アマチュア無線家が小型衛星に 期待することについて アマチュア無線局JA6PL 井地 義智 (第1級アマチュア無線技士) アマチュア無線局JA6PL 井地 義智 (第1級アマチュア無線技士)
講演要旨 アマチュア無線を使用する小型衛星が、割当周波数を研究目的のみの使用に限定せず、アマチュア無線家の参加が可能な方策を講じることによって、アマチュア無線活動の一環として認識されます。 講演要旨 アマチュア無線を使用する小型衛星が、割当周波数を研究目的のみの使用に限定せず、アマチュア無線家の参加が可能な方策を講じることによって、アマチュア無線活動の一環として認識されます。
期待する機能 小型衛星からの電波を受信することにより観測に協力できますが、アマチュア無線家としては、衛星に対して電波を送りたいとの願望を持っています。 期待する機能 小型衛星からの電波を受信することにより観測に協力できますが、アマチュア無線家としては、衛星に対して電波を送りたいとの願望を持っています。
コールサイン アマチュア局が電波を発射する際には、必ず「識別信号」を付すこと。 国際法・国内法上の義務。 アマチュア局が電波を発射する際には、必ず「識別信号」を付すこと。 国際法・国内法上の義務。 「識別信号」=「無線局呼出符号」(コールサイン)。 コールサインは、地球上で唯一の組合わせで各国の主官庁が指定、国籍・地域などが識別できる。 アマチュア無線家は、自分の氏名より大切にする。 小型衛星の無線局にも、指定。 アマチュア局が電波を発射する際には、必ず「識別信号」を付さなければならないと国際法上また国内法上も義務付けされています。「識別信号」として「無線局呼出符号」(以下、「コールサイン」と略します。)を使います。 このコールサインは、地球上で唯一の組合わせで各国の主官庁(日本では、総務省)から免許と同時に指定され、国籍・地域などが識別できる仕組みになっているもので、アマチュア無線家は、自分の氏名以上に大切にしているものです。 もちろん小型衛星の無線局にも、指定されます。
具体的な機能(1) 1.コールサインの記録 最低限のものとして、コールサインを一定期間小型衛星に保持・表示すること。 最低限のものとして、コールサインを一定期間小型衛星に保持・表示すること。 やや進歩したものに、メッセージボード方式があります。 1.コールサインの記録 最低限のものとして、コールサインを一定期間小型衛星に保持・表示すること。 やや進歩したものに、メッセージボード方式があります。
具体的な機能(2) 2.自動応答 呼びかけに対して、応答すること。 呼びかけに対して、応答すること。 例、RS(ロシアの衛星)やスペースシャトルで行われたもので、CWやパケットでのコールサインに対して自動応答する仕組み。 2.自動応答 呼びかけに対して、応答すること。例、RS(ロシアの衛星)やスペースシャトルで行われたもので、CWやパケットでのコールサインに対して自動応答する仕組み。
具体的な機能(3) 3.UIフレームの自動通過 パケットで送ったUIフレームをそのまま返すことによって、コールサインや簡易な符号が送信でき、交信する仕組み。 UIフレーム= (Unnumbered Information):非番号制情報フレーム リンクの接続を行わずに情報を転送するのに使用する。 3.UIフレームの自動通過 パケットで送ったUIフレームをそのまま返すことによって、コールサインや簡易な符号が送信でき、交信する仕組み。 UIフレーム=(Unnumbered Information):非番号制情報フレーム リンクの接続を行わずに情報を転送するのに使用する。
具体的な機能(4) 4.トランスポンダーによる通信 アップリンクした信号が、ダウンリンク周波数帯へ変換されて受信できる仕組み。 アップリンクした信号が、ダウンリンク周波数帯へ変換されて受信できる仕組み。 通常アマチュア衛星の機能です。 最も望まれるものですが、衛星制作には負担が重いと考えられます。 パケットによる場合も、可能。 4.トランスポンダーによる通信 アップリンクした信号が、ダウンリンク周波数帯へ変換されて受信できる仕組み。 通常アマチュア衛星の機能です。 最も望まれるものですが、衛星制作には負担が重いと考えられます。パケットによる場合も、可能。
