本教材の利用について 本教材は、平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究「デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究」(請負先:国立大学法人大阪大学 知的財産センター)に基づき作成したものです。 本教材の著作権は、第三者に権利があることを表示している内容を除き、特許庁に帰属しています。また、本教材は、第三者に権利があることを表示している内容を除き、クリエイティブ・コモンズ.

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本教材の利用について 本教材は、平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究「デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究」(請負先:国立大学法人大阪大学 知的財産センター)に基づき作成したものです。 本教材の著作権は、第三者に権利があることを表示している内容を除き、特許庁に帰属しています。また、本教材は、第三者に権利があることを表示している内容を除き、クリエイティブ・コモンズ.
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本教材の利用について 本教材は、平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究「デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究」(請負先:国立大学法人大阪大学 知的財産センター)に基づき作成したものです。 本教材の著作権は、第三者に権利があることを表示している内容を除き、特許庁に帰属しています。また、本教材は、第三者に権利があることを表示している内容を除き、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。 本教材は、できる限り正確な情報の提供を期して作成したものですが、不正確な情報や古い情報を含んでいる可能性があります。本教材を利用したことにより損害・損失等を被る事態が生じたとしても、特許庁、国立大学法人大阪大学 知的財産センター及び執筆者は一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。                                   [本教材の利用に関するお問い合わせ先]                                    特許庁 審査第一部 意匠課 企画調査班                                    TEL:03-3581-1101(内線2907) デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

パート14 デザイン創作に関する その他のルールを知る パート14 デザイン創作に関する その他のルールを知る 「デザイナーが身につけておくべき知財の基本」 デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

デザイン創作に関するその他のルールを知る 目次 デザイン創作に関するその他のルールを知る 目次 14-01 肖像権とは 14-02 パブリシティ権とは 14-03 製造物に欠陥があった場合:製造物責任法 14-04 商品やサービスの品質、内容、価格の表示: 景品表示法 デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

CASE1 肖像権 ある映像クリエイターが、渋谷のスクランブル交差点を撮影した写真や動画を公開しようとしている。この場合に留意することは何か。 〔狙い〕 ・CASEを用いて議論する。 〔説明〕 ・CASE1における問題点を学生に検討させる際、次の事情をどのように考慮するか提示するとよい。 ①渋谷のスクランブル交差点で撮影した場合、一般的にどのようなものが写真や動画に写ると考えられるか ②写真や動画が公開された場合、誰が、どのような理由でその写真や動画にクレームをつける可能性があるか ③そのようなクレームを避けるために、事前に何か対策を取ることはできるか デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

CASE2 パブリシティ権 ある広告クリエイターが、著名人をオマージュ※した広告ビジュアルを作成しようとしている。この広告クリエイターは、どのようなことに配慮すればよいか。 〔狙い〕 ・CASEを用いて議論する。 〔説明〕 ・CASE2における問題点を学生に検討させる際、次の事情をどのように考慮するか提示するとよい。 ①著名人をオマージュした広告ビジュアルは、無限定に作成することができるか ②広告が公開された場合、誰が、どのような理由でその写真や動画にクレームをつける可能性があるか ③そのようなクレームを避けるために、事前に何か対策を取ることはできるか ※:尊敬するクリエイターの作品や作風に対して、敬意をもって自分の創作物に取り入れたり、似た作品を創作したりすること。 デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

CASE3 製造物責任法 A君がデザインしたサイクロン式扇風機は、洗練された形状が高い評価を受けていたが、しばらくすると商品購入者からクレームがきた。それは、連続使用すると装置が熱くなるというものであった。メーカーが調査したところ、発売前には発生しなかった症状であったため、A君も認識していなかったが、ある使用状況下では確かに高温になり、連続使用すると製品が故障することがわかった。誰がどのような責任を負うことになるか。 〔狙い〕 ・CASEを用いて議論する。 〔説明〕 ・CASE3において誰が責任を負うかを学生に検討させる際、次の事情をどのように考慮するか提示するとよい。 ①デザインをしたのはA君、扇風機を製作したのはメーカー ②故障する原因(使用状況)が販売前に発覚していなかったにもかかわらず、責任を問えるか デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

