象に跡付けることができる つまりABCシステムは、伝統的な原価計算システムよりも多くの種類のコストを、直接費として扱うことができる 従ってマネージャーは、ABCシステムによって提供される製品・サービスのコストを大いに信頼している

ABCシステムの短所 ABCシステムは、伝統的な原価計算システムよりも複雑であり、コストもかかるということである しかしながら製造業においても非製造業においても、多くの企業が、ABCシステムを採用しつつある

コスト管理システムとは コスト管理システム コスト管理システム                        組織の活動を行うために使った資源を測定し、活動の変化がコストに与える影響を評価することによって、経営者の意思決定がコストにどのように影響するのかを明らかにする 第4章

活動基準管理(ABM) 活動基準管理(ABM) 組織の業務を改善するためにABCシステムを利用すること ABMにおいては、付加価値コストと非付加価値コストを区別することが基本となる マネージャーが日常的に管理するのは、「活動」である ABCシステムは活動に着目しているので、コスト管理に非常に役立つといえる

付加価値コスト 付加価値コスト 顧客にとっての製品価値に影響を与えずには排除できない活動にかかるコスト よって付加価値コストは、このようなコストを引き起こす活動が、効率的に遂行されている限り、必要であるといえる

非付加価値コスト 非付加価値コスト 顧客にとっての製品価値に影響を与えずに排除できるコスト 企業は、非付加価値コストを最小化しようとする 非付加価値活動の例 在庫品の運搬や保管 未完成品を工場のある場所からある場所へ移すこと、 異なるモデルの製品を生産するための生産ラインの段取作業 これらは完全になくすことはできないにしても、工場のレイアウトや生産工程を注意深く再設計すれば、削減することができる

ABMの例示 では前述のBDが、業務改善のためにABCシステムをどのように利用したのかを検討する BDの経営課題を確認 需要増加への対応 コスト削減の必要性 BDのマネージャーは、サービスの質を落とさずに部門の運営コストを削減することに、常に関心を持っている 勘定照会と請求書照合は非付加価値活動であり、コストも高いので、経営者はコスト削減のアイディアを求めている

図表4-13 ABC(活動基準原価計算)システム -請求書作成部門(BD) 205,332㌦ 勘定照会 3,300作業時間 @62.22㌦ 35,384㌦ 応対 2,800件 @12.64㌦ 235,777㌦ 勘定請求書作成 2,440,000行 @0.097㌦ 88,847㌦ 請求書照合 20,000勘定 @4.44㌦ 住宅用勘定 1,800作業時間→111,999ドル 1,800件→22,747ドル 1,440,000行→139,147㌦ 120,000勘定、@2.28㌦ 商用勘定 1,500作業時間→93,333ドル 1,000件→12,637ドル 1,000,000行→96,630ドル 20,000勘定→88,847㌦ 20,000勘定、@14.57㌦ 273,893㌦ 291,447㌦

改善策 商用勘定は、サービス事務所を利用する 大幅にコストを節約できるから サービス事務所の提示は、勘定当たり8.50㌦であり、ABCで計算したコスト14.57㌦と比較すると、6㌦以上の差がある そして空いたキャパシティーで、住宅用の需要増加分に対応する また非付加価値活動である「請求書照合」活動についても、照合しているのは商用の請求書だけなので、排除できる

改善策(つづき) 「勘定照会」活動のコストが非常に高く、総コストのうちの相当な部分を占めていることが分かる これに対する1つのアイディア →「照会件数を減らすために請求書を詳しくする」 当然請求書の行数は増え、「請求書作成」活動のコストは高くなるが、これによって照会件数は減少するなら、かなりの非付加価値コストを削減できる このアイディアが最終的にコスト削減になるかどうかは、ABCシステムの助けを借りて、会計担当者が評価する必要がある

JITシステム JITシステム(just-in-time system) 在庫の最小化を目指し、材料・部品を必要なときに調達して生産し、顧客に出荷する在庫システム 在庫を持つことは“ムダ”(=非付加価値活動)であるとされ、在庫ゼロを目標とする 非付加価値コストを最小化するため、多くの組織がJITシステムを採用し、ムダの排除と品質の改善を図っている

“ムダ”の排除 JITの本質は、無駄の排除にある 製品に価値を加えない活動に要する時間は、マネージャーが以下のことに注意することで、削減・排除できる 品質の重視 短いサイクルタイム 工場配置の改善 フレキシブルな生産形態