アマチュア無線の特徴(1) 1.アマチュア無線に関する法的定義 アマチュア無線の特徴(1) 1.アマチュア無線に関する法的定義 国内法上の規定 電波法第2条「無線局」とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。但し、受信のみを目的とするものを含まない。 電波法第5条第2項アマチュア無線局(個人的な興味によって無線通信を行うために開設する無線局をいう。) 電波法第39条の13アマチュア無線局の無線設備の操作は、次条の定めるところにより、無線従事者でなければ行ってはならない。以下略(外国において取得の資格を認める例外あり。) 1.アマチュア無線に関する法的定義 国内法上の規定 電波法第2条「無線局」とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。但し、受信のみを目的とするものを含まない。 電波法第5条第2項アマチュア無線局(個人的な興味によって無線通信を行うために開設する無線局をいう。) 電波法第39条の13アマチュア無線局の無線設備の操作は、次条の定めるところにより、無線従事者でなければ行ってはならない。以下略(外国において取得の資格を認める例外あり。)
アマチュア無線の特徴(2) 1.アマチュア無線に関する法的定義 アマチュア無線の特徴(2) 1.アマチュア無線に関する法的定義 電波法第58条実験無線局及びアマチュア無線局の行う通信には、暗語を使用してはならない。 無線設備規則第18条第2項 アマチュア局の送信装置は、通信に秘匿性を与える機能を有してはならない。 電波法第58条実験無線局及びアマチュア無線局の行う通信には、暗語を使用してはならない。 無線設備規則第18条第2項 アマチュア局の送信装置は、通信に秘匿性を与える機能を有してはならない。
アマチュア無線の特徴(3) 1.アマチュア無線に関する法的定義 アマチュア無線の特徴(3) 1.アマチュア無線に関する法的定義 電波法施行規則第3条アマチュア業務 金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術研究の業務をいう。 電波法施行規則第4条アマチュア局 金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な無線技術の興味によって自己訓練、通信及び技術研究の業務を行う無線局をいう。 電波法施行規則第3条アマチュア業務 金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術研究の業務をいう。 電波法施行規則第4条アマチュア局 金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な無線技術の興味によって自己訓練、通信及び技術研究の業務を行う無線局をいう。
国際法上の規定 (国際電気通信連合憲章に規定する 無線通信規則) 国際法上の規定 (国際電気通信連合憲章に規定する 無線通信規則) 第1条 用語及び定義 1.56 アマチュア業務 アマチュア、すなわち、金銭上の利益のためでなく、専ら個人的に無線技術に興味を持ち、正当に許可されたものが行う自己訓練、通信及び技術研究のための無線通信業務 1.57 アマチュア衛星業務 アマチュア業務の目的と同一の目的で地球衛星上の宇宙局を使用する無線通信業務 第1条 用語及び定義 1.56 アマチュア業務 アマチュア、すなわち、金銭上の利益のためでなく、専ら個人的に無線技術に興味を持ち、正当に許可されたものが行う自己訓練、通信及び技術研究のための無線通信業務 1.57 アマチュア衛星業務 アマチュア業務の目的と同一の目的で地球衛星上の宇宙局を使用する無線通信業務
25.9 アマチュア局は、その伝送中短い間隔で自局の呼出符号を伝送しなければならない。 第25条 アマチュア業務 第Ⅰ節 アマチュア業務 25.2A 異なる国のアマチュア局相互間の伝送は、地上コマンド局とアマチュア衛星業務の宇宙局との間で交わされる制御信号を除き、意味を隠すために暗号化されたものであってはならない。 25.9 アマチュア局は、その伝送中短い間隔で自局の呼出符号を伝送しなければならない。 第25条 アマチュア業務 第Ⅰ節 アマチュア業務 25.2A 異なる国のアマチュア局相互間の伝送は、地上コマンド局とアマチュア衛星業務の宇宙局との間で交わされる制御信号を除き、意味を隠すために暗号化されたものであってはならない。 25.9 アマチュア局は、その伝送中短い間隔で自局の呼出符号を伝送しなければならない。