CASE4 景品表示法 デザイン学科のA君は、パッケージを扱うデザイナーになりたいと思っている。ある日、B先生から呼ばれ「飲料水メーカーの知人から依頼があったのだが、新商品のパッケージデザインについて手助けしてくれないか。果汁を使用していないけれども、今までになくフルーティーな味がする商品だそうだ。イチゴ味を売り出すそうなので、イチゴをイメージしたデザインがよいかな。」と言われた。A君は「購買者の視線をいかに引き付けるかが大切ですね。思わず手に取ってみたくなるような、みずみずしい採れたてのイチゴをイメージしたデザインにして、新鮮さをアピールしてみるのはいかがでしょうか。」と言った。A君はどのようなことに注意すべきか。 〔狙い〕 ・CASEを用いて議論する。 〔説明〕 ・CASE4における問題点を学生に検討させる際、次の事情をどのように考慮するか提示するとよい。 ①「みずみずしい採れたてのイチゴをイメージしたデザイン」は果実を使用していると誤解させないか ②実際に果実を使用していない商品に、果実を使用しているかのようなデザインをすることは誰が不利益を被るものか ③このようなデザインをすることは許されるかどうか デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

14-01 肖像権とは デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

14-01 肖像権とは 肖像権とは、私生活上の容姿や外観を無断で撮影されたり、撮影された写真や映像を無断で公開されたりすることで、社会通念上受け入れられないような精神的な苦痛を被らないように保護を受けることができる権利。 肖像権侵害が認められると、不法行為に基づく損害賠償請求や出版物等の差止請求が認められる。 CASE1の考え方 肖像権の対象 写真や映像等には色々なものが写り込む可能性があるが、肖像権が問題としているのは、個人の容貌・姿態である。 特定性・受忍限度 個人の容貌・姿態が写り込んだ写真・映像等で、それが誰であるかを特定できる場合には、肖像権者にとって社会生活上受忍の限度を超えていれば、肖像権を侵害するものと考えられる。 対策 個人を特定できないような写真・映像使用によって対応することなどが考えられる。 〔狙い〕 ・肖像権の概要を理解する。 ・どのような場合に肖像権侵害となるかを理解する。 〔説明〕 ・肖像権は、法律上認められている権利ではなく、判例法理として認められた権利である(最大判昭和44年12月24日刑集23巻12号1625頁等)。 ・肖像権侵害は、被写体となる人物が撮影された場所や撮影の方法等によって相関的に判断される。 →被写体の同意を得ない肖像権の使用であっても、肖像権を侵害するとは限らない。 ・肖像権は、人物についてのみ認められるため、映り込んだ物等には認められない。 ※ギャロップレーサー事件(最判平成16年2月13日民集58巻2号311頁)参照。 ・法廷内撮影事件(最判平成17年11月10日民集59巻9号2428頁) 「ある者の容ぼう等をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは、被撮影者の社会的地位、撮影された被撮影者の活動内容、撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性等を総合考慮して、被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである。……また、人の容ぼう等の撮影が違法と評価される場合には、その容ぼう等が撮影された写真を公表する行為は、被撮影者の上記人格的利益を侵害するものとして、違法性を有する」。 ・CASE1について、前提として各人の同意を得られれば肖像権侵害は発生しないが、現実的な解決方法ではないことを確認した上で、肖像権侵害かどうかが相関的な判断であるため、いくつかの判断要素を提示し、どのような結論となるかをそれぞれ検討させる。 ・撮影場所である渋谷の交差点をどのように考えるか →場所としては肖像権侵害が生じにくい ・撮影時間はどうか、朝昼夜のいつがよいか →多くの人が写っている時間帯と人が少ない時間帯のどちらが肖像権侵害のおそれが小さいか ・撮影方法をどのように考えるか →事前に告知していた場合はどうか →特定人をアップで撮影している場合はどうか →何か特別な行為をしている人物を撮影することはできるか デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

