脂質異常症.

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メタボリックシンドロームの考え方. 危険因子の数と心臓病のリスク 軽症であっても「肥満(高 BMI )」、「高血圧」、「高血糖」、「高トリグリセリド(中性脂肪) 血症」、または「高コレステロール血症」の危険因子を2つ持つ人はまったく持たない人に比べ、
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あいち健康の森健康科学総合センター 保健師 原田有希子 / 山下 恵 実践者育成 研修プログラム 技術編 たばこに関する保健指導の実際 厚生労働科学研究「標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】及び健康づくりのための身体活動基準 2013 に基づく保健事業の研修手法と評価に関する研究」津下班.
川口内科医院 健康教室(動脈硬化) 川口内科医院   院長   川口光彦.
1. 動脈硬化とは? 2. 動脈硬化のさまざまな 危険因子 3. さまざまな危険因子の 源流は「内臓脂肪」 4. 動脈硬化を防ぐには
今 日 の ポ イ ン ト 骨粗鬆症とは 1. 糖尿病と 骨粗鬆症・骨折の関係 2. 治療の目的は骨折を 防ぐこと 3
 脂質異常症における   食事療法の基本 管理栄養士 森 律子.
脂質代謝.
生活習慣病の予防.
どうしてメタボは       なくならないのか? メタボって 最低よね?❤ えっ!!?.
肥満 肥満とは「脂肪が一定以上に多くなった状態」のことです 肥満は BMI(Body Mass Index=肥満指数)で判定します
メタボリックシンドローム (内臓脂肪症候群)
肥満の治療 1)食事療法 2)行動療法 3)運動療法 4)薬物療法. 肥満の治療 1)食事療法 2)行動療法 3)運動療法 4)薬物療法.
1. 糖尿病腎症の治療と 食事療法の目的 2. 腎症の食事療法のポイント 3. 腎症の食事療法の実際 4. 「食品交換表」や「食品成分表」を
職員健診;判定基準変更 ~血圧・脂質・尿酸等の疫学、 診療ガイドラインを背景として~ 高血圧症/脂質異常症合併患者の疫学と治療実態 1.
今 日 の ポ イ ン ト 1. 糖尿病治療のための食事は「健康食」です 2. まず初めに、食生活の基本をチェックしましょう 3.
肥満症は病気です 肥満症の定義: 肥満症とは肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測される場合で、医学的に減量を必要とする病態をいい、疾患単位として取り扱う 日本肥満学会 「肥満症」は、日本肥満学会により明確に疾患として定義されている。 「肥満」とは身長にくらべ、体重の割合が大きい状態のこと。
無機質 (2)-イ-aーH.
狭心症と心筋梗塞 大橋壮樹 大垣徳洲会病院.
ライフスタイル・ウオーキングを習慣化すると
栄養領域の代表目標項目(7) 2 栄養 栄養状態、栄養素(食物)摂取に関する代表目標項目(5) ・ 成人の肥満者の割合の減少
メタボリックシンドローム  生活習慣病と脳梗塞予防 湘南厚木病院・湘南あつぎクリニック 湘南あつぎクリニック院長 脳神経外科    畑下 鎮男.
骨格筋のインスリン抵抗性が肥満の引き金 1 参考 最近、エール大学のグループは、骨格筋のインスリン抵抗性がメタボリック症候群を引き起こす最初のステップであることを報告した。BMIが22-24の男性をインスリン感受性度で2グループに分け、食事(55%炭水化物、10%蛋白質、35%脂肪)を摂取してから、筋肉のグリコーゲン量をMRI(核磁気共鳴画像法)で調べたところ、インスリン感受性群に比べて、抵抗性群ではグリコーゲン生成が61%減少していた。肝臓のグリコーゲン量は2群間で有意差はみられなかった。しかし、肝臓の
メタボリックシンドローム (内臓脂肪症候群)
1. なぜ運動したほうが良いのか? 2. どんな種類の運動が良いのか? 3. どのくらいの強さ・頻度で行うと 良いのか? 4.
生活習慣病について 船橋市医師会ホームページ掲載用.
メタボリック症候群(MetS)の有無と、成人以降の体重増加とCKDの関連
甲状腺疾患 カイエー薬局 グループ発行 健康シリーズ 女性に多い 最近、テレビでも放送されましたが、いくつもの病院を
野菜は1日350g食べましょう 料理例 D-4 野菜350gの目安 80g 85g 100g 100g 75g 80g 140g 75g