第Ⅱ節 アマチュア衛星業務 25.10 アマチュア衛星業務の宇宙局を許可する主管庁は、アマチュア衛星業務の局からの放射に起因する有害な混信を直ちに除外することができることを確保するため、打ち上げ前に十分な地球指令局を設置するよう措置する。 第Ⅱ節 アマチュア衛星業務 25.10 アマチュア衛星業務の宇宙局を許可する主管庁は、アマチュア衛星業務の局からの放射に起因する有害な混信を直ちに除外することができることを確保するため、打ち上げ前に十分な地球指令局を設置するよう措置する。
2.アマチュア無線業務の実態 アマチュア無線では、自ら電波を発射して、相手局との通信をすることが最大の興味です。 アマチュア無線では、自ら電波を発射して、相手局との通信をすることが最大の興味です。 その交信することに必要な条件が難しいほど、より強い興味を抱くところです。 衛星通信においては、衛星からの送信電力は小さく、またアンテナも簡単なもので利得が殆んどない状態で、微弱な電波です。 2.アマチュア無線業務の実態 アマチュア無線では、自ら電波を発射して、相手局との通信をすることが最大の興味です。 その交信することに必要な条件が難しいほど、より強い興味を抱くところです。 衛星通信においては、衛星からの送信電力は小さく、またアンテナも簡単なもので利得が殆んどない状態で、微弱な電波です。
受信・送信の留意点 これを使っての通信には、地上の局の方で高性能のアンテナを装備し、かつ衛星に向けて指向性を高める必要があります。また受信機の性能向上も、求められます。 但し、衛星側の総電力量に制限があるので、一度に多数の、または高電力を送り込むことは、衛星を危険にさらす恐れがあります。それを防止するAGC(自動利得制限器)を働かせる衛星も存在します。 これを使っての通信には、地上の局の方で高性能のアンテナを装備し、かつ衛星に向けて指向性を高める必要があります。また受信機の性能向上も、求められます。 但し、衛星側の総電力量に制限があるので、一度に多数の、または高電力を送り込むことは、衛星を危険にさらす恐れがあります。それを防止するAGC(自動利得制限器)を働かせる衛星も存在します。
3.アマチュア無線周波数を 使用することの問題点 アマチュア無線は、世界的に共通の周波数帯を使用している特長があるので、混信は常に存在します。しかし、衛星の使用する周波数は、世界的に混信を避けるために、IARU(国際アマチュア無線連合)での調整をあらかじめ行って、決定しています。 現状では、まさに逼迫していると言えます。 3.アマチュア無線周波数を使用することの問題点 アマチュア無線は、世界的に共通の周波数帯を使用している特長があるので、混信は常に存在します。しかし、衛星の使用する周波数は、世界的に混信を避けるために、IARU(国際アマチュア無線連合)での調整をあらかじめ行って、決定しています。 現状では、まさに逼迫していると言えます。
ドップラーの影響 衛星通信では、ドップラー効果が避けられないところから、割当て周波数が近接した衛星が観測される場面では、他の衛星の信号をキャッチすることも、稀ではありません。 衛星通信では、ドップラー効果が避けられないところから、割当て周波数が近接した衛星が観測される場面では、他の衛星の信号をキャッチすることも、稀ではありません。
通報内容の公開原則 前記関係法規から推測できるように、アマチュア無線では秘密の通信が許されていません。したがって、通報の内容は、誰でも解読できる必要があります。 学術用に設計されたデータであっても、受信データから有意なデータを検出する手段は、公開する必要があります。 これが出来なければ、アマチュア無線を使用すべきではないと言えます。 前記関係法規から推測できるように、アマチュア無線では秘密の通信が許されていません。したがって、通報の内容は、誰でも解読できる必要があります。 学術用に設計されたデータであっても、受信データから有意なデータを検出する手段は、公開する必要があります。 これが出来なければ、アマチュア無線を使用すべきではないと言えます。
