2011.6.30 日本・東北の復興ヴィジョン 法政大学学事顧問 清成忠男
は じ め に 「震後」経済史の始まりか? 従来の構造問題こそ重要 東北を日本復興のモデルに あらためて地域・産業ヴィジョンを は じ め に 「震後」経済史の始まりか? 従来の構造問題こそ重要 東北を日本復興のモデルに あらためて地域・産業ヴィジョンを 地域イノベーションの推進 地域主権の重視 県、市町村、住民の調整が問題
1 東北圏復興ヴィジョン (1) 道州制を視野に東北圏として整備 骨太のインフラ整備 南北に第2国土軸、東西に複数の連携軸 (2) 地域創生 1 東北圏復興ヴィジョン (1) 道州制を視野に東北圏として整備 骨太のインフラ整備 南北に第2国土軸、東西に複数の連携軸 (2) 地域創生 圏内の多極分散と連携、「有事」制御型へ 定住圏のネットワーク化、地域間連携 (3) 東北圏の独自性創出 食料基地、再生エネルギー拠点、 基幹部品拠点、地域福祉モデルなど
2 復興の担い手 (1) 3つのセクターの役割 企業セクター(市場で活動)復興段階で重要 政府セクター(市場の失敗を補完) 2 復興の担い手 (1) 3つのセクターの役割 企業セクター(市場で活動)復興段階で重要 政府セクター(市場の失敗を補完) 非営利セクター(市場・政府の失敗を補完) (2) 市場機能を最大限に活かす 国の介入は不可欠(特区、規制緩和など) 新しいインフラ整備が多様に必要 (3) ボランティア活動の重要性(特に初期) (4) セクター間の協力
3 東北地方の特徴 (1) 人口減少社会の先取り 高齢者比率の上昇(2010年25.5%) 工業は分散立地、一部に基幹部品企業 3 東北地方の特徴 (1) 人口減少社会の先取り 高齢者比率の上昇(2010年25.5%) 工業は分散立地、一部に基幹部品企業 (2) 東北3県(岩手、宮城、福島)の特徴 多い人口減少市町村 低所得は沿海部と内陸中山間地域 (3) 漁業は長期的縮小傾向 東日本5県の漁獲量シェアは18%(2009年) 漁民の多くは自営業、高齢者、後継者難
人口減少市町村の動向 県 市町村総数 人口減少 市町村数 減少率5%以上 市町村数 岩 手 35(100 ) 33(94.5) 表1 県 市町村総数 人口減少 市町村数 減少率5%以上 市町村数 岩 手 35(100 ) 33(94.5) 27(77.1) 宮 城 36(100) 28(77.8) 16(41.4) 福 島 59(100) 52(88.1) 32(54.2) 資料:総務省「国勢調査」 (注) 減少率5%以上は 2005~2010年の減少率 ( )内は構成比
組立産業の集積状況(2009年) (億円) 表2 地 域 事業所数 出荷額 地 域 1 愛 知 6755 172326 栃 木 1430 組立産業の集積状況(2009年) (億円) 表2 地 域 事業所数 出荷額 地 域 1 愛 知 6755 172326 9 栃 木 1430 35448 2 静 岡 3827 72811 10 群 馬 2028 34051 3 神奈川 4159 66941 11 東 京 4592 33780 4 兵 庫 2668 51106 12 福 岡 1210 30642 5 埼 玉 3956 13 茨 城 1651 29457 6 大 阪 5745 45357 14 滋 賀 827 27454 7 三 重 1242 38621 15 長 野 2403 27069 8 広 島 1780 37196 16 福 島 1273 21073 表 3 と同じ
都道府県別漁獲量 千t 順位 地 域 2005年 2009年 増減率 1 北海道 1282(28.8) 1331(32.1) 3.8 2 都道府県別漁獲量 千t 表3 順位 地 域 2005年 2009年 増減率 1 北海道 1282(28.8) 1331(32.1) 3.8 2 長 崎 305( 6.8) 274( 6.6) △10.2 3 宮 城 279( 6.3) 229( 5.5) △17.9 7 青 森 161( 3.6) 152( 3.7) △ 5.6 8 茨 城 241( 5.4) 148( 3.6) △38.6 9 岩 手 145( 3.3) 134( 3.2) △ 7.6 13 福 島 106( 2.4) 84( 2.0) △20.8 東日本5県計 932(20.9) 747(18.0) △19.8 全 国 4457(100) 4151(100) △ 6.9 % 資料:表3と同じ (注) ( )内は構成比
