2011.6.30 日本・東北の復興ヴィジョン 法政大学学事顧問        清成忠男.

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受付番号 平成 23 年度 東北復興に向けた地域ヘルスケア構築推進事業 (被災地域における医療・介護周辺サービスの提供拠点整備の推進及び医療情報 等の共有システムの推進のための調査事業) 提案書 事業区分 イ-2:被災地における医療情報等の共有等を可能にするシステム の推進の調査事業 (被災地での地域医療提供体制の再構築のための情報通信技術の活用の在り方、
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● 計画のポイント ・富山県及び全市町村が一体となって、「環境・エネルギー関連産業」、「ものづくり関連産業」、 「医薬・バイオ・健康生活関連産業」、「情報サービス関連産業」、「物流関連産業」の企業の 立地促進並びに新たな成長産業の育成を目指す。 ・立地企業をきめ細かくバックアップする体制を構築する。(「オーダーメイド型」支援)
2.一極集中と多極分散. 連携の在り方 都市の発生 分業の発生規模の経済 ・地域特化の経済 ・都市化の経済 集積 大都市の形成.
井手 鑑人 岡村 佳祐 中嶋 仁 橋本 佳奈.  生活水準の向上には、物価上昇しないことが関係  衣料費の場合 ファストファッションブランドが多数誕生  その背景には 安価 安価 良質 安い労働力を提供する中国などの発展途上国が役割担う安い労働力を提供する中国などの発展途上国が役割担う.
受付番号 平成 23 年度 東北復興に向けた地域ヘルスケア構築推進事業 (被災地域における医療・介護周辺サービスの提供拠点整備の推進及び医療情報 等の共有システムの推進のための調査事業) 提案書 事業区分 イ-1:被災地における医療情報等の共有等を可能にするシステム の推進の調査事業 (平成22年度医療情報化促進事業の検討内容を踏まえ、被災地において被災.
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階級区分図の作り方 教科書P239 統計数値の最大値と最小値に注目して4~6階級に区分する 順次左click する 人口密度(人/k㎡)
しごと創生:農林水産品の輸出拡大等の農林水産分野
企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律
クロスSWOT分析 社外 社内 (顧客、市場、競合、 マクロ環境) (自社) O:機会 T:脅威 S:強味 課題:S×O 課題:S×T
○○圏域 新たな広域連携促進事業概要 ※連携する市町村を黄色で着色した地図を 添付 圏域市町村 圏域人口 主要産業 圏域面積 圏域の特長
地方創生に向けた自治体SDGs推進事業 平成30年度予算案5億円(平成30年度からの新規事業) 実施期間:平成30年度~(新規)
自治体名を記入してください。 【自治体名】の 教育の情報化について 自治体名と部門名 を 記入してください。 ○○教育委員会 ○○
資料2 立地推進体制について(案) 平成23年7月26日.
公募期間 平成30年10月1日(月)~平成30年10月31日(水)
在宅医療施策の取組状況と今後の展開(案)
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+ うつのみや産業振興ビジョン【概要版】 7章 施策の展開と支援体制の形成 1章 産業振興ビジョンの基本的な考え方について
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五所川原市、つがる市、鰺ヶ沢町、深浦町、鶴田町、中泊町
2006. 9. 29 地域経済の展望と革新的企業        法政大学学事顧問               清成 忠男.
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令和元年度 商工労働施策について 施 策 目 標 主 要 施 策 基 本 姿 勢 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 海外ビジネス 創業・ベンチャー 事業承継
産 業 振 興 計 画( 成 長 戦 略 ・ 221の地域アクションプラン )の 推 進
中山間地の環境保全と集約型農業の促進を目的とした
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2011.6.30 日本・東北の復興ヴィジョン 法政大学学事顧問        清成忠男

は じ め に 「震後」経済史の始まりか? 従来の構造問題こそ重要 東北を日本復興のモデルに あらためて地域・産業ヴィジョンを は じ め に 「震後」経済史の始まりか?  従来の構造問題こそ重要 東北を日本復興のモデルに あらためて地域・産業ヴィジョンを 地域イノベーションの推進 地域主権の重視 県、市町村、住民の調整が問題

