1 科学とは何か.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
第 14 章 競争を生き抜く 生物多様性の創造における進化と絶 滅 ガラパゴス諸島の異なる島々から得られたフィ ンチ.ダーウィンによるオリジナルの挿絵.
Advertisements

個人情報保護講座 目 次 第1章 はじめに 第2章 個人情報と保有個人情報 第3章 個人情報保護条例に規定されている県の義務 第4章 個人情報の漏えい 第5章 個人情報取扱事務の登録 第6章 保有の制限 第7章 個人情報の取得制限 第8章 利用及び提供の制限 第9章 安全性及び正確性の確保 第 10.
1 個人情報保護について 弁護士法人龍馬 弁護士 舟木 諒,板橋俊幸. 情報化社会 □ 個人情報保護法の概要 2003 年(平成 15 年) 5 月 23 日成立, 2005 年(平成 17 年) 4 月 1 日全面施行。 ◆成立の背景 プライバシー侵害 国際上の問題 住民基本台帳問題 個人情報漏洩問題.
1.異種移植の推進になぜ遺伝子改変が必要か. 2.マウスでの遺伝子改変 (gene targeting) 法. 3.ミニブタでの遺伝子改変 (gene targeting) 法. -マウスと異種移植用動物での gene targeting 法の違い- 4.異種移植用遺伝子改変ミニブタ開発における現在の問題点と解決の方.
1.欧州. 特許会社  特許会社とは …. 経営権が国に保留されている事業の、 一部または全部の経営権を、法律などに より付与された会社。  世界で最初の特許会社 モスクワ会 社.
第9回(11/20)  立憲制度と戦争.
医療事故 2002.6.7.
84A-89 医の倫理に関する記述で誤っているのはどれか。
スポーツ文化   第4回目 スポーツとは何だろうか? スポーツの定義.
資料8-1 第11次大阪府鳥獣保護管理事業計画の概要
細胞性粘菌は遺伝子機能解析リソースの 優れもの!
衛生環境課 ノロウイルスによる食中毒について.
2012年度 総合華頂探求(生命情報科学実習) 華頂女子中学高等学校 2年 医療・理系コース 小倉、北川、木村、久留野、田中、野村、山下
1 生命倫理学とは何か 倫理学Ethicsは哲学の1部門 善、道徳を追求する学問 規範倫理学normative ethicsとメタ倫理学
統一原理 総 序 よ う こ そ.
現代文明論 14 命に関わる文明の諸問題 遺伝子組み換え.
第19課 人の寿命と病気 背景知識.
ドイツの医師職業規則 から学ぶもの 東京医科歯科大学 名誉教授  岡嶋道夫.
生物学 第3回 生物は進化した 和田 勝.
保健学習の進め方・指導案の書き方 さいたま市立三橋小学校   豊島  登.
動物実験代替法って何? 日本動物実験代替法学会 企画委員会.
分子医学の急進展:発生分化を中心として 受精、発生がわかってくると すぐ生殖医療が始まった
誕生をめぐる問題 出産への思想と教育思想は同根.
寿命の問題を考える 寿命はなぜ決まっているのか 老化、加齢の問題とは何か.
ヒトとは何か/どこからヒトか われわれはどこからきたのか       われわれは何なのか      われわれはどこへ行くのか                        Gauguin 
アジア恊働大学院(AUI)構想 AUI推進機構/設立趣意書
民営化とグローバリゼーション 国家の役割は何か.
生物多様性の危機 「精神のモノカルチャー」の説明 経済開発が削減した知識体系・ローカルな知識: 生態系と共同体との間の体系
土木技術士 2002.9.15.
知的財産の問題 2002.9.15.
医療事故防止におけるダブルチェック 2004/11/17 安心研 東京海上日動メディカルサービス(株) メディカルリスクマネジメント室
道徳・特別活動 差別について.
社会システム論 第5回 生態系(エコシステム).
2 科学とは何か・技術とは何か ラファエロ「アテネの学堂」.
人工知能特論2007 東京工科大学 亀田弘之.
現代の経済学B 植田和弘「環境経済学への招待」第3回 第7章 環境制御への戦略と課題 京大 経済学研究科 依田高典.
経営情報論B ⑬ 情報技術と社会(第11章).
Evidence-based Practice とは何か
農学部 資源生物科学科 加藤直樹 北村尚也 菰田浩哉
第19課 人の寿命と病気 背景知識.
開発と地域の多様性 経済学パラダイムの再考
コンゴー赤染色 (Congo red stain) アミロイド染色
2003年 組換えDNA実験教育訓練 福岡女子大学組換えDNA実験安全委員会.
図3 地球環境変動の中核的課題と動向 自然圏(Natursphäre) 人類圏(Anthropophäre) 生物圏 大気圏 水文圏 土壌圏
植物系統分類学・第15回 比較ゲノミクスの基礎と実践
ソーシャルワークの価値と倫理 ~国際ソーシャルワーカー連盟の議論を踏まえて~
研究内容紹介 1. 海洋産物由来の漢方薬の糖尿病への応用
福井大学においてP2遺伝子組換え生物等の使用等に関係する実験を行う場合の手引き
臨床研究への参加のお願い  病気の原因を調べたり、予防、診断、治療などが進歩、発展していくために人を対象として行う、複数の臨床研究が必要となります。  船橋市立医療センターでは臨床研究を開始するにあたり、倫理委員会おいて、研究内容について医学的な面だけでなく患者さんの人権、個人情報、安全に対する配慮も十分検討したうえで、問題がないと考えられた研究のみを行っております。
生物工学に関する国際規制 講義その 19 本講義に関する追加の情報は、以下のスライドに設けられた右の各リンクボタンより参照可能です。
疫学概論 ヘルシンキ宣言 Lesson 23. 疫学研究の倫理 §A. ヘルシンキ宣言 S.Harano, MD,PhD,MPH.
スポーツ文化 第2回目 スポーツと文化.
2019年1月22日 生命環境科学域 応用生命科学類 尾形 善之
科学の起源 Nothing is More Active than Thought. -Thales.
『組織の限界』 第1章 個人的合理性と社会的合理性 前半
1 科学とは何か.
理論研究:言語文化研究 担当:細川英雄.
「リゾーム」 ドゥルーズ、ガタリ そして今田高俊
2017年度 現代文明論 (浜名優美) 第1回 9月20日 問題提起と今年の予定(シラバスの一部修正を含む)
村石悠介・橋口岳史 農学部資源生物科学科1回生
優生思想とデフコミュニティ.
2 生態系の危機への対応 エコロジカル・フットプリント ミレニアム生態系評価 生物多様性条約 国内対策.
統一原理 総 序 よ う こ そ.
2013/5/25 3.人による自然の利用(世界).
11月21日 クローン 母性遺伝.
バイオ特許 2002.12.04.
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)について
生物多様性条約とは何か 森林を取り巻く様々な国際的取り決めと生物多様性条約 生物多様性条約の課題 藤原敬
衛生委員会用 がんの健康講話用スライド.
現代資本主義分析 資本主義という見方.
Presentation transcript:

1 科学とは何か

大学は西欧から始まった 1088 Bologna Paris(1150/1211) Oxford (1096) Universityの語源はuniveitus、 大学は自治組織 初めScola学を教えた 用語はラテン語 今も学名はラテン語 その語源はscole=ひま 英語のschool、scholarshipは皆同じ語源に由来

Scola学 ギリシャ哲学とキリスト教教義の融合をはかった 神は二冊の書を書かれた:聖書と自然 自由7科(算術、幾何、天文、楽理+3科) ギリシャ哲学とキリスト教教義の融合をはかった  神は二冊の書を書かれた:聖書と自然 自由7科(算術、幾何、天文、楽理+3科) 特に重要な3科は文法(正しい論理で)修辞学(適切な用語で)弁証法(相手を論破) 東洋では「学び」 まねびから由来

科学Science science ラテンscientia知識の意に由来 初出は1794(Oxford辞典) Scientist科学者  William Whewell の造語1837 "History of Inductive Science" それまでは自然哲学natural philosopher 今もPhD 専門領域化 訳語「科学」は幕末 西周 やがて科学は「ほめ言葉」となった 科学は西欧のスコラ学から生まれた → 一神教的性格、攻撃的

科学の特性 1 客観性 価値やイデオロギー、先入観とは無縁 2 普遍性 誰が見ても同じ 1 客観性 価値やイデオロギー、先入観とは無縁 2 普遍性 誰が見ても同じ  3 経験主義 データ中心  datum(ラ) 与えられたもの 4 定量的  数式であらわさられる  定量的取り扱いは正確さを増す 5 唯物論 物質の動きですべてが理解できる