特例など ただし、衛星の運行に関するコマンドは、特別に秘匿できるよう決められています。これは、衛星からの有害な混信を防止するために、法律上の義務として設備されている機能の保全のためと考えられます。 利点としては、夜昼となく活動しているアマチュア無線の性質上、世界中のアマチュア無線家の興味を引けば、データ収集などに協力を得られることです。 ただし、衛星の運行に関するコマンドは、特別に秘匿できるよう決められています。これは、衛星からの有害な混信を防止するために、法律上の義務として設備されている機能の保全のためと考えられます。 利点としては、夜昼となく活動しているアマチュア無線の性質上、世界中のアマチュア無線家の興味を引けば、データ収集などに協力を得られることです。
4.アマチュア用衛星の変遷(1) ① ビーコンの発射 ビーコンに衛星のコールサインを付して、地球を周回。地上では受信のみ。ドップラーの体験には貢献。 ② BBSの搭載 短い電文をパケットで上げ、衛星のBBSに記録されて地球を周回。それを読み出して、応答事項をパケットで上げる。この繰り返しで、通信可能。 ③ CWでコールサインを上げると、ロボットが応答する。 ④ パケットで同様に行う。 4.アマチュア用衛星の変遷 ① ビーコンの発射 ビーコンに衛星のコールサインを付して、地球を周回。地上では受信のみ。ドップラーの体験には貢献。 ② BBSの搭載 短い電文をパケットで上げ、衛星のBBSに記録されて地球を周回。それを読み出して、応答事項をパケットで上げる。この繰り返しで、通信可能。 ③ CWでコールサインを上げると、ロボットが応答する。 ④ パケットで同様に行う。 ⑤ UIフレームで上げると、そのまま降りてくるのを利用する。 ⑥ トランスポンダーの搭載。CW・SSBで上げたものが、他の周波数帯で降りる。 ⑦ 同上をFMで行う。 ⑧ トランスポンダーの起動コマンドを公開し、ユーザーが起動する。(SO-50) 通信にトーン付加を要求する。通常67Hz運用、起動は74.4Hzを送信。10分間タイマー。
4.アマチュア用衛星の変遷(2) ⑤ UIフレームで上げると、そのまま降りてくるのを利用する。 ⑥ トランスポンダーの搭載。CW・SSBで上げたものが、他の周波数帯で降りる。 ⑦ 同上をFMで行う。 ⑧ トランスポンダーの起動コマンドを公開し、ユーザーが起動する。(SO-50) 通信にトーン付加を要求する。通常67Hz運用、起動は74.4Hzを送信。10分間タイマー。 ⑤ UIフレームで上げると、そのまま降りてくるのを利用する。 ⑥ トランスポンダーの搭載。CW・SSBで上げたものが、他の周波数帯で降りる。 ⑦ 同上をFMで行う。 ⑧ トランスポンダーの起動コマンドを公開し、ユーザーが起動する。(SO-50) 通信にトーン付加を要求する。通常67Hz運用、起動は74.4Hzを送信。10分間タイマー。
5.Cube-Satなど超小型衛星でのアマチュアサービスの例 ①東大XI-IVでの撮影希望場所の募集、アップリンクサービスの提供。 ②東工大CUTE-Iでのテレメトリのキーワード受信報告へべリカード発行。 ③北海道大 HIT-SATのアップリンク開放 コールサインを記録・表示。 ④東大XI-Vでの、事前搭載メッセージの受信によるキーワード当てにアワード発行。 ⑤東工大CUTE-1.7での受信報告局の位置情報を地図上に表示。 5.Cube-Satなど超小型衛星でのアマチュアサービスの例 ①東大XI-IVでの撮影希望場所の募集、アップリンクサービスの提供。 ②東工大CUTE-Iでのテレメトリのキーワード受信報告へべリカード発行。 ③北海道大 HIT-SATのアップリンク開放 コールサインを記録・表示。 ④東大XI-Vでの、事前搭載メッセージの受信によるキーワード当てにアワード発行。 ⑤東工大CUTE-1.7での受信報告局の位置情報を地図上に表示。
超小型衛星でのアマチュアサービスの例 ⑥PCSAT-2の位置情報記録・地図への表示 経緯度をパケットで上げると実行される。 ⑦PCSAT-1(NO-44)が、現在同様な機能で稼働中。 ⑧4XTECH(GO-32)が、同様機能で稼働中。 ⑥PCSAT2の位置情報記録・地図への表示 経緯度をパケットで上げると実行される。 ⑦PCSAT1(NO-44)が、現在同様な機能で稼働中。 ⑧4XTECH(GO-32)が、同様機能で稼働中。
GO-32でのデジ例で4局表示(2007.11.11.) GO-32でのデジ例で4局表示(2007.11.11.)
今後に期待して。! 有難うございました。 今後に期待して。! 有難うございました。 de JA6PL de JA6PL