脂質異常症
目 次 Index 脂質異常症とは 脂質異常症診断基準 冠動脈疾患予防からみたLDLコレステロール管理目標 予防のための生活習慣 目 次 Index 1 脂質異常症とは 2 脂質異常症診断基準 3 冠動脈疾患予防からみたLDLコレステロール管理目標 4 予防のための生活習慣 5 予防のための食事 6 食事療法 7 運動療法の効果 8 運動療法指針 9 参考文献
1 脂質異常症とは LDLコレステロール(悪玉)や血液中の中性脂肪(トリグリセライド)が必要以上に増えるか、又はHDLコレステロール(善玉)が減った状態のことです。 厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」によると、血清総コレステロール値が240 mg/dL以上の者≒脂質異常症の割合は、男性:9.8%、女性:17.3%となっています。
境界域高non-HDLコレステロール血症 2 脂質異常症診断基準 LDLコレステロール 140mg/dL以上 120-130mg/dL 40mg/dL未満 HDLコレステロール 150mg/dL以上 中性脂肪 (トリグリセライド) 170mg/dL以上 Non-HDLコレステロール 150-160mg/dL 高LDLコレステロール血症 境界域高LDLコレステロール血症 低HDLコレステロール血症 高トリグリセライド血症 高non-HDLコレステロール血症 境界域高non-HDLコレステロール血症
冠動脈疾患予防からみたLDLコレステロール管理目標 3 冠動脈疾患予防からみたLDLコレステロール管理目標 脂質異常症のスクリーニング LDLコレステロール120mg/dL以上 冠動脈疾患の既往があるか? 二次予防 あり なし 以下のいずれかがあるか? 高リスク あり ・糖尿病(耐糖能異常は含まず) ・慢性腎臓病(CKD) ・非心原性脳梗塞 ・末梢動脈疾患(PAD) なし 以下の危険因子を個数をカウントする ・喫煙・高血圧・低HDL-c血症・耐糖能異常 ・早期性冠動脈疾患家族歴 ※第1度近親者かつ男性55歳未満、女性65歳未満。不明はカウントせず 危険因子の数 男性 女性 40-59歳 60-74歳 0個 低リスク 中リスク 1個 高リスク 2個以上
予防のための生活習慣 4 禁煙し、受動喫煙を回避する 過食と身体活動不足に注意して、適正な体重を維持する 肉の脂身、動物脂、鶏卵、果糖を含む加工食品の大量摂取を控える 魚、緑黄色野菜を含めた野菜、海藻、大豆製品、未精製穀類の摂取量を増やす アルコールの過剰摂取を控える 中等度以上の有酸素運動を毎日合計30分以上を目標に実施する
予防のための食事 5 1日の摂取エネルギー = 標準体重 × 身体活動量 脂質エネルギー比率を20~25%, 飽和脂肪酸エネルギー比率を4.5%~7%未満, コレステロール摂取量を200mg/day未満に抑える n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やす 工業由来のトランス脂肪酸の摂取を控える 炭水化物のエネルギー比を50~60%とし、食物繊維の摂取量を増やす 食塩の摂取量は6g/day未満を目標にする アルコールの摂取を25g/day以下に抑える
食事療法 6 高LDLコレステロール血症 低HDLコレステロール血症 高トリグリセライド血症 コレステロールと飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身、内臓、皮、乳製品、卵黄および、トランス脂肪酸を含む菓子類、加工食品の摂取を抑える。 食物繊維と植物ステロールを含む未精製穀類、大豆製品、海藻、野菜類の摂取を増やす 糖質を多く含む菓子類、飲料、穀類の摂取を減らす。 アルコールの摂取を控える。 n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚類の摂取を増やす。 トランス脂肪酸の摂取を控える。 n-6系多価不飽和脂肪酸の摂取を減らすために植物油の過剰摂取を控える。 低HDLコレステロール血症 高トリグリセライド血症 高LDLコレステロール血症
運動療法の効果 7 体力を維持もしくは増加。 動脈硬化性疾患やメタボリックシンドロームの予防・治療効果。 HDLコレステロールを増やし、トリグリセライドを減らす。 インスリン感受性を高める。 ストレスを解消し、骨密度や脳機能を高め、QOLを改善する。
運動療法指針 8 種類 強度 頻度・時間 その他 有酸素運動を中心に実施する。 (ウォーキング、速足、水泳、エアロビクスダンス、スロージョギング、サイクリング、ベンチステップ運動等) 強度 中等度以上を目標にする ※ 運動時の脈拍からの推定方法 心拍数(脈拍/分) = 138 -(年齢/2) 頻度・時間 毎日合計30分以上を目標に実施する (少なくとも週3日は実施する) その他 運動療法以外の時間もこまめに歩く等、できるだけ座ったままの生活を避ける
7 参考文献 平成28年度 国民健康・栄養調査 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版