High-amplitude, long-term X-ray variability in the solar-type star HD 81809: The beginning of an X-ray activity cycle? F. Favata, G. Micela, S.L. Baliunas, J.H.M.M. Schmitt, M. Guedel, F.R. Harnden, Jr., S. Sciortino, R.A. Stern 2004, A&A, 418, L13 この数年XMM-Newton衛星で太陽に近い型の恒星をモニターするプロジェクトを走らせている。その中でG2Vの恒星HD81809でX線光度が徐々に上昇して、2002年半ばにピークに達し、その後徐々に減衰していくところが捕えられた。彩層の活動性を示すデータでは2001年にピークを迎えており、太陽以外の恒星で初めて彩層の周期的活動性とX線強度の変化がリンクして、かつX線強度が太陽と同じように10倍以上変化する証拠を見付けた。
Mt. Wilson 100inch 望遠鏡でO. Wilsonによって1966年からF2-M2の主系列、またはそれに近い111星の、Ca II H&K 線の強度(S index)のモニターが始まった。それ以来40年近いデータが得られており、多くの星で太陽ライクな変動が受かっている(Baliunas et al. 1995, ApJ, 438, 269)。 しかしX線強度の数年のタイムスケールの周期的な変化はほとんど見つかってこなかった。例外:61 Cyg A&B (K5V &K7V)でROSATのデータで、S indexに同期してX線強度が2.5倍程度の強さになるのが見つかった(Hempelmann et al. 2003, A&A, 406, L39)。 HD81809は実視連星(G2+G7)で、主系列よりは少し進化が進んでいるかもしれないという示唆もある(Soederhjelm 1999, A&A, 341, 121)が、だいたい太陽と同様の星だと思ってよい。
S indexの変化から、8.2年の彩層活動の周期的変化があるとされている(下図)。
XMM-Newtonで2001年4月から、半年に一回の割合でX線強度を調べた。下図の白四角がX線の光度曲線。点がS indexである。 X線スペクトルは2つの温度成分でフィットされる。X線強度最大の時で0.51 keV と1.3 keVで、この時は他の時より温度が高い。
X線強度が最大になっている時(この観測中で最も弱い時の10倍以上)は、ひょっとすると長いフレアを偶然観測したのかもしれない。この点を除いたとしても5倍以上のX線強度の変化はあることになる。これだけの強度変化が観測されたのは恒星では初めてである。 図2からは彩層活動の周期的変化とX線強度とで、phase shiftがあるように見える。しかしS indexの方は2003年以降のデータが不十分で、相関を取るような解析をするにはこれからのデータが重要になる。これから2年間のモニター期間の延長は既に決まっていて、またデータが出てくれば報告する。