科学の技法 science is the theory, not the fact 理工学部応用化学科2年 前田松祐
目次 はじめに 科学って何? 科学の技法 科学学説バトル 終わりに
はじめに 本勉強会の目標 科学に限らず様々な社会問題おいて自明と思われ ている事(公理)の存在を意識して、問題の本質を理 解し、その原因を分析する力をつけてもらいたい。 本質を理解し、問いを立てる力
弁論 導入 現状分析 問題点 原因分析 政策 展望 本質を理解し、問いを立てる力
科学って何? (学問的)科学とは ある一定条件下において起きる事象について、その 因果関係を分析するもの。
科学とは 物事がどのように起こっているのか? How 物事がなぜ起こっているのか? Why
研究とは テーマ 目的 計画 実行 評価 発表 研究とは、自ら問題を設定しその答えを探すことである。ただし、その答えが正しいのか、そもそも答えがあるのかはわからない。
勉強と研究の違い 勉強 既に存在している知識をしっかりと理解して、その知識を応用して 答えを導くこと 研究 真理を探究して、新たな知を創造すること 答えのない問いにアプローチすること
科学の技法 因果関係 帰納法 演繹法
因果関係 因果関係とは 2つの事象(event)のうち1つが原因(cause)となり、も う1つの結果(result)を起こすこと。
相関関係 時間的先行 変数の統制 因果関係の3要素 (注)相関関係と変数の統制は似ている点が非常に多い。変数の統 制が十分でない場合一般的に因果関係ではなく相関関係がもちい られる。
相関関係 相関関係=2変数の関連性 片方の変数が変化するともう一方の変数も必ず変化する。
時間的先行 原因が結果よりも先に起こっている。 EX (注)時間が逆行しないという絶対時間の考えにのっとっている。 目的論的世界観は否定している。
変数の統制 原因と結果以外に影響を与える因子を排除する。 仮定を置いて、系の条件を決める。 EX 創薬 原因A 原因B 原因C 結果
複数の原因がある場合 原因①関東大震災 原因②お昼時 原因③木造家屋が密集 結果 大火災が発生 原因①関東大震災 原因②お昼時 原因③木造家屋が密集 結果 大火災が発生 3つの原因が同時に起きていなければ結果は変わっていた。
帰納法 類似の事例をもとにして、一般的法則や原理を導き出す推論法の こと。 例えば、次のような推論が帰納法に当てはまる。 (a)このカラスは黒い(事例1) (b)そのカラスも黒い(事例2) (c)あのカラスも黒い(事例3) (d)ゆえに、カラスは黒い(法則) 一般化して(d)の法則を導き出している。
演繹法 前提となる事柄をもとに、そこから確実に言える結論を導き出 す推論法のこと。 演繹法では、前提となる事柄がすべて正しいと認められれば、 そこから必ず正しい結論を導き出すことができる。
(a)『竜馬がゆく』の著者は『坂の上の雲』の著者と同一人物 である(前提1) (b)『坂の上の雲』の著者は司馬遼太郎である(前提2) (c)ゆえに、『竜馬がゆく』の著者は司馬遼太郎である(結論) ここでは、すでにわかっている2つの前提(a)と(b)から(c)の 結論を導き出している。
公理(axiom):数学の理論体系で定理を証明する前提とし て仮定する いくつかの事柄。 数学的に見た演繹法 定義(definition):ある概念の内容やある言葉の意味を他の概念や言葉 と区別できるように明確に限定すること。 公理(axiom):数学の理論体系で定理を証明する前提とし て仮定する いくつかの事柄。 証明(proof):真であると前提されるいくつかの命題(公理)を用いて、 あ る命題(定理)が真であることを論理的手続きに従って導くこと。 定理(theorem):公理に基づき、論証によって証明された命題。また 特に、 重要なもののみを定理ということがある。
科学学説バトル 第1試合 天動説vs地動説 第2試合 進化論vsインテリジェントデザイン理論 第3試合ーみんなで考えようー 世界は何からできているか? (演繹法) (帰納法)
第1試合 天動説(地球中心説)vs地動説 VS
天動説 見えない公理 天体の運動は円運動 地球(人間)が世界の中心 地球が宇宙の中心である。 プトレマイオスの天動説では、惑星 の微妙な動きを説明するために、惑 星はその公転軌道上にある別の円 (周転円)の上を運動するという複雑 な概念が導入されていました。 見えない公理 天体の運動は円運動 地球(人間)が世界の中心
地動説 見えない公理 太陽を宇宙の中心におき、そのまわ りを地球をはじめとした惑星が回転 しているという宇宙の姿 数学的に合理的かつ簡明なもの を自然界は好む 天体の運動は円運動でなくてもいい
天動説から地動説へ デンマークのティコ・ブラーエ ドイツのヨハネス・ケプラー ガリレオ・ガリレイ アインシュタイン 現代では、「地球の周りを太陽が回っている」などと言えばいい笑いものになる。
第2試合 進化論vsインテリジェントデザイン理論
進化論 原初の単純な形態から次第に現在の 形に変化したとする自然観。一九世 紀後半ダーウィンらによって体系づけ られ諸科学に甚大な影響を与えた。 帰納法的考え方から出発した。
インテリジェントデザイン理論 我々人間や、動物、植物など今、自 然界に存在している物はそのまま の形でインテリジェンス(理性=神) が作り出した。 帰納法的考え方を認めなかった。
第3試合ーみんなで考えようー 世界は何からできているか? 古代ギリシャの四元説 空気、土、火、水 古代中国の五行説 木、火、土、金、水 現代物理学 分子、原子、素粒子
終わりに 弁士として 弁論において、自分が当たり前(公理)だと思っていることが、聴衆 からみたら「わからない」ということはいくらでもあるように思う。本勉 強会を通して少しでも物事の裏に隠れた公理に気づけるようになっ たなら幸いである。 科学者として 科学って面白くない?
ご清聴ありがとうございました
参考文献 科学の技法 : 東京大学「初年次ゼミナール理科」テキスト 東京大学教養教育高度化機構初年次教育部門, 増田建, 坂口菊恵編. -- 東京大学出版会, 2017 コトバンク https://kotobank.jp/word/%E6%BC%94%E7%B9%B9%E6%B3%95-178726 閲覧日(2017年6月25日)