線形フィルタと畳み込み積分 マスクによる画像のフィルタリング 1.入力画像中の関心の画素のまわりの画素値

Slides:



Advertisements
Similar presentations
画像処理・実習 第五回: 空間フィルタ (特徴抽出,ラプラシアン,鮮鋭化) 東海大学 情報理工学部情報メディア学科 濱本和彦.
Advertisements

画像処理・実習 第七回: 2値化画像(2値化処理) 東海大学 情報理工学部情報メディア学科 濱本和彦.
生物統計学・第 4 回 比べる準備をする 平均、分散、標準偏差、標準誤差、標準 化 2015 年 10 月 20 日 生命環境科学域 応用生命科学類 尾形 善之.
環境情報解析 第 3 回 空間情報の処理 ( 検索・操作・分析 ) 参考文献:入門地理情報システム (J.Star, J. Estes 著 ) など.
Determining Optical Flow. はじめに オプティカルフローとは画像内の明る さのパターンの動きの見かけの速さの 分布 オプティカルフローは物体の動きの よって変化するため、オプティカルフ ローより速度に関する情報を得ること ができる.
Ruth Onn, Alfred Bruckstein (Int J Comp Vision 1990)
量子化(Mid-riser型) 出力y 入力x 通信ネットワーク特論(量子化・符号化).
コンピュータビジョン特論 第8回対象追跡 2006年11月22日 加藤丈和.
中間まとめ.
静止背景における動物体の検出と追跡 陳 謙 2004年10月19日.
高度情報演習1A “テーマC” 実践 画像処理プログラミング 〜画像認識とCGによる画像生成〜 第四回 演習課題 画像中からの物体抽出処理(背景情報を手がかりとして) 芝浦工業大学 工学部 情報工学科 青木 義満 2006/05/15.
ウェーブレットによる 信号処理と画像処理 宮崎大輔 2004年11月24日(水) PBVセミナー.
画像処理工学 2012年11月8日 担当教員 北川 輝彦.
画像処理工学 2011年10月27日 担当教員 北川 輝彦.
スペクトル法による数値計算の原理 -一次元線形・非線形移流問題の場合-
符号化のための重み付きジョイントバイラテラルフィルタを用いた 奥行き画像超解像
「データ学習アルゴリズム」 第3章 複雑な学習モデル 3.1 関数近似モデル ….. … 3層パーセプトロン
エッジの検出 画像中に表示された物理の輪郭(エッジ(edge))や線では、一般的に濃淡が急激に変化しており、これらは画像中のなんらかの構造を反映していることが多い このようなエッジや線の検出処理は、画像理解や認識のための前処理として重要である   差分型によるエッジ検出   零交差法によるエッジ検出.
画像特徴(点、直線、領域)の検出と識別-2 呉海元@和歌山大学 2007年5月14日
デジタル信号処理③
ブロック線図によるシミュレーション ブロック線図の作成と編集 ブロック線図の保存と読込み ブロック線図の印刷 グラフの印刷
画像の拡大と縮小.
(ラプラス変換の復習) 教科書には相当する章はない
画像処理工学 2011年1月26日 担当教員 北川 輝彦.
カラー撮影,CCD 以外の撮像系 撮像素子の制御による高度な計測
表紙 MATLAB 応用講習会(A) 情報アシスタント M1 山本幸司.
2007年度 長岡技術科学大学オープンハウス 半透明人間
スペクトル・時系列データの前処理方法 ~平滑化 (スムージング) と微分~
画像処理 基礎.
コンピュータビジョン 第1回.
エッジの検出 画像中に表示された物理の輪郭(エッジ(edge))や線では、一般的に濃淡が急激に変化しており、これらは画像中のなんらかの構造を反映していることが多い このようなエッジや線の検出処理は、画像理解や認識のための前処理として重要である   差分型によるエッジ検出   零交差法によるエッジ検出.
第11回   ディジタル画像(2) ディジタル画像処理(2)
スペクトル法の一部の基礎の初歩への はじめの一歩
領域ベースの隠れ変数を用いた画像領域分割
プログラミング論 II 2008年吉日 主成分分析 数値積分
Hough変換 投票と多数決原理に基づく図形の検出
画像処理工学 2013年1月23日 担当教員 北川 輝彦.
画像工学 2015年1月14日 担当教員 北川 輝彦.
高度情報演習1A “テーマC” 実践 画像処理プログラミング 〜画像認識とCGによる画像生成〜 第二回 演習課題
高度情報演習1C 実践 画像処理プログラミング 第二回 演習課題
構造情報に基づく特徴量を用いた グラフマッチングによる物体識別 情報工学科 藤吉研究室  EP02086 永橋知行.
6. ラプラス変換.
第12回   ディジタル画像(3) ディジタル画像処理(3)
Poisson Image Editing SIGGRAPH 2003
東京農業大学 東京情報大学 附属第一高等学校・中等部 附属第二高等学校 附属第三高等学校・中等部
長岡技術科学大学 オープンハウス2006 『美人フィルタ』
主成分分析 Principal Component Analysis PCA
-画像処理(空間フィルタリング)- 画像処理(空間フィルタリング)のモデルとその基本操作 雑音除去・平滑化への適用
Data Clustering: A Review
バイラテラルフィルタを用いた音声特徴量抽出 2-Q-6
画像工学 2013年1月16日 担当教員 北川 輝彦.
知識科学研究科 知識システム構築論講座 林研究室 佛明 智
ノイズ.
「データ学習アルゴリズム」 第3章 複雑な学習モデル 報告者 佐々木 稔 2003年6月25日 3.1 関数近似モデル
Wavelet係数の局所テクスチャ特徴量を用いたGraph Cutsによる画像セグメンテーション
適応信号処理とその応用 大阪府立大学大学院工学研究科 電気・情報系専攻 大松 繁.
川崎浩司:沿岸域工学,コロナ社 第4章(pp.58-68)
ディジタル信号処理 Digital Signal Processing
画像処理工学 2011年12月1日 担当教員 北川 輝彦.
情報の集約 記述統計 記述統計とは、収集したデータの分布を明らかにする事により、データの示す傾向や性質を要約することです。データを収集してもそこから情報を読み取らなければ意味はありません。特に膨大な量のデータになれば読みやすい形にまとめて要約する必要があります。
バイラテラルフィルタによる実雑音下音声認識 のための音声特徴量抽出
ポッツスピン型隠れ変数による画像領域分割
Poisson Image Editing SIGGRAPH 2003
ビデオデータベースを用いた 流体画像に基づくアニメーション生成
領域ベースの隠れ変数を用いた決定論的画像領域分割
モデルの微分による非線形モデルの解釈 明治大学 理工学部 応用化学科 データ化学工学研究室 金子 弘昌.
パターン認識特論 カーネル主成分分析 和田俊和.
自己縮小画像と混合ガウス分布モデルを用いた超解像
市松模様を使用した カメラキャリブレーション
グラフ-ベクトル変換を用いたグラフ構造表現による一般物体認識
Presentation transcript:

