グループ演習における コンピテンシ向上のための 改善策の提案

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グループ演習における コンピテンシ向上のための 改善策の提案 グループ演習における コンピテンシ向上のための 改善策の提案 静岡大学 情報学部 情報科学科 ISプログラム 7021-0036 佐藤 洋志

目次 研究の背景 研究の目的 結果 IT人材とコンピテンシ コンピテンシの現状 役割 コンピテンシ評価の方法 コンピテンシ評価の結果 学習意欲調査 行動キーワード集

IT業界の現状 ITへの期待の高まり IT人材の不足 90.8%の企業で IT人材が不足している 新たな価値の創出 競争力の強化 新たな事業やサービス を生み出すための 事業部門との協業や支援 IT人材の量的不足感 情報システムの成長に伴って、ITに新たな価値の創出や、競争力の強化への期待が高まっています。 しかし、期待が高まっているITに対して、IT企業ではIT人材が不足しています。 業務プロセスの変革 現行ビジネスの拡大 拡充のための 新たな販路や顧客開拓支援 90.8%の企業で IT人材が不足している (2014年度調査) 新たな価値の創出 競争力の強化

社会や組織の目標に適合する方向で スキルを発揮させる人間特性 コンピテンシ 能力的 コンピテンシ 技術能力的 コンピテンシ 非技術能力的 コンピテンシ 非能力的 コンピテンシ 行動特性 心理特性 スキル(技術力) 技術要素 開発技術 管理技術 パーソナルスキル ビジネススキル 本研究における コンピテンシ 人間性(人間力) 対人関係力 自己表現力 共感力 IT人材に求められる能力は、知識やスキルといった技術力だけでなく、コミュニケーション力などの人間力も求められています。 このような考え方をコンピテンシといい、コンピテンシは、技術力である能力的コンピテンシと、人間力である非能力的コンピテンシに分けられます。 コンピテンシは、社会や組織の目標に適合する方向でスキルを発揮させるために必要です。 本研究では、非能力的コンピテンシの行動特性をコンピテンシと定義します。 自己認識力 ストレス共生 気力創出 社会や組織の目標に適合する方向で スキルを発揮させる人間特性

コンピテンシの現状 注目を集めている 測定が難しい 向上の過程が判明していない PISA2015 協調問題解決(OECD) iコンピテンシディクショナリ(IPA) 社会人基礎力(経済産業省) コンピテンシは、PISA2015で実施された協調問題解決や、iコンピテンシディクショナリ、社会人基礎力など取り上げられ、注目を集めています。 しかしながら、コンピテンシは測定が難しく、向上の過程が判明していないのが現状です。 測定が難しい 向上の過程が判明していない

吉川(2014)による研究 グループワークでの役割と コンピテンシ向上の関係を分析した。 学習の記録の記述を CPSスキルズフレームワークに当てはめて 点数化してコンピテンシ評価を実施した。 昨年度の湯浦研究室の吉川さんの研究ではグループワークでの役割とコンピテンシ向上の関係を分析しました。 ISプログラム2年のWebシステム設計演習で、学習の記録の記述をCPSフレームワークに当てはめて点数化することでコンピテンシを評価しました。 Webシステム設計演習(静岡大学情報学部ISプログラム2年後期必修科目) 受講生 レポート CPSフレームワーク コンピテンシ 評価 A1 A2 A3 B1 B2 B3 C1 C2 C3 D1 D2 D3 行動に基づいた記述

CPSスキルズフレームワーク PISA2015における協調問題解決の枠組み 共通理解、問題解決、チームワークの能力 CPSスキルズフレームワークとは、PISAで実施された協調問題解決での枠組みで、共通理解の構築、問題解決への行動、チームの運営の能力について定められています。 PISA(Programme for International Student Assessment)

研究の目的 コンピテンシを向上させるための 改善策を提案する 数値による コンピテンシ 評価 役割の 特徴の 分析 改善策の 提案 評価 吉川(2014)による成果 本研究の対象 数値による コンピテンシ 評価 役割の 特徴の 分析 改善策の 提案 評価 コンピテンシ向上に効果的な方法の解明 吉川さんの研究によって、数値によるコンピテンシの評価と、評価結果について役割ごとに特徴が分析されました。 本研究ではそれを踏まえて、コンピテンシを向上させるための改善策を提案することを目的としています。 コンピテンシを向上させるための 改善策を提案する