パラダイムParadigm パラダイムとは ある集団における支配的な考え方(例 Samner 酵素はタンパク質である) 科学教育はパラダイムの教育(酵素の構造と機能をタンパク質構造に基づいて教育) 科学の進歩はパラダイムを転換すること(=パラダイムシフト)(Chech リボザイムを発見)

現代科学の問題点(1) 産業化 例はナイロン 機密化 特許の問題 軍事化 兵器に取り込まれた 体制化 多くの科学者が原爆・水爆の開発に協力 産業化 例はナイロン 機密化  特許の問題 軍事化  兵器に取り込まれた 体制化  多くの科学者が原爆・水爆の開発に協力 巨大化  加速器 放射光 ゲノム 過度の競争、精神的な重圧→不正の根源 かって「科学は力、富、徳である」 「知識は力であり、無知は無力である」 その結果、反科学思想が生まれた

現代科学の問題点 その2 科学技術と危険   遺伝子やクローンに対するすばやい応答 利益→科学の権威、不利益性→否定   科学技術とは危険なもの 安全はない(進歩はパラダイムを否定すること→安全の基礎が崩れること) 科学がつまらなくなった   好奇心から「国民のための科学」へ   過度の競争   技術優先から秘密主義へ   巨大化のため「顔」が見えなくなった

2 安全と研究の規制

2-1 タスキギー事件:生命倫理学はどのようにして生まれたか 2-1 タスキギー事件:生命倫理学はどのようにして生まれたか 人権運動から:1964 ヘルシンキ宣言 1970 V.R.Potter Bioethicsの提唱 タスキギーTusegee事件 1972  アラバマ州メイコン郡 黒人梅毒患者399人(コントロールとして正常人201人)を1932-1972まで40年間、観察放置していた

ヒトを対象とする実験の規制 1964 ヘルシンキ宣言 以後改訂を重ねている 1964 ヘルシンキ宣言 以後改訂を重ねている 5原則 自発的同意、説明と同意、無償の提供(交通費などは別)、個人情報の保護、倫理委員会の設置 ゲノム情報ではDNA提供者の人権保護、「知りたくない権利」の設置

2-2 生物災害Biohazard 生命科学や医学の研究に伴う危険、研究室内の安全も遺伝子組み換えなどバイオ技術に伴う危険も含まれる 研究者の感染は病原菌の発見とほぼ同時 例:1883 コッホ コレラ菌の発見   1894年 ピペットによる感染 マーブルグ事件1967がきっかけ 危険回避には環境破壊も含まれる

2-2-2 DNA組み換え実験 1974 Berg実験の一時停止を提案 1976 NIHが指針(ガイドライン)を制定 1979 日本のガイドライン 2004 現在はカルタヘナ法(法律である) 異種間の組み換えで増殖能がある場合が規制の対象、同種間は対象でない 物理的な封じ込めP1-4 生物学的封じ込めB1-2 届け出るので実験のアイディアが盗まれるおそれがある

バイオセーフティについて 微生物によるバイオハザード(生物災害)を未然に防ぐ安全対策である. バイオセーフティの主な対象は感染症を起こす病原体や毒素である. バイオ実験室 BSL1:通常のバイオ実験室 BSL2:安全キャビネットが設置された実験室 BSL3:バイオセーフティ実験室 BSL4:完全隔離された実験室 基本的には病原性の危険度に合わせてこれらの実験室を使い分けるが、例外もある。 たとえば、人由来の試料を用いて実験を行うとき、BSL3実験室でまず処理を行い、確実に無毒化するなどした後、レベルを下げた実験室を使用している。

2-3-1 カルタヘナ法 正式には「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」 2-3-1 カルタヘナ法 正式には「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」 [1]生物多様性の保全、[2]生物多様性の構成要素の持続可能な利用及び、[3]遺伝資源の利用から生ずる利益の公正な配分、を目的とする 2000年、「生物の多様性に関するバイオセーフティに関する条約のカルタヘナ議定書」が採択、これに基づき6月にカルタヘナ法が公布、翌年(平成16年)2月から施行

カルタヘナ法ー概要ー 執るべき拡散防止措置が定まっている場合、それにしたがって実験 執るべき拡散防止措置が決まっていない場合には、大臣の確認を受ける(大臣承認実験) 遺伝子組み換え生物の輸出入の規制、実験等の違反者への罰則 実験計画の提出と承認手続き 教育、健康診断、安全委員会(出来れば文系と医系委員の参加)、記録の保管

