大規模銀河探査 ースローン・ディジタル・スカイサーベイー が描き出した宇宙の姿 岡村定矩 東京大学大学院理学系研究科天文学専攻
内容 銀河からなる宇宙(宇宙の広がり) スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)とは SDSSを可能にしたキーテクノロジー
銀河からなる宇宙(宇宙の広がり)
天の川 (全天の半分) (可視光) 天の川 (全天) (近赤外線) 天の川に沿う方向 天の川に垂直な方向 全天の天の川=銀河系の姿
天の川 (可視光) 天の川 (近赤外線) 銀河 (可視光) NGC 4565 銀河 (可視光) NGC 891
銀河からなる宇宙(宇宙の広がり) 宇宙は銀河で満ちている 天の川から離れた方向では、星と星の隙間から遠い宇宙(銀河)が見える 1つの銀河には1000億個の星とガスがある 天の川は私たちの住む銀河 銀河系 宇宙には1000億個の桁の銀河がある 宇宙はとても大きい (時間と空間が結びついている) 光速で旅しても長い時間がかかる 遠方の天体ほど、より過去の姿を見せている
銀河からなる宇宙(宇宙の広がり) スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)とは
スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)とは 写真より約100倍高感度のCCD(電荷結合素子)による 初めての広天域サーベイ(探査) 5色(バンド)の画像+100万天体(主に銀河)のスペクトル ・ 25億光年(従来の約5倍遠く)までの宇宙地図 ・ 銀河、クエーサー、星の高精度大規模データベース 米・日・独の国際共同研究プロジェクト; 約200名の研究者 日本参加グループ(JPG); 14名+協力者+大学院生
日本参加グループ(JPG)のメンバー 池内 了 名古屋大学大学院理学研究科・教授 市川伸一 国立天文台天文学データ解析計算センター・助教授 市川 隆 東北大学大学院理学研究科・助教授 岡村定矩 東京大学大学院理学系研究科・教授 佐藤勝彦 東京大学大学院理学系研究科・教授 嶋作一大 東京大学大学院理学系研究科・助手 須藤 靖 東京大学大学院理学系研究科・助教授 関口真木 元東京大学宇宙線研究所・助教授 土居 守 東京大学大学院理学系研究科天文学教育研究センター・助教授 濱部 勝 日本女子大学理学部数物科学科・教授 福来正孝 東京大学宇宙線研究所・教授 松原隆彦 名古屋大学大学院理学研究科・助教授 安田直樹 東京大学宇宙線研究所・助教授 渡辺 大 宇宙開発事業団
スローン・デジタル・スカイサーベイ (Sloan Digital Sky Survey: SDSS) この領域の銀河(と星)を探査 25億光年
銀河からなる宇宙(宇宙の広がり) スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)とは SDSSを可能にしたキーテクノロジー
SDSSを可能にしたキーテクノロジー 口径2.5mの広視野専用望遠鏡 超大型モザイクCCDカメラ 640チャネル多天体同時分光器 大規模データ処理パイプライン
口径2.5mの広視野専用望遠鏡(1) 補正版-1 表面の曲がりが目で見える CCDカメラ用 フィルター
口径2.5mの広視野専用望遠鏡(2) 分光器 モザイクCCDカメラ 完成記念式典 (2000年10月)
超大型モザイク CCD カメラ 400万画素x5色x6列 r i u z g スキャン方向 80万画素x24
5色のバンド(波長帯) (u, g, r, i, z) スペクトル
TDI: Time Delay and Integrate (時間遅延積分方式)
CCD カメラの出力(5色の画像) 6本の細長い帯 (実際には隙間あり) 2セットで完全な帯 = ストライプ となる 6本の細長い帯 (実際には隙間あり) 2セットで完全な帯 = ストライプ となる ここに写った天体のスペクトルを撮影する
640チャネル多天体同時分光器(1) 320 本の光ファイバー # 1 # 2 Two double spectrographs
640チャネル多天体同時分光器(2) 光ファイバーカートリッジシステム fiber plugging plug plate (精密穿孔板) CCD カメラ ワンタッチ交換可能 光ファイバーカートリッジシステム 光ファイバーカートリッジ 分光器スリット部 分光器
大規模データ処理パイプライン
SDSSの観測サイト(天文台) アパッチポイント天文台(アメリカ、ニューメキシコ州) 標高: 2800m