脂肪の消化吸収 【3】グループ   ~
第2回栄養セミナー 川崎医科大学 糖尿病内分泌内科 衛藤 雅昭 生活習慣病(肥満,糖尿病,高脂血症)の 食事療法
1. 糖尿病による腎臓の病気 =糖尿病腎症 2. 腎症が進むと、生命維持のために 透析療法が必要になります 3. 糖尿病腎症の予防法・治療法
生活習慣を変え、内臓脂肪を減らすことで生活習慣病の危険因子が改善されます
血管と理学療法 担当:萩原 悠太  勉強会.
汎用性の高い行動変容プログラム 特定健診の場を利用した糖尿病対策(非肥満を含む)
循環器疾患領域の代表目標項目(17) 8 循環器疾患、9 糖尿病 循環器疾患の減少に関する代表目標項目(5)
1. 糖尿病の患者さんは、脳梗塞や 心筋梗塞に注意が必要です 2. 脳梗塞と心筋梗塞の原因は どちらも動脈硬化です 3.
肥満の人の割合が増えています 肥満者(BMI≧25)の割合 20~60歳代男性 40~60歳代女性 (%)
メタボリックシンドロームはなぜ重要か A-5 不健康な生活習慣 内臓脂肪の蓄積 高血糖 脂質異常 高血圧 血管変化の進行 動脈硬化
メタボリック シンドローム.
糖尿病.
高血圧.
栄養成分表示は、 健康づくりに役立つ重要な情報源 栄養成分表示ってなに? 栄養成分表示を活用しよう① 〈留意事項〉
健康づくりのための 運動療法.
炭水化物 (2)-イ-aーB.
たんぱく質、脂質、炭水化物をバランスよくとる
資料 1.「指導対象者群分析」のグループ分けの見方 特定健康診査及びレセプトデータによる指導対象者群分析 【フロー説明】
栄養成分表示を使って、「肥満」や「やせ」を防ぐ
市区町村別標準化該当比マップ (2013年度版) 岡山県保険者協議会 岡山県国民健康保険団体連合会.
4.生活習慣病と日常の生活行動 PET/CT検査の画像 素材集-生活習慣病 「がん治療の総合情報センターAMIY」 PET/CT検査の画像
平成29年国民健康・栄養調査結果の概要.
災害時の循環器リスクスコア - AFHCHDC7 Score
バランスのとれた食事.
指導日時 平成 年 月 日( 曜日) AM・PM : ~ : . 指導内容
アセスメントシート プランニングシート 基本ツール 展開ツール(必要に応じて使用) モニタリング 評価(健診)
1.
大豆 栄 養 と 薬 効 たんぱく質、脂質、ビタミンB群が多いなど、その栄養の豊かさから「畑の肉」と呼ばれている栄養食品です。動脈硬化予防や肥満をコントロールする働きがあります。大豆の脂質の多くはリノール酸で、コレステロールを洗い流す作用があり、脂肪異常症の予防に有効です。 注目されている栄養素は大豆サポニンとレシチンです。前者は、血管にこびりついたコレステロールや中性脂肪を洗い流す作用があり、高血圧・動脈硬化・認知症などの予防に役立ちます。
栄養成分表示を使って、高齢者の低栄養を防ぐ
A-2 男性用 健診結果から今の自分の体を知る 内臓脂肪の蓄積 ~今の段階と将来の見通し~ 氏名 ( )歳 摂取エネルギーの収支
フレイルとは すずかけの木通信H30.3月号 お口の健康の維持は 全身の健康に影響します。 健康な状態と日常生活で
40歳未満にも メタボリックシンドローム基準の適用を
1. 糖尿病予備群って、なに? 2. 糖尿病って、どんな病気? 3. どんな時に糖尿病予備群と 言われるの? 4. 糖尿病予備群と言われたら
運動療法のコツ ★続けることのメリット ・血糖値が下がる エネルギー源としてブドウ糖が消費されます。
A-3 女性用 健診結果から今の自分の体を知る 内臓脂肪の蓄積 ~今の段階と将来の見通し~ 氏名 ( )歳 摂取エネルギーの収支
~生活習慣病~ 2006.9.23(土) 東京医科歯科大学 伊藤あゆみ 佐藤有紗
1. 糖尿病による腎臓の病気 =糖尿病腎症 2. 腎症が進むと、生命維持のために 透析療法が必要になります 3. 糖尿病腎症の予防法・治療法
1. 糖尿病の患者さんは 血圧が高くなりやすい 2. 糖尿病に高血圧が併発して 合併症が早く進行する 3. 血圧コントロールの 目標と方法
吹田研究(2009年発表分) (対象:4694人、期間11.9年)
自分のメタボ度を調べてみよう 1.肥満度として、Body Mass Index (BMI)を計算しましょう。 = =
(2)-ア-a-A 食事摂取基準.
衛生委員会用 がんの健康講話用スライド.
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脂質異常症

