慢性便秘
目 次 Index 定義 便秘に悩んでいる人 排便の生理 分類と原因 診断基準 便の性状 生活習慣の改善 腸内環境を整える 食物繊維の種類 目 次 Index 1 定義 2 便秘に悩んでいる人 3 排便の生理 4 分類と原因 5 診断基準 6 便の性状 7 生活習慣の改善 8 腸内環境を整える 9 食物繊維の種類 10 参考文献
本来体外に排出すべき糞便を十分かつ快適に排泄できない状態です。 1 定義 本来体外に排出すべき糞便を十分かつ快適に排泄できない状態です。 1日や2日、排便がなくても、習慣的に排便があれば便秘とは呼びません。
2 便秘に悩んでいる人 人口千対
排便の生理 3 横行結腸 上行結腸 下行結腸 S状結腸 盲腸 直腸 虫垂 胃・小腸で消化・吸収された食べ物の残渣は大腸へと移動し便塊となります。 便塊は蠕動運動により直腸に輸送され、直腸内壁が伸展、粘膜が刺激されると排便反射が起こります。安静時、腸の蠕動は 約0.1cm/minですが、便意を催す(排便反射の起こる)と約20cm/minにもなります。 この便意を我慢すると排便抑制の刺激が神経を伝わり内肛門括約筋、外肛門括約筋を緊張させ便意は消失します。排便を我慢する機会の多い人は便意を感じにくくなり慢性便秘症になりやすいといわれています。 横行結腸 上行結腸 下行結腸 S状結腸 盲腸 直腸 虫垂
分類と原因 4 原因分類 症状分類 病態分類 原因 慢性便秘症診療ガイドライン2017 平成28年 国民生活基礎調査の概況 器質性 狭窄性 ー 大腸がん、クローン病、虚血性大腸炎など 非狭窄性 排便回数減少型 巨大結腸など 排便困難型 器質性便排出障害 直腸瘤、直腸重積、巨大直腸、小腸瘤、S状結腸瘤など 機能性 大腸通過遅延型 突発性症候群 (代謝・内分泌疾患、神経 筋疾患、膠原病、便秘型過敏性腸症候群など) 薬剤性(向精神薬、抗コリン薬、オピオイド系薬など) 大腸通過正常 経口摂取不足 機能性便排出障害 骨盤底筋協調運動障害、腹圧低下、直腸感覚低下、直腸収縮力低下など 慢性便秘症診療ガイドライン2017 平成28年 国民生活基礎調査の概況 日本食品標準成分表2015年版 日本人の食事摂取基準2015
診断基準 5 便秘の診断基準 慢性の診断基準 以下の項目のうち2項目以上満たす 排便の1/4超の頻度で強くいきむ必要がある 〃 兎糞状便または硬便である 〃 残便感を感じる 〃 直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある 〃 用手的な排便介助が必要である 自発的な排便回数が週3回未満である 6ヶ月以上前から症状があり、最近3ヶ月以上は①=の基準を満たしている 慢性の診断基準
6 便の性状 1997年、ブリストル大学(英国)のHeaton博士が提唱した大便の形状と硬さで7段階に分類する指標。便秘や下痢の診断項目の一つとして使用されている。 非常に遅い (約100時間) 5:やや軟らかい便:水分が多く非常に軟らかい便 6:泥状便 :形のない泥のような便 7:水様便 :水のような便 2:硬い便 :短く固まった硬い便 3:やや硬い便 :水分が少なくひび割れている便 4:普通便 :適度な軟らかさの便 1:コロコロ便 :ウサギの糞のような便 消化菅の通過時間 非常に速い (約10時間) Bristol Stool Form Scale
生活習慣の改善 7 適切な食事や運動、腹壁マッサージは症状改善に有効であるとされています。 食生活 運動習慣 食物繊維不足が原因とされる場合、食物繊維の多い食品や乳酸菌食品が有効といわれています。 過剰摂取は症状を悪化させることがあります。 日本人の食事摂取基準(2015年版)では、1日あたりの成人男性20g以上、女性18g以上とされています。 運動習慣 健康づくりのための身体活動基準2013に基づき、個々の状態に合わせて行う。
腸内環境を整える 8 抗生物質(antibiotics)に対比される言葉です。 プロバイオティクス (probiotics) 抗生物質(antibiotics)に対比される言葉です。 1989年、Fuller(英国)が定義した「腸内フローラのバランスを改善することで宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義されています。 1995年、Gibson(英国)によって提唱されました。 プロバイオティクスに対して①消化管上部で分解、吸収されない②大腸に共生する一種または限定された有益な細菌の選択的な基質であり、それらの細菌の増殖を促進または活性化する③腸内細菌叢を健康的な構成に改変できる④宿主の健康に有益になるよう誘導するものとされています。 プレバイオティクス (prebiotics) シンバイオティクス (synbiotics) プロバイオティクスと、プレバイオティクスを組み合わせることにより、双方の機能がより効果的に働くことを目指す考え方です。1995年、微生物学者Gibson(英国)によって提唱されました。
食物繊維の種類 9 食物繊維の種類 おもな食品 水溶性食物繊維 食後血糖上昇抑制 脂肪の吸収抑制 腸内細菌増殖など ペクチン 野菜、果物 水溶性食物繊維 食後血糖上昇抑制 脂肪の吸収抑制 腸内細菌増殖など ペクチン 野菜、果物 グルコマンナン コンニャクなど アルギン酸 海藻類(コンブ、ワカメなど) β-グルカン オーツ麦、大麦など イヌリン ゴボウ、キクイモ、チコリ 不溶性食物繊維 消化吸収速度の遅延 腸の蠕動運動促進 セルロース 野菜、果物、穀類 ヘミセルロース 穀類、野菜、豆、果物 リグニン ココア、ピーナッツ、緑豆など キチン キノコ、甲殻類(カニ、エビなど)
参考文献 10 適切な食事や運動、腹壁マッサージは症状改善に有効であるとされています。 慢性便秘症診療ガイドライン2017 平成28年 国民生活基礎調査の概況 日本食品標準成分表2015年版 日本人の食事摂取基準2015