線形フィルタと畳み込み積分 マスクによる画像のフィルタリング 1.入力画像中の関心の画素のまわりの画素値   の重みつき合計を計算して,出力画像の画素   値とする.  (但し,毎回の計算を行うとき,前回と同じ重み   係数を用いる.) 2.これらの係数のことをマスクと呼ぶ。 3.異なるマスクを用いると、さまざまな処理効   果をもたらす.

マスク関数の定義 数学的に表現しやすいために、マスクを2次元離散関数として定義する。 線形フィルタと畳み込み積分 マスク関数の定義  数学的に表現しやすいために、マスクを2次元離散関数として定義する。

例1:3x3の移動平均フィルタ 0000000 00kkk00 0000000  k=1/9

マスク関数による画像処理 =入力画像とマスク関数との畳み込み積分  =入力画像とマスク関数との畳み込み積分 このような処理は,線形フィルタリングという.

平滑化とぼかし ● 一般的な画像には,隣同士の画素は似た画素 値を持つ特徴がある. ● ノイズがのった画像も上記の特性が保存されて ● 一般的な画像には,隣同士の画素は似た画素   値を持つ特徴がある. ● ノイズがのった画像も上記の特性が保存されて   いると考えられることが多い.例えば,故障した   画素,あるいは画素値に平均値が0のランダム   数値が足された場合. ● この場合,各画素をその周りの画素の重みつき   平均値に置き換えることにより,ノイズを除去す   ることができる.この処理は平滑化(smothing)あ   るいはぼかし(blurring)と呼ばれる.

