地上重力波干渉計に期待されるサイエンス (連星中性子星の合体)

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地上重力波干渉計に期待されるサイエンス (連星中性子星の合体) 京都大学 D1 仏坂健太 1/33

Out line 中性子星と原子核の話 連星中性子星合体の話    1、数値相対論によるシミュレーション    2、合体からの重力波 まとめ 2/33

X線で観た中性子星 かにパルサー                Cassiopeia A(超新星残骸) 3/33

中性子星の概要 質量 半径 10~15km Atmosphere Outer Crust Inner Crust Outer Core (シュバルツシルト半径       の約3~4倍) Outer Core Inner Core 4/33

中性子星の理論 天体の形状 ⇒流体方程式の静水圧平衡解として求まる 中性子星の形状(強重力) ⇒一般相対論的流体の静水圧平衡 1、質量保存の式 0~rまでに含まれる質量 エネルギー密度 2、Tolman-Volkoff-Oppenheimer方程式   (r方向の力の釣り合い) 圧力 この状態方程式が中性子星の 素顔を決める 3、状態方程式(EOS、核物理から決まる) 5/33

原子核・核物質の物理 6/33 核子間ポテンシャル 陽子 中性子 強い斥力芯 ハイペロン (ストレンジ 原子核 クォークを含む) r 重要な性質 1、密度は一定(飽和性) 2、核力で束縛 3、クーロン力で反発 (鉄付近が最も安定) 有限レンジの引力 互いの距離がここになる程度の 密度で飽和する。 ⇒引力と縮退圧が釣り合う 核子数を膨大に増やせば、重力によって束縛する中性子星ができる 6/33

核物質の理論 -16MeV 7/33 難しさ 複雑な核力 (例、18項から成るポテンシャル) 大変な量子多体系の計算 原子核の性質(密度、束縛エネルギー) が再現できない 3体斥力? 相対論的効果? その他? -高密度で新たな組成の出現 (例、ハイペロン、クォーク) Symmetric Nuclear matter 核物質計算に用いる理論モデルに 不定性がある。 -16MeV 原子核密度 7/33

中性子星の状態方程式 8/33 密度-圧力の関係(EOS) -理論モデルによって大きく異なる 対称核物質(@原子核密度)の 1点だけでなく広い密度領域の 情報が欲しい ⇒中性子星の観測 Lattimer and Prakash (2001) 原子核密度 8/33

中性子星と高密度EOS 核力入り 核力入り 自由中性子 自由中性子 高密度EOSと質量‐半径が1対1(M‐R の観測からEOSがわかる) 最新の観測 圧力 質量 自由中性子 核力入り 核力入り 一般相対論的 静水圧平衡 自由中性子 半径 密度 高密度EOSと質量‐半径が1対1(M‐R の観測からEOSがわかる) 各EOSに応じた最大質量    が存在 Lindblom (1992) EOS Akmal, et al. (1998) ,Douchin and Haensel (2001) Glendenning and Moszkowski (1991) ,Pandharipande and Smith (1975), Alford et al. (2005) 9/33

新しい相の出現とMR 10/33 核密度の数倍に至ると、 より安定なクォーク相が出現する 可能性がある 出現する物質の性質によって MRは異なる (基本的に最大質量が下がる) エネルギー密度 クォーク相 ハドロン相 密度 数年前までは、「相転移⇒最大質量が小さい           ⇒小さい質量の中性子星がよく見つかる」で観測を説明。 去年、重い中性子星が発見されたことにより、混乱している。 10/33

Astronomical observation Integrated EOS e.g. Moment of inertia Mass Radius messenger Isolated Pulsar  ×        ×         △    radio~γ Isolated NS (non Pulsar) △        △         ×    opt~X ○ Pulsar-NS/WD   ◎        ×         × radio LMXB     △ ~ ○     △ ~ ○       × X NS-NS/BH merger   ◎ ○ ○ GW : Future expected 11/33

これまでのまとめ 核物質はわからないことが多い (相互作用、相転移、、、)          (相互作用、相転移、、、) 中性子星の質量-半径が同時に測定できれば、核物質のEOSを得ることができる。 12/33

連星中性子星合体からの重力波から 中性子星の性質や 高密度物質(原子核・ハドロン・クォーク)の物理を読み取る 13/33

Introduction ~連星中性子星合体~ 重力波 重力波 合体 Hypermassive Neutron Star (HMNS) ブラックホール +降着円盤 inspiral 地上重力波干渉計のメインターゲットのひとつである   (宇宙年齢以内に合体する連星中性子星は6個見つかっている) 重力波による高密度物質の直接探査の可能性 14/33

数値相対論による、 連星NS‐NS合体シミュレーション 1, 高密度核物質EOSは、 連星NS合体にどれほど影響するか? 目的 1, 高密度核物質EOSは、 連星NS合体にどれほど影響するか? 2, 観測される重力波波形から、 高密度核物質の性質が決まるか? 15/33

準備 ~Piecewise-polytoropic EOS~ Piecewise-polytropic EOS 高密度EOSを系統的に扱う 現象論的モデル(Read et al. 2009) 硬さ 核物理から予言されるEOSを として、4つのパラメータ                    でうまく表現。 パラメータと質量‐半径 大 半径大 大 半径小 半径 核密度 16/33

