著作権入門セミナー 第2回 著作権を利用する契約と著作権制度

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著作権入門セミナー 第2回 著作権を利用する契約と著作権制度 著作権入門セミナー 第2回 著作権を利用する契約と著作権制度 用賀法律事務所 弁護士  村瀬 拓男

出版物(紙媒体)の流通と出版契約 著作物 出版物の複写 古書店・新古書店 出版社 編集(複製) 著作物 出版物 譲渡 取次・書店 読者 貸出 著作物 レンタル店 出版契約

出版物(電子媒体)の流通と出版契約 著作物 電子出版物の複製 出版社 編集(複製) 送信可能化 送信可能化 著作物 電子出版物 配信事業者 読者 著作物 電子出版物の送信 配信契約 利用規約 出版契約

出版権規定の構造 電子出版 紙媒体出版 原稿 生原稿、データ、既存の出版物 著者の著作権・所有権 紙媒体出版(ROMを含む)として契約する範囲 電子出版として契約する範囲 複製行為 複製行為 1号出版権として設定される部分 記録媒体 紙の出版物 送信可能化 譲渡 貸与 2号出版権として設定される部分 公衆送信 読者

出版契約とは、何を約束するものなのか 著者 出版社 執筆約束 出版約束 出版許諾(複製権、公衆送信権の許諾) 印税支払 独占保障 継続出版 内容保障 宣伝・侵害対応 派生する契約 映像化権許諾 翻訳権許諾 商品化権許諾

改正出版権規定の内容 79条(出版権の設定)→権利設定者及び出版権者を規定する  設定権者 第21条又は第23条1項に規定する権利を有する者         (「複製権等保有者」)  出版権者たりうる者   ①「出版行為」    又は   ②「公衆送信行為」  を引き受ける者 「出版行為」=文書若しくは図画として出版すること 電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式により記録媒体に記録し、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物により頒布することを含む→パッケージ型電子出版 「公衆送信行為」=(複製物を用いて)公衆送信を行うこと この複製物とは、電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式により記録媒体に記録された、その著作物の複製物 79条2項→質権者の承諾(実質変更なし)

80条(出版権の内容)→どのような権利を設定できるのか  1項 1号 頒布の目的をもって、原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利→(1号出版権) 原作のまま79条第1項に規定する方式により記録媒体に記録された電磁的記録として複製する権利を含む 2号 原作のまま79条第1項に規定する方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信を行う権利→(2号出版権) 「専有する」→「独占的」な出版契約に対して出版権が設定できる。 「一部を専有」→「独占的」ということが意味を持つ範囲で設定できる。  2項  著者死亡   又は  最初の出版行為等の後3年(契約で排除可能)  個人全集等の複製・公衆送信を複製権等保有者は行うことができる  「電子版全集」の意義が問題

 3項→無条件禁止を条件付OKとした 出版権者は、 複製権等保有者の承諾を得た場合に限り、複製又は公衆送信を 他人に対し、許諾することができる 電子出版で、出版社が配信事業者に対して、利用者への配信を許諾することは、通常「公衆送信権の再許諾」となり、再許諾を行う契約も出版権が設定できる契約となることを確認するために改正が行われた。 これまでの実務では、いわゆる二次出版を、「出版権の再許諾」という法形式をとって行うケースはほとんどない。 →このような法形式をとることは可能だと考えられるが、契約にあたっては十分な注意が必要。  4項→再許諾の権利内容    (著作物の利用許諾条項である63条を準用)        再許諾を受けた者は、出版権者が設定された範囲内でのみ出版権を行使できる。    再許諾の権限は、出版権者の承諾なく譲渡できない。    

81条(出版の義務)  任意規定であることが明示されている→現行法と同じ  1号出版権について  イ 複製のために必要な原稿等を受領後6カ月以内に出版行為  ロ 慣行に従い、継続出版行為義務  2号出版権について  イ 公衆送信のために必要な原稿等を受領後6カ月以内に公衆送信行為  ロ 慣行に従い、継続公衆送信義務 82条(著作物の修正増減)  「正当な範囲内」での修正又は増減  1号出版権  改めて複製する場合       →オンデマンドはどう考えるのか?       →「正当な範囲内」で調整  2号出版権  公衆送信を行う場合       →通常、自動公衆送信なので、この場合とは何を意味するのか?       →サーバーにある場合と読むしかない。「正当な範囲内」で調整  2項(通知義務)   1号出版権の場合のみ、現行法通り

83条(出版権の存続期間)  任意規定であることを明示→現行法と同じ  最初の出版行為又は公衆送信行為から3年 84条(出版権の消滅請求)  基本的に現行法と同じ  1号出版権と2号出版権は可分  1項 出版義務違反  2項 継続出版義務違反(3ヵ月以上の催告期間)  3項 廃絶請求→これは理屈上両方か? 86条以下、制限規定、譲渡、登録について、2号出版権が入ったことによる形式的な改訂で、実質的な変更はない。 114条(損害の額の推定規定)  3項、4項への「出版権者」の追加  再許諾が条件付きでできることになったことに関連して、通常の再許諾料を損害とみなすことができることになった。 119条以下(刑事罰規定)  改正なし。  1号2号ともに出版権侵害は刑事罰の対象となる。

2号出版権者 海賊行為者 出版権制度でのデジタル海賊版対策 原稿 紙の出版物 著作権侵害だが、 2号出版権侵害にはならない。 1号出版権侵害にもならない。 複製行為 差止可能 複製行為 記録媒体 記録媒体 破棄請求 送信可能化 差止可能 送信可能化 2号出版権 (侵害に対しては刑事告訴可能) 出版権者として損害賠償請求も可能 公衆送信 公衆送信 読者

電子出版の契約 契約の種類 ①出版権(2号)設定契約 ②独占的利用許諾契約 ③著作権譲渡契約 ④非独占的利用許諾契約 出版権設定契約を選択すべきかどうか? 他の類型との違い 登録は?  文化庁の登録制度と、出版情報登録センターとの関係

第三者への再許諾(法80条3項) 著者自らが行う、電子的利用との調整  機関リポジトリ等への対応 印税について  算定方法をどうするのか  みなし定価に対する印税率の設定か  収入案分方式か 価格コントロール  エージェント契約とホールセール契約

新しいビジネスモデル  読み放題モデル  電子図書課モデル   期間や回数の制限 モデルをどのように法律構成するのか  アクセス権とは

出版権規定と実務とのかい離  修正増減への対応 契約終了時の対応  電子書店との契約  電子図書館との契約  出版契約終了事由によって違いがあるか?

ご清聴ありがとうございました 直近の著作 『電子書籍・出版の契約実務と著作権(第2版)』(民事法研究会) 弁護士  村瀬 拓男 用賀法律事務所 〒158-0096   東京都世田谷区玉川台2-22-20-408 TEL 03-5534-6116 FAX 03-5534-6685 e-mail: t-murase@youga-law.jp HP:http://youga-law.jp/