1 東北圏復興ヴィジョン (1) 道州制を視野に東北圏として整備 骨太のインフラ整備 南北に第2国土軸、東西に複数の連携軸 (2) 地域創生 1 東北圏復興ヴィジョン (1) 道州制を視野に東北圏として整備 骨太のインフラ整備    南北に第2国土軸、東西に複数の連携軸 (2) 地域創生 圏内の多極分散と連携、「有事」制御型へ 定住圏のネットワーク化、地域間連携 (3) 東北圏の独自性創出 食料基地、再生エネルギー拠点、 基幹部品拠点、地域福祉モデルなど

2 復興の担い手 (1) 3つのセクターの役割 企業セクター(市場で活動)復興段階で重要 政府セクター(市場の失敗を補完) 2 復興の担い手 (1) 3つのセクターの役割 企業セクター(市場で活動)復興段階で重要 政府セクター(市場の失敗を補完) 非営利セクター(市場・政府の失敗を補完) (2) 市場機能を最大限に活かす 国の介入は不可欠(特区、規制緩和など) 新しいインフラ整備が多様に必要 (3) ボランティア活動の重要性(特に初期) (4) セクター間の協力

3 東北地方の特徴 (1) 人口減少社会の先取り 高齢者比率の上昇(2010年25.5%) 工業は分散立地、一部に基幹部品企業 3 東北地方の特徴 (1) 人口減少社会の先取り    高齢者比率の上昇(2010年25.5%) 工業は分散立地、一部に基幹部品企業 (2) 東北3県(岩手、宮城、福島)の特徴 多い人口減少市町村 低所得は沿海部と内陸中山間地域 (3) 漁業は長期的縮小傾向 東日本5県の漁獲量シェアは18%(2009年) 漁民の多くは自営業、高齢者、後継者難

人口減少市町村の動向 県 市町村総数 人口減少 市町村数 減少率5%以上 市町村数 岩 手 35(100 ) 33(94.5) 表1   県 市町村総数 人口減少  市町村数 減少率5%以上    市町村数 岩 手 35(100 ) 33(94.5) 27(77.1) 宮 城 36(100) 28(77.8) 16(41.4) 福 島 59(100) 52(88.1) 32(54.2) 資料:総務省「国勢調査」  (注) 減少率5%以上は 2005~2010年の減少率 (  )内は構成比

組立産業の集積状況(2009年) (億円) 表2 地 域 事業所数 出荷額 地 域 1 愛 知 6755 172326 栃 木 1430 組立産業の集積状況(2009年) (億円) 表2 地 域 事業所数 出荷額 地 域 1 愛 知 6755 172326  9 栃 木 1430 35448 2 静 岡 3827  72811 10 群 馬 2028 34051 3 神奈川 4159  66941 11 東 京 4592 33780 4 兵 庫 2668  51106 12 福 岡 1210 30642 5 埼 玉 3956 13 茨 城 1651 29457 6 大 阪 5745  45357 14 滋 賀  827 27454 7 三 重 1242  38621 15 長 野 2403 27069 8 広 島 1780  37196 16 福 島 1273 21073 表 3 と同じ

都道府県別漁獲量 千t 順位 地 域 2005年 2009年 増減率 1 北海道 1282(28.8) 1331(32.1) 3.8 2   都道府県別漁獲量       千t 表3 順位 地 域 2005年 2009年 増減率 1 北海道 1282(28.8) 1331(32.1)   3.8 2 長 崎  305( 6.8)  274( 6.6) △10.2 3 宮 城  279( 6.3)  229( 5.5) △17.9 7 青 森  161( 3.6)  152( 3.7) △ 5.6 8 茨 城  241( 5.4)  148( 3.6) △38.6 9 岩 手  145( 3.3)  134( 3.2) △ 7.6 13 福 島  106( 2.4)   84( 2.0) △20.8 東日本5県計  932(20.9)  747(18.0) △19.8 全  国 4457(100) 4151(100) △ 6.9 % 資料:表3と同じ  (注) (  )内は構成比

4 復興の加速化 (1) クラスターでイノベーション推進 産学官連携、国際競争力の強化 (2) 新手法としてのクラスタリング(一括化) 4 復興の加速化 (1) クラスターでイノベーション推進 産学官連携、国際競争力の強化 (2) 新手法としてのクラスタリング(一括化)    既存事業と新事業のクラスタリング    イノベーション力の強化    オープン・イノベーションの展開    異質の高度人財の集積と交流 (3) インテグレイター(ハブ企業)のリーダーシップ    経済団体の横断的連携