EOS EOS 構成粒子 方法 17/33 今回シミュレーションに使ったモデル APR4     npe     変分法 (2 & 3 body potential) (Akmal,et al. 1998) Sly     npe     有効ポテンシャル  (Douchin and Haensel 2001) H3       npeΛΣ…    RMF(K=300, m_eff=0.7,       (Glendenning and Moszkowski 1991 ) H4   npeΛΣ…    RMF( ) PS        nπ        Potential     (Pandharipande and Smith 1975) ALF2 npe+quark   APR+MIT bag (Alford et. al 2005) でquarkに相転移 17/33

Set up ~数値相対論~ 数値シミュレーション(モデル) 基礎方程式 核物理から予想される6種類のEOS 等質量連星、3つの質量: Einstein方程式 流体の方程式 エネルギー運動量テンソル EOS :核力を含む EOS 理想気体のEOS 図.3+1分解 数値シミュレーション(モデル) 核物理から予想される6種類のEOS 等質量連星、3つの質量: 上記の方程式を解くSACRAコードを用いた 18/33

アニメーション EOS = H4 Total mass = In cgs 19/33

結果 連星中性子星合体のタイプ Type Ⅱ Type Ⅲ Type Ⅰ EOSと質量に応じて3つのタイプに分類できる. 等質量連星 結果 連星中性子星合体のタイプ EOSと質量に応じて3つのタイプに分類できる. 等質量連星 中性子星合体 遠心力によって を支える中性子星 HMNS形成 Type Ⅱ 寿命 < 5ms Type Ⅲ 寿命 > 5ms Type Ⅰ BHへ崩壊 Short lived Long lived BHへ崩壊 BHへ崩壊 20/33

Result: Type of First Remnants The evolution after the merger strongly depend on the EOS. Black Hole Hypermassive Neutron Star BH is formed promptly Total mass Type of the first remnant of mergers Type I : prompt BH formation Type II : Short-lived HMNS (lifetime < 5 ms) Type III : Long-lived HMNS (lifetime > 5 ms) EOSs Large radius 21/33

連星中性子星合体からの重力波 22/33

Measuring the EOS with BNS merger Inspiral GW ⇒ Mass ( 1%より良い精度 when S/N~10 ) late inspiral GW ⇒ 潮汐変形 HMNS GW ⇒ 回転と振動 No HMNS GW ⇒ Cut off frequency Cutler & Flanagan (1994) Kiuchi + 2010 23/33

NSNS合体からの重力波 17/21 GW merger inspiral 10/13 24/33 GW Black hole + Accretion disk merger Hypermassive Neutron Star inspiral 10/13 17/21 24/33

GW spectrum & MR relation aLIGO,LCGT 合体後、直ちにBH形成 ET Black Hole Hypermassive Neutron Star Neutron Star スペクトルはシンプル 25/33 13/18

GW spectrum & MR relation oscillation rotation HMNS が形成 Black Hole Hypermassive Neutron Star Neutron Star Short-lived HMNS ⇒ より複雑なスペクトル ・ HMNSの回転 ・ HMNSの振動 26/33

GW spectrum & MR relation oscillation rotation HMNS 形成、更に軽い合体 Black Hole Hypermassive Neutron Star Neutron Star Long-lived HMNS ⇒ スペクトルのピークが鋭くなる 27/33

GW spectrum & MR relation oscillation より、柔らかいEOS (コンパクトな中性子星) rotation Black Hole Hypermassive Neutron Star Neutron Star Soft EOS ⇒peak frequency ↑ 28/33

Result GW spectrum from HMNS aLIGO,LCGT ET スペクトルのピーク周波数はNSの半径に関係する このピークが測定できれば、中性子星のEOSに強い制限 29/33 See also Bauswein and Janka (2011)

潮汐力変形の効果 連星系 伴星の重力場 潮汐力 30/33 質点の重力エネルギー =(質量)*(ポテンシャルl=0) 潮汐のエネルギー Leading のNewton重力よりも5次高い  ⇒ 潮汐力のLeading Order は5PN 30/33

Tidal Deformation of NS 連星の軌道進化 quasi-circular 近似 Point ・近距離で非常つよい引力⇒tidalによってISCOが外へ (Lai, Rasio, and Shapiro) ・tidalのleading は1パラメータλ~10000で特徴づけられる 31/33

Early Inspiral で潮汐変形を、 f<450Hz early inspiralにおける、 Post-Newton計算で 潮汐の効果が積もった ⇒ Hinderer et al. 2010 Flanagan and Hindere 2009 EOS毎の潮汐変形率(f<450Hz) Future f > 450Hz 潮汐変形の効果が強い。 摂動計算の適用内かわからない。 ⇒現在、数値相対論による、 Inspiralの最終段階の潮汐力の 効果が研究されている。 (Biotti et al. 2011 Hotokezaka et al. in prep.) 32/33

連星中性子星からの重力波⇒EOSのまとめ HMNSからの重力波の有無       ⇒中性子星の最大質量に制限 HMNSの回転周波数の値       ⇒中性子星の半径を測定 Late inspiralのからの重力波       ⇒中性子星の潮汐変形率を測定 連星中性子星合体からの重力波観測は、高密度物質を理解する上で とても重要に成り得る 33/33

Population 星のInitial Mass Functionは、 太陽質量以上で傾きがきつい。 ⇒galactic Birth rate(1/yr) WD NS BH 0.16 0.021 0.0085 ※超新星爆発は50年に1回程度 WD NS BH