14-02 パブリシティ権とは デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

14-02 パブリシティ権とは パブリシティ権とは、著名人の氏名や容姿に備わっている顧客吸引力(顧客を商品やサービスなどに惹きつける力)を中心とする経済的な価値を保護する権利。 パブリシティ権の侵害が認められると、不法行為に基づく損害賠償請求や出版物等の差止請求が認められる。 CASE2の考え方 パブリシティ権の対象 著名人の肖像等は商品の販売等を促進する顧客吸引力を有しており、著名人にはこの顧客吸引力を排他的に利用できるパブリシティ権が認められている。 侵害判断 「肖像等を商品等の広告として使用するなど、専ら肖像等を有する顧客吸引力の利用を目的」(ピンク・レディ事件最高裁判決)とする場合には、パブリシティ権の侵害となる。 対策 著名人の顧客吸引力の利用を目的とするような行為は、パブリシティ権侵害に当たり得るため、事前に承諾を得ることなどが考えられる。 〔狙い〕 ・パブリシティ権の概要を理解する。 ・パブリシティ権の存在を踏まえた広告の制作方法を検討する。 〔説明〕 ・パブリシティ権は、一般人に認められる肖像権とは別に、有名人の氏名や肖像についての財産的利益を保護するものとして確立した。 ・パブリシティ権は、人格権として構成される(最判平成24年2月2日民集66巻2号89頁ピンクレディー事件)。 ・パブリシティ権は、著名人に対して認められる権利であるが、著名人かどうかの判断は曖昧な点がある(例えば横浜地判平成4年6月4日判時1434号116頁土井晩翠標識事件)。 ・パブリシティ権を侵害する場合について、最高裁は、ピンクレディー事件において、①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し、②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し、③肖像等を商品等の広告として使用するなど、専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合、と述べている。 ・CASE2については、オマージュであっても、著名人の肖像の顧客吸引力の利用に当たると考えられる。 ・商品化のための利用については、パブリシティ権侵害が発生する可能性が十分にあると考えられる。 ・CASE2について、次の観点で考えさせる。 ①広告が有名人の顧客誘引力を利用したものかどうか(最高裁が示した要件に該当するかどうか) ②パブリシティ権侵害の可能性がある場合、その広告をそのまま利用するかどうか(利用する場合は、有名人と交渉して利用を合意しておく必要がある) デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

14-02 パブリシティ権とは CASE2からの派生問題:写り込み 14-02 パブリシティ権とは CASE2からの派生問題:写り込み 渋谷の交差点での街頭インタビューを使用した映像コンテンツを制作しようとしている。このインタビュー映像では、インタビューを受けた女子高生のカバンについた人気キャラクターのマスコットキーホルダーが写り込み、さらに、屋外で流れている音楽も含まれてしまっている。 〔狙い〕 ・写り込みに関する議論について理解する。 〔説明〕 ・写り込みについては、法律上、定めのあるものとないものがある。 ・著作権については、権利制限規定である著作権法30条の2の適用を受けて、著作権侵害とならない場合がある。なお、故意に第三者の著作物を背景に利用するいわゆる「写し込み」は、30条の2の分離困難性や軽微性の要件を満たさず、30条の2により合法とはならない場合もあると考えられる。 ・肖像権、意匠、商標、物のパブリシティ権等については解釈に委ねられている。 ・肖像権については、従来の肖像権における議論で対応できるかどうかが議論されている。 ・意匠権については、意匠の実施といえるかどうかという点が検討の視点となる。 ・商標権については、商標的使用に該当するかどうかという点が検討の視点となる。 ・物のパブリシティ権についてギャロップレーサー事件(最判平成16年2月13日民集58巻2号311頁)参照。 デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