4 復興の加速化 (1) クラスターでイノベーション推進 産学官連携、国際競争力の強化 (2) 新手法としてのクラスタリング(一括化) 4 復興の加速化 (1) クラスターでイノベーション推進 産学官連携、国際競争力の強化 (2) 新手法としてのクラスタリング(一括化) 既存事業と新事業のクラスタリング イノベーション力の強化 オープン・イノベーションの展開 異質の高度人財の集積と交流 (3) インテグレイター(ハブ企業)のリーダーシップ 経済団体の横断的連携
5 多様なクラスターの展開 (1) 食品クラスター 農商工連携を超えて、食関連産業の集積を (2) 基幹部品クラスター 5 多様なクラスターの展開 (1) 食品クラスター 農商工連携を超えて、食関連産業の集積を (2) 基幹部品クラスター スーパーモジュール供給拠点 (3) エネルギー・クラスター 再生エネルギー拠点、スマートグリッド整備 (4) 地域福祉クラスター 地域レベルで医療と介護を統合 (5) 森林クラスター
食品クラスターのイメージ (1) 食関連産業の集積を形成 拠点(ハブ)と周辺農業・漁業のネットワーク 産学連携で製品・製法の開発 参考 1 (1) 食関連産業の集積を形成 拠点(ハブ)と周辺農業・漁業のネットワーク 産学連携で製品・製法の開発 企業家風土の形成 (2) インテグレイター(ハブ企業)の重要性 構想・戦略・展開のリーダー 業種横断的プラットフォームー組織 (3) 独自のクラスターを複数形成 全体として日本一の実力を目指す
食品産業クラスターのサプライチェーン 農 業 漁 業 水産養殖 卸 売 小 売 肥料 農業関連 サービス 農産物加工 農業用機械 飲食店 農 業 農産物加工 農業用機械 飲食店 卸 売 小 売 食 品 加工 機 械 飼料 消費者 大学・研究所 造船・修理 漁 業 水産養殖 水産物加工
新しい地域福祉モデルノイメージ (1) 地域レベルで医療と介護を統合 日本版Integrated Healthcare Network 参考 2 (1) 地域レベルで医療と介護を統合 日本版Integrated Healthcare Network インテグレイターは地方自治体か非営利組織 (2) 訪問医療・訪問介護付き高齢者集合賃貸住宅 介護、看護ベンチャーの参入促進 (3) 病院などを含め関連事業者のネットワーク化 新しい地域社会を形成、公共投資が必要 (4) ビジネスモデルの標準化 全国展開や輸出が可能に
スーパーモジュール供給拠点のイメージ (1) 超高機能部品の開発・生産 次世代産業に組み込む 外に対してブラックボックス化 参考 3 (1) 超高機能部品の開発・生産 次世代産業に組み込む 外に対してブラックボックス化 (2) 組み込み先産業 航空・宇宙、光学機器、医療・バイオ機器など (3) クラスター形成(全国に多様に展開) ハブ企業が牽引 有事対応型立地が必要
6 クラスターの配置と接続 (1) 分散立地 関連クラスター間の連携 (2) サプライチェーンの戦略展開 クラスター内外のサプライチェーン 6 クラスターの配置と接続 (1) 分散立地 関連クラスター間の連携 (2) サプライチェーンの戦略展開 クラスター内外のサプライチェーン ロジスティックスの整備 マネジメントの重要性 (3) 対応するインフラの整備 クラスターの回廊(陸と海)を形成 中核漁港、貿易港の整備
7 プラットフォーム組織の構築と人財 (1) クラスターに対応したプラットフォーム組織 クラスターの発展を左右する 7 プラットフォーム組織の構築と人財 (1) クラスターに対応したプラットフォーム組織 クラスターの発展を左右する (2) 統合クラスターのプラットフォーム組織 媒介機能と調整機能が重要 ガバナンスに配慮 (3) 運営人財の重要性 新しいプロフェッショナル 発展のノウハウを蓄積
8 産業資金の供給 (1) 既存企業 二重ローン問題の解決 政府系機関による追加融資 貸付期間20年、返済猶予10年、無利子5年 8 産業資金の供給 (1) 既存企業 二重ローン問題の解決 政府系機関による追加融資 貸付期間20年、返済猶予10年、無利子5年 (2) 創業 上記融資制度の活用 (3) 被災・廃業者は別途処理 (参考) 旧ドイツ調整銀行(政府出資)の例 引揚者・難民、旧東ドイツ企業に融資
む す び 産業発展の構想が重要 地域・産業のリーダーと専門家が不可欠 農業、漁業、福祉などの産業化が必要 産学連携で研究開発の推進 む す び 産業発展の構想が重要 地域・産業のリーダーと専門家が不可欠 農業、漁業、福祉などの産業化が必要 産学連携で研究開発の推進 若者にチャンス 創業支援(他地域からの参入促進) 大学の役割が重要に