品質の重視 品質の重視 全ての従業員が欠陥ゼロ(zero defects)を目指して努力することで、検査や補修などの非付加価値活動が最小化される 総合的品質管理(TQM)の重要性 第9章「非財務的業績尺度」参照

短い生産サイクルタイム 生産サイクルタイム(生産開始から顧客に商品を配送するまでの時間)を短くすれば、顧客の注文にタイムリーに対応でき、在庫を削減できる 参考 JIT企業では、遅延可能性の削減、購入材料のタイムリーな配送や高品質を確保するためのサプライヤーとの関係づくり、またコストが高くつく故障を予防するための設備の日常的なメンテナンスを通じて、生産の流れをスムーズにしている

工場配置の改善 工場配置の改善 ある工場では、生産工程において、製品が1つの作業から次の作業へと移動する距離を、1,384フィートから350フィートに短縮するよう工場の配置を再設計することで、生産時間を短縮した。 別の工場では、長い組立ラインに代えて、全プロセスをまとめて行う製造セルに切り替えることによって、生産工程に製品が滞留する時間を削減し、製品の製造時間を3週間から6分に短縮した

フレキシブルな生産形態 フレキシブルな生産形態 多能工化 ある工場では、必要な工具をそばに置き、機械操作員に段取方法を訓練することで、段取時間を45分から1分に短縮した 多能工化は、従業員の待ち時間を削減することにもつながる 設備の柔軟性 設備は、需要変動に備えて、さまざまなコンポーネントや製品を生産できるようにするべきである それにより、工場全体での資源の有効活用が行える

参考~CAD・CAM、CIM 生産時間は、生産工程の再設計と簡素化によって、減らすことができる。企業は、効率的に生産できる製品の設計に、コンピューター支援設計(CAD)を利用できるようになった。設計を少し変えただけで、製造コストが大幅に下がることも少なくない。企業はまた、コンピューターが生産設備を指示・制御するコンピューター支援生産(CAM)を利用することもできるようになった。CAMによって、遅延の少ない効率的でスムーズな生産フローが可能になる。 ロボットやコンピューター制御機械に加えて、CADやCAMを利用するシステムを、コンピューター統合生産システム(CIM)という。完全なCIMシステムを導入した企業では、ほとんど労働者を使用しない。かつては、組立工が担当していた日常の作業は、ロボットとコンピュータ制御機械がこなす。さらに、高度に設計されたシステムでは、柔軟性が大幅に高まる。設計変更があっても、コンピュータープログラムを変えるだけで、全作業者の再訓練など必要ないのである。

留意事項 JITシステムは、単に在庫システムのことを指していた しかしJITシステムは、より広い意味を持つ経営哲学の基礎となり、いまや多くのアメリカ企業にとり入れられている

設定(例) チョコバナナとバナナケーキを使う。 ケーキの上にバナナが盛り付けてある。 在庫は一切なし。 加工費を使う。 直接材料費はバナナが30,000円、ケーキが3,000円。 加工費は40,400円とする。 注文個数をコストドライバーとする。 注文個数はバナナが1,000個、ケーキが10個とする。

伝統的原価計算システム(例) 40,400 1000 10 40、000 400 チョコバナナ バナナケーキ

加工費 伝統的原価計算システム(例) チョコバナナ バナナケーキ 直接材料費 30,000円 3,000円 40,000円 400円 70,000円 3,400円 注文個数 1,000個 10個 @70円 @340円 第4章

ABCシステム(例) 40,400 卵・牛乳・小麦粉 スポンジ 生クリーム デコレーション 10,000 10,000 10,300 10,100 10 0 0 10 1,000 10 0 10 0 10,000 バナナケーキ チョコバナナ 0 10,000 0 10,300 10,000 100 10,000 30,400

ABCシステム(例) 加工費 チョコバナナ 直接材料費 30,000円 3,000円 10,000円 30,400円 40,000円 バナナケーキ 直接材料費 30,000円 3,000円 加工費 10,000円 30,400円 40,000円 33,400円 注文個数 1,000個 10個 @40円 @3,340円 第4章

比較(例) チョコバナナ バナナケーキ 伝統的原価計算システム @70円 @340円 ABCシステム @40円 @3,340円

結論(例) バナナケーキを売りすぎると赤字になってしまう。

参考・引用文献 Horngren,C.T., G.L.Sundem, and W.O.Stratton, Introduction To Management Accounting, Eleven Edition, Prentice Hall, 1999(渡邊俊輔監訳『マネジメント・アカウンティング』TAC出版、2000年) 山田庫平編著『原価計算の基礎知識』東京経済情報出版、2000年