動物を用いる実験の規制 動物実験 苦痛を与えない 数を減らす 代替を考える 魚、微生物、培養細胞に代える   苦痛を与えない 数を減らす 代替を考える 魚、微生物、培養細胞に代える   法律「動物愛護に関する法律」、「大学等における動物実験について」文部省通達 委員会を設置し、実験計画の承認を得る。

生命科学研究の規制(続) クローン動物;1997.2.28 英国ロスリン研究所 ドリー クローン人間はドイツ、日本などが禁止 クローン動物;1997.2.28 英国ロスリン研究所 ドリー クローン人間はドイツ、日本などが禁止 理由:男女両性が関与する、偶然性が介在することが各個人の唯一性が確保される=人間の尊厳 胚性幹細胞は研究のみ(国により規制が異なる)

アイソトープ実験 と扱い主任者の管理する特定施設内で行う、実験者の特定と教育 バッジの着用、飲食禁止、機械ピペットの使用、 汚染(特に体内被爆)の防止、汚染検査と汚染除去 記録管理

3-4 安全と科学研究 遺伝子組み換え作物 安全の問題:例 透析アミロイドーシス 人工透析が原因の病気 β2ミクログロビンが血中に沈着 3-4 安全と科学研究 遺伝子組み換え作物 安全の問題:例 透析アミロイドーシス 人工透析が原因の病気  β2ミクログロビンが血中に沈着  科学の暫定性:パラダイムが崩れると安全でなくなる  科学者の説明責任accountability 技術の中立論:技術は善でも悪でもない 使う者による

安全と安心は違う 安全はありえない 安心は与えられる 遺伝子組み換え作物、ips細胞などの安全性

3 ヒト ヒトは何か どこからヒトか

ヒトの生物分類学上の位置 真核生物領域(細胞に核がある) 動物界 後生動物亜界(多細胞) 脊索動物門(中枢神経)脊椎動物亜門(内骨格を持つ) 動物界 後生動物亜界(多細胞) 脊索動物門(中枢神経)脊椎動物亜門(内骨格を持つ) 哺乳動物綱(乳腺・胎生・温血・異歯性)有胎盤亜綱 霊長目(サル目ともいうprimate)(掴む手、手が長い、鎖骨の発達、爪)霊長亜目(尾長猿を含む)

ヒトの生物分類学上の位置(続) ヒト上科(類人猿) ヒト科(オランウータン、チンパ、ゴリラ、ヒト) ヒト亜科(チンパ、ゴリラ、ヒト) ヒト属(猿人、原人、旧人、新人;人類hominidともいう) ヒト種(旧人、新人;例ネアンデルタール、ここからヒトsapiens) ヒト亜種Homo sapiens sapiens(新人)

ヒトの特徴 二足歩行 歯並び(臼歯が大、犬歯が小)、発声、無毛 脳の大きさ(チンパンジーの2-3倍) 道具の使用、火の使用 (皮肉な見方)家畜化

ヒト化homonization 全地球的な気候の変化→寒冷化、乾燥 二足歩行:森林が消えサバンナ(草原)がひろがった 草原の食料が臼歯を大に 二足歩行:森林が消えサバンナ(草原)がひろがった 草原の食料が臼歯を大に 歩くことが手を自由にし脳を刺激、歯並びも変えた 脳の発達や火、石器の使用は原人から 二足歩行が発声を可能にし、言語が発達 こうして人間性、社会性が成立した 咽頭が下がった 他の動物では口の奥

人種と民族 世界中のヒトはすべて同じ種 人種は遺伝的なわずかな違い 習慣で皮膚の色で分類することが多い   習慣で皮膚の色で分類することが多い   白人 黒人 黄色人種 マレー(褐色) 赤色 民族は同じ言語、風俗習慣、同族意識を持つ集団

文明 原人時代の総人口は12万 1万年前、新石器時代から文明 このころの総人口は100~500万人 紀元前500年、ギリシャ文明の時代の総人口は2億5000万 1650年 やっと5億 1800年(産業革命) 10億 1930年 20億 1975年 40億、 1997年 60億、 2007年 67億人うち日本は1.3億人 (6億の1/4) 世界では毎分10,000人ずつ増加 かって2年に1種が絶滅、今は6-9万種/年