役割の調査 「情報システム基礎演習」 「Webシステム設計演習」 静岡大学 情報学部 情報システムプログラム 2年前期 必修科目 2年後期 必修科目 役割アンケート コンピテンシの向上について役割ごとの特徴を探るために、コンピテンシを評価する前に個人の役割を調査しました。 役割の調査はISプログラム2年の情報システム設計演習で行いました。 情報システム基礎演習もWebシステム設計演習もどちらもグループで情報システムを企画設計します。 また、情報システム基礎演習の受講者はWebシステム設計演習を受講するので、情報システム基礎演習で調査した役割を基に、Webシステム設計演習でコンピテンシを評価しました。 受講者 役割アンケートで 役割を調査する 「情報システム基礎演習」の受講者が「Webシステム設計演習」を履修する コンピテンシを評価して役割ごとに分析する

役割一覧 リーダー 全体方針・計画に基づき進捗をチェックし、 メンバーに作業を指示した。 実務エキスパート 説 明 リーダー 全体方針・計画に基づき進捗をチェックし、 メンバーに作業を指示した。 実務エキスパート 専門的なタスクをもっぱら1人で専従担当した。 調整役 打ち合わせなどでメンバー間の意見を調整して、 グループ活動が円滑に進むよう采配をふるった。 作業者 作業の一部を担当したのみで、 議論にあまり積極的に参加しなかった。 フリーライダー 作業や議論にはほとんど関与しなかった。 役割は、リーダー、実務エキスパート、調整役、作業者、フリーライダーの5つです。 回答者自身とグループメンバーからの回答を総合して役割を決定しました。

グループ編成 調整役(バランス群) 調整役(調整群) 役割を調査した結果、リーダーを各グループに配置できませんでした。 実務エキスパート 調整役 作業者 フリーライダー 役割なし A1 1 A2 A3 2 A4 A5 3 A6 A7 B1 B2 B3 B4 B5 B6 B7 合計 9 14 28 16 4 調整役(バランス群) 役割を調査した結果、リーダーを各グループに配置できませんでした。 そのため、赤で囲んだリーダーがいるグループの調整役を調整役(バランス群)とし、緑で囲んだリーダーがいないグループの調整役を調整役(調整群)としました。 また、Webシステム設計演習はAとBの二つの教室にわかれて行います。青い着色部分のAの教室で学生を観察して主観的に評価しました。 調整役(調整群)

コンピテンシ評価の方法 学習ジャーナル 学習目標設定 演習実績 学習目標 1記述につき1ポイント 実績と成果 気づき/振り返り コンピテンシ評価は、学習目標設定と演習実績の面から実施しました。 学習目標設定では、学習ジャーナルの学習目標の欄について評価しました。 CPSフレームワークに当てはまる記述は1つにつき1ポイントとしました。 演習実績では、学習ジャーナルの実績と成果、きづき振り返りの欄について評価しました。 CPSフレームワークに当てはまる記述について、記述のレベルによってポイントを決めました。 レベル ポイント ラベル 低   1 未達自覚 他者行動評価 中   2 改善策立案 行動意思 改善意思 リフレクション 高   3 達成自己評価 気づき/振り返り 分からなかった用語

授業の流れと評価のタイミング Webシステム設計演習(静岡大学情報学部ISプログラム2年後期必修科目) このコンピテンシ評価を2回実施して、役割とコンピテンシ向上の関係を分析しました。

結果 リーダー(5) 実務エキスパート(7) 全体平均(35) 調整役(バランス群)(4) 調整役(調整群)(9) 作業者・フリーライダー(10) コンピテンシ評価の結果です。 グラフは、1回目の学習ジャーナルと2回目の学習ジャーナルの合計のコンピテンシポイントの推移を示しています。 これを見ると、リーダーと実務エキスパートとは、2回とも全体平均よりも高い点数を取っています。 また1回目から2回目の伸びである傾きを見ると、調整役が最も成長しています。 作業者とフリーライダーは成長が低い結果となりました。