移動平均フィルタ    ある画素を中心とした近傍領域内の濃度値の平均を出力する処理をすべての画素について行えば、濃度値の変化が滑らかになり、平滑化の効果がある    移動平均フィルタでは、フィルタの重み係数がすべて等しい

Gaussian平滑フィルタ  平滑化による画像のボケを少しでも防ぐために、注目画素 近傍の重みを大きくした加重平均フィルタもよく用いられ,その代表はGaussianフィルタである.  Gaussianフィルタの核は下記のGaussian関数である.

平滑フィルタの応用1  ノイズ除去

平滑フィルタの応用2 新聞などの印刷物にある白黒写真の処理

平滑フィルタの応用3 縮小画像をきれいに

非線形フィルタによる平滑化 移動平均や加重平均フィルタは一種のローパスフィルタであるため、高周波成分の情報が失われエッジが鈍るなどの問題がある メディアンフィルタおよびエッジ保存フィルタは非線形フィルタであるが、上記のような問題が生じにくいためよく用いられる

メディアンフィルタ ・n*nの局所領域における濃度値を小さい順に並べ、真ん中の濃度値を領域中央の画素の出力濃度とするフィルタをメディアンフィルタ(Median Filtering)または中央値フィルタ ・この処理を移動しながら全画素にわたって行えば、メディアンフィルタによる出力結果が得られる

メディアンフィルタ 3*3のメディアンフィルタの処理例

フィルタによるノイズ除去

エッジ保存フィルタ (Edge-Preserving Filter) ・近傍領域を図に示すような小領域に分割し、 それぞれの領域ごとに濃度の分散を計算する ・エッジが含まれる領域では分散が大きくなる という性質があるため、それぞれの小領域の 分散が最も小さくなる小領域の平均値を出力値 とする ・これによりエッジをぼかすことなく雑音が取り 除かれ、エッジ自体も鮮鋭化される ・ただし、メディアンフィルタよりもさらに計算量 が多いという欠点がある。 エッジ保存フィルタに おける領域の分割例

フィルタによるノイズ除去 ・図より、ゴマ塩ノイズのようなスパイク状のノイズは加重平均フィルタでは取り除くことは難しいが、メディアンフィルタでは良好に除去できることが分かる ・だたし、メディアンフィルタはデータの並び替え(ソーティング)の処理に時間がかかるため、線形平滑化フィルタに比べて一般的に計算時間は長くなる

鮮鋭化 ・画像の濃度値が本来は急変しているべき輪郭の部分などで濃度値の変化がゆるやかになっている場合、図形の輪郭がぼやけた画像となる ・このような画像に対しては、濃度値の変化を強調することで鮮明な画像が得られる ・この処理を画像の鮮鋭化(Sharpening)(または鮮明化)という

ラプラシアンフィルタ(Laplacian Filter) 鮮鋭化の手法の一つに、原画像の2次微分であるラプラシアンフィルタによる結果を原画像から差し引く方法がある

ラプラシアンフィルタ(続) ・図より、原画像にはないくぼみ(アンダーシュート)とこぶ(オーバーシュート)が生じており、また、エッジの傾斜も大きくなっている ・これにより、エッジ部分の濃度値の変化が強調され、鮮明な画像となる

ラプラシアンフィルタ(続) 以下にその具体的な計算法について述べる。ディジタル画像においては、微分は差分により代用される。いま、x方向およびy方向の一次微分をそれぞれ次式のように計算される: 2次微分について、もう一度差分を取れば次式のように求まる: ラプラシアンは、以下のように定義される: 原画像からラプラシアンを差し引けば、鮮鋭化された画像が得られる:

ラプラシアンフィルタ(続) 上式の重み係数に注目すれば、本フィルタのオペレータは(a)のように得られる。これは隣接する上下左右の4画素についての2次微分を用いた場合のオペレータ(4近傍鮮鋭化フィルタ)であるが、斜め方向に隣接する画素を含む8画素における鮮鋭化フィルタ(8近傍鮮鋭化フィルタ)は(b)のようになる。        0 -1 0       -1 -1 -1        -1 5 -1       -1 9 -1 (a) 4近傍鮮鋭化フィルタ (b) 8近傍鮮鋭化フィルタ

8近傍鮮鋭化フィルタにより鮮鋭化を行った例

8近傍鮮鋭化フィルタにより鮮鋭化を行った例

宿題 1.下記の濃淡画像に対して、3x3の移動平均フィルタを用いて処理しなさい。      2310224212302      2245647463412      1125456825222      2325525357232      1245575465122      2126535654212      3212511232122 2.上記の濃淡画像に対して、3x3のメディアンフィルタを用いて処理しなさい。 結果画像