14-03 製造物に欠陥があった場合:製造物責任法 デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

14-03 製造物に欠陥があった場合:製造物責任法 14-03 製造物に欠陥があった場合:製造物責任法 製造物責任法(PL法)とは、製造物の欠陥によって人や物に被害が生じた場合に、製造業者等の賠償責任を定めるもので、被害者保護を目的としている。 製造物責任法が適用されるためには、「製造業者等」が製造した「製造物」の「欠陥」により人や物への拡大損害が生じている必要がある。 「欠陥」とは、製造物特性、通常予見される使用形態、製造業者等が製造物を引き渡した時期等の事情を考慮して、製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。例えば、取扱説明書中に、事故を未然に防ぐための指示や警告等が適切になされていたか、異常な使用によって事故が生じていないか等が考慮要素となる。 〔狙い〕 ・製造物責任法(PL法)の概要を理解する。 ・特に、製造業者には厳しい責任が課されていることについて理解する。 ・製造物責任法が適用される場合について理解する。 〔説明〕 ・製造物責任法とは、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とした法律である(製造物責任法1条)。 →被害救済を主な目的としており、被害者保護に厚い(⇔≒製造業者には厳しい)。 (製造物、製造業者であることを前提として) ・製品不良が製造物責任法上の欠陥に該当するかどうか。 ・欠陥について、販売当時の科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかった(4条1号)ことの可能性についてそれぞれ検討する。 ・製造物責任法が適用される場合 「製造業者等は、その製造…をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したとき」(3条) 製造業者→2条3項 製造物→2条1項 欠陥→2条2項 ・製造物責任法が適用されない場合 2条の要件に該当しない場合 4条の免責事由に該当する場合 デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

14-03 製造物に欠陥があった場合:製造物責任法 14-03 製造物に欠陥があった場合:製造物責任法 CASE3の考え方 「製造業者等」について デザインをしたのはA君、扇風機を製作したのはメーカーである事実をどう評価するか。 「欠陥」について 高温になり、故障する原因(使用状況)が販売前に発覚していなかったにもかかわらず、責任を問えるか。 対策 ・製品開発のプロセスにデザインのレビューを組み込む。 ・PL保険(生産物賠償責任保険)に加入する。 〔狙い〕 ・製造物責任法(PL法)について、CASEの考え方を通じて理解する。 〔説明〕 ・CASEを題材に、各要件のあてはめを検討する。いずれも具体的な事例によるところが多いが、少なくともデザインをしただけのA君が製造業者等と評価されることは少ないように考えられる。 ・製造物責任の問題を回避するための対策についても検討する。メーカーとのデザインに係る契約にあたり、製造物責任の所在を明確にすることも考えられる。 デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

14-04 商品やサービスの品質、内容、 価格の表示:景品表示法 デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)

14-04 商品やサービスの品質、内容、価格の表示:景品表示法 14-04 商品やサービスの品質、内容、価格の表示:景品表示法 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)とは、不当な顧客誘引を禁止することで消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害する行為を制限し、一般消費者の利益保護を目的とするもの。 不当表示として、優良誤認表示、有利誤認表示、その他誤認されるおそれがある表示をそれぞれ禁止している。 CASE4の考え方 無果汁清涼飲料水の容器に、無果汁であることを記載しないで果実が入っているかのような写真や絵を表示した場合には、一般消費者が果汁入りの清涼飲料水であると誤認するおそれがあるため、「無果汁」など原材料に果汁等が使用されていないことを明瞭に記載しないと不当表示となる。また、「無果汁」等の記載方法についても具体的な運用基準があり、その基準を満たす必要がある。 〔狙い〕 ・景品表示法の概要を理解する。 ・特に、景品表示法が問題とする表記について理解する。 ・景品表示法が適用される場合について理解する。 〔説明〕 ・正確な名称は「不当景品類及び不当表示防止法」である。 ・景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限することなどにより、消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ることが目的である。 ・例えば、景品表示法5条3号は、一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定する表示を禁止している。 ・違反した場合、排除措置命令、課徴金等の制裁が存在する。 ・CASE4のような無果汁の清涼飲料水については、景品表示法5条3号の規定に基づく告示である「無果汁の清涼飲料水等についての表示」が存在し、原材料に果汁又は果肉が使用されていない清涼飲料水等について、原材料に果汁等が全く使用されていない旨が明りょうに記載されることなく行われる次のような表示を不当表示として規定している。 (1)当該清涼飲料水等の容器又は包装に記載されている果実の名称を用いた商品名等の表示 (2)当該清涼飲料水等の容器又は包装に掲載されている果実の絵、写真又は図案の表示 (3)当該清涼飲料水等又はその容器若しくは包装が、果汁、果皮又は果肉と同一又は類似の色、香り又は味に着色、着香又は味付けがされている場合のその表示 ・CASE4においては、A君は(2)に該当するデザインを提案しているということになる。 (必要に応じて告示を配布し、どれに当てはまるか学生に考えさせてもよい。) デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 (平成28年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究)