第9章 機械設計の高度化 ★本講義の内容だけでは機械設計はできない? ★教科書や参考書の設計手順で設計ができるのか? 第9章 機械設計の高度化 ★本講義の内容だけでは機械設計はできない? ★教科書や参考書の設計手順で設計ができるのか? ★高度な機械設計を目指す!
9.1 機械の高性能化 ★機械の性能とは,機械の種類や用途によって様々!
(1) 性能評価 高性能化 性能評価 スターリングエンジンの性能評価
(2) 情報伝達 ★1つの機械を一人だけで設計することはほとんどない! ★設計者同士の情報伝達が重要! CADの利用 プレゼンテーション
(3) 設計の最適化 ★定量的で精度の高い解析が必要不可欠! 流体解析(CFD) 構造解析(FEM) コンピュータを利用した高度な解析 どこまで最適化ができるのか? 設計者の判断が重要?
FMEA手法(Failure Mode and Effects Analysis) (4) 信頼性の高い設計 機械製品を開発する場合, ★故障しにくい製品であること。 ★もし故障してもすぐに修理できる製品であること。 信頼性評価 FMEA手法(Failure Mode and Effects Analysis) 機械システムを構成する部品(または機器)に故障が発生した場合を想定し,その際,機械全体にどのような影響を与えるのかを表を使って解析する。 機械設計,生産コスト評価,品質管理に適用可能?
簡単なFMEA解析シートを作成してみる。 大型舶用スターリングエンジンのイメージ 簡単なFMEA解析シートを作成してみる。
大型舶用スターリングエンジンのFMEA解析シート
FMEA解析の影響度と発生頻度 影響度の点数 発生頻度の点数 故障等級=影響度×発生頻度 故障等級が高いほど,要注意! 例えば,30以上は設計見直し!
課題① 機械設計・開発において,機械の信頼性を考えることは極めて重要である。身近な機械を例にとり,機械の信頼性について論じなさい。
9.2 「やさしさ」のある機械設計 やさしさ やさしさ やさしさ やさしさ
(1) 使用者にやさしい機械の設計 (a) 機械の操作性 ★使用者(消費者)の扱いやすさ! ★使用者が機械製品を間違いなく使用する! 操作のわかりやすさ! 操作のしやすさ!
(b) バリアフリー ★高齢者や障害者が機械を使う場合,邪魔になる様々なバリア(障壁)を取り除く! バリアフリー船のイメージ
(c) ユニバーサルデザイン バリアフリー 高齢者や障害者のバリア(障壁)を取り除く! ユニバーサルデザイン 全ての人(健常者を含む)が使いやすい機械! ★機械設計にユニバーサルデザインの考え方を取り入れていく!
(2) 加工者にやさしい機械設計 (a) 加工しやすい寸法線 ★本来,( )内の寸法は不要であるが,これらの寸法が記述してあると,フライス盤の座標を設定する際,便利である。
(b) 作りやすさを考えた設計 例:R面取りは,C面取りよりも厄介な加工である。 加工方法を把握して,図面を描く!
(c) 思いやりのある図面 CADを使うと誰もが上手な図面を描けるようになる? 「わかりやすい図面」を自動的には作図してくれない!
(3) 環境にやさしい機械の設計 (a) 機械と環境 ★機械は地球環境を悪化させる? ★このような問題を解決するためにどのような方法があるのか?
(b) リサイクル設計 リサイクル 不要になった製品を新たに製作する製品の原料または部品として再利用する! 廃棄物(ゴミ)をできる限り少なくする機械設計!
★リサイクル設計の要点 樹脂部品の樹脂選択:一般に,樹脂材料は金属材料と比べて再利用が難しい。再利用が容易な樹脂材料を選択する。 分解性,取り外し性:製品の分解が容易な構造とする。 リサイクルのためのコスト・時間の低減:リサイクルのために多大なコストが必要であると,産業・事業として成り立たない。 資源消費量の削減:製品を完成させるまでに必要な資源消費量をできる限り少なくする。 廃棄物の削減:使用済みの製品から発生する廃棄物をできる限り少なくする機械設計が必要である。
(c) ライフサイクルアセスメント(LCA) 広範囲な環境への影響を評価 原料調達からリサイクルに至るまでの製品の流れを対象とした環境評価手法
課題② これからの時代は,地球環境保全とエネルギーの有効利用が重要となる。そのような観点から,新しい機械システムを考え,その具体的な構造を図面に表しなさい。また,使用方法並びに効果について,文章で説明しなさい。
9.3 もの作りのための機械設計 を目指して
(1) 考える機械設計 考えられるあらゆる方法(構造)を考える。 最初に思いついた方法がベストな方法とは限らない。 ある程度の時間をかけて,しっかりと考える。 幅広い知識と興味を持つ。
(2) 迅速な設計 機械設計や機械製図はできる限り短時間で終了させる。 JISなどの規格部品を積極的に利用する。 CADをうまく利用する。 多くの知識と工学的な「勘」を養う。 フリーハンド CAD図面
(3) 情報収集 機械技術の進化 設計者・技術者は,最新情報の収集に努力すること ★インターネットの活用 ★技術ニュース,書籍,論文・・・
(4) 手作り機械の勧め 実際の現場 設計→加工→実験・評価・・・の分業 手作り機械 設計からもの作りまで・・・ ★自らが考えた発想を「手作り」で製作することは,新たな発想を産む! ★その後の工学・工業技術の発展につながる!
期末テストについて(平成18年度後期) 日時:平成19年1月15日 16:10~17:40 持込許可:教科書,手書きのノート 日時:平成19年1月15日 16:10~17:40 持込許可:教科書,手書きのノート 持ち込みが望ましいもの:定規,コンパス 使用が認められないもの:携帯電話,パソコン,外部との連絡が可能なもの 相談不可,私語不可,教科書等の貸し借り不可
試験内容(仮) 問1 機械設計一般(20点) 機械設計や機械要素に関する用語の説明 問2 強度設計(20点) 問1 機械設計一般(20点) 機械設計や機械要素に関する用語の説明 問2 強度設計(20点) 許容応力や安全率に関する計算問題 問3 設計演習(30点) 自らで形状を考えて,機械図面を作図する。 問4 創造設計(30点) 考える問題(キーワード:環境,高齢化,安全・・・)
【問4「想像設計」の採点基準】 ・工学的な考え方が正しいか? ・発想・独創性(アイデア)があるか? (おもしろさだけではダメ。) ・課題をしっかりと考えているか? ・説明がされているか? (必要性,構造,特徴,効果) 【その他の採点基準】 ・文字の見やすさ(濃く,丁寧に) ・適切な文字数 ・今までの課題提出
本日の課題(アンケート) 今から配布するアンケートにお答えください。