リーダー 0.2 1.2 0.8 1 1.6 1.4 4 学習ジャーナル②のポイント(上)と①からの伸び(下) コンピテンシの 安定した発揮 ( D ) 観察と省察 (2)問題解決 への適切な行動 (1) 共通理解の 構築・維持 (2) 問題解決への適切な行動 (3) チーム組織の構築・維持 (A) 探索と理解 0.2 ±0 1.2 -0.2 0.8 (B) 表象と定式化 1 1.6 -0.6 1.4 +0.6 (C) 計画と実行 -2.2 -1.0 +0.8 (D) 観察と省察 4 +3.4 +0.2 リーダーはグラフで見た通り、安定してコンピテンシを発揮できています。また、(D)観察と省察で高いポイントをとっています。 この結果は去年も得られているので、リーダーは、コンピテンシを安定して発揮でき、活動の成果について振り返ることができる特徴があると考えられます。 また、(2)問題解決への適切な行動のポイントも高く、問題解決のためにチームを引っ張っていると考えられます。 一方で、(1)共通理解の構築・維持に改善の余地があります。これは議事録などの記録を取らせることが必要だと考えます。 (1)共通理解の 構築・維持 (D3)の伸び 議事録などの記録 をとらせる

実務エキスパート 学習ジャーナル②のポイント(上)と①からの伸び(下) コンピテンシの 安定した発揮 (3)チーム組 織の構築・維持 (B)表象と定式化 (D)観察と省察 (1) 共通理解の 構築・維持 (2) 問題解決への適切な行動 (3) チーム組織の構築・維持 (A) 探索と理解 0.429 +0.429 1 -0.429 0.857 ±0 (B) 表象と定式化 0.714 +0.486 1.714 -0.143 +1.143 (C) 計画と実行 -0.714 0.571 -0.286 1.429 -1.142 (D) 観察と省察 1.286 +0.143 4 +1 2.429 +2 実務エキスパートもグラフで見た通り、安定してコンピテンシを発揮できています。また、(3)チーム組織の構築・維持で高いポイントをとっています。 この結果は去年も得られているので、実務エキスパートは、安定してコンピテンシを発揮でき、グループ内での役割をつかむのが得意という特徴があると考えられます。 一方で、リーダーと同様に(1)共通理解の構築・維持に改善の余地があります。議事録などの記録を取らせることが必要だと考えます。 (1)共通理解の 構築・維持 議事録などの記録 をとらせる

調整役(バランス群) 0.75 1 0.25 2.5 1.75 2.25 3 学習ジャーナル②のポイント(上)と①からの伸び(下) コンピテンシの 堅調な育成 (1)共通理解 の構築・維持 (3)チーム組 織の構築・維持 (1) 共通理解の 構築・維持 (2) 問題解決への適切な行動 (3) チーム組織の構築・維持 (A) 探索と理解 0.75 +0.75 1 -0.5 0.25 -0.25 (B) 表象と定式化 ±0 2.5 1.75 +1.25 (C) 計画と実行 +0.25 2.25 (D) 観察と省察 -1.5 3 +1.75 調整役はグラフで見た通り、演習を通して最も成長しています。 また、(1)共通理解の構築・維持(3)チーム組織の構築・維持で高いポイントをとり、(2)問題解決への適切な行動に改善の余地があります。 この結果は去年も得られているので、調整役は、グループで活動する能力は高いが、問題解決のための行動が少ないという特徴があると考えられます。 問題点を整理させるなど、問題解決のために主体的に行動させることが必要だと考えます。 (2)問題解決へ の適切な行動 問題解決の中心と して活動させる

調整役(調整群) 学習ジャーナル②のポイント(上)と①からの伸び(下) コンピテンシの 堅調な育成 (1)共通理解 の構築・維持 (3)チーム組 織の構築・維持 (1) 共通理解の 構築・維持 (2) 問題解決への適切な行動 (3) チーム組織の構築・維持 (A) 探索と理解 0.444 +0.444 0.778 -1 +0.333 (B) 表象と定式化 2.111 -0.111 1.778 +0.778 (C) 計画と実行 -0.778 0.111 (D) 観察と省察 1 +0.667 2.333 +0.555 1.222 +1.222 本研究では調整役を、バランス群と調整群にわけました。 その結果、バランス群も調整群も同じ特徴がでましたが、バランス群の方が調整群よりも高いポイントをとる結果となりました。 調整役はさまざまな役割の中にいたほうが能力を発揮できることがわかりました。 (2)問題解決へ の適切な行動 問題解決の中心と して活動させる

作業者・フリーライダー 学習ジャーナル②のポイント(上)と①からの伸び(下) (3)チーム組 織の構築・維持 (D)観察と省察 (1) 共通理解の 構築・維持 (2) 問題解決への適切な行動 (3) チーム組織の構築・維持 (A) 探索と理解 ±0 0.3 -0.7 0.4 -0.4 (B) 表象と定式化 -0.2 1 +0.2 1.1 +0.1 (C) 計画と実行 0.1 -0.8 0.9 0.5 (D) 観察と省察 1.2 +0.9 2.2 -0.6 2.5 +2 作業者とフリーライダーはグラフで見た通り、演習を通しての成長が低い結果となりました。 この結果は去年も得られているので、作業者とフリーライダーはコンピテンシが低いという特徴があると考えられます。 しかしながら、(3)チーム組織の構築・維持のポイントが増加しており、チームでの自分の役割を理解できるようになっています。 また、(D)観察と省察のポイントが増加しており、成果について振り返りができるようになっています。 これは出だしが遅いものだと考えられます。なので、グループ内での役割を早い段階で確立する必要があると考えます。 コンピテンシ向上 の低さ 出だしを早める グループ内での役 割を確立する

ARCSモデルを基にした測定ツールを使用 意欲調査 ARCSモデル 学習意欲は以下の要素から構成される。 Attention(注意) Relevance(関連性) Confidence(自信) Satisfaction(満足感) ARCSモデルを基にした測定ツールを使用 コンピテンシ評価に加えて、授業への意欲調査も実施しました。この調査は、ARCSモデルに基づく調査です。 ARCSモデルとは、学習意欲が注意、関連性、自信、満足感の4つの要素に分類できるという考え方です。 このモデルを基に学習意欲を測定するツールがあり、本研究でもそのツールを利用しました。

教材の学習意欲調査 意欲調査の結果です。意欲調査はコンピテンシ評価と同じタイミングで実施しました。 このグラフは1回目の意欲調査から2回目の意欲調査にかけて各項目の推移を示しています。 これを見ると、リーダーがの自信が高いこと、作業者とフリーライダーの満足感が増加していることがわかります。 リーダーが自信をもってグループを引っ張っていること、作業者とフリーライダーの出だしが遅いことが裏付けられたと考えられます。

行動キーワード集 受講生 レポート CPSフレームワーク コンピテンシ 評価 A1 A2 A3 B1 B2 B3 C1 C2 C3 D1 行動に基づいた記述 コンピテンシを評価した際に、ポイントを付与した記述を行動キーワードとして保存しました。 吉川さんの研究では、CPSフレームワークの各項目に当てはまる行動キーワードをまとめた、行動キーワード集が作成されました。 その行動キーワード集に、今回の実験で得られた行動キーワードを新たに追加することができました。それを赤字で示しています。 行動キーワード

結論 役割ごとの特徴が明らかになった 行動キーワード集の充実 リーダー、実務エキスパート (安定したコンピテンシの発揮ができる) リーダー、実務エキスパート (安定したコンピテンシの発揮ができる) 調整役 (堅調なコンピテンシの育成ができる) 作業者・フリーライダー (出足のフォローが必要) 行動キーワード集の充実 本研究の結論です。 分析実験を2年続けて実施したことで、役割ごとの特徴が明らかになってきました。 また、調整役はさまざまな役割の中でこそ能力が発揮できることがわかりました。 さらに行動キーワード集に新たな行動キーワードを追加することができました。

今後の課題 コンピテンシ評価の評価 改善策の評価 コンピテンシ向上と成果物の質の関連 行動キーワード集のさらなる充実 今後の課題として,コンピテンシ評価がどの程度現実的かを評価すること、本研究での改善策の効果を測定すること、さらにコンピテンシの向上が成果物の質の向上につながっているかを評価する必要があります。 そのためには,行動キーワード集を充実させ,コンピテンシ評価の基準として確立する必要があります。 これによって評価にかかる時間を短くすることができるだけでなく、評価を実施する人が違っても同じ結果を得るために必要です。