第8回 商法Ⅱ        2006/11/27 2018/11/8.

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第6回 NPO法人が設立したら 設立する前に ・・・
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システム監査学会・監査基準分科会 合同研究会 平成19年4月6日 公認会計士・公認システム監査人 藤野正純
上級アドミニストレータ連絡会 関西研修会 平成18年11月25日 公認会計士・公認システム監査人 藤野正純
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「不 当 利 得」 の 構 造 債権 第一章 総則 第二章 契約 第三章 事務管理 第四章 不当利得 第五章 不法行為.
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第10回 商法Ⅱ 2006/12/11.
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NSC-ITCセンター会則 第1条(名称) 本会は「NSC・センター」と称する。 第2条(本部)
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第8回 商法Ⅱ        2006/11/27 2018/11/8

前回の内容 取締役 取締役の違法行為を是正する方法 株主代表訴訟 取締役の会社に対する責任 過失責任 経営判断の法則 取締役と会社との関係  過失責任  経営判断の法則 取締役と会社との関係  善管注意義務・忠実義務 取締役の第三者に対する責任 2018/11/8

チェックも大切な仕事 Aは、甲社の取締役を務めていたが、甲社は、代表取締役Bの乱脈経営により倒産した。 甲社の債権者Cは、甲社の倒産により自分は債権を回収できず損失を被ったが、それは、取締役であるAらがBの監督義務を怠ったためだと、損害賠償を求める訴えを起こした。 2018/11/8

チェックも大切な仕事 甲社の債権者Cは、甲社の倒産により自分は債権を回収できず損失を被ったが、それは、取締役であるAらがBの監督義務を怠ったためだと、損害賠償を求める訴えを起こした。 Aは、Bの業務執行について取締役会で採り上げられたことがなかったため、それをただす方法はなかったとして反論した。 2018/11/8

従来の取締役会の権能 株主総会 取締役会 代表取締役 企業の所有と経営の分離 取締役の選任・解任 株主は、株主総会において会社の基本的事項に関する意思決定に参加 株主総会 企業の所有と経営の分離 取締役の選任・解任 取締役会 会社の業務執行については経営の専門家である業務執行機関に委ねている 法は業務執行機関をさらに取締役会と代表取締役に二分 業務執行に関する意思決定代表取締役の監督 選任・解任 代表取締役 業務執行 対外的代表 2018/11/8

取締役と会社の関係 派生 損害賠償責任(任務を怠った責任) 2018/11/8

適正に会社経営を行うためのシステムをつくる 取締役の一般的義務 監視義務 内部統制システム構築義務 2018/11/8

監視義務 取締役会 上程されていない事項は? 職務執行の監督 職務執行の状況 取締役 2018/11/8

内部統制システム構築義務 業務の有効性・効率性 財務諸表の信頼性 関連法規の遵守 保証する体制 2018/11/8

同じ仕事をするときには届出が必要 甲社はチョコレートの製造・販売を行っていた。Aは甲社の取締役であったが、資金を出すので、甲社で獲得したノウハウを生かして、別にチョコレート会社を経営してみないかと、知人に誘われた。 Aは甲社の取締役をやめるつもりはないが、知人の話にも心ひかれるものがある。どうすればよいか。 (競業及び利益相反取引の制限) 第356条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取 引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。 一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取 引をしようとするとき。 二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。 三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間 において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。 2 民法第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項第二号の取引につい ては、適用しない。 教科書69 2018/11/8

競業避止義務 営業秘密 ノウハウで会社経営してみる? A取締役 甲社 取引先 2018/11/8

競業避止義務 会社が現に行っている事業または将来行う事業を、企業の秘密に接近できる取締役がなすことは、会社に損害を与えるとともに、当該取締役が不当に利益を得てしまうため、これを防止する 2018/11/8

会社と競業取引を行う場合 競業取引 重要な事実開示 株主総会 取締役会 2018/11/8

取締役は会社から利を貪るなかれ Aは、所有している不動産がバブル崩壊後価値を失い、買い手が見つからなかったので、自己が取締役を務める甲社に購入してもらうことにした。 2018/11/8

取締役は会社から利を貪るなかれ その際の売値はバブル期のもので、現在の価値からすれば法外なものであった。取締役と会社との間の、このような取引が、果たして許されるのだろうか。 2018/11/8

利益相反取引 会社と利益が対立するような取引 会社の利益の犠牲のもとに、取締役が不当な利益を得る可能性が高いため、これを防止する 直接取引 (競業及び利益相反取引の制限) 第356条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。 一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。 二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。 三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。 2 民法第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項第二号の取引については、適用しない。 間接取引 2018/11/8

利益相反取引 直接取引 A 甲社 甲社の取締役 1000万円 損失500万円がチャラ 1000万円 時価500万 泣く泣く損失600万円 利益相反取引 直接取引 1000万円 A 甲社 甲社の取締役 損失500万円がチャラ 1000万円 時価500万 泣く泣く損失600万円 2018/11/8 400万円

利益相反取引 間接取引 取締役 主債務者 保証人 2018/11/8

会社と利益相反取引を行う場合 利益相反取引 重要な事実開示 株主総会 取締役会 2018/11/8

利益相反取引 直接取引 1000万円 A 甲社 取締役 承認 2018/11/8

取締役の会社に対する責任 従来、無過失責任 不注意がなくても負う責任 過失責任 利益相反取引 競業取引 2018/11/8

お手盛り防止のために 甲社では、取締役の報酬は、創業以来、代表取締役が決める慣行になっていた。甲社の株式を譲り受け、新たに株主となったAは、そんな慣行に対して疑問を投げかけ、「深刻な不況が続くなか、会社の合理化の一環として、取締役の報酬も見直そう。そのためには、株主総会で報酬を決めるべきだ」と訴えた。Aの主張は正当か。 2018/11/8

取締役の報酬 業務執行 取締役又は取締役会 がんばった! 自分へのご褒美 会社の利益を損なう危険 2018/11/8

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