銀河からなる宇宙(宇宙の広がり) スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)とは SDSSを可能にしたキーテクノロジー SDSSの意義と初期成果; 何がわかったか 人類が作った最大の宇宙地図が語るもの
銀河の分布(世界最大の宇宙地図) 可視化ツールは三橋賢司氏(東京大学理学部)による
SDSSが作った宇宙地図による 仮想宇宙旅行 (ムービー by NHK) NHK教育テレビ 「サイエンスZero」 2003/6/11 放映
SDSSのインパクト CCDによる初めての広天域探査 たくさんの天体 高い信頼度(精度) めったにないまれな天体の発見 予想外の新発見
宇宙地図から銀河の群れ具合を測定する 天球上の見え方 205,443個の銀河の内、赤道面上にある66,976個
宇宙の3次元地図からダークエネルギーと ダークマターの存在が確実なものに 密度ゆらぎ(疎密の度合い) WMAP衛星 宇宙の物質構成が 5%の原子、25%のダークマター、 70%のダークエネルギー の場合の理論予想 1億光年 10億光年 100億光年 ゆらぎの長さ
銀河からなる宇宙(宇宙の広がり) スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)とは SDSSを可能にしたキーテクノロジー SDSSの意義と初期成果; 何がわかったか 人類が作った最大の宇宙地図が語るもの 宇宙の暗黒時代の終わりが見えた
再電離 (天体のはじまり) 中性水素 高温プラズマ ~40万年 140億年
宇宙の再電離(天体の始まり) 宇宙の晴れ上がり(ビッグバンから約40万年後) 電子が水素原子核と結合 中性水素ができた 電子が水素原子核と結合 中性水素ができた 現在、中性水素は銀河の中にはあるが、銀河と銀河の間の宇宙空間にはない(初代の天体の紫外線で電離した) 理論の予想 z=6-30? Z: 赤方偏移 時間を測る 物差し
SDSSが発見した、高赤方偏移の4つのクェーサーのスペクトル。 波長 z=5.80 z=5.82 z=5.99 z=6.28 z>6になると中性水素の吸収が強くなる。 z~6-7が多数の銀河の形成期(ビッグバンから10億年程度) (可視光・近赤外線が有効) (宇宙最初の天体 z=17+/-5) WMAP衛星
銀河からなる宇宙(宇宙の広がり) スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)とは SDSSを可能にしたキーテクノロジー SDSSの意義と初期成果; 何がわかったか 人類が作った最大の宇宙地図が語るもの 宇宙の暗黒時代の終わりが見えた まれな天体や予想外の新発見
もっとも離れたクエーサーの重力レンズ像 稲田 直久、大栗 真宗、須藤 靖(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻) らによる 稲田 直久、大栗 真宗、須藤 靖(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻) らによる 銀河団 (約62億光年 ) 14.6秒角
小さな天体(銀河)を飲み込んで、銀河の形成は今も続く 銀河系に引き裂かれる球状星団 アンドロメダ銀河のハローに飲み込まれる星の集団 銀河系の外周部を回転する星のリング 12万光年 満月の大きさ
銀河からなる宇宙(宇宙の広がり) スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)とは SDSSを可能にしたキーテクノロジー SDSSの意義と初期成果; 何がわかったか 人類が作った最大の宇宙地図が語るもの 宇宙の暗黒時代の終わりが見えた まれな天体や予想外の新発見 宇宙を身近に: SDSSのスカイサーバー
SDSS のデータ公開サイト http://skyserver.nao.ac.jp/ ・第一次データ公開 2003年7月 教育用プログラム ・早期データ公開 2001年6月 ・第一次データ公開 2003年7月 教育用プログラム 本格的な研究も可能 夜、部屋の明かりを消して ご覧下さい。 望遠鏡で本物の夜空を見ていると錯覚することうけあいです。 流れる夜空 . http://skyserver.nao.ac.jp/
まとめ 銀河からなる宇宙(宇宙の広がり) スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)とは SDSSを可能にしたキーテクノロジー