目 次 Index 脂質異常症とは 脂質異常症診断基準 冠動脈疾患予防からみたLDLコレステロール管理目標 予防のための生活習慣 目 次 Index 1 脂質異常症とは 2 脂質異常症診断基準 3 冠動脈疾患予防からみたLDLコレステロール管理目標 4 予防のための生活習慣 5 予防のための食事 6 食事療法 7 運動療法の効果 8 運動療法指針 9 参考文献

1 脂質異常症とは LDLコレステロール(悪玉)や血液中の中性脂肪(トリグリセライド)が必要以上に増えるか、又はHDLコレステロール(善玉)が減った状態のことです。 厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」によると、血清総コレステロール値が240 mg/dL以上の者≒脂質異常症の割合は、男性:9.8%、女性:17.3%となっています。

境界域高non-HDLコレステロール血症 2 脂質異常症診断基準 LDLコレステロール 140mg/dL以上 120-130mg/dL 40mg/dL未満 HDLコレステロール 150mg/dL以上 中性脂肪 (トリグリセライド) 170mg/dL以上 Non-HDLコレステロール 150-160mg/dL 高LDLコレステロール血症 境界域高LDLコレステロール血症 低HDLコレステロール血症 高トリグリセライド血症 高non-HDLコレステロール血症 境界域高non-HDLコレステロール血症

冠動脈疾患予防からみたLDLコレステロール管理目標 3 冠動脈疾患予防からみたLDLコレステロール管理目標 脂質異常症のスクリーニング LDLコレステロール120mg/dL以上 冠動脈疾患の既往があるか? 二次予防 あり なし 以下のいずれかがあるか? 高リスク あり ・糖尿病(耐糖能異常は含まず) ・慢性腎臓病(CKD) ・非心原性脳梗塞 ・末梢動脈疾患(PAD) なし 以下の危険因子を個数をカウントする ・喫煙・高血圧・低HDL-c血症・耐糖能異常 ・早期性冠動脈疾患家族歴  ※第1度近親者かつ男性55歳未満、女性65歳未満。不明はカウントせず 危険因子の数 男性 女性 40-59歳 60-74歳 0個 低リスク 中リスク 1個 高リスク 2個以上

予防のための生活習慣 4 禁煙し、受動喫煙を回避する 過食と身体活動不足に注意して、適正な体重を維持する 肉の脂身、動物脂、鶏卵、果糖を含む加工食品の大量摂取を控える 魚、緑黄色野菜を含めた野菜、海藻、大豆製品、未精製穀類の摂取量を増やす アルコールの過剰摂取を控える 中等度以上の有酸素運動を毎日合計30分以上を目標に実施する

予防のための食事 5 1日の摂取エネルギー = 標準体重 × 身体活動量 脂質エネルギー比率を20~25%, 飽和脂肪酸エネルギー比率を4.5%~7%未満, コレステロール摂取量を200mg/day未満に抑える n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やす 工業由来のトランス脂肪酸の摂取を控える 炭水化物のエネルギー比を50~60%とし、食物繊維の摂取量を増やす 食塩の摂取量は6g/day未満を目標にする アルコールの摂取を25g/day以下に抑える

食事療法 6 高LDLコレステロール血症 低HDLコレステロール血症 高トリグリセライド血症 コレステロールと飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身、内臓、皮、乳製品、卵黄および、トランス脂肪酸を含む菓子類、加工食品の摂取を抑える。 食物繊維と植物ステロールを含む未精製穀類、大豆製品、海藻、野菜類の摂取を増やす 糖質を多く含む菓子類、飲料、穀類の摂取を減らす。 アルコールの摂取を控える。 n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚類の摂取を増やす。 トランス脂肪酸の摂取を控える。 n-6系多価不飽和脂肪酸の摂取を減らすために植物油の過剰摂取を控える。 低HDLコレステロール血症 高トリグリセライド血症 高LDLコレステロール血症

運動療法の効果 7 体力を維持もしくは増加。 動脈硬化性疾患やメタボリックシンドロームの予防・治療効果。 HDLコレステロールを増やし、トリグリセライドを減らす。 インスリン感受性を高める。 ストレスを解消し、骨密度や脳機能を高め、QOLを改善する。

運動療法指針 8 種類 強度 頻度・時間 その他 有酸素運動を中心に実施する。 (ウォーキング、速足、水泳、エアロビクスダンス、スロージョギング、サイクリング、ベンチステップ運動等) 強度 中等度以上を目標にする ※ 運動時の脈拍からの推定方法  心拍数(脈拍/分) = 138 -(年齢/2) 頻度・時間 毎日合計30分以上を目標に実施する (少なくとも週3日は実施する) その他 運動療法以外の時間もこまめに歩く等、できるだけ座ったままの生活を避ける

7 参考文献 平成28年度 国民健康・栄養調査 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版