5 多様なクラスターの展開 (1) 食品クラスター 農商工連携を超えて、食関連産業の集積を (2) 基幹部品クラスター 5 多様なクラスターの展開 (1) 食品クラスター 農商工連携を超えて、食関連産業の集積を (2) 基幹部品クラスター スーパーモジュール供給拠点 (3) エネルギー・クラスター 再生エネルギー拠点、スマートグリッド整備 (4) 地域福祉クラスター 地域レベルで医療と介護を統合 (5) 森林クラスター

食品クラスターのイメージ (1) 食関連産業の集積を形成 拠点(ハブ)と周辺農業・漁業のネットワーク 産学連携で製品・製法の開発 参考 1 (1) 食関連産業の集積を形成    拠点(ハブ)と周辺農業・漁業のネットワーク    産学連携で製品・製法の開発    企業家風土の形成 (2) インテグレイター(ハブ企業)の重要性    構想・戦略・展開のリーダー    業種横断的プラットフォームー組織 (3) 独自のクラスターを複数形成    全体として日本一の実力を目指す

食品産業クラスターのサプライチェーン 農 業 漁 業 水産養殖 卸 売 小 売 肥料 農業関連 サービス 農産物加工 農業用機械 飲食店 農  業 農産物加工 農業用機械 飲食店 卸 売 小 売 食 品 加工 機 械 飼料  消費者 大学・研究所 造船・修理 漁  業 水産養殖 水産物加工

新しい地域福祉モデルノイメージ (1) 地域レベルで医療と介護を統合 日本版Integrated Healthcare Network 参考 2 (1) 地域レベルで医療と介護を統合 日本版Integrated Healthcare Network インテグレイターは地方自治体か非営利組織 (2) 訪問医療・訪問介護付き高齢者集合賃貸住宅 介護、看護ベンチャーの参入促進 (3) 病院などを含め関連事業者のネットワーク化 新しい地域社会を形成、公共投資が必要 (4) ビジネスモデルの標準化 全国展開や輸出が可能に

スーパーモジュール供給拠点のイメージ (1) 超高機能部品の開発・生産 次世代産業に組み込む 外に対してブラックボックス化 参考 3 (1) 超高機能部品の開発・生産 次世代産業に組み込む 外に対してブラックボックス化 (2) 組み込み先産業 航空・宇宙、光学機器、医療・バイオ機器など (3) クラスター形成(全国に多様に展開) ハブ企業が牽引 有事対応型立地が必要

6 クラスターの配置と接続 (1) 分散立地 関連クラスター間の連携 (2) サプライチェーンの戦略展開 クラスター内外のサプライチェーン 6 クラスターの配置と接続 (1) 分散立地   関連クラスター間の連携 (2) サプライチェーンの戦略展開 クラスター内外のサプライチェーン ロジスティックスの整備 マネジメントの重要性 (3) 対応するインフラの整備 クラスターの回廊(陸と海)を形成 中核漁港、貿易港の整備

7 プラットフォーム組織の構築と人財 (1) クラスターに対応したプラットフォーム組織 クラスターの発展を左右する 7 プラットフォーム組織の構築と人財 (1) クラスターに対応したプラットフォーム組織 クラスターの発展を左右する (2) 統合クラスターのプラットフォーム組織 媒介機能と調整機能が重要 ガバナンスに配慮 (3) 運営人財の重要性 新しいプロフェッショナル 発展のノウハウを蓄積

8 産業資金の供給 (1) 既存企業 二重ローン問題の解決 政府系機関による追加融資 貸付期間20年、返済猶予10年、無利子5年 8 産業資金の供給 (1) 既存企業 二重ローン問題の解決    政府系機関による追加融資 貸付期間20年、返済猶予10年、無利子5年 (2) 創業 上記融資制度の活用 (3) 被災・廃業者は別途処理 (参考) 旧ドイツ調整銀行(政府出資)の例 引揚者・難民、旧東ドイツ企業に融資

む す び 産業発展の構想が重要 地域・産業のリーダーと専門家が不可欠 農業、漁業、福祉などの産業化が必要 産学連携で研究開発の推進 む す び 産業発展の構想が重要 地域・産業のリーダーと専門家が不可欠 農業、漁業、福祉などの産業化が必要 産学連携で研究開発の推進 若者にチャンス 創業支援(他地域からの参入促進